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なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか の商品レビュー

3.5

17件のお客様レビュー

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2022/05/08

極めてオーソドックスかつ類書に比べて簡潔に記載されている為、初めて経済学を学ぶ人や時間がない社会人向けに好適。 途上国にとっては貧困の罠から抜け出すための基本の書。グローバルヒストリーを理解したい人には格好の入門書だと思う。

Posted byブクログ

2022/03/16

ロバート・C・アレン(1947年~)は、ハーバード大学博士、加ブリティッシュ・コロンビア大学教授、オックスフォード大学経済史教授&ナフィールド校フェロー等を経て、ニューヨーク大学アブダビ校Global Distinguished Professor。2012~13年、アメリカ経済...

ロバート・C・アレン(1947年~)は、ハーバード大学博士、加ブリティッシュ・コロンビア大学教授、オックスフォード大学経済史教授&ナフィールド校フェロー等を経て、ニューヨーク大学アブダビ校Global Distinguished Professor。2012~13年、アメリカ経済学史会長。 本書は、2011年にオックスフォード大学出版の「入門シリーズ」の一巻として出版された『Global Economic History:A Very Short Introduction』の全訳である。日本語訳のタイトルは、著者が当初考えていたという「Rich Countries and Poor Countries」に近いものとなっている。 内容はタイトル通り、1500年頃の世界では地域間の繁栄・貧富の格差は小さかった(と考えられている)にもかかわらず、15世紀の大航海時代以降、それが徐々に拡大し、19世紀初頭から現在までは、更に一層の拡大を続けてきたのは何故なのか、見方を変えれば、経済成長がアジアやアフリカではなくてヨーロッパで始まったのは何故なのかを、世界の歴史を、地域・国家の枠に縛られずに、またヨーロッパ中心の世界観を排して、分析し、描くことにより、明らかにしたものである。 このようなグローバル・ヒストリーというアプローチは、20世紀末から多くの学者が試みており、著名なものでも、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』(原書1997年)、ケネス・ポメランツ『大分岐』(原書2000年)、E.ウォーラーステイン『近代世界システム』(原書1974~2011年)等があり、近年では、更に射程を伸ばしたユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』のようなものも見られる。(私は『銃・病原菌・鉄』、『サピエンス全史』及び、川北稔『世界システム論講義』は読んだ) 本書のあとがきで訳者代表の眞嶋史叙は、本書は、ポメランツの『大分岐』が火を付けたグローバル・ヒストリー確立のレースを勝ち抜いた著者(及びオックスフォード大学の経済史)の集大成であり、それは、対立するような様々な見解も取り込みながら、整合性のあるストーリーを示し、更には「大いなる分岐」を再び閉じていこうとする(=格差を縮小させていこうとする)方向性も描き出しているという。 尚、本書の目次は以下である。 第1章:大いなる分岐~「豊かな国」と「貧しい国」のルーツをたどる 第2章:西洋の勃興~最初のグローバル化 第3章:産業革命~なぜイギリスではじまったのか 第4章:工業化の標準モデル~ドイツとアメリカのキャッチアップ 第5章:偉大なる帝国~インドの工業化の挫折 第6章:南北アメリカ~なぜ南北格差が生じたのか 第7章:アフリカ~なぜ貧しいままなのか 第8章:後発工業国と標準モデル~帝政ロシアと近代日本のキャッチアップ 第9章:ビッグプッシュ型工業化~ソ連・戦後日本と東アジアの奇跡 大きなテーマ、膨大な研究結果を、入門書としてコンパクトにまとめており、また、日本がなぜ西欧諸国にキャッチアップできたのかについて、他国との比較も交えて分析されている点も興味深く、グローバル近代(経済)史に関心のある向きには一読の価値ある良書といえるだろう。(外国人の著書にはしばしば冗長なエピソードなどが挿入され辟易するが、そうしたものもなく読み易い) (2022年3月了)

