1,800円以上の注文で送料無料

一四一七年、その一冊がすべてを変えた の商品レビュー

4

36件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    9

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2014/09/28

その一冊とは、紀元前一世紀頃の詩人ルクレティウスによって書かれた「物の本質について」。原子論や無神論など、中世のキリスト教世界では異端とされる思想に満ち溢れた、カビとホコリにまみれた一冊の写本。古代ローマ・ギリシャの歴史や哲学、暗黒の中世、ブックハンターであるポッジョの半生など、...

その一冊とは、紀元前一世紀頃の詩人ルクレティウスによって書かれた「物の本質について」。原子論や無神論など、中世のキリスト教世界では異端とされる思想に満ち溢れた、カビとホコリにまみれた一冊の写本。古代ローマ・ギリシャの歴史や哲学、暗黒の中世、ブックハンターであるポッジョの半生など、盛り沢山な内容で面白かった。写本工房としての修道院は、エーコの「薔薇の名前」を彷彿とさせる。とりあえず、「物の本質について」を読んでみたい。

Posted byブクログ

2013/07/21

様々な側面を持っている本。 ・ルクレティウスという紀元前共和制ローマの哲学者とその著書、  「物の本質について」、並びにその思想。 ・ポッジョ・ブラッチョリーニという14世紀イタリアのブックハンター  の生涯と「物の本質について」の再発見に果たした役割。 ・14世紀における書写...

様々な側面を持っている本。 ・ルクレティウスという紀元前共和制ローマの哲学者とその著書、  「物の本質について」、並びにその思想。 ・ポッジョ・ブラッチョリーニという14世紀イタリアのブックハンター  の生涯と「物の本質について」の再発見に果たした役割。 ・14世紀における書写と古典著作の再発見の実際。 ・その当時の教皇庁とキリスト教の実態。 ・そしてこの「物の本質について」という本がルネッサンスやそれ  以降の科学や思想の発展に影響を与えた事実。 それらを巧みに一冊の著作にまとめている。さすがにこの本一冊 からすべてのルネッサンスが始まったというのは無理があるとは 思うが、それ以上に読み物として面白い上質のノンフィクション だと思う。 ルクレティウスの思想はどこか中観に似ているのではないかと 思ったり思わなかったり(笑)。

Posted byブクログ

2013/06/15

「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」読んだ http://www.kashiwashobo.co.jp/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=978-4-7601-4176-0 … おーもしろかった!某社長山賀さん情報の本。自然科学と思索と快楽の文化はキリスト教...

「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」読んだ http://www.kashiwashobo.co.jp/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=978-4-7601-4176-0 … おーもしろかった!某社長山賀さん情報の本。自然科学と思索と快楽の文化はキリスト教に破壊駆逐されるけど、一部の知的探究心の強い人たちの好奇心と研究により再発見され静かに発展していく(つづく 地動説もダーウィニズムも原子論も紀元前300年前には基礎が確立されていたのにキリスト教の台頭で一気に世界(宇宙)認識と自然理解は退行する。ギリシャってすごかったんだなあ、ローマって知的だったんだなあ、以前訪れたアテネはもはや老年期、ローマっ子は民度最低という印象だったが…(つづく 人間の知的好奇心ってすばらしい。つくづくそう思う。可笑しかったのは、15世紀にはイタリア人は心配性で勤勉で規則正しく、ドイツ人は能天気で屈託なかったということ。信じ難い、いつどこで何がどうなったのか?!国民性を変えるのは経済か宗教か趣味かそれとも何?あーおもしろかった(おわり #メモ:「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」http://www.kashiwashobo.co.jp/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=978-4-7601-4176-0 … 近所のバーで某社長の山賀さんに教えていただいた本。ルネサンス発祥のきっかけ、修道院における本の意味、キリスト教vs科学。読まなきゃでしょ

Posted byブクログ

2013/06/15

「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」読んだ http://www.kashiwashobo.co.jp/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=978-4-7601-4176-0 … おーもしろかった!某社長山賀さん情報の本。自然科学と思索と快楽の文化はキリスト教...

