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等伯(下) の商品レビュー

4

99件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    37

  3. 3つ

    20

  4. 2つ

    3

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2013/10/10

直木賞受賞作 安土桃山時代の絵師、長谷川等伯の生き様が描かれている。 上巻は、絵師の話なのに絵に関する描写が少なくやや物足りない感じあったが、下巻通して非常にバランス良くできている印象。 戦国の話だけでもなく、絵の話だけでもなく、等伯を取り巻く人間達の描写にも魂が入っている。 ...

直木賞受賞作 安土桃山時代の絵師、長谷川等伯の生き様が描かれている。 上巻は、絵師の話なのに絵に関する描写が少なくやや物足りない感じあったが、下巻通して非常にバランス良くできている印象。 戦国の話だけでもなく、絵の話だけでもなく、等伯を取り巻く人間達の描写にも魂が入っている。 そして、下手な感想は要らない圧巻のクライマックス! 良かった。 いつか長谷川等伯の作品をこの目で見たいと強く思う。 2013.10.10読了

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2013/10/05

安土桃山時代の絵師長谷川等伯の生涯が題材 の歴史時代小説。故郷からの放逐、愛する妻 の死、狩野永徳との対決、親子の確執を経 て、国宝”松林図屏風”が描かれた真相に迫 る。生き様に”静と動”を見事にはめ込む筆致 力。見たままを描くのではなく本質を見つめ て心を描くという悟りの境地を...

安土桃山時代の絵師長谷川等伯の生涯が題材 の歴史時代小説。故郷からの放逐、愛する妻 の死、狩野永徳との対決、親子の確執を経 て、国宝”松林図屏風”が描かれた真相に迫 る。生き様に”静と動”を見事にはめ込む筆致 力。見たままを描くのではなく本質を見つめ て心を描くという悟りの境地を描く静。天下 統一に向けて時の権力者との緊張感溢れる触 れ合いを描く動。一気に読む作品ではありま せん。心静かに、400年の時を経て等伯と対 話しながら読む作品。安部龍太郎頂点を極め たり!FIVEスター♪

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2013/09/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

長谷川等伯の生涯。 人間味のある等伯が等身大に感じられ 人に騙されたり、でも周りに支えられたりして 信念を貫き続けたのが気持ち良い 人間の汚い部分、頑固な面を改めて見直すきっかけとなった。

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2013/09/06

感想は上下合わせてのものです。 絵師「長谷川等伯」のお話。 こういう「一人の人生を物語に」という本では往々にしてそうなんですが、一つのエピソードが割と淡々と進んで行ってしまう印象があって・・こういうことがあった、そして次の年こういうことが・・・みたいな。えらくサクサク読めてしま...

感想は上下合わせてのものです。 絵師「長谷川等伯」のお話。 こういう「一人の人生を物語に」という本では往々にしてそうなんですが、一つのエピソードが割と淡々と進んで行ってしまう印象があって・・こういうことがあった、そして次の年こういうことが・・・みたいな。えらくサクサク読めてしまって時々味気なく思うことも。大体がそういうものなのかもしれませんが。 戦国武将を題材にしたもの以外では、こういう時代小説的なものって江戸時代を舞台にしたものが多いので織田豊臣の時代を武将じゃない視点の話はこれまであんまり読んだことなかったのでちょっと新鮮。 こういう絵に詳しくない自分ですが、長谷川等伯の松林図くらいは知ってました。というかとても好きな絵なんですが・・・話の中では等伯の人生においてターニングポイントとなる絵が他にもいくつかあるわけで。松林図以外にもそういう絵が一体どんな絵なのか挿絵みたいな感じで載っていたらより楽しめたのかもしれない。

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2013/09/05

信長、秀吉に絵で立ち向かった人の話。松林図屏風(しょうりんずびょうぶ) がいかなる背景で書かれたか?強く心を動かされました。国立博物館に見に行かねば。 狩野松栄の息子を思う気持ちも良かった。

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2013/09/23

第148回(2012年上半期)直木賞受賞作(「何者」と同時受賞)、後半。 画家の長谷川等伯の生涯を描いた力作です。 当時既に大きな流派となっていた狩野派に敵視され、仕事をとるのに妨害を受けることに。 秀吉の眼前で絵を描いて見せたり、盛り上がります。 千利休との交流もあり、信仰心...

第148回(2012年上半期)直木賞受賞作(「何者」と同時受賞)、後半。 画家の長谷川等伯の生涯を描いた力作です。 当時既に大きな流派となっていた狩野派に敵視され、仕事をとるのに妨害を受けることに。 秀吉の眼前で絵を描いて見せたり、盛り上がります。 千利休との交流もあり、信仰心も篤かった等伯。 狩野永徳のきらびやかな作風とは正反対の境地に、等伯はやがて達していくのですね。 息子の久蔵は幼い頃から画才を示していて、跡継ぎが出来たことを心から嬉しく思っていたのだが。 永徳に借り出されたまま戻されずに年月がたってしまう。 板ばさみになる久蔵は気の毒だけど、永徳は久蔵を気に入っていたという エピソードには救いも。 長谷川派に人気が出てくると、今度はどうしても人手が足りなくなり、手を尽くして返してもらう。 久蔵と故郷を訪ねるエピソードは、いいですね。 最初の奥さん・静子も出来た人なんですが、豪商の娘で店の仕事を手伝っていた明るい後妻さん・清子も、内助の功を発揮。 政治も揺れ動き、狩野派とせめぎあう中で、腹の座ったところを見せます。 武家の生まれであったことが災いしたというか、多少は勉強の機会や出世の手づるにもなるのだが、不本意ながら政治に巻き込まれてしまうこともある。 信長、秀吉、家康と政権が移っていく時代を生き抜いたのだから、それは大変でしょう。 表紙になっている松林図の風格と独自性からして、激しさと静謐さを兼ね備えた人物であることは察しがつきます。 人間くさい迷いと後悔も含めた人間像。 引き立ててくれた人物の大きさもさることながら、二人の妻と気立てのいい息子のことが印象に残りました。

