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アグルーカの行方 の商品レビュー

4.1

41件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

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2013/09/14

カクハタ氏とは同じ大学で同級生、考え方も似ていて凄い共感する。この新作も本人の内面に関する記述にシンパシーを感じながら読み進めた。

Posted byブクログ

2013/08/17

北極圏に消えた、冒険家の足跡を追う。 イヌイットに”アグルーカ”と呼ばれた男は、何を見たのか、どこに向かったのか。 想像を絶する極地探検の凄さを知った。 大自然(しかも極地)の中に分け入れば、ヒトもケモノもなく、ただひたすらに「生きる」。 強烈な”自然”の描写は迫力があり、人間が...

北極圏に消えた、冒険家の足跡を追う。 イヌイットに”アグルーカ”と呼ばれた男は、何を見たのか、どこに向かったのか。 想像を絶する極地探検の凄さを知った。 大自然(しかも極地)の中に分け入れば、ヒトもケモノもなく、ただひたすらに「生きる」。 強烈な”自然”の描写は迫力があり、人間がいかに脆く小さな存在かを思い知らされるよう。 冒険の過程では、生きるために生き物を屠る場面も。 改めて、人間が生き物の一種だと再確認した。 それでも重くなり過ぎずに読み切れるのは、適度に挟み込まれる柔らかいエピソード。  仕事の合間、移動中に少しずつ読み進めたので、読了までに日数を要した。 それがかえって、一歩ずつ前進し続けた冒険家の歩みに近い気がした。  一気読みしない方が、じっくり愉しめるかも知れない。

Posted byブクログ

2013/06/07

少し長いが引用。 『探検家が探検をすることには多くの人が様々な理由をつけてきた。……そんなことは人間が探検をする本当の理由にはならない。探検をしない人たちが考え出した分かりやすい理屈に過ぎないのだ。悩みや葛藤や逡巡という要素を取り除いた、やらない人たちが納得するためだけの、きれい...

少し長いが引用。 『探検家が探検をすることには多くの人が様々な理由をつけてきた。……そんなことは人間が探検をする本当の理由にはならない。探検をしない人たちが考え出した分かりやすい理屈に過ぎないのだ。悩みや葛藤や逡巡という要素を取り除いた、やらない人たちが納得するためだけの、きれいに体裁を整えた説明なのだ。……彼らは北極の自然に囚われていた。人が命を懸けて何かをすることを説明するのに必要なものは、もしかしたら囚われてしまったという、心の片隅に突き刺ささった小骨のような心情のひだを持ち出すだけで十分なのかもしれない。囚われるというのは恐ろしいことなのだ。』 「探検」と「北極の自然」を「カヌー」に置き換えるととても私にはしっくりくる。囚われたものがある人には、「」内を換えると同じ思いなのではないかと。 角幡さん、ビシッと突きましたね。 あと、唇痛そうです。ひー。

Posted byブクログ

2013/04/09

壮絶な冒険記。現代においてもまだまだこの様な壮絶な地は有るのだなと。途中に差し込まれる写真が文面をフォローしている。作者の文明の利器(衛星電話・GPS)に頼りたく無かったが数日すると気にならなくなった・・・という文面や、麝香牛を仕留めるシーンには色々と考えさせられるものがあった。...

壮絶な冒険記。現代においてもまだまだこの様な壮絶な地は有るのだなと。途中に差し込まれる写真が文面をフォローしている。作者の文明の利器(衛星電話・GPS)に頼りたく無かったが数日すると気にならなくなった・・・という文面や、麝香牛を仕留めるシーンには色々と考えさせられるものがあった。フランクリン隊云々というテーマはこの旅の過酷さを更に象徴づけるものにしか感じなかったが何にせよ北極という地がものすごく過酷な地ということだけはイヤと言うほど判った気がする。 最後に空白の五マイルから続けて読んでみたので非常に疲れたな。重い、すっごく重かった。ただ冒険という物に憧れている身としては続けて読んだ価値はあった。

