発展する地域衰退する地域 の商品レビュー
2024.12.07 北海道出張の往復で、やっと読み終えることができた。ジェインジェイコブスの「アメリカ大都市の死と生」をそろそろ読みたいと思って早10年、先に本作を読了することになったが、内容が目から鱗でマクロ的な経済の流れを考えさせられた。一歩引いた目線で物事を見るという行為...
2024.12.07 北海道出張の往復で、やっと読み終えることができた。ジェインジェイコブスの「アメリカ大都市の死と生」をそろそろ読みたいと思って早10年、先に本作を読了することになったが、内容が目から鱗でマクロ的な経済の流れを考えさせられた。一歩引いた目線で物事を見るという行為に、本当に頭いいんだなと思う。とにかく次が読みたくなる面白い本だった。 第1章は経済が門外漢である身からすればとても難解だったが、ここで諦めずに最後まで読んでほしい。振り返れば1章はマクロ経済学では世界を語れないというその限界を主張するための章だ。 著者は経済の単位を国でなく都市とすることでいろいろな物事がうまく行くと主張している。アメリカと日本で通貨の価値に差があり常に調整されているように、一国の首都である東京と地方都市の間の通貨が一律であることはおかしく、通貨が持つ本来の経済を修正するフィードバック機能が機能しないのである。 一次産業の効率化が起きる時に、そこで職を失う人の次の職が周辺の都市に求めることができないのであれば、失業者を増やしてしまう。イノベーションが起きる時、その背後には十分な都市の発展がないと、それは時期尚早である。 ある地域が発展する過程では、輸入置換が行われる。輸入品を模倣して自力で作り出し、それが国内の生活を豊かにするとともに、新たな輸出産業になる。輸出産業になるためには、自国と同等もしくはやや劣る輸出先の国家が必要であり、先進国との貿易関係しか持たない後進国は発展しない。 工場を誘致しただけではそこで作り出される職は借り物であり、一時的なものでしかなく、また工場が転出すれば元通りの経済の荒廃が待っている。自前の工業を持つ地域は、誘致した工業から技術を学び、それを基礎として自律的な経済を建設することができた事例もある(台湾)。インプロビゼーションが大事。 衰退の取引とは、帝国や防衛費に関するもの。帝国の首都が地方を助ける補助金を出すことで、地方がサービスの輸出先となりウィンウィンのように思える。がしかし、それは、新たなイノベーションを生む貿易には繋がらないもので、本来そうなる貿易に使えた部分を奪い取る。
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国民経済という枠組みの否定から始まり、都市地域という概念から都市間の有機的な繋がりの重要性を書き出している。 輸入置換が都市経済の発展を促す過程の説明と輸出に依存する経済の危険性を書き出す部分はとても興味深い。
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発展する地域と衰退する地域、その2つをわける要因について、都市による輸入置換と都市地域の重要性を説いている。 発展する地域のための処方箋と言うよりも、より効果的もしくは悪手にならない都市への介入方法について、歴史的な都市の興衰から紐解いている。 複雑な都市を取り巻く状態を分析し、...
発展する地域と衰退する地域、その2つをわける要因について、都市による輸入置換と都市地域の重要性を説いている。 発展する地域のための処方箋と言うよりも、より効果的もしくは悪手にならない都市への介入方法について、歴史的な都市の興衰から紐解いている。 複雑な都市を取り巻く状態を分析し、都市間および都市地域を持続的に発展させること、つまり1つの都市ではなく都市の有機的な繋がりを意識することを指摘している。 本書で述べらているのは、物質的な輸入置換品が中心と思われるが、産業構造が大きく変動している現在においても、適応しうる考え方なのではないだろうか。
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再読。 主流の経済学の枠組みから出発したわけでもない、ジャーナリストとして出発した著者の、世界を読み解く鍵を説明してみせる技量に圧倒される。 著者の思想は、一貫して、エリート・デザイナ達による計画的な社会制御よりも、自発的でバイタルで細胞的な活動こそが社会のエッセンスであるという...
再読。 主流の経済学の枠組みから出発したわけでもない、ジャーナリストとして出発した著者の、世界を読み解く鍵を説明してみせる技量に圧倒される。 著者の思想は、一貫して、エリート・デザイナ達による計画的な社会制御よりも、自発的でバイタルで細胞的な活動こそが社会のエッセンスであるという信念に支えられている。かといって、日本的なリベラルというわけでもないのが面白いところ。 「これから100年後に、もし歴史家が、日本の衰退の開始時点を知ろうとすれば、1977年が一つの目安となろう。」(pp322-323 第13章 苦境)税率の上昇が始まり、都市間の活発な活動が後景に退いて、政策としての補助金や国家防衛的目的への支出でドライブをかけようとするベクトルが顕著になり始めた頃であるとの説明だ。これが書かれて30年以上になり、著者が予言したように日本の衰退は進みつつあると多くの人が認めるだろう。
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東京、というか首都圏に住んで働いていると地域経済みたいな概念がピンと来ないようなところがある。転勤で東京以外の土地にいくつか住んだが、転勤族として住むとその土地の経済とは半身だけ切り離されていたようなものだし、日本はどこまでいっても東京の周辺地域みたいな感じもある。その点、アメリ...
