わかりあえないことから の商品レビュー
人から聞いて読んでみた本。タイトルの「わかりあえないことから」。異文化同士はもちろん、同じ日本人同士であってもこの前提は大切。それは異文化に見をおいて仕事をする中で漠然と感じていたことではあった。そのうえで、わかりあえるための努力を惜しまず出来るかどうか。日本人が国際社会で生き抜...
人から聞いて読んでみた本。タイトルの「わかりあえないことから」。異文化同士はもちろん、同じ日本人同士であってもこの前提は大切。それは異文化に見をおいて仕事をする中で漠然と感じていたことではあった。そのうえで、わかりあえるための努力を惜しまず出来るかどうか。日本人が国際社会で生き抜いていく(成功していく)ための秘訣であると、眼を開かされたように感じた。日本がどのような文化を持ち、他者はどのような文化を背景に持っているか。これを意識的に考えるだけでもコミュニケーションは違ってくるだろう。「みんなちがって、たいへんだ」、その通りだと思う。でもだからこそ、多様な価値観から新しい何か、高いパフォーマンスが生まれる、それが多文化の強味だと私も思う。日本はそうじゃないと思ってきたけど、価値観が多様化し、バラバラになっていく社会で日本でもそうしたコミュニケーション観の転換が必要との主張に納得した。 コミュニケーション能力が必要と言われるようになって久しいが、それがよく分からなかった。それは学べるものなのか、とも思っていた。日本と海外の教育のことから、コミュニケーションをデザインする、ということまで、丁寧にわかりやすく書かれており、とても勉強になった。時折り読み返して深めたい。
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職場でのコミュニケーションについていろいろ思うことがあり、少しでも自分の視野を広げることができればと思い購入。 本作はコミュニケーションについてのハウツー本ではない。そもそも「コミュニケーションとは?」、「本当に現代人はコミュニケーション能力がないのか?」などなどを掘り下げてい...
職場でのコミュニケーションについていろいろ思うことがあり、少しでも自分の視野を広げることができればと思い購入。 本作はコミュニケーションについてのハウツー本ではない。そもそも「コミュニケーションとは?」、「本当に現代人はコミュニケーション能力がないのか?」などなどを掘り下げていく内容となっている。 印象的だったのが、作者さんは劇作家ということもあり、コミュニケーションを演劇の側面で考えているのが面白かった。 コミュニケーション=以心伝心がとれて分かりやすい、みたいなイメージがあるけれど、作者さんに言わせれば「話さない」、すらもコミュニケーション(というか表現、といった方がいいかもしれない)に捉えている。本作を読んだことでコミュニケーションに対する認識が広がったように思う。 また、タイトルにもあるように「わかりあえない」という前提でコミュニケーションをとることで、うまく意思疎通ができないことに絶望したり、悲観的にならなくてすむようになると思う。「わかりあえない」なかで、たった少しでも分かり合えたことを喜びとしましょう、とする本作の主張は新鮮だった。
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コミュニケーション能力とは何か、コミュニケーションスキルが高いとはどういうことか、スキルが高ければ人間として良い人なのか。 最近そんな疑問を抱いていたので、この本に出会えて、それらの疑問に答えを見出せそうな気がした。そもそもそれらに対して違和感を感じていたことも肯定されたようで嬉...
コミュニケーション能力とは何か、コミュニケーションスキルが高いとはどういうことか、スキルが高ければ人間として良い人なのか。 最近そんな疑問を抱いていたので、この本に出会えて、それらの疑問に答えを見出せそうな気がした。そもそもそれらに対して違和感を感じていたことも肯定されたようで嬉しかった。自分なりの結論にはまだ足りないけれど。でも、次に進む方向はなんとなく見えてきそう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
著者の名前はニュース等で時々目にし気になっていたところ、よく聴くラジオ番組「武田砂鉄のプレ金ナイト」で本書が紹介され、ブックオフで安く売っていたので購入。 以下、面白かった点: ◼️ダブルバインド 異文化理解力と同調圧力のダブルバインド。 これは必ずしも悪いわけではなく、日本人が背負っていくべきもの。 ◼️演劇教育 演劇で他者を演じることによるコミュニケーションの体験教育。 本当の自分探しより、複数の人格をきちんと演じ分けるのが大人。 ※演劇教育は子どものごっこ遊びに通じる気がした。複数の人格を演じ分けるというところは、平野啓一郎の分人主義に通じるものを感じた。 ◼️日本語論 日本語は欧米系の言語と違い強弱アクセントをほとんど使わない代わりに強調したい言葉を語頭に持ってきて繰り返す。 日本語は性差が激しく対等な議論が難しい。 ◼️対話 「会話」は価値観や生活習慣なども近い親しい者同士のおしゃべり。「対話」はあまり親しくない人同士や親しくても価値観が違う人同士の情報の交換や価値観の擦り合わせ。 説明の虚しさに耐えること。 「対話的な精神」とは、異なる価値観を持った人と出会うことで、自分の意見が変わっていくことを潔しとする態度。 政治家は小粒でいい。大上段の「演説」より地道な「対話」ができる人。 ※「会話」と「対話」の定義はなるほどと思った。物事の本質を理解している人は説得力のある言葉の定義ができる。 ◼️協調性から社交性へ これから必要なのは、遠く(霞ヶ関)で誰か(官僚)が決めたことに従い、空気を読み、価値観を一つにする方向のコミュニケーションより、価値観はバラバラなままで何とかやっていく能力。
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平田氏の独特だが説得力のあるコミュニケーション論。 面白いし、役にたつ。 “演劇は、人類が生み出した世界で一番面白い遊びだ”←決め台詞
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数年ぶりの再読。いま改めて読んで本当に良かった。この本好きだな。仕事で受ける社内のウザったい問い合わせに対しても優しくなれる。結局これって対話のプロセスなんだ。対話のプロセスを辿るってことはすなわちその前提に違う価値観とか背景があるということ。別に以心伝心にわかりあえなくていい。...
