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光媒の花 の商品レビュー

3.6

264件のお客様レビュー

  1. 5つ

    37

  2. 4つ

    95

  3. 3つ

    87

  4. 2つ

    15

  5. 1つ

    3

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2022/11/08

ひらり舞う蝶が人と人を繋ぐかのような連作短編集。この装丁が美しい。 移りゆく季節を感じさせる丁寧な描写。陽光、夕闇が登場人物達を映し出しているかのような表現。 胸が締め付けられるような寂しさや哀しみ、じわりと灯る優しさと温かさを感じて胸がいっぱいに満たされるお話。 前半、不穏と闇...

ひらり舞う蝶が人と人を繋ぐかのような連作短編集。この装丁が美しい。 移りゆく季節を感じさせる丁寧な描写。陽光、夕闇が登場人物達を映し出しているかのような表現。 胸が締め付けられるような寂しさや哀しみ、じわりと灯る優しさと温かさを感じて胸がいっぱいに満たされるお話。 前半、不穏と闇がある展開に沈殿しそうだったんですが、後半はまるで灰色の雲に覆われていた太陽が、光を差し込んで姿を見せるような晴れやかさ。ちょっぴりしんみりはあるんですが。 最後のお話でこれまでの登場人物が少しずつ出てくる繋がり方が何とも良い余韻。決して全てがハッピーエンドではないけれど、ほっと安堵の息が零れる素敵なお話でした。 季節を感じ、何かを思い耽る時、またふと読み返したくなると思います。凄く好き。手に取って良かった。

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2022/12/29

ドロっとした暗い沼地から、だんだんと光が射し込んでくるような一冊だった。 6話連作短篇集。 3話までは、とてもダークな道尾作品だと覚悟して読んでいたが、少しずつ光に導かれていった。 全ての話に出てくる白い蝶。蝶にしか見えない蝶道というものがあるらしく、ヒラヒラと明るい光の方へ...

ドロっとした暗い沼地から、だんだんと光が射し込んでくるような一冊だった。 6話連作短篇集。 3話までは、とてもダークな道尾作品だと覚悟して読んでいたが、少しずつ光に導かれていった。 全ての話に出てくる白い蝶。蝶にしか見えない蝶道というものがあるらしく、ヒラヒラと明るい光の方へ舞っていく。 【春の蝶】【風媒花】が特に良かった。道尾秀介氏の文章は、情景を描いたり、比喩表現が本当に秀逸! 山本周五郎受賞作。

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2022/09/09

短編だけど長編のような その話の登場人物が次の話では主人公になっている。 少しゾクっとする感じはあるが、とても綺麗な物語だと思った

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2022/08/21

視点を変えれば、物事は繋がっている。誰しも気づかぬうちに知らない人の人生に少しだけ関わっている、のかもしれない。 重い観点からも読後感は悪くない。 こういうことを繰り返して日々過ごしてるのが常、なんだ、と思う一冊。読んで良かった。

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2022/08/20

短編ではあるものの、出てくる人物が何かしらそれぞれの話に登場していて、内容は全く違うんだけど、繋がってる部分があるからかもの足りない感じはあまりなかった。

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2022/08/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大好きな声優、斉藤壮馬さんとコラボということで、久しぶりに小説を買いました。 好みで判断しないように内容はほとんど把握しないまま、読み進める。 1章読んで… なにこれ…!!!怖い!!!!!!!!!!!!! 私はホラーが苦手です。 サスペンスやミステリーは、先に犯人や展開を確認し安心してから戻って続きを読むタイプです。 正直、怖すぎて1章読んでyoutube見て、寝かせていました……。(安定の最高壮馬さんでした…!!) ですが、いや、もったいない!頑張るぞ!!と一念発起し、今度はお昼時に読むことに!(1章は寝る前に読んで全然眠れなかった) 2章もやっぱり怖い…。。 3章…うおおおおおキツイ(エログロ←1章より更にリアル) 4章で…あ!!!!!ようやく!!!明るい感じに!!(歓喜) 以降、安心してして読めました。 本当3章までの雰囲気がずっと続いたらどうしようとハラハラしていたのですが、良かったです。 文章、とにかく綺麗だったな。 登場人物たちが絶妙にクロスオーバーしてるのもめちゃくちゃ好きな感じでした! 言い回しや漢字が難しいところも多くて勉強になりました!! 普段自分の好みだけでは絶対に手に取らない作品だったと思うので、とても良い出会いになったなと感じました。

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2022/06/09

「N」を読み終え、10年前に道尾さんの『光媒の花』を読んで意外に好感触だったのを思い出した。読み直して読後の感想が今回の『N』とあまりにも似ていて驚きます。ストーリー展開より、文中で持ち入れてある著者の豊富な知識に惹きつけられているのかもしれません。 【2012.11.02 記...

