光媒の花 の商品レビュー
一つ一つの短編が登場人物、物語をリレーのように繋いでいく。 各章で出てくる季節を感じさせる昆虫や植物の意味、人間関係の表現が詩的で読んでいて、とても気持ちよかったです。 特に、風媒花のお話はラストの落ちも含めて特におもしろく感じました。
Posted by
短編集なので期待してなかったのですが、6章のお話が少しづつ繋がり、1つの作品となっているので、読み応えがありました。 道尾さんの作品は切なくて静かなものが多く、派手な展開が起こりませんが、描かれる風景がとてもキレイで、ノスタルジーを感じます。この作品でも「隠れ鬼」「冬の蝶」が私は...
短編集なので期待してなかったのですが、6章のお話が少しづつ繋がり、1つの作品となっているので、読み応えがありました。 道尾さんの作品は切なくて静かなものが多く、派手な展開が起こりませんが、描かれる風景がとてもキレイで、ノスタルジーを感じます。この作品でも「隠れ鬼」「冬の蝶」が私は好きで。 映像化するのであれば、この風景の美しさを観てみたいですね。
Posted by
花鳥風月で満たされた世界観が美しい… 人との繋がりが心を浄化する連作短編ミステリー #光媒の花 悩み、苦しみ、かなわぬ夢。 人はいろんな軋轢によって苦労することが多いですが、それでも手助けしてくれるのはやっぱり人ですね。本書は花や虫といった自然界を丁寧に描写しながら、人間の絆...
花鳥風月で満たされた世界観が美しい… 人との繋がりが心を浄化する連作短編ミステリー #光媒の花 悩み、苦しみ、かなわぬ夢。 人はいろんな軋轢によって苦労することが多いですが、それでも手助けしてくれるのはやっぱり人ですね。本書は花や虫といった自然界を丁寧に描写しながら、人間の絆の美しさを描いた連作短編集です。 登場人物は何処にでもいる人々で、それこそ老若男女で、様々な職業や生活環境で暮らしています。すごく身近で、きっと読者にも愛着がわくキャラクターばかり。そんな彼らの日常や葛藤の中、生き抜く姿を見ていくことで、心が洗われていく作品です。 ■隠れ鬼 人には墓場まで持っていく秘密というのがひとつくらいはあるものです。 思い出と現実の陰に潜む秘密があまりにも強烈に表現されていました。 ■虫送り 私が子どもの頃は、自分の都合がいいような嘘ばかりついてましたね。 大人になった今思うと、子どもの嘘なんて全部お見通し… 恥ずかしい記憶が懐かしいです。 ■冬の蝶 ただただ胸が痛む話でしたが、私は若き二人の未来を応援したいです。 ■春の蝶 親の都合を決して子供に押し付けてはいけない。 私も人の親ですが、あらためて教訓として胸に刻みました。 ■風媒花 家族の関係は本当に微妙で、少しのきかっけ、環境、年代ごとにも変わっていくものです。久しく話していない父に電話をかけようと思いました。 ■遠い光 人生を楽しく歩むことは何故こんなにも難しいのか。誰しもが一度は思い悩むことです。 しかしこの世界はひとりではない。 家族、親子、兄弟、友人、恋人、仕事仲間、師弟、お隣さん、それこそふと出会った人など、様々な人間関係から成り立っている。お互いに手を取り合えば、どんな悩みも多少なりとも浄化され、自然界の草木や虫たちと同じくらい純粋に生命を楽しむことができるのではないでしょうか。 とても読み心地がいい作品でした。 花が咲き始める春に、オープンカフェや河原で読んでみたいですね。
Posted by
切なさ暖かさ溢れる美しい小説でした。平凡な日常の中の忘れられないワンシーン…5編の短編の何処かに自分と接する世界があるんじゃないかと、帯のコメントのように錯覚しました。最後の話…自分が小4時の担任と雰囲気が被っていて、勝手に懐かしんでいました笑
Posted by
ちょっとずつ繋がった6つの短編。どれも良かった。面白かった。 何らかの不幸や不運を背景に、前半は暗い話で徐々に希望が見えてくる構成のよう。 全体的に読みやすく、叙情的な文章だと思った。 「虫送り」の兄妹が勘違いしたままじゃなくてホッとした。
Posted by
全6章の短編。円環になっていて、人はどこかで誰かと繋がっていることを教えてくれる不思議な世界でした。
Posted by
あまり本で泣くことはないのだが、道尾秀介作品は、涙脆くなる。 家族の話に弱い。 どの話も印象的で読みいってしまったが、特に『虫送り』はずっと心臓がバクバクしてたし、『風媒花』は泣いてしまった。最後の終わり方がよかった。 登場人物がリンクしていたり、その後がほんのりわかるのが楽...
