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曲がった蝶番 の商品レビュー

4.1

21件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    8

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

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2023/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フェル博士もの。前に読んだのが『帽子収集狂事件』だったけど、あの作品の相棒的存在のハドリー警部は今回登場せず。視点人物は若い作家で、博士は途中からの登場。 アメリカから帰国し、爵位と土地を相続したファーンリー卿について、偽物であり自分が正当な相続人であるという人物が現れ、屋敷で話し合いの場が持たれる。そこで殺人が起こり… 出だし、なんとなくクリスティっぽいなーと思いながら読み始めたけど、殺人が起こった後くらいから怪奇趣味が物語をじわじわと覆っていく感じがすごかった。ペイジが自動人形が窓際にあるのを発見した時の恐怖ときたら! トリックと幕切れは、ものすごい驚きをもたらすとともに「エッ」て感じでもある。どっちかというとバカミスの系譜のような…怪奇バカミス。でもめちゃくちゃ面白い。

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2023/01/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

勝手に動く自動人形、というカー特有の怪奇雰囲気が満点の一作。途中までは結構怖かった。 ファーンリー卿のもとへ現れた、自分こそが真のファーンリーだと名乗る人物。相続権争いの最中、殺人が起こり…読ませるプロットでおもしろかった。犯人も意外性がありよかったが、重要な証言をした人物が、犯人を庇うため全くの嘘を言っていたというのはちょっとずるいかも? 悪魔崇拝や、脚のない人物が歩き回るという中々ショッキングな事件だったが、最後の犯人による独白がとてもよかった。自分たちは決して異常なのではなく、好きなことを好きなようにしていただけの普通の人間なのだという独白によって、おどろおどろしい物語から現実に引き戻された感じがした。

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2022/09/23

フェル博士シリーズ9冊目、ギミック満載で興味津々の読ませる傑作▲爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽者だと主張する男が現れた。渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと▼もったいぶるのは探偵だけではない「いったいどちらが本物なのか」そして「あまりにも与えられた情報...

フェル博士シリーズ9冊目、ギミック満載で興味津々の読ませる傑作▲爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽者だと主張する男が現れた。渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと▼もったいぶるのは探偵だけではない「いったいどちらが本物なのか」そして「あまりにも与えられた情報が少なすぎる」と言いつつ、すべてをさらうフェル博士。登場人物みな腹に一物あるようで、主張に思惑が感じられる。そのせいか二転三転、ペイジ君はスリリングな羽目に合いつつも、やはりロマンス展開、ラストはスッキリどっきり蝶番(1938年)