「N」を読み終え、10年前に道尾さんの『光媒の花』を読んで意外に好感触だったのを思い出した。読み直して読後の感想が今回の『N』とあまりにも似ていて驚きます。ストーリー展開より、文中で持ち入れてある著者の豊富な知識に惹きつけられているのかもしれません。 【2012.11.02 記】 前から気になっていた作家さんでしたが、書店で立ち読みしたり図書館で手に取ったりして読んだ限り、どうしようもなく悲痛な印象がぬぐえなくて止めていました。ところが2年前の山本周五郎賞受賞作品だったと知り食指が動きました。(直木賞 受賞作品とは相性が良いので)。 全部で6章から編まれていますが、全く違った話に登場人物が繋がっている短編連作集となっています。数日前、3章までの予想以上のどん暗い展開に耐えられず閉じてしまいました。これほどまで救いようがない主人公たちを書くのだろうかと後味の悪さに辟易しました。 でもストーリーに絡まる虫や植物の引用話が面白くて捨て置くことができなくて・・・。 読む本が手近になく、1章ごとだったらその暗さに耐えられそうだったので分けて読む事にして、4章「春の蝶」からまた読み始めました。すると少しづつ光が射し始めているではありませんか!ついつい5章「風媒花」、最終章の「遠い光」まで読み終えてしまいました。最終章で、2章で罪を幼い兄妹になすりつけていた男が自首してくれてほっとしました。虫の世界の素晴らしさを子供に教えた男は決して悪い男じゃなかったから・・・。 「風媒の花は綺麗な外見をしている必要がないの。わざわざ自分を飾って虫を集める必要がないでしょう?風はべつに綺麗な色とか目立つ形に惹かれて吹くわけじゃないんだから・・」3章で友恵がいった言葉に思い当たります。登山というより花を追いかけている私です。下山後に見慣れぬ高山植物の名前を調べるのも楽しみの一つなのですが、ある植物学の本に『花は生殖器の形をしている』と書かれていて白けてしまいましたから。3章で風媒花として取り上げられているカヤツリグサは蜻蛉草(とんぼぐさ)とか升草(ますぐさ)とも呼ばれている身近な花です。 本作品は2007年から2009年の2年間に渡り小説すばるに書かれていますから、著者の心境の変化もあるのでしょうか。”光媒”は辞書を引いてもありませんでした。”光媒”とは著者の造語であり、もしかすると「光媒の花」とは蝶のことかもしれないと思いながら読み終えました。

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2022/05/26

恍惚の溜息。 読み終わった後の充足感。 とっておきの一冊に出会ってしまった。 空気の澄んだ中秋、少し肌寒くなった風に吹かれながら神社に参拝に来たかのような浄化された気持ちになるのは何故だろう。 参道の砂利道を一歩一歩進むように、ページを1ページずつ捲るごとに自分の中の余計なも...

恍惚の溜息。 読み終わった後の充足感。 とっておきの一冊に出会ってしまった。 空気の澄んだ中秋、少し肌寒くなった風に吹かれながら神社に参拝に来たかのような浄化された気持ちになるのは何故だろう。 参道の砂利道を一歩一歩進むように、ページを1ページずつ捲るごとに自分の中の余計なものが削ぎ落とされていく。 切なくて、儚くて、美しい。 細く絡み合った人間ドラマに頭の先まで浸かる。 「表現力」という点では個人的な好みとして伊坂幸太郎を上回る人はいないと思っている伊坂信者だけれども、道尾秀介の秀逸な描写はそれに匹敵する。と思う。 普通の人であれば見逃してしまうような、ほんの些細な人間の感情や表情の変化を、絶対に掬い溢すことなくこれでもかと鮮烈に描いてくる。 誰よりも細かい目のザルで"心"を振るい、純粋な気持ちだけを抽出したような純度の高い一文一文は、麗しく、乾いた心に水を与えてくれる。 これが浄化を促すのだろうか。 構成は6つのお話からなる短編集で、一見それぞれの人生を歩んでいるように見える主人公たちが、実は繋がっているというストーリー。 人間として生まれたことを誇りに思え、人間として生きていくことに勇気が持てて、人間も悪くないなと思える、そんなお話。 きっと著者自身が人間が好きで人間の可能性を信じているからこんな物語が書けるのだろう。 道尾秀介ブームの到来です。

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2022/05/24

連作短編集。 登場人物や舞台となる場所が繋がってて面白かった。 ひとつの物語では明かされなかった真実が次の日物語で明かされたり…。 作者が男とは思えないくらいに女性目線も違和感なく面白かった。恋愛じゃないっていうのもあるかな?

Posted byブクログ

2022/04/09

良くも悪くも綺麗な作品でした。 個人的には少し気分が悪くなるぐらい…あからさまな描写ではなく、現実的で想像しやすくて…。 感情が引き込まれるような文章でした。

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