光媒の花 の商品レビュー
光ったり翳ったりしながら動いているこの世界を、わたしもあの蝶のように、高い場所から見てみたい気がした。すべてが流れ、つながり合い、いつも新しいこの世界を。257ページ
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始めのうちは重いお話からなる6編。登場人物達は少しずつ時は進みながらも繋がっていて、幼少期の不幸さからは考えられないほど最後はホッコリした物語になっていて、良い気持ちで読了。
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どんでん返し系のミステリーでは無かったため、道尾秀介はこんな作品を書くのかと驚いた。短編同士の思いがけない繋がりが、この登場人物はこの後こうしたのか、こういう意図があるのか、と感傷的になったり個人的には1編目がいちばん良かった。
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各章で前章の登場人物が主人公となる構成となっており、6章から成る作品でありながら、繋がりある1つの世界観を感じることのできる連作短編集。 一言で説明すれば、前編3作は哀しいほどに純粋な衝動をテーマにしたイヤミスで、後編3作は家族愛を描いている。 個人的には4作目の「春の蝶」の温ま...
各章で前章の登場人物が主人公となる構成となっており、6章から成る作品でありながら、繋がりある1つの世界観を感じることのできる連作短編集。 一言で説明すれば、前編3作は哀しいほどに純粋な衝動をテーマにしたイヤミスで、後編3作は家族愛を描いている。 個人的には4作目の「春の蝶」の温まるラストが好きだった。 道尾作品には、いつも主要登場人物の子供に心を持っていかれてしまう。
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この本の大きなテーマの一つには“人とのつながり“がある。不幸や憎悪を生むのは人間だが、絶望から救ってくれるのも、人間である。六章のうち前半3つで心に黒いものを負った人たちが、後半では人と繋がり合うことで光を持てた。 私は、自分の何気ない言葉、行動で、誰かが光を持てるような存在であ...
この本の大きなテーマの一つには“人とのつながり“がある。不幸や憎悪を生むのは人間だが、絶望から救ってくれるのも、人間である。六章のうち前半3つで心に黒いものを負った人たちが、後半では人と繋がり合うことで光を持てた。 私は、自分の何気ない言葉、行動で、誰かが光を持てるような存在でありたいと思った。
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連作短編集。 最初の話でドキッとして、この手の話が続くのか〜と思っていたが、だんだんに穏やかな方へ流れていくように感じた。 玄侑宗久氏の解説も良く、なるほどと思い読み返してみたくなった。 実は秋の帰省時、新幹線の中での読書本として読み、短編集なのを良いことに途中のままになっていた...
連作短編集。 最初の話でドキッとして、この手の話が続くのか〜と思っていたが、だんだんに穏やかな方へ流れていくように感じた。 玄侑宗久氏の解説も良く、なるほどと思い読み返してみたくなった。 実は秋の帰省時、新幹線の中での読書本として読み、短編集なのを良いことに途中のままになっていた。 今回、インフルエンザに罹りやっと続きを読み終えた次第。 やっぱり道尾秀介氏は面白い。
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第23回山本周五郎賞 6章の短編がそれぞれ少しずつ関わりがある構成はわりと一般的だし、共通して蝶が描かれる点は、『N』で同じ自然現象が描かれていたのと同じパターンだなと感じました。 しかし、それぞれが短い話の中で緊迫感があり、ハラハラしながら没頭して読めておもしろかったです。 ...
第23回山本周五郎賞 6章の短編がそれぞれ少しずつ関わりがある構成はわりと一般的だし、共通して蝶が描かれる点は、『N』で同じ自然現象が描かれていたのと同じパターンだなと感じました。 しかし、それぞれが短い話の中で緊迫感があり、ハラハラしながら没頭して読めておもしろかったです。 胸が苦しくなるような各章の登場人物の日常が続きますが、後半になるにつれて穏やかな雰囲気になり、ハラハラも減っていくので、そのためかラストは物足りなく感じてしまいました。
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愛、怒り、恐怖、やりきれなさ……そんな人間の罪と葛藤、苦悩が描かれる前半3章。 それを浄化するように、未来への期待や希望を示してくれる後半3章の、計6章からなる短編集。 前の章で学生だった人物が次の章では大人になって登場したりと、各話はゆるやかながらリレー式に繋がっています。 ...
愛、怒り、恐怖、やりきれなさ……そんな人間の罪と葛藤、苦悩が描かれる前半3章。 それを浄化するように、未来への期待や希望を示してくれる後半3章の、計6章からなる短編集。 前の章で学生だった人物が次の章では大人になって登場したりと、各話はゆるやかながらリレー式に繋がっています。 胸がじくじく痛むような陰鬱な話から始まりつつも、魅力的な話の数々に吸い込まれていきます。 特に好きだった作品は第1章の『隠れ鬼』。ハード過ぎない官能的な表現が印象的で、終わり方もかなり好みでした。可愛さ余って憎さ百倍ではないですが、主人公の気持ちがわかってしまう人は多いのではないでしょうか。 時に光り、時に翳る。そんな美しくも残酷な世界を少ないページ数と短編形式で表現するのはさすがの一言。読み進めるごとに救いのある話に転じていくため、読了感は非常に爽やかなものでした。 道尾秀介先生をより好きになれた一冊でした。
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初めて道尾秀介さんの作品を読んだ。短編だったのもあるが、とても読みやすかった。それぞれの話や登場人物が少しずつ絡んでくるのもおもしろかった。情景が浮かんでくる描写が上手だな〜と感じた。
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道尾秀介さんの作品は、特別大好きという訳でもないのに、なぜか手に取ってしまうから不思議だ。これが道尾秀介さんワールドなのか。そんな感じで本作もセレクト。 最初の3話までは暗いというか重いというか、正直読み始めたことを後悔してしまったほど。暗く残酷な表現に、読んでいてズーンと落ち込...
道尾秀介さんの作品は、特別大好きという訳でもないのに、なぜか手に取ってしまうから不思議だ。これが道尾秀介さんワールドなのか。そんな感じで本作もセレクト。 最初の3話までは暗いというか重いというか、正直読み始めたことを後悔してしまったほど。暗く残酷な表現に、読んでいてズーンと落ち込んだ。だが4話目からは徐々に希望の光が見え始め、最終話の6話で完全に救われた。そんな感じの短編集だった。 そういう感じだったから、個人的には5話6話がホッとできて良かったかな。そして道尾秀介さんの描く「女の先生」はとても良い雰囲気だ。迷いながらも前を向く女性をうまく表現していたと思う。 本作に関してもバッチリ好みという訳でもなかったが、もう少し同作者の作品を読んでみたくなった。やはり不思議な魅力を持った作者だ。
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