廃墟建築士 の商品レビュー
建物にまつわる短編集。 「七階闘争」「廃墟建築士」「図書館」「蔵守」の4話。どの話も三崎さんならではの不思議さと優しさが感じられて良かった。個人的には表題作の「廃墟建築士」がお気に入りです。
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なんとなく感想が書きにくい。そんな読後感の本。 『失われた町』が良かったのでこれを買ったが、最初の短編を読んだときには「(買ったことを)間違ったか?」と思った。 「最初に本書を読んでいたら他の著書は買わなかったかもしれない」と思いながら読み進めたが、読み進めていくうちに、短編の順番はこの順で良いと思うようになった。 本文も良いが、解説が秀逸で、まさに"何かが書いてある"だ。 むずむずとしたものがあるのだが、それを感想として文章に吐き出しにくい。それをうまく表現したのがその言葉だ。 名詞や概念を入れ替えることで不思議な世界観を演出している本作だが、最初の短編(『7階闘争』)は、私が戦っている側に感情移入できない(解説に言わせれば、"すぐに別の階に移っていく多くの人々")ので変な話だと思ったのだろう。 さみしさ(哀愁かもしれない)を感じる不思議な雰囲気の話は良かったが、一方で『失われた町』と同じ作風で、「作品の幅がない人なのかもしれない」という疑念も生じたので、前作ほどの感動がなく、4点ではなく3点となった。
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奇々怪々。世の中の情理とは相容れないながらも、決然としたリアリズムを垣間見ることができる。そしてそれらを峻厳なる意志が貫いていると思う。
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暗喩、というのだろうか。 廃墟を建築する、というのは、理に叶わない話に聞こえるかもしれないが、結果全ての建物は無に帰す。 つまり、その無に帰す前の段階では、どんなに短い間でも、廃墟、となる理屈ではある。 最近、自分が入社当時やっていた仕事で、あるいはそれ以降やった仕事で、今もか...
暗喩、というのだろうか。 廃墟を建築する、というのは、理に叶わない話に聞こえるかもしれないが、結果全ての建物は無に帰す。 つまり、その無に帰す前の段階では、どんなに短い間でも、廃墟、となる理屈ではある。 最近、自分が入社当時やっていた仕事で、あるいはそれ以降やった仕事で、今もかたちをなしている、価値を持ち続けているものはあるのだろうか、と思うことがある。 もう少しスコープを広げると、考えたくもないが、自らの人生それ自身も、同じだが。 だからといって、全て無意味と短絡するのも、多分早計だとは思うが、はきとした答えは見つからぬままではある。 この小説を読みながら、そんなことを考えた。 古くからの友人の推薦だったのだが、同じことを考えながら、読んで、勧めてくれたのだろうか。
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内容説明 いつか崩れて自然へと回帰していく姿に魅せられ、「私」は廃墟を造り続けてきた。時の経過によって醸成される廃墟こそが、その国の文化的成熟度を表すのだ。だがある時、「偽装廃墟」が問題となり…(『廃墟建築士』)。七階での事件が多発し、市は七階の撤去を決定した。反対する市民は決起...
内容説明 いつか崩れて自然へと回帰していく姿に魅せられ、「私」は廃墟を造り続けてきた。時の経過によって醸成される廃墟こそが、その国の文化的成熟度を表すのだ。だがある時、「偽装廃墟」が問題となり…(『廃墟建築士』)。七階での事件が多発し、市は七階の撤去を決定した。反対する市民は決起集会を開くが…(『七階闘争』)。意識を持つかのような建物に現実と非現実が同居する、不思議な4編の物語。
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建物にまつわる不思議な短編集。 七階を撤去する。廃墟を新築する。図書館に野性がある。蔵に意識がある。 私は中でも七階闘争がすきでした。
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ただの7階ではない「特別な7階」とか、 「廃墟になるために建てられた建物」とか、 不思議な事象なんだけど、その世界の住人には当たり前のこととして描かれている。 7階がなくなるはなしは、最初から仕組まれていたのでは?というあたりがじわじわくる。 表題作の連鎖廃墟がとにかく美しい。文化としての廃墟は、あったら見てみたいけど…でも「見なし廃墟」の方が魅力的じゃないかなあ。
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この作者の話のパターンは大きく2パターンある。 奇妙な世界を受け入れ生活している人の視点と、受け入れられず疑問を持つ人の視点 いつも意識して読んでいる。 ●「7階闘争」 立て続けに起きた事件、事故が全て7階で起きたことから、全ての7階を排除しようとする運動が高まり、主人公は反対...
この作者の話のパターンは大きく2パターンある。 奇妙な世界を受け入れ生活している人の視点と、受け入れられず疑問を持つ人の視点 いつも意識して読んでいる。 ●「7階闘争」 立て続けに起きた事件、事故が全て7階で起きたことから、全ての7階を排除しようとする運動が高まり、主人公は反対活動に巻き込まれていく話 多分、「7階」を何かに置き換えると、作者の意図が見えるかと思って挑戦してみたが…難しい。しかも解説の方も同じようなことを語ってた(^^;) 現実にも駅前なんかで「なんらかの抗議活動」をしているのを見かけるけど 真面目に向き合ったことがない私にとっては「無意識、無感情、無関心」を怒られているような物語にも読めた。 「となり町戦争の縮小版」のような印象 ●「図書館」 「本来は存在しない動物を具現化してみせる能力」を持つ女性が主人公で、 地方の図書館の「野生の姿」を夜間開館で観覧できるよう調教する話 「図書館を調教」と書くだけでかなり違和感があるが、実際にいくつもの紆余曲折を経て調教手段が確立され認知されているかのような世界観で話が進む。他の短編「動物園」の続編 ●他「廃墟建築士」「蔵守」の二篇 直感的に現実の生々しいモノと結びつく言葉を、存在しない事象の説明に結びつけることで 作者自身がこの能力をもち 「本来は存在しない事象」を、実態があるかのように見せるている。 そこが毎回面白く、読んでしばらく何度か振り返っては「あれはもしかしたら…」と考えることがある。
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「建物」をモチーフとした短編が4つ、どれも三崎ワールドでした。面白かったです。 ハヤカワ・トータルプランニングシリーズ(?)の「図書館」が好きなのですが、他の作品も仄かに寂しくて好きです。 「図書館」の野生も見たいし、「廃墟建築士」のつくる「連鎖廃墟」も見たい。 これから図書館に...
「建物」をモチーフとした短編が4つ、どれも三崎ワールドでした。面白かったです。 ハヤカワ・トータルプランニングシリーズ(?)の「図書館」が好きなのですが、他の作品も仄かに寂しくて好きです。 「図書館」の野生も見たいし、「廃墟建築士」のつくる「連鎖廃墟」も見たい。 これから図書館に行く度に、大量の本を引き連れて空を回遊していた「本を統べる者」のことを考えそうです。 高橋源一郎さんの解説も面白かったです。「 」に置き換えるのは興味深かったです。確かに意味が通ります。
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再読。短編集。「図書館」が「動物園」からの続きでよかった。高橋源一郎の解説が三崎さんの良さを的確に著していて、そうそう、とうなずいてしまった。
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