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2022/08/08
  • ネタバレ

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「ジョン・ディクスン・カー」のミステリー作品『曲がった蝶番(原題:The Crooked Hinge)』を読みました。 「ジョン・ディクスン・カー」作品は『火刑法廷』以来なので6年振りですね。 -----story------------- 1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだ「ジョン・ファーンリー卿」は偽者であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。 渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと言う。 あの沈没の夜に―。 やがて、決定的な証拠によって事が決しようとした矢先に、不可解極まりない事件が発生した! 巨匠「カー」による「フェル博士」登場の逸品、新訳版。 ----------------------- 1938年に発表された「ギディオン・フェル博士」シリーズの長編第9作目です。  ■第一部 七月二十九日(水曜日)  ■第二部 七月三十日(木曜日)  ■第三部 七月三十一日(金曜日)  ■第四部 八月八日(土曜日)  ■解説 福井健太 タイタニック号沈没の際に二人の人物が入れ違い、25年後に本人だと主張する男「パトリック・ゴア」が現れ、本当の当主であると主張するという物語… どちらが本物の「ジョン・ファーンリー卿」なのかを調べるため、双方の弁護士立会いの下、「ファーンリー」の少年時代の家庭教師「ケニット・マリー」が呼ばれて試験が行われる。 「マリー」が当時の指紋帳と二人の指紋を照合する作業をしている最中、庭に立っていた「ファーンリー」が突然池に向かって倒れた、、、 池には血が広がり、「ファーンリー」は喉を切られて死んでいた… 倒れたのを見た者はいたが、喉が切られる瞬間を見た者は一人もいなかった。 「ファーンリー」は偽物だったので自殺したのか、それとも本物だったので殺されたのか… 騒ぎのあいだに指紋帳が盗まれ、やがて恐怖のために失神したメイドの手から指紋帳が発見される、、、 屋根裏部屋に隠されていた魔術書や自動人形、そして1年前に殺された「ヴィクトリア・デーリー」が参加していたと思われる魔女集会… 怪奇的要素も加わり状況は混沌としますが、「ギディオン・フェル博士」が真相を見破ります。 久しぶりに本格モノの長篇ミステリーを読みたくなって選んだ作品、、、 序盤から物語にどっぷり浸かれる展開と、怪奇色で物語を彩りながら、1年前に起きた殺人と結びつけて明かされる真相は圧巻でしたね。 ≪ちょっとネタバレ!≫ 「モリー」は魔術に興味があり魔女集会を開いていたという秘密があり、「ファーンリー」はタイタニック号沈没の際に記憶を失い、自分でも本物かどうかわからなかないという秘密があった… お互いの秘密を知ったこと等から、元々、夫婦の折り合いが悪かったことが終盤になって明らかになります。 これは序盤の展開からは想定できませんでしたねぇ… 実は「マデライン・エルスペス・デイン」を疑っていました。 そして、圧巻なのは「パトリック・ゴア」がタイタニック号沈没の際に両足を失い、義足を付けて身長を自在に変えるという特技を会得していたこと、、、 義足なしで手と胴体だけで、義足よりも素早く歩いたり、自動人形の座る箱に忍び込んで人形を操っていたとは想像できませんでしたねぇ… ちょっと騙された感じはありますが、17世紀には実際にそんな人物が居て、自動人形を操っていたらしいので、納得せざるを得ないですね。 以下、主な登場人物です。 「ジョン・ニューナム・ファーンリー」  准男爵 「モリー・ファーンリー(旧姓:ビショップ)」  ジョン卿の妻 「ナサニエル・バローズ」  ジョン卿の事務弁護士 「ブライアン・ペイジ」  作家・ジョン郷とバローズの友人 「パトリック・ゴア」  相続権主張者  本物のジョン・ニューナム・ファーンリーを名乗る人物 「ケニット・マリー」  ジョン卿の子ども時代の家庭教師 「マデライン・エルスペス・デイン」  ジョン卿の幼友だち 「アーネスト・ウィルバートンソン・ノールズ」  ファーンリー家の執事 「ベティ・ハーボトル」  ファーンリー家の女中 「ヴィクトリア・デーリー」  1年前に殺害された女 「ギディオン・フェル博士」  名探偵 「アンドルー・マッカンドルー・エリオット警部」  ロンドン警視庁警部

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2021/01/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不可能犯罪に対する回答として「証言者が嘘をついていた」はかなり力技だと思うが、それを凌駕するほとの素晴らしいストーリー構成だった。二人のどちらが本物なのかという謎、それが確定してからもつきまとう疑念、そしてその入れ替わりゆえに発生した動機! どこをとっても最高の傑作だ。 フェル博士の頭の良さも素晴らしい。小手先のテクニックに頼るのではなく、事件全体を俯瞰する目。名探偵だ。

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2017/02/02

1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽物であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。 渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと言う。 やがて、決定的な証拠によって事件が決しようとした矢先、不可解極まりない事件が...

1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽物であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。 渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと言う。 やがて、決定的な証拠によって事件が決しようとした矢先、不可解極まりない事件が発生した!(あらすじより) なんとか読み通した…

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2016/05/25

凄い。最後まで騙された、というか小説だから出来るようなトリック。奇術愛好家の間でも謎のままの自動人形の意味、真相と犯人像との結びつきは唸らされました。ディクスン・カーの評価が高いのも分かります。 後で似たようなシチュエーションの話はホームズにもあったことを思い出しましたが後書きで...