数年ぶりの再読。いま改めて読んで本当に良かった。この本好きだな。仕事で受ける社内のウザったい問い合わせに対しても優しくなれる。結局これって対話のプロセスなんだ。対話のプロセスを辿るってことはすなわちその前提に違う価値観とか背景があるということ。別に以心伝心にわかりあえなくていい。わかりあう必要もない。でも真摯に言葉を尽くして少しでもお互いを理解して歩み寄れるようになるためのプロセスを経ることは間違いなく重要。そう思えばいちいち回答するのもそんなに苦ではないような気もする。もちろん多少はイライラするけどそこは寛容に。対話のためのトレーニングの1つ。書かれていたとおり、日本語教育からは対話の目的・意義・やり方が抜け落ちている。たぶん誰もが真摯に対話をできるわけではない。だから説明をしてあげる相手が対話を対話と認識していないと意味がないんだけど、でもこちらが少なくとも対話をし続ける姿勢を示すことに意味はあると思う。そう信じてやっていきたい。それってますますこれからの人事労務屋に求められるコミュニケーションなんじゃないかと思う。
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私が考えてるコミュニケーション能力とはまた違った視点で書かれていてとても興味深かった。 演劇を通すからこそ見えてくるコミュニケーションという、心理学ともまた違う視点。 国や個人の歴史・経験・文化や育ちから生まれる少しずつの人の違い。 移動しやすくなった今の時代だからこそ、その当た...
私が考えてるコミュニケーション能力とはまた違った視点で書かれていてとても興味深かった。 演劇を通すからこそ見えてくるコミュニケーションという、心理学ともまた違う視点。 国や個人の歴史・経験・文化や育ちから生まれる少しずつの人の違い。 移動しやすくなった今の時代だからこそ、その当たり前の事実をもう一度再認識するべきなのかもしれない。 もちろん日本人の大事な部分は守りつつ。
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女言葉こそ女性の社会 進出を阻んでるという 著者の主張は、 なるほど、そんな観点 があったかと目から鱗。 言葉づかいの男女差は 世界中にありますが、 日本人は殊更に男女の らしさを言葉づかいに 求めますよね。 特に女性の一歩引いた 感じのそれを、 我が文化の美点である ...
女言葉こそ女性の社会 進出を阻んでるという 著者の主張は、 なるほど、そんな観点 があったかと目から鱗。 言葉づかいの男女差は 世界中にありますが、 日本人は殊更に男女の らしさを言葉づかいに 求めますよね。 特に女性の一歩引いた 感じのそれを、 我が文化の美点である と考えてきました。 が、いまや女性らしく 淑やかに!と、 目くじらを立てる時代 ではないんですよね。 会社では女性の上司が 男性の部下を統率して いく時代。 女なんだからこうある べきというジェンダー バイアスは、 すでに過去のものです。
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一度チャレンジして、途中で返却してしまったけどついに最後まで読めた。所々にほぉ〜ってなる(見聞が広がるような)ことが書いてあり面白かった。対話の基礎体力、それと学びと知性がもたらす美しい時間!
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※このレビューにはネタバレを含みます
・ダブルバインド(二重拘束) 二つの矛盾したコマンドが強制されている状態 ・教育の役割 社会の要請に応じて、最低限度の生きるためのスキルを子どもたちに身につけさせて世間に送り出すこと ・喋らない、いないも表現の一つ ・日本語の特性 強調したいものは語頭にもってくる 強弱アクセントによって感情を表現する× ・対話の基礎体力をつける 2人でとことん話し合い結論を出すことが重要なプロセス、意見が変わることは恥ずかしいことではない ・子供と接する時の優れたコミュニケーション 子供のコンテクストを受け止めて、さらに受け止めているよということをシグナルとしてら返してあげることが重要 ・エンパシーとは わかりあえないことを前提にわかりあえる部分を探っていく営み
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