Posted byブクログ

2020/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

経済的な側面から、発展した国とそうでない国とを比較して論じていく本書。 第1章では序論として、必要最低限レベルの生活の国では労働力が安く、機械の発明や導入へのインセンティブが働きにくいため、経済的な発展が進まないとしている。第2章から第4章までは歴史をたどり、イギリス産業革命と西洋の発展、ドイツやアメリカの工業化へと話が進む。第5章はインドの挫折、第6章では南北アメリカ大陸の格差を生んだ要因、第8章ではアフリカが貧しい理由について触れられ、ここでも第1章で挙げられた機械化へのインセンティブの欠如が挙げられている。第8章は後発工業国としてロシアと日本に言及し、第9章では戦後のソ連、日本、台湾・中国・韓国がなした奇跡的(異常とも言える)発展について、その要因を探っている。 終盤がやや急ぎ足というか、論が足りない印象もあるが、日本の発展が特殊過ぎることは改めてよく分かった。 アフリカを30ページ程度で終わらせているのはさすがに少ないな、というのと、オーストラリア、島嶼国、中東、東南・南・西・中央アジアについて全く触れられていないのが残念なところ。実質、目立つ地域である西欧とアフリカ、アジアの発展国である日本・中国・台湾・韓国までで議論は止まっている。人類の歴史から見れば、むしろ(せめて)中東と西・中央アジアには触れないと物足りない。 全体的にコンパクトにまとめっていて読める本ではあるが、人類史としてしっかり読むならばジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』や『文明崩壊』のほうが面白い。これらの本の周縁にある参照先の一冊としては有益かもしれないが。

Posted byブクログ

2018/09/03

ロバート・C・アレンによる経済史の本。 興味深いテーマ。 日本のことにも割とページが割かれていてそこだけでも面白い。

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2018/02/05

Robert C. Allen,“ Very Short Introductions: Global Economic History” の翻訳。原題にある通りグローバルヒストリーの観点から書かれた経済史の入門書だが,最新の研究成果を取り入れた叙述なので,高校生・大学生向けおして...

Robert C. Allen,“ Very Short Introductions: Global Economic History” の翻訳。原題にある通りグローバルヒストリーの観点から書かれた経済史の入門書だが,最新の研究成果を取り入れた叙述なので,高校生・大学生向けおしてはやや難しいかも。

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2016/03/03

採算が取れる見込みが無いと、高効率な機械を導入しようとは思わない。という当たり前の話。 イギリスで産業革命が起こったのは、「高すぎる人件費を減らしたい」「機械を動かすための燃料は割と安い」という2つの条件が揃っていたから。これによると、後進国が追いつくのは結構難しいってことにな...

採算が取れる見込みが無いと、高効率な機械を導入しようとは思わない。という当たり前の話。 イギリスで産業革命が起こったのは、「高すぎる人件費を減らしたい」「機械を動かすための燃料は割と安い」という2つの条件が揃っていたから。これによると、後進国が追いつくのは結構難しいってことになる。 そういう不利な条件下で、日本やアメリカなどの現代の先進国が成り上がりに成功した理由を考えてみる。 1. 国内の輸送インフラの整備 2. 関税を導入して国内産業を守る 3. 銀行をつくって資金を安定的に流す 4. 大衆教育 どうやらこれらの4つの課題が工業化を達成する条件っぽい。 今後は先進国が足踏みしている中、中国やらインドが追いついて来るので、世界経済は産業革命以前の平等な時代に戻るそうだ。 その後どうなるかは全然わかんねー、で終わる。

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2013/10/10

世界全体が裕福になることが可能なのか? この世はゼロサムなのか?の疑問に答えてくれると期待していたが・・・ 効率化のインセンティブの話のみ!

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2013/09/12

目的 どのような要因でそれぞれの国家が歩んできたか知りたかったから。 経済史について産業革命から現代にまで書いたもの。 イギリスで産業革命が起きた理由、ラテンアメリカ、アフリカで開発が進まなかった要員、日本のキャッチアップなど分かりやすく書いており面白かった。

Posted byブクログ

2013/06/27

「大いなる分岐」がなぜ起きたのか、それが現代までどのような経過をたどったのかを、経済学の最新の知見を元に著した、コンパクトだけれどもガチの経済学・歴史学の書。 「大いなる分岐」については、ケネス・ポメランツの「大いなる分岐」(未邦訳)から大きな研究の流れができ、「10万年の世界...