凄い。最後まで騙された、というか小説だから出来るようなトリック。奇術愛好家の間でも謎のままの自動人形の意味、真相と犯人像との結びつきは唸らされました。ディクスン・カーの評価が高いのも分かります。 後で似たようなシチュエーションの話はホームズにもあったことを思い出しましたが後書きで実話でもあったらしいことを知りました。 カーだけではなくヴァン・ダイン、クイーン、江戸川乱歩、島田荘司などミステリーには素敵な作品が多いです。単なる謎解きではない、一般的な小説の枠を超えたものです。

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2015/11/13

ほんとにもう、カーってば、「雰囲気の魔術師」とでも言おうか、「世界観を創り上げる天才」とでも言おうか、とにかくひとつの「ワールド」をそこに出現させてしまうことにかけては右に出る者がいない。 登場人物然り、彼らの来歴然り、ひとつひとつの小道具然り、建物然り…そこここに、怪奇と懐古...

ほんとにもう、カーってば、「雰囲気の魔術師」とでも言おうか、「世界観を創り上げる天才」とでも言おうか、とにかくひとつの「ワールド」をそこに出現させてしまうことにかけては右に出る者がいない。 登場人物然り、彼らの来歴然り、ひとつひとつの小道具然り、建物然り…そこここに、怪奇と懐古と浪漫の香りが立ち昇る。そしてそれがまた、とてつもなく魅力的で妖しい魔力に満ち溢れているのだ。ひとつひとつの要素は古典的でありながらも使い古された感はなく、むしろ一周回って新鮮な印象すら受ける。「壊れかけの自動人形」なんて、それこそオールドファッションの筆頭のような気がするのだけど(日本で言えば乱歩的とでも言おうか)、それが、屋根裏部屋やその他あちこちの場所で出現したときのあの新鮮な驚きは、我ながらハッとするところがあった。「改めてそのカードを出されるとは思っていなかった!」感というか、古典として愛されてきたアイテムにはやはりそれなりの魅力があったから使われてきたのだなぁとしみじみ感慨深く感動したというか…。 タイタニック号の沈没が物語の背景に絡んでくる点も、直接の内容には関係がなくとも妙に心に浪漫の灯をともされるし、「私こそがこの家の相続人だ」と主張する男2人が、どちらも個性的な魅力とどこかしら影をたずさえたイイオトコ、である点も物語に華を添えている。 推理の流れとかトリックとか、そのあたりを厳密に論じるなら「…ん?それは強引では?」と小首をかしげるような場面があることも確かなのだけれど、全体像として、ひとつのエンターテイメント作品として、そういった細かいつじつまの合わなさを補って余りある魅力があると断言したい。

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2015/07/31

面白い! 25年ぶりに故郷に帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽物で、自分が本物のファーンリー卿であると主張する男が現れた。 タイタニック号の沈没の際に入れ替わったと主張し、決定的な証拠によってどちらが本物か判明しそうな矢先、事件が起こる。 事件の被害者は、普...

面白い! 25年ぶりに故郷に帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽物で、自分が本物のファーンリー卿であると主張する男が現れた。 タイタニック号の沈没の際に入れ替わったと主張し、決定的な証拠によってどちらが本物か判明しそうな矢先、事件が起こる。 事件の被害者は、普通に考えるならこの人だろうと思われる人と別の人が被害にあい、別の1年前の事件が絡み、さらに関係ないと思うものが絡み、さっぱり推理できない。 これだと思ったものがことごとく覆され、どんでん返しが何度もあり、全然掴めない。 最後まで掴めなかった。 不可解も不可解。 とにかく面白い。

Posted byブクログ

2015/04/07

友人からの「これバカミスだよ 」との触れ込みで読んでみました。 確かにこれは想像つきませんわ… ネガティブな伏線を張りまくって、なんとかフェアなミステリになっている……のか……? ある人物の証言で不可能殺人が成り立っていたようなものなので、それが偽証だというのはなんとも落ち着かな...

友人からの「これバカミスだよ 」との触れ込みで読んでみました。 確かにこれは想像つきませんわ… ネガティブな伏線を張りまくって、なんとかフェアなミステリになっている……のか……? ある人物の証言で不可能殺人が成り立っていたようなものなので、それが偽証だというのはなんとも落ち着かない。 とはいえ、前半の入れ替わり騒動、中盤の怪奇的な展開、楽しめる部分はかなりあったので全体としては満足です。 自動人形とか出てきた時点で僕の好きなやつですね!

Posted byブクログ