検事の本懐 の商品レビュー
「最後の証人」の佐方弁護士が、まだ検事だった頃の短編連作。 一作ごとに視点が違い、佐方という人物がいろいろな人の目を通して語られています。そこが良くもあるのですが、だからこそ、佐方のスゴさばかりが際立って、正義のヒーローみたいに見えてしまう。佐方という人物を好きだと思えるだけに...
「最後の証人」の佐方弁護士が、まだ検事だった頃の短編連作。 一作ごとに視点が違い、佐方という人物がいろいろな人の目を通して語られています。そこが良くもあるのですが、だからこそ、佐方のスゴさばかりが際立って、正義のヒーローみたいに見えてしまう。佐方という人物を好きだと思えるだけに、そこが惜しくて仕方がない。こんな骨太な物語には、スーパーマンは似合わない。 佐方の行動の裏に、彼のどんな感情が隠れているのか、信念を貫くことに葛藤はないのか、ついつい楽な方向に流れていきそうになったり迷ったりして、自らを戒め奮い立たせることはないのか、悩み後悔することはないのか・・・。外から見える、佐方の行動と姿勢だけではわからない、彼の内面が見たいととても思います。
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『最後の証人』佐方弁護士の若き検事時代を描いた短編集。 主人公を脇に置いて、周囲から佐方さんという人物に迫るような作風です。 検察という上意下達の組織の中で、検事の正義をどう貫くのか。佐方検事の「まっとうに」というセリフがあちこちに出てきます。 こんな検事さんがたくさんいればいい...
『最後の証人』佐方弁護士の若き検事時代を描いた短編集。 主人公を脇に置いて、周囲から佐方さんという人物に迫るような作風です。 検察という上意下達の組織の中で、検事の正義をどう貫くのか。佐方検事の「まっとうに」というセリフがあちこちに出てきます。 こんな検事さんがたくさんいればいいんですけど、現実問題としては大変だろうなあ(本人も組織も)。
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佐方さんがしぶい。現実問題、こんな生き方はリスクが高くて、なかなか真似できない。でもこんな上司がいたら尊敬するし、支持したい。 「取り調べを受けるのは参考人という記号ではない。親が付けた名がある人間です。相手に真実を吐かせようと思ったら、人間として向き合うべきでしょう。」
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面白かった。 第一章では、この本の主役が全然わからなかった。 これは作者の狙い? 一切妥協せず、自分の足で真実を探し当てる検事。 見た目はダサダサ(?)らしいが、やることがかっこいい! 是非シリーズ化してもらいたい。
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CL 2013.1.3-2013.1.6 好きなシリーズで読んだのだけど、 ちょっと正義過ぎやしないかな。 こんなに美化しなくても、もう少し現実的でも佐方をヒーローに描けると思うんだけど。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「最後の証人」で登場したヤメ検弁護士・佐方の検事時代を書いた短編集。 どの短編も表立って佐方を主人公としていませんが、 周囲の人からその人柄が伝わってきます。 どの話も心を打つものでしたが、 特に「拳を握る」と「本懐を知る」の話は好きです。 「罪はまっとうに裁かれなければならない」という信義が特捜の正義とぶつかり、 それゆえに行き場のない怒りや悔しさを握り締めたことや、 高校生時代の佐方が、横領弁護士の汚名を着てまで恩義を守り抜いて死んだ父から受け取った“形の無いもの”などに、 思わず涙がこぼれてしまいました。 弁護士になっても佐方の信義は変わっていませんが、 ヤメ検弁護士・佐方より、検事・佐方の話をもっと読んでみたいと思います。
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あとがきでも泣いた。冒した罪からしか人を見ない法律の難しさとそれでも人を見る佐方の連作集。毎章ごとに違う想いでこみ上げてくるものがある。とても良かった。
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