東京、というか首都圏に住んで働いていると地域経済みたいな概念がピンと来ないようなところがある。転勤で東京以外の土地にいくつか住んだが、転勤族として住むとその土地の経済とは半身だけ切り離されていたようなものだし、日本はどこまでいっても東京の周辺地域みたいな感じもある。その点、アメリカに行くと大企業の本社なんかもいろんな都市にあるし、日本よりかは地域経済が話題に上がりやすいような気がした。 この本は、国家単位で経済を捉えていては本当の姿がわからない、都市に焦点を当てなければ、と説く。なかなか日本からはこうした議論は出てこないのでは、と思う。 原著は1984年刊。まだアメリカが経済については自信喪失気味だった時代、冷戦の終結までもあと何年かある。よってか母国アメリカに関する記述はやや暗い(シアトルは軍需産業が落ち目だし、サンベルトもぱっとしない)。そのあたりはやや時代を感じるところではあるのだが、国の内部での地域間格差が大きな問題になることはアメリカに限った話ではなく、30年後をみごとに先取りしている。 都市のもっている力や可能性についてはあんまり具体性がなくて「輸入置換やインプロビゼーションと言われてもなー」程度の感想なのだが、逆にモノカルチャー経済になる供給地域や、単純に発展から取り残される地域の描写は説得的であり、それらのネガとして都市の重要性が浮かび上がる。 また、本書の骨子のひとつは、経済学でいう最適通貨圏の議論に他ならないように思うのだが、ネットでざっと見た限りではジェイコブズと最適通貨圏を結びつけた文章はほとんど見つからなかった。やっぱり経済学者じゃないからか。
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「輸入置換」とか「衰退の取引」とか、なかなかに生硬な翻訳用語が多用されているため、シロウト的にはもう少し噛み砕いて説明してほしいなと感じたし、全部理解できたかと言われると心許ないが、かなり核心を突いた本なのではないかと直感的に感じた。 地方の経済活性化とか、発展途上国の開発援助...
「輸入置換」とか「衰退の取引」とか、なかなかに生硬な翻訳用語が多用されているため、シロウト的にはもう少し噛み砕いて説明してほしいなと感じたし、全部理解できたかと言われると心許ないが、かなり核心を突いた本なのではないかと直感的に感じた。 地方の経済活性化とか、発展途上国の開発援助とか、わたしが子供の頃から世間でずーっと行われてきたけど、あまりうまくいっている例を聞かない事業がたくさんある。 税金や補助金が湯水のように使われているにもかかわらず。 木下斉氏の本など読むと、地方の町おこしの暗い闇の実情が窺われたりするが、そういうお金は誰かを潤して、そして地元には残らない。砂漠に水が吸い込まれてしまうようにシュッと消え去ってしまう。 企業城下町や単作物産業で繁栄した町も、それがなくなれば火が消えたように衰退する。 結局地元が自前でリスクをとって、他では真似できない産業や製品を編み出して他の地域と取引ができるようにならなければ、また、それで得た利益を地元に落としてさらに地元を富ませるサイクルを作らなければ、町は衰退する。 著者は国単位でなく都市単位で経済の盛衰をまるで健康診断をみるようにと示唆する。確かにその方がいいかも。 また、大胆にも地域通貨を創設することで地方同士の取引が活性化されるとの提案も。 要するに経済圏を、昔の藩ぐらいの単位で回したら良いのかなと思う。 正直、中国やロシアと隣接する九州、北陸、北海道などは、東京にはない地の利があり、貿易でも人的交流でもどんどんやったら今より繁栄できるのでは?と思っていた。行政単位を昔の藩ぐらいに分けて、それぞれが産業や人材を育成する方が繁栄できる気がしていたので、ジェイコブス氏の指摘にはうなずくことが多かった。 そして衰退する町や国に生きることの怖さも感じた。
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”はじめに都市ありき” ”都市”は文明社会の専売特許と考えられているが、そもそも人類が住まうことになった場所は”都市”だった―いや、むしろ、人類がはじめて荒野に旅立ったとき、肩を寄せ合って過ごしたはじめての夜。その場所。それはすでに”都市”であったといえるのではないだろうか。 ...
