検事の本懐 の商品レビュー
柚月裕子の佐方貞人シリーズ。 柚月裕子は非常に面白い。続けてシリーズを読みたい。 特に同級生を襲った現役警官による卑劣な恐喝事件に、真っ向から対峙する「恩を返す」はスカッとした。
Posted by
★特長 佐方弁護士の検事時代や学生時代のエピソードを描く5つの短編ミステリーを通じて、人柄や魅力が描かれている。 ★感想 第一話 樹を見る 所轄管内で起きた連続未解決放火事件。 所轄と県警の同期同士が解決を争う。 容疑者のガサ入れ令状欲しさに佐方検事へ送検。 佐方は見事、所轄の...
★特長 佐方弁護士の検事時代や学生時代のエピソードを描く5つの短編ミステリーを通じて、人柄や魅力が描かれている。 ★感想 第一話 樹を見る 所轄管内で起きた連続未解決放火事件。 所轄と県警の同期同士が解決を争う。 容疑者のガサ入れ令状欲しさに佐方検事へ送検。 佐方は見事、所轄の見逃した真実に行き着く。 同期同士のマウントの取り合いが見苦しく、それに引き替え、佐方検事のなんと清々しいこと。 第二話 罪を押す 佐方が米崎地検の筒井のもとに転勤になって間もない頃の、彼の他人の内面を読み取れる、深い人間性を示す事件、エピソード。 佐方は着任後一年、事務処理能力の高さは誰もが認めるが、筒井の思う優秀さ(事件の動機の深い部分まで凝視して向き合える)はまだ見えてきていなかった。 貧しさから刑務所に入るために繰り返された窃盗事件。 一任された佐方は勾留期限まで引っ張った後、なぜか不起訴の決定を下す。 警察作成の一件記録から抱いた2つの疑問を解くために、警察からあるものを取り寄せ、事件の真相にたどり着く。 佐方は法と人、両方で罪を裁ける、検察の正義を背負う存在になるだろうと筒井は思った。 第三話 恩を返す 広島県呉原市での高校時代の甘酸っぱい事件での恩を、大人になってから返す話。 第四話 拳を握る 中経事業団と国会議員の贈収賄事件。 全国から応援を集めた東京地検特捜部。 その中に山口県地検事務官の加東と、佐方。 第五話 本懐を知る 主役はニュース週刊誌の専属ライター兼崎。 政治家や検事、弁護士など権力者の犯罪を明らかにすることにより、再発防止を促す企画で14年前に業務上横領で実刑を受けた弁護士の事件を追う。 通常、弁護士が犯罪を犯した場合、示談か起訴猶予にしてしまうのに、不思議に思う。 その弁護士こそ佐方の父だった。 佐方の父は服役後弁護士資格を失い、亡くなっていた。 謎を追うため当時の関係者に取材を行うが、多くの 人は佐方の父を悪く言わない。 悪く言うのは顧問先社長の息子のみ。 佐方にも取材するが、何も話さない。 謎は深まるばかり…。 そこには佐方の父と今は亡き顧問先社長との友情とある事情があった。 ★魅力 このシリーズの主役、佐方の人柄、佐方の父の人柄に魅了されるエピソードの数々。 ★おすすめの人 単なる事件の表面的な部分ではなく、人間の深い部分の妙味を楽しみたい方。
Posted by
大変好きな小説です。 できたら解説的表現を抑えて頂き読者の想像力をに任せても良いのでは? 柚月さんが伝えたい事が抑え気味の文体でも伝わる文章力があっても良いのでは!
Posted by
『最後の証人』に続く佐方貞人シリーズの二作目。 佐方貞人の検察時代や彼の父に関するエピソードを収録している。 個人的にミステリは分厚く読み応えのあるものが好みなので、この短編集はややあっさりしていると感じてしまった。
Posted by
また柚月さんに泣かされた。 短編集で、ガッカリと思ってたけど、 短編とは思えないほど一つ一つのストーリーの内容が濃い。 樹を見る 罪を押す 恩を返す 拳を握る 本懐を知る の5篇からなる。 特に「罪を押す」と「本懐を知る」は良かった。 うるっとほろっと。いい話でした。
Posted by
柚月裕子3連読となる連作5話短編集。 シリーズ2作目となる本作を最後に読んだこともあり、前読した『検事の死命』の【業をおろす】を先読みしてしまったが、本作【本懐を知る】を読んでさらに感慨深い気持ちになった。 本作の中では【罪を押す】が良かった。無実を暴くというケースのストーリ...
柚月裕子3連読となる連作5話短編集。 シリーズ2作目となる本作を最後に読んだこともあり、前読した『検事の死命』の【業をおろす】を先読みしてしまったが、本作【本懐を知る】を読んでさらに感慨深い気持ちになった。 本作の中では【罪を押す】が良かった。無実を暴くというケースのストーリーで被疑者の不器用さにウルっと。 佐方シリーズ、善き。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
柚月裕子、佐方シリーズ、佐方の貫く正義には心を打たれる。彼の検事としての仕事は地味ではあるが、王道を行く。この王道を行こうとする佐方をどうして邪魔する検事や警察がいるのだろうか?しかし、そこを突破する佐方の姿に共感・興奮し心を打つのだろう。佐方の父親である弁護士・陽世。父が受けてきた恩のために自己を犠牲にした真実を知った佐方の正義たる本分がそこにあるが、それが彼なりの答えだと思う。高校時代に「ナイフの偽証」をした佐方だからこそ、証拠を見るのではなく、事件を起こした人間を見る検事・佐方が完成したのだろう。
Posted by
佐方シリーズの2冊目。佐方が検事の時の話を5話の短編でまとめて1冊にしてるめちゃくちゃ良い。カッコいいし。渋い。読み終えて溜息が出るくらいの作品。柚月裕子作品を網羅するのも時間の問題だな。面白い。
Posted by
ずっと閉じ込められて出られないような、そんな空気が流れているように感じました。冷たくないけど、熱くもない。 検事の本懐は確かに素晴らしいです。でも私は佐方さんに、人生の楽しみも探してほしい。 次の巻で、佐方さんに何かいいことがありますように。
Posted by
満足度5 入り易さ5 読み易さ5 ストーリー5 読了6時間ほど 「検事かっこいい!」と読んでて何度も思うでしょう。読みやすく、設定も入ってきやすくて楽しく読めた。義理や人情の素晴らしさを改めて再認識できる。 最初の設定や沢山の人物説明に疲れることが多いけど、文頭のライバル検事...
満足度5 入り易さ5 読み易さ5 ストーリー5 読了6時間ほど 「検事かっこいい!」と読んでて何度も思うでしょう。読みやすく、設定も入ってきやすくて楽しく読めた。義理や人情の素晴らしさを改めて再認識できる。 最初の設定や沢山の人物説明に疲れることが多いけど、文頭のライバル検事との争いからすっと世界に入れました。 読書の最初でくじけがちな人にもおすすめしたい。
Posted by