「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」読んだ http://www.kashiwashobo.co.jp/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=978-4-7601-4176-0 … おーもしろかった!某社長山賀さん情報の本。自然科学と思索と快楽の文化はキリスト教に破壊駆逐されるけど、一部の知的探究心の強い人たちの好奇心と研究により再発見され静かに発展していく(つづく 地動説もダーウィニズムも原子論も紀元前300年前には基礎が確立されていたのにキリスト教の台頭で一気に世界(宇宙)認識と自然理解は退行する。ギリシャってすごかったんだなあ、ローマって知的だったんだなあ、以前訪れたアテネはもはや老年期、ローマっ子は民度最低という印象だったが…(つづく 人間の知的好奇心ってすばらしい。つくづくそう思う。可笑しかったのは、15世紀にはイタリア人は心配性で勤勉で規則正しく、ドイツ人は能天気で屈託なかったということ。信じ難い、いつどこで何がどうなったのか?!国民性を変えるのは経済か宗教か趣味かそれとも何?あーおもしろかった(おわり #メモ:「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」http://www.kashiwashobo.co.jp/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=978-4-7601-4176-0 … 近所のバーで某社長の山賀さんに教えていただいた本。ルネサンス発祥のきっかけ、修道院における本の意味、キリスト教vs科学。読まなきゃでしょ

Posted byブクログ

2013/05/23

キリスト教以前の古代ローマに書かれた一冊の書物の発見がルネサンスの勃興、引いては近代思想を生み出す起爆剤となった、という内容。 これが発見されなければ、ルネサンスはおろか、現代が現在のような姿ですらなかった、みたいな偶然史観自体は個人的にはどうかと思うのですが、読み物としてはおも...

キリスト教以前の古代ローマに書かれた一冊の書物の発見がルネサンスの勃興、引いては近代思想を生み出す起爆剤となった、という内容。 これが発見されなければ、ルネサンスはおろか、現代が現在のような姿ですらなかった、みたいな偶然史観自体は個人的にはどうかと思うのですが、読み物としてはおもしろかった。 そんなことより注目すべきは、本書の主人公ポッジョが70歳を超えてなお、20歳も年下の同僚とささいなラテン語の文法の解釈をめぐって、相手の目の玉をくりぬかんばかりの取っ組み合いのケンカをした挙句、その後にケンカ相手の悪口をあることないこと吹聴してまわって、失脚にまで追い込んだ、てとこです。 まあ、友達にはなりたくないタイプかと。 ポッジョという人は中世のブックハンターで、政争にあけくれるすさんだ教皇庁のなかにありながら、全生涯をひたすら本の探求にのみ情熱をささげた人として描かれているのですが、そんな人ですら、このありさま。 本が好きっていうとなんとなく高尚な趣味っぽくて、本をたくさん読んでいる人にはさぞかし該博な知識と豊かな人間性がはぐくまれているのでしょうなあ、という幻想があるような気がして、つねづね、それは違うんじゃないか・・・と思っていたのですが、本をたくさん読んだからってできた人間になれるわけじゃない、てことをこのポッジョのエピソードが教えてくれるわけです。 つまりは僕は本好きなんだけど、いっこうに立派な人間になる気配すらないのも仕方ないよね、だってそれとこれとは関係ないもん、というお話。

Posted byブクログ

2013/04/16

古代ローマ人ルクレティウスというエピクロス派の詩人による、「現世こそが世であり、そこでの効用を最大化することが人生の意義である(かなり意訳)」という内容の本を15世紀の教皇庁の官僚/人文主義ブックハンターがドイツで探し出す話。そしてその本が世の中に広まり、ルネッサンス及びキリスト...

古代ローマ人ルクレティウスというエピクロス派の詩人による、「現世こそが世であり、そこでの効用を最大化することが人生の意義である(かなり意訳)」という内容の本を15世紀の教皇庁の官僚/人文主義ブックハンターがドイツで探し出す話。そしてその本が世の中に広まり、ルネッサンス及びキリスト教会主義的中世を打ち破る近代の合理的な思想のバックグラウンドになったという指摘をする。 本当にこの本がどこまでのインパクトを与えたのかは分らないが、中世から近代に変わる思想的背景プラスキリスト教世界とブックハンティングのスリリングな話は想定外に面白い。2012ピューリッツアー賞ノンフィクション部門。

Posted byブクログ

2013/04/07

エピクロス学派。快楽主義と訳されるその哲学は、本来、人生の目的を喜びの追求とすることで、迷信から解き放たれ、死の苦しみや恐怖を克服することにあった。しかし、禁欲と死への恐怖と罪への懺悔により救いがもたらされることを説く教会の権威により、中世ヨーロッパにおいて、貶められ、その作品の...

