「アラブの春」の正体 の商品レビュー
772 とくにチュニジアでは、高い教育を受けても、コネがなければ路上で野菜を売ることでしかお金を得る手だてがありません。しかも、そのささやかな仕事も国から取り上げられてしまう。その一方で、私腹をこやしている政治家や官僚、その家族がいるのです。 不満がたまっていたところに、爆発...
772 とくにチュニジアでは、高い教育を受けても、コネがなければ路上で野菜を売ることでしかお金を得る手だてがありません。しかも、そのささやかな仕事も国から取り上げられてしまう。その一方で、私腹をこやしている政治家や官僚、その家族がいるのです。 不満がたまっていたところに、爆発するきっかけがあって、大きな運動に盛り上がっていきまし
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アラブの春と聞いた時最初は一箇所の話かと思っていたが複合的で絡み合っているのだと理解できた。 アラブの春のポイントとしてメディア戦争がある。 これはアラブだけの話ではなく日本にも通じる部分があると筆者が指摘しており、自分も受け身ではなく記事の裏を読み解くように知識を蓄えたいと感じた。
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2012年刊。 著者はアラビア語に堪能なフリー・ジャーナリスト。ついでに著名人の娘でもある。 2011年より(前史は10年)中東を席巻した「アラブの春」。しかし、その内実と性格とは国毎で大きく違い、また報道で広く開陳されることなく潰されたものもある。 本書は①チュニジア、②エジプト、③リビア、④サウジアラビア他アラビア半島諸国、⑤シリアとに分けて、2010~12年までの各国政治状況を、欧米やアラブでの報道の問題点に切り込みつつ解説する。 結論的には、思った以上に良い出来栄えの書と言える(ただしシリアを除く)。 それは、 ⅰ) 革命前の各国政権の功罪両面を歴史に遡り広く分析する点、 ⅱ) 「アラブの春」の内実を、各国毎の政治・宗教・社会の状況を踏まえ区分して解説する点、 ⅲ) イスラム同胞団の国毎での多義性・多様性を明快にした点、 ⅳ) BBCなど欧米報道機関に加え、「アルジャジーラ」の問題点を、彼らへのスポンサーの解読と、その報道内容の不自然さから読解く点、 ⅴ) 報道にもドキュメンタリーにも出ないサウジアラビアに切り込む点、 ⅵ) イスラム保守派政権が、革命後各国に生まれた事情を、選挙と宗教の地域的拠点の観点で論じる点にある。 逆に、かような功罪両面を論じるのが本書の買いであり、そういう意味で上記ⅰ)が甘く、アサド政権の罪を明示しないシリア論は全然ダメということになる。 なお、興味深いネタとして、まずサウジアラビアにおけるタブーに関し、 ⑴ 現在における奴隷制度の残存、 ⑵ 国籍を持てない=教育・医療の支援といった社会保障制度を受けられない遊牧民「ビトゥーン」の存在 がある。 また、リビアのカダフィのアフリカ統一通貨構想の発表後に合わせたような政権転覆劇への?。欧米の思惑如何?。 ところで、クルド人の支配地域は⑴イラクでは油田多し。⑵シリアでは肥沃な農業適地。⑶トルコでは水資源豊富という事実は深堀すべき地誌情報かもしれない。
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中東に長らく在住していた方の視点という意味で、従来にない価値観を期待して読んでみました。日本に蔓延る"イスラム原理主義者イコールテロリスト""イスラムイコール男尊女卑"などのステレオタイプの打破、アラブ諸国の詳細解説など、今までサッカーワー...
中東に長らく在住していた方の視点という意味で、従来にない価値観を期待して読んでみました。日本に蔓延る"イスラム原理主義者イコールテロリスト""イスラムイコール男尊女卑"などのステレオタイプの打破、アラブ諸国の詳細解説など、今までサッカーワールドカップアジア予選くらいでしか知り得なかった情報の肉付けができました。しかし、ますますサウジアラビアという国に興味をそそられてしまいました。
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「アラブの春」が何をもたらしたか・・ 西欧の論理によるアラブ社会への干渉の結果が、イラクであり、シリアであり、リビアでもある。歴史的な評価はこれからだが、現状はかなり悲惨な状況ではないのだろうか。
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シリア難民は規模から言って民族の大移動クラスです。発端となった「アラブの春」から経緯を整理したく読みました。北アフリカから中東にかけて起こった、いわゆる“民主化”の各国事情を地に足のついた情報で、冷静かつ抑制的に書かれています。情報は一方向からしか届かず、欧米による洗脳といえるほ...