あまり本で泣くことはないのだが、道尾秀介作品は、涙脆くなる。 家族の話に弱い。 どの話も印象的で読みいってしまったが、特に『虫送り』はずっと心臓がバクバクしてたし、『風媒花』は泣いてしまった。最後の終わり方がよかった。 登場人物がリンクしていたり、その後がほんのりわかるのが楽しい。 また、自然や生き物が好きなので色んな知識を得られるのが嬉しい(道尾先生、自然がすきなんだろうなぁ)。調べながら読んでしまう。 道尾秀介ブームが来ているのでしばらく漁りたい。
Posted by
ひらり舞う蝶が人と人を繋ぐかのような連作短編集。この装丁が美しい。 移りゆく季節を感じさせる丁寧な描写。陽光、夕闇が登場人物達を映し出しているかのような表現。 胸が締め付けられるような寂しさや哀しみ、じわりと灯る優しさと温かさを感じて胸がいっぱいに満たされるお話。 前半、不穏と闇...
ひらり舞う蝶が人と人を繋ぐかのような連作短編集。この装丁が美しい。 移りゆく季節を感じさせる丁寧な描写。陽光、夕闇が登場人物達を映し出しているかのような表現。 胸が締め付けられるような寂しさや哀しみ、じわりと灯る優しさと温かさを感じて胸がいっぱいに満たされるお話。 前半、不穏と闇がある展開に沈殿しそうだったんですが、後半はまるで灰色の雲に覆われていた太陽が、光を差し込んで姿を見せるような晴れやかさ。ちょっぴりしんみりはあるんですが。 最後のお話でこれまでの登場人物が少しずつ出てくる繋がり方が何とも良い余韻。決して全てがハッピーエンドではないけれど、ほっと安堵の息が零れる素敵なお話でした。 季節を感じ、何かを思い耽る時、またふと読み返したくなると思います。凄く好き。手に取って良かった。
Posted by
ドロっとした暗い沼地から、だんだんと光が射し込んでくるような一冊だった。 6話連作短篇集。 3話までは、とてもダークな道尾作品だと覚悟して読んでいたが、少しずつ光に導かれていった。 全ての話に出てくる白い蝶。蝶にしか見えない蝶道というものがあるらしく、ヒラヒラと明るい光の方へ...
ドロっとした暗い沼地から、だんだんと光が射し込んでくるような一冊だった。 6話連作短篇集。 3話までは、とてもダークな道尾作品だと覚悟して読んでいたが、少しずつ光に導かれていった。 全ての話に出てくる白い蝶。蝶にしか見えない蝶道というものがあるらしく、ヒラヒラと明るい光の方へ舞っていく。 【春の蝶】【風媒花】が特に良かった。道尾秀介氏の文章は、情景を描いたり、比喩表現が本当に秀逸! 山本周五郎受賞作。
Posted by
短編だけど長編のような その話の登場人物が次の話では主人公になっている。 少しゾクっとする感じはあるが、とても綺麗な物語だと思った
Posted by