”はじめに都市ありき” ”都市”は文明社会の専売特許と考えられているが、そもそも人類が住まうことになった場所は”都市”だった―いや、むしろ、人類がはじめて荒野に旅立ったとき、肩を寄せ合って過ごしたはじめての夜。その場所。それはすでに”都市”であったといえるのではないだろうか。 現代社会の課題を考えるとき、都市―そして都市と都市のつながり―を中心に据える方法論。 街路には多様な世代、職業、ルーツの人々が行きかう。都市と都市、地域と地域へと交易が展開していく。自立と共生の輪が拡大していく。これこそが文明が発展してきた道筋ではないだろうか。 この本を片手に、街へ出よう。
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補助金が地域をダメにする 地方経済の衰退を食い止めようと、日本全国あちこちで「地域おこし」が盛んだ。たいてい役所の肝いりで、補助金がついてくる。「そんなことをやっているからダメなのよ」と本書の著者、ジェイン・ジェイコブズなら一喝することだろう。 ジェイコブズによれば、経済発展...
補助金が地域をダメにする 地方経済の衰退を食い止めようと、日本全国あちこちで「地域おこし」が盛んだ。たいてい役所の肝いりで、補助金がついてくる。「そんなことをやっているからダメなのよ」と本書の著者、ジェイン・ジェイコブズなら一喝することだろう。 ジェイコブズによれば、経済発展のカギを握るのは都市である。輸入品を工夫しながら模倣し、自前の製品に置き換えていく「輸入代替」は都市の機能であり、それが経済発展の原動力になる。東京における自転車産業の発展は、その優れた例である。 ポイントは、自前でやることだ。「いかなる経済も、自前でやるか、さもなければ発展しないかのどちらかである」とジェイコブズは断じる。だから軍需は一時の好景気は生んでも、長期の発展にはつながらない。基地や駐屯地にどれだけ多くの輸入品が運び込まれようと、そこで製品が自前でつくられるようにはならないからだ。 場合によっては軍需以上に始末に悪いのが、福祉を名目とする補助金である。一見、補助金はすばらしいもののように思える。貧しい人が消費財を買えるようになり、病院、学校、水道、電気設備などの建設・設備への注文も増える。しかしイノベーションも輸入代替も起こらないから、自立した経済発展にはつながらない。 補助金の原資は税金だから、都市が自前で稼いだ収入(稼得)を食い荒らし、都市と経済を衰退させる。「都市から搾り取られる補助金は根本的には発展に逆行する取引なのである」とジェイコブズは警鐘を鳴らす。 ジェイコブズは高く評価する日本について「時がたつにつれて、慢性的に未発展の地域に対する補助金をますます増や」すだろうと暗い予想をしている。原書の出版から35年たった今、その予想は見事に的中しつつある。
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【由来】 ・tk 片山さんの推薦 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】
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地方の問題:都市や他国が生んだ高付加価値のものを購入して結局お金を吸い上げられる 公共事業の問題点:土地を買収しても結局高齢者なのでそのまま国債に充てられる。またその後は都市に出た子孫に継承されるため、結局富は都市に流れ込む 地産地消の重要性 多くの財やサービスを域外に頼ってい...
地方の問題:都市や他国が生んだ高付加価値のものを購入して結局お金を吸い上げられる 公共事業の問題点:土地を買収しても結局高齢者なのでそのまま国債に充てられる。またその後は都市に出た子孫に継承されるため、結局富は都市に流れ込む 地産地消の重要性 多くの財やサービスを域外に頼っている現状 域外との輸出入バランスの不均衡 農業が主要産業の鳥取県でも、給食の食材の多くを県外に求めていた 地域が生み出す富の多くを中東やインドネシア、あるいは国内の他地域から輸入するエネルギー代として域外に流出させ続けるのはいかがなものか 地域通貨:地域間格差を埋める手立ての可能性 中央集権という「生活習慣」によって地方が自ら考える力が低下した。国がなんでも決めるという仕組みを改めて、財政運営、税制などの困難な問題でも地域のことは地域住民が責任を持って決める仕組みに変える事が必要 関税:利益を得るのはそれを吸い上げる首都のみ。地方にはデメリットがあるのみ。 日本人の漂流の美学:歴史的には、確固たる目的や決然たる意志によって行動する時よりも、経験的、実践的なやり方でなりゆきにまかせて行動する時の方がうまくいった。 成功につながる経済発展は、目的志向型よりも修正自在型にならざるを得ない(予測不能な問題が発生するから) 歴史的には、必要は発明の母ではなかった。必要は、都合のよいときには発明を取り入れ、それを改良し、新しい用途を加える。発明のルーツはどこにでもあるものであり、好奇心(特に審美的好奇心)の中に多く見出される。大きな事は小さな事から成長する。新しい小さなことは、実際的効用よりも審美的評価といった理由から大事に育てなければ、周囲の状況に打ち壊されてしまう。 発見は当初の意図とは異なる予期せざる副産物であることが多い。
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