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2014/08/13

絵仏師であった長谷川等伯が国宝「松林図屏風」を描く境地に至るまでの生涯を綴った時代小説。第148回直木賞受賞作。織田信長、豊臣秀吉、狩野永徳など、多くの偉人に翻弄され続けた等伯の生涯に焦点を当て、日蓮宗法華宗など当時の宗教による教えも丁寧にわかりやすく書き記されている。確かに当時...

絵仏師であった長谷川等伯が国宝「松林図屏風」を描く境地に至るまでの生涯を綴った時代小説。第148回直木賞受賞作。織田信長、豊臣秀吉、狩野永徳など、多くの偉人に翻弄され続けた等伯の生涯に焦点を当て、日蓮宗法華宗など当時の宗教による教えも丁寧にわかりやすく書き記されている。確かに当時の文化は宗教と密接に結びついているので、そこのところを疎かにしないところに筆者のこの作品に対する意気込みと思いが伝わってくる。 登場人物である千利休の人間性に興味をもったので、次は「利休にたずねよ」(山本兼一著 第140回直木賞受賞作)を読んでみようと思う。 こんな風に興味が広がっていくのが読書の醍醐味。

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2013/08/27

下巻もじっくりと読み応えがある。絵を描くときの苦悩。真心で、あるがままを見つけて、描く難しさ。等伯の苦悩を感じ、思わず息をつめてしまう。 煩悩を捨て、心眼で見る。心に浮かぶ景色は、故郷の靄の立つ海。息子の久蔵と故郷に戻り、その風景を見て、ともにスケッチしているときは、等伯はいかば...

下巻もじっくりと読み応えがある。絵を描くときの苦悩。真心で、あるがままを見つけて、描く難しさ。等伯の苦悩を感じ、思わず息をつめてしまう。 煩悩を捨て、心眼で見る。心に浮かぶ景色は、故郷の靄の立つ海。息子の久蔵と故郷に戻り、その風景を見て、ともにスケッチしているときは、等伯はいかばかりか、心温まっただろうか。息子と故郷に向かうことのできる嬉しさと、腕を競い合わせられる嬉しさで。 等伯は、元々、等白と名乗っていた。死んだ者たちを身近に感じて行くために、禅の師匠により、にんべんを加えられ、等伯と改名する。この辺りの師匠とのやり取りも、私自身の気持ちを叱咤するように感じた。

Posted byブクログ

2014/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦国末期の信長が天下統一に動き出した頃から、本能寺の変、秀吉の天下統一、そして徳川の時代へと、大きな時代の流れを背景に、その時代に翻弄されながらも、独自の絵画の境地を見出した「長谷川等伯」の絵画への探究の物語だが、狩野永徳との死闘を始め、絵画の世界をこれほどまでに、手に汗握るように描いた作家は他に知らない。さすが「直木賞」受賞作の力作だと思います。 「長谷川信春(等伯)」は時代に常にそっぽを向かれ、悲惨な生活に陥るが、その都度理解者が現れ、地獄から仏に救われるように、どん底から這い上がってくるたくましさにも驚かされる。彼の良き理解者の一人である利休からは、「これからは(自分のせいで)死んだ者を背負ったまま、そこへ向かっていけ」と、白の字に人偏を加え「等伯」の名を貰う。これがタイトルとなり、また物語全体のテーマとなっている。 等伯の身辺で、養父母、妻・静子、清子、息子の久蔵、利休、実兄、旧主筋の夕姫等々と、兎に角沢山の人が死に、その先に等伯の画境が高みへと繋がっているのがよく分かります。 上下二巻のボリュームがあるが、久々に時間を忘れて読む事に没頭できました。 【追記】 この本と併せて、山本兼一の「花鳥の夢」をお薦めします。 こちらは狩野永徳を描いています。

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2013/08/09

他の方のレビューにあった「襖絵界のスター・ウォーズの様相」という評が言い得て妙。親子、兄弟、師弟、主従といった絆としがらみの中で、何度も未熟さをさらけ出しつつ、高みを目指していく物語。 ダイナミックなロードムービーのようで、運命に翻弄され続けた上巻に比べると、下巻は足場を固めたう...

他の方のレビューにあった「襖絵界のスター・ウォーズの様相」という評が言い得て妙。親子、兄弟、師弟、主従といった絆としがらみの中で、何度も未熟さをさらけ出しつつ、高みを目指していく物語。 ダイナミックなロードムービーのようで、運命に翻弄され続けた上巻に比べると、下巻は足場を固めたうえで、長男の成長、長谷川派の旗揚げ、狩野派との対立などを経て、運命を切り開いていくさまを描いている。

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