Posted byブクログ

2013/04/07

人間の極限が飾られることなく書かれている。フランクリン隊全滅は歴史の一つとして記憶していただけだが、探検家して最後を遂げられて幸せだったのではないだろうか。出産直後の麝香牛を射殺し、生まれたばかりの仔牛も射殺するところはとても悲しく罪悪感にかられた。

Posted byブクログ

2013/02/15

なんとも壮絶な北極行の記録。「空白の五マイル」とはまた違った、極地という極寒の地での苦闘に圧倒される。 今回は単独行ではなく「北極冒険家」の友人と二人で、北西航路開拓に挑んだが129人の隊員が全滅するという悲惨な結果に終わったフランクリン隊の足跡をたどる冒険である。この探検隊に...

なんとも壮絶な北極行の記録。「空白の五マイル」とはまた違った、極地という極寒の地での苦闘に圧倒される。 今回は単独行ではなく「北極冒険家」の友人と二人で、北西航路開拓に挑んだが129人の隊員が全滅するという悲惨な結果に終わったフランクリン隊の足跡をたどる冒険である。この探検隊については、どういう経緯で全員死亡という終末を迎えたのか、よくわかっていないそうだ。著者はフランクリン隊がとったであろうルートをたどり、食料やテントなど装備一式を橇に積み自力でそれを引きながら、六十日かけて極地を徒歩で行く。 いやもうその旅のとんでもないことには恐れ入る。言うまでもない寒さ、北極熊の脅威、行く手を阻む乱氷帯、凍傷の恐怖、ヘルペスの悪化(これがえげつない!)などなど、読んでいるだけで苦しくなってくる。何でそこまでして、と思いつつ、命をかけた冒険にはやはりとてつもない魅力がある。一気に読み終えた。 著者も書いているが、こういう冒険では生と死がぎりぎりのところでせめぎ合っていて、そこで得る「生の実感」には半端ではないリアルなものがあるのだろう。また、自分の肉体のみで自然そのものと対峙し、自然の中に入り込んでいるという感覚は他の体験では得られないものなのだろう。そういうものの引力にとらえられた人たちが、冒険を追求していくことになるのだろう。 それにしても、何でそこまでして…。何によらず「強度」を求めていく生き方は、自分にはよくわからない。遠巻きに見るぶんには、おそろしく魅力的ではある。著者のちょっとマッチョな感じが気にならないでもないが、これまでの本と同じくぐいぐい読ませる面白さがあった。

Posted byブクログ

2013/02/07
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※このレビューにはネタバレを含みます

ほわー!ホントにこんなとこしてる人いるんだなーっとただただ驚嘆! 思えばこーゆー探検ドキュメントみたいなの読んだのって初めてかも。 北極かあ。 つーか10度以下になった時点で冷える~っと悲鳴をあげている私には絶対無理。 が、そーゆーありえない状況が、日常になると、それがあたりまえでなんとも思わなくなる、とゆーのが印象的だった。 なるほど、どーゆー状況でも人間は慣れるものなんだな、と。 こう町の影がみえてきて、そこへ向かっていくうちに、 人のいる世界が日常へと変わっていく、とゆー感覚が、すごいなーっと。 にしても、ほんと、どんだけ過酷なんだっ。 血がつららになる、とか。もうありえない。痛すぎるぞ。 実際の様子とフランクリン隊についての諸々の記述が交互に書かれてあるので、こうテンポよく読めるとゆーか。文章も読みやすく、 この人のは他のも読んでみたいなあっと思わせた。 やっぱイチバン鮮烈だったのは麝香牛を喰うとこでしょうか。 いやーでも自分でさばけるとかスゴイ。 食べることが生きることに直結する。そのなんとゆうか圧倒的ななにか。 自然に囚われる、かあ。 きっとこの人も同じなんだろうなあ。 私だったら二度と行きたくない、と思うだろうケド。 いや、その前に生き残れないと思うが。 しっかしなんなんだろう。 こんなとこで生きれるわけないだろっとゆーようなところへ 何度も何度も行こうとした、する、人たち。 それほどのものが、きっとあるんだろうなあ。 そして、そーゆーひとたちになんとなく憧れを抱いちゃうんだな、なぜか。 検索3度目の正直にして。 そろそろエラー、どうにかして欲しいなあ。 ちょっとイラッとする。 他の検索使うとか、できないのかしら??