シリア難民は規模から言って民族の大移動クラスです。発端となった「アラブの春」から経緯を整理したく読みました。北アフリカから中東にかけて起こった、いわゆる“民主化”の各国事情を地に足のついた情報で、冷静かつ抑制的に書かれています。情報は一方向からしか届かず、欧米による洗脳といえるほどの情報操作がなされていることを知り慄然とします。カダフィ、フセインは悪政だったのか?その後は良くなったのか?そして、アサドは悪なのか?今、メディアリテラシーが問われています。
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事の発端は2010年、チュニジア。路上で野菜を売っていた26歳の青年が無許可だとして商品を警察に没収されました。青年は抗議のため焼身自殺。ここから政府に対する抗議が大きなうねりとなって、チュニジアに限らず周辺国にも波及していったことは周知の通り。この大きなうねりを「アラブの春」と...
事の発端は2010年、チュニジア。路上で野菜を売っていた26歳の青年が無許可だとして商品を警察に没収されました。青年は抗議のため焼身自殺。ここから政府に対する抗議が大きなうねりとなって、チュニジアに限らず周辺国にも波及していったことは周知の通り。この大きなうねりを「アラブの春」と呼んでいます。 このような報道はニュースや新聞を通じて知ることしかできませんが、これをレバノン生まれの日本人が実際に自分の目を通して書いたのが本書。彼女は日本赤軍のリーダー重信房子とパレスチナ人の父の娘として、無国籍のままアラブ社会で育ちました。 アラブの春はエジプト、リビアなどへの波及はよく知られていますが、それ以西の国々やアラビア半島、レバノン、シリアなどへも波及したのはあまり知られていません。これだけ多くの国々を巻きこんだその要因には共通点があるというのが著者の分析。 それは政府の腐敗、経済格差、生活水準の低下に対する不満だと言います。アラブ社会の出来事はすぐにイスラム教に結び付けられがちですが、そうではない。 こうしたデモは大きな革命となって多くの国で政権が倒れていますが、複雑なのは絶対的な国王倒れたことで、これまで弾圧されていた原理主義者が台頭して結局、これまでとなんら変わらない保守的な政権ができただけだったり、もっとややこしいのは、ここに社会主義の国ロシアやら新本主義のアメリカやらが介入して、内戦状態になったりしているということ。 リビアではカダフィが、シリアではアサドが独裁で残虐行為を行っているという報道をよく目にしましたが、著者はその報道に違和感を感じているといいます。 リビアは世界で類を見ない福祉国家であること、シリアで報じられた残虐行為はアサド軍がやったことになっているが、アサドとは関係のない個別の軍がやっているという発言が切り取られて、あたかもアサドがしらを切っているような報道にされている、そういう報道操作によって外国軍が介入しやすくなっているとして、報道の在り方に疑問を投げかけています。 イスラム教とはどんな宗教なのか、伝統的なリーダーの決め方とはどんなものか、そういったことも知らないまま報道を鵜呑みにして、善悪を判断する怖さは、遠く離れた日本でも最近考えさせられる問題。
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アラブの世界はとてつもなく広く、とてもひとくくりには議論できないことが良く分かった。 アラブから遠く離れた日本では、アルジャジーラの様な大手メディアを通じての情報が主になる。しかし、著者はアルジャジーラが決して正しい報道をしていないと指摘する。 宗派、族、敵対関係etc. ア...
アラブの世界はとてつもなく広く、とてもひとくくりには議論できないことが良く分かった。 アラブから遠く離れた日本では、アルジャジーラの様な大手メディアを通じての情報が主になる。しかし、著者はアルジャジーラが決して正しい報道をしていないと指摘する。 宗派、族、敵対関係etc. アラブ世界の複雑さをしる入門書として本書を捉えるならば、良書である。 今なお続いているアラブ世界の混迷。様々な立場から数多くの情報が入って来ることに期待したい。情報の母集団が多くなれば、きっと真の姿が浮き上がってくるはずだ。 また、数奇な人生を歩んでいる著者の今後の活動にも注目していきたい。
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面白かった 目次がうまい 若干、穿った見方をすれば陰謀論を語っていると言えなくもない感じだが、読みやすかった
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アラブの紛争はイスラム教の宗派の対立として図式化されて報道されている。そうなってくると日々のニュースでもついていけない。 本書を読むとその発端は生活できるか否かといった問題であることがわかる。宗派どうこうの前に貧困や差別や人権に端を発する。 そういった争いの火に油を注いでいる存在...
アラブの紛争はイスラム教の宗派の対立として図式化されて報道されている。そうなってくると日々のニュースでもついていけない。 本書を読むとその発端は生活できるか否かといった問題であることがわかる。宗派どうこうの前に貧困や差別や人権に端を発する。 そういった争いの火に油を注いでいる存在がいること。アメリカは罪な国だと思った。アルジャジーラの報道も鵜呑みにしてはいけない。
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