「大いなる分岐」がなぜ起きたのか、それが現代までどのような経過をたどったのかを、経済学の最新の知見を元に著した、コンパクトだけれどもガチの経済学・歴史学の書。 「大いなる分岐」については、ケネス・ポメランツの「大いなる分岐」(未邦訳)から大きな研究の流れができ、「10万年の世界経済史」などが書かれている。 「大いなる分岐」の問題提起は、おおよそ、 ・18世紀以後、一人あたり賃金が最低生計費を上回る状況が歴史上はじめて生まれ、拡大していったのはなぜなのか ・それによって起きたことはなんなのか ・それによって起きることはなんなのか 、である。 本書でも、その点を、様々な推察を重ねて要因を洗い出す。 ポイントは、資本蓄積とエネルギーコストと賃金水準。 大雑把に言えば、経済が拡大するためには資本投下による機械の発明と改良、工場の建設と運用などが必要。それはエネルギーコストが低く、賃金水準が高くないと起きない。 エネルギーコストが高いか、賃金水準が低ければ、機械化は高コストになり利益を生まず、低賃金の労働者を使ったほうがコスト削減となるからだ。 また、低賃金の労働者は十分な教育を受けられないし、その子弟にも受けさせられず、どうしても単純労働しかできないため、「貧困の罠」にとらわれてしまう。 まず最初に、イギリスで、産業革命以前にこの条件が整った。そして、製造した商品ー綿製品ーを販売する市場が、大航海時代のフロンティアの発見と、航路による輸送コストの削減で広大に広がったことにより、機械化への投資が継続して促進され、イギリスは最初の「産業革命」の国となった。 その後、1820年台にはアメリカやドイツが高賃金低エネルギーコストの条件でイギリスを抜き、工業国としてのヘゲモニーを握った。 第一次世界大戦はドイツの鉄鋼業がイギリスを抜き、それにより軍事産業が肥大化したことで生まれた緊張から生じたものだった。 以上、5章まで。 6章以降は、南北アメリカ、アフリカ、開発の標準モデル、ビックプッシュ型開発、というトピックで、各国の経済がどのようにして発展or低状態の維持をしてきたのかを、経済的な要因から論じていて興味深い。というか、それらは独立して読んでも十分意味がある。 ビックプッシュ型工業化の章では、第二次大戦後、日本などがアメリカなどの先進国に追いつくため、産業の基礎である鉄鋼業を発展させると同時に、鉄鋼を使う自動車産業を発展させるといった、本来順繰りに発展していく工業化のプロセスを同時並行的に進めたーこれをビックプッシュ型工業化というーために、非常に高い水準で毎年の経済成長を成し遂げ、アメリカに追いつくまでになった経過を振り返っている。 そして、そのような経済成長は、モデルとなる先進国があったから出来たことで、すでに追いついてしまった今は、これまでの経済成長をどのように行えばいいのか、世界中の先進国がその答えを見つけられないでいる。 中国が今後も数年間発展していくのは確実で、その後はインドがそれに続くだろうが、やはり自国の工業化が「完成」したら、それまでの急速な経済発展は難しいだろう、と、本書では考えているようだ。 そして、中国が先進国並みの経済成長を遂げることで、「15世紀の状況にもどる」というーつまり、産業革命の前後で起きた各国の豊かさの度合いがフラット化するということだ。 その後、どうすればいいか。世界は答えが出ていない。 経済成長はエネルギーの枯渇や二酸化炭素による環境の激変など、単なる成長では解決しない問題も引き起こしていて、これも解決は即急に求められているが、だれも明快な答えを持っていない。 世界は模索している、というところで本書は終わる。 正直難しい。薄い本だから最後まで読めたが、読みながら湧いてくる疑問に答えられる紙幅がなく、ここからさらに学ぶことが求められるのだろう。 賃金水準の上昇は法則的なものなのか、イギリスの例のように、地代を税として取り立て、その循環で労働者が潤い、高賃金になったという、偶然的なものが連鎖しているだけなのか、例えばそんなことがわからなかった。 アフリカの章は懇切丁寧で、「経済大陸アフリカ」に直接繋がる話でもあるので、まとめつつ、他の書籍もあたってみたいと思った。

Posted byブクログ

2013/05/26

豊かになるには、教育・資本・生産性の向上が必要で、それが各国の事例に照らしてどのようにおこった、あるいはおきなかったかを解説している。 発展した各国でおきたイノベーションの解説は非常に興味深かったが、一番印象に残ったのは"教育"の重要性についてである。生産性を...

豊かになるには、教育・資本・生産性の向上が必要で、それが各国の事例に照らしてどのようにおこった、あるいはおきなかったかを解説している。 発展した各国でおきたイノベーションの解説は非常に興味深かったが、一番印象に残ったのは"教育"の重要性についてである。生産性を高める、生産性が高い産業を生み出すには、国民のベースとしての教育(この本では識字率)の向上が不可欠なのである。

Posted byブクログ