Posted byブクログ

2013/01/27

 19世紀半ばに「北西航路」発見を目指してイギリスを出発し、北米大陸の北部、北極圏で全員が死亡したとされるフランクリン隊。本書は、このフランクリン隊がたどったルートとほぼ同じルートを徒歩で踏破する冒険の記録となっている。  北極圏のとんでもなく厳しい自然環境の描写に加え、フラン...

 19世紀半ばに「北西航路」発見を目指してイギリスを出発し、北米大陸の北部、北極圏で全員が死亡したとされるフランクリン隊。本書は、このフランクリン隊がたどったルートとほぼ同じルートを徒歩で踏破する冒険の記録となっている。  北極圏のとんでもなく厳しい自然環境の描写に加え、フランクリン隊の生き残りの行方について様々な資料を照らし合わせて分かったことや現場に立って考えたこともそのつど織り込まれている。一種のミステリーとしての趣きもあると思う。  淡々とした内省的な描写ながら、どんどん先を読みたくなる。とくに中盤の麝香牛のエピソードには、激しく心を揺り動かされた。冒険とは何か、なぜ人は生命を賭して探検に赴くのかを記した部分も印象的だった。

Posted byブクログ

2013/01/27

寒い日に読んでいるとますます寒くなってきます。麝香鹿や鳥も解体するし、地図から高低差を読み取らなければいけないし、GPSで距離や方向、時間数を割り出す能力もいるし、食料や武器の装備も計算できないといけないし、何よりも無事に行程を終える心身が不可欠で冒険家の備えは多岐にわたると思い...

寒い日に読んでいるとますます寒くなってきます。麝香鹿や鳥も解体するし、地図から高低差を読み取らなければいけないし、GPSで距離や方向、時間数を割り出す能力もいるし、食料や武器の装備も計算できないといけないし、何よりも無事に行程を終える心身が不可欠で冒険家の備えは多岐にわたると思いました。冬休みに見たレッドクリフの諸葛孔明みたいな軍師でないといけないわけですね。『世界最悪の旅』を読んでみたくなりました。

Posted byブクログ

2013/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

四方八方雪と氷しかないなんて、想像はできても感覚は全くつかめない。それなのにこの一冊はものすごい現実感が迫ってくる。 だからなのか、読み進めるのはとても疲れた。消耗していくのがはっきりとわかった。300Pぐらいで休みをいれて、普通の小説を読んだらなんだか体から力が抜けるようだった。  すごいな、なんでそんなにまでなって、などと読んでいる間に何度思ったかわからない。特にヘルペス。写真を見なくても痛々しさがわかりすぎて、どこでもドアで薬を手渡しに行きたくなった(もう旅は終わっているのに)。あと生肉でおなかをこわした日。休めないからとよれよれと前へ身体を進ませようとする姿が痛々しい。荻田さんが見かねて荷物を持ってくれたというくだりにほっとさせられる。  麝香牛の母親を殺して解体したくだりはつらくて読めなかった。 (実際には流し読み) もうたまらなかった。    出会った動物、飛んでいる鳥、釣った魚、鳥の卵、普段目にしないものを次々と食べることに驚いた。  そういう食べ物に関する知識だけでなく、他の知識も豊富だなと感心する。助けを求められない極地への旅をするのだから吸収している知識も半端ではないのだろうな。  壮絶な一冊だった。

Posted byブクログ