エピクロス学派。快楽主義と訳されるその哲学は、本来、人生の目的を喜びの追求とすることで、迷信から解き放たれ、死の苦しみや恐怖を克服することにあった。しかし、禁欲と死への恐怖と罪への懺悔により救いがもたらされることを説く教会の権威により、中世ヨーロッパにおいて、貶められ、その作品のほとんどが破壊された。 1417年エピクロス信奉者であるルクレティウスが記した美しいラテン語の詩「物質の本質について」が、その哲学を永遠に葬り去ったかに見えた場所、ドイツのフルダ修道院図書館で見つかった。 しかも、それを発見したのは元教皇秘書であり、カトリック総本山であるイタリア出身のボッジョ・ブラッチョリーニ。 彼は、邪悪な教皇に仕える官僚でありながら、自分の理想とする古代共和政ローマの自由な空気に思い焦がれる人文主義者であり、豊かな教養と写本技術とその要職者としての立場を利用して、各地の修道院に眠る古文書をブックハンティングして歩いた。 1415年にはフス、1416年にはヒエロニムスといった永遠に記憶される価値のある人が次々に火刑に処せられる過酷な状況下で、もう一人の価値ある人であるルクレティウスを救いだしたことが、その後のルネサンスや科学の発展への道を開く。 「物の本質について」は、ボッティチェリに霊感を与え、モンテーニュ、ダーウィン、アインシュタインの思想を形つくった。 ・万物は目に見えない粒子でできている ・物質の基本である粒子は永遠である ・宇宙には創造者も設計者もいない ・自然はたえず実験を繰り返している ・宇宙は人間のために、あるいは人間を中心に創造されたのではない ・霊魂は滅びる ・死後の世界は存在しない ・われわれにとって死はなにものでもない ・組織化された宗教はすべて迷信的な妄想である ・宗教は常に残酷である ・天使も、悪魔も、幽霊も存在しない ・人生の最高の目標は、喜びを高め、苦しみを減ずることである ・喜びにとって最大の障害は苦しみではなく、妄想である ・物の本質を理解することは、深い驚きを生み出す

Posted byブクログ

2013/04/07

とても面白かったので紹介。 2012年のピュリッツァー賞ノンフィクション部門の受賞作。 今からおよそ600年前、ある男が修道院の図書館でとても古い本を手に取った。 古代ローマの哲学者ルクレティウスが書いた「物の本質について」だ。 思想は時を超えて伝播する。この一冊がその後...

とても面白かったので紹介。 2012年のピュリッツァー賞ノンフィクション部門の受賞作。 今からおよそ600年前、ある男が修道院の図書館でとても古い本を手に取った。 古代ローマの哲学者ルクレティウスが書いた「物の本質について」だ。 思想は時を超えて伝播する。この一冊がその後の歴史を変えた。 1000年以上前に書かれた本が、ルネサンスを促進し、ボッテイエェリに霊感を与え名画を書かせ、モンテーニュ、ダーウィン、アインシュタインの思想を形作った。 ルクレティウスの言葉がとてもいい。 われわれの生命はお互いからの借りたもの・・・ そして人は、走者のように、生命のたいまつを引き継いでゆく。(ルクレティウス) 今生きている責務として、未来の人々に何かをキチンと残して行こう。それが生きていた証であり、より良い世界を形作ることにつながるのだから。

Posted byブクログ

2013/04/07

このタイトルには正直抵抗があるけど、内容はむしろ「全てを変えた」部分ではなく「この一冊が発見された」経緯、人や時代状況に焦点が絞られている。

Posted byブクログ

2013/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

S.グリーンブラット『一四一七年、その一冊が全てを変えた』柏書房、読了。ルネサンス黎明期のイタリア。主人公はポッジョ・ブラッチョリーニ。教皇庁祐筆の人文主義「ブックハンター」の物語。歴史を変えるのは活版印刷でもガリレオでもない。古代ローマ詩人ルクレティウスの哲学叙事詩の発見だ。 ルクレティウスの『物の本質について』(岩波文庫所収)は「神の摂理の否定と死後の世界の否定」する人間讃歌であったから千年以上秘匿された。そのフマニスムはピコ・デラ・ミランドラだけでなく現代科学論をも先取りするものだ。 物語はヴァチカンの狡猾な内部抗争の狭間で続けられる古代ギリシア・ローマの写本の探索のドラマ。再発見に「全てを変えた」分水嶺を見出すが、本書は人と書物、ヨーロッパ出版史をめぐる優れた文化史ともなっている。 最後に蛇足。私は是々非々であればいいと思うから、歴史教科書的二元論とその眼差しから人間の営みを理解しても始まらない。宗教的権威も糞だが、人間中心主義も糞だから。どう軸を糾すかという話。鬼の頸をとることほど無益なことはない。

Posted byブクログ