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AKB48白熱論争 の商品レビュー

3.8

58件のお客様レビュー

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2014/03/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 漫画家の小林よしのり氏やサブカル評論家の人達 計4名が、AKB48について熱く論争した本。議論は、AKB48の魅力・アイドル論から、政治・メディア・宗教論へと展開していく。  最も印象に残ったことは、中森明夫氏の「アイドルは価値の創造(ねつ造)」であるという主張。私も同じようなことを考えていた。  小説などの「近代文学」にはもともと価値は無いと考えられていた。最初は大衆だけに受けて知識人にバカにされていたジャンルが、数百年かけて高尚な文化としての地位を勝ち取った。他の芸術のいろいろなジャンルもそうだと思う。  マンガ・アニメ・ゲームと同じく、アイドルというジャンルも、今その過渡期で摸作中なんだと思う。無料ダウンロードなどでコンテンツに対価を払うという意識が希薄になってきた現在、握手会や人気投票のために同じCD大量購入するという新たな消費行動を生み出した秋元康の手法は、経済価値の創造と言って良いのかもしれない。  ただ、この本の欠点は、著者4名がAKB48グループに心酔しすぎていて、冷静さを失った意見が多いこと。また、他のアイドルをきちんと論じきれていない。ももいろクローバーZは5人しかいないから多様性に欠けていて面白くない、と書かれていたが、目指すところが違うのだ。  何でも社会や政治に結び付けて考えたい著者達にとっては、AKB48グループだけが魅力的で、語る価値があるに見えるのだろう。

Posted byブクログ

2013/06/21

「あえて」ではなく「マジで」ハマった四人の男性論客が、AKB48の魅力を語り合い、現象を分析する。 アイドル評論家・中森明夫と、保守を自認する小林よしのりは、立場を弁えたAKB論を展開しているが、宇野常寛と浜野智史は、それ立場関係ないよね的な発言も飛び出し「それは保守であるワシが...

「あえて」ではなく「マジで」ハマった四人の男性論客が、AKB48の魅力を語り合い、現象を分析する。 アイドル評論家・中森明夫と、保守を自認する小林よしのりは、立場を弁えたAKB論を展開しているが、宇野常寛と浜野智史は、それ立場関係ないよね的な発言も飛び出し「それは保守であるワシが言うならわかるけどさ」など戒められる場面も。 そこが「あえて」ではなく「マジで」な部分なのかな。主観にどっぷり埋没しつつも、客観的に観察し分析することの難しさよ。小林よしのりはこの秋でAKBに関する一切の言論活動をやめるらしい。61点。

Posted byブクログ

2013/05/31

「戦後日本社会が虚構の時代の果てに生み出したオウムとコギャルというモンスターを、むしろ資本主義の力も借りてマックスの国民的現象にしてしまったのがAKBかもしれない」―アイドル論はこういう次元で語ることができるのかと、衝撃をうけまくった次第。

Posted byブクログ

2013/05/17

読み物として面白い。 ただ私は、AKB48というシステムを語る上で重要になっている、「ガチ」という要素がそもそも本当なのか疑ってる。 うーん、現場を見て感じ取るべきなのか…

Posted byブクログ

2013/04/20

AKB48に「マジ」で嵌った4氏が叫ぶ、推し愛と社会学的分析の結晶。 AKB48、ならびに48Projectがこれだけのムーブメントを巻き起こし、他のアイドルとは一線を画している特徴というのは、劇場というホームグラウンドを抱えている点が大きい。 おニャン子クラブであったり、モー...

AKB48に「マジ」で嵌った4氏が叫ぶ、推し愛と社会学的分析の結晶。 AKB48、ならびに48Projectがこれだけのムーブメントを巻き起こし、他のアイドルとは一線を画している特徴というのは、劇場というホームグラウンドを抱えている点が大きい。 おニャン子クラブであったり、モーニング娘。であったり、過去の大所帯アイドルグループには、このようなホームグラウンドを抱えた例はなく、故にマスメディアとの結びつきがブレイクのうえで必要不可欠であったが、AKB48は劇場という下地を抱えている分だけ地盤がしっかりとしており、マスメディアへの露出は、より間口を拡大するためのあくまでも副次的な要素に過ぎないのである。 もちろん、このような形態をソーシャルメディア全盛の時代に思いついたという幸運は決して見逃すことが出来ない点。今でこそ、Google+を利用したソーシャルメディアによるマーケティング手法を意図的に、かつ積極的に利用しているが、グループ立ち上げ当初に既にそこまで考えが及んでいたとは考えにくい。 些か盲目的になりすぎてはいないか、こんな言説はあまりに馬鹿げているのではないか、と失笑を買いそうな熱の入りようであり、その点に関しては否定しない。引き合いに出される他グループに対する認識は、やや甘めに見える。ここまでAKB48に対して入れ込んでしまったら、もはや致し方ないことなのかもしれないが笑 だが、一見、馬鹿馬鹿しくも映るこういった議論の中に、社会を紐解くための意外なヒントが転がっていたりする胡散臭さが、実は社会学という学問の本質であり、面白さであると個人的には思う。 変なバイアスをかけて堅苦しく読まずに、熱いおっさんたちがソーシャルメディアでAKB討論をしているところにちょっと耳(目?)を傾けるような、軽いノリで読み進めば面白い本。

Posted byブクログ

2013/03/24

若手論客の筆頭である宇野常寛はじめ、AKB48にどっぷりとはまった論客4人がAKB48というグループと「AKB48現象」について語った座談会をまとめたもの。 読む前は、どうせ「AKB48には、現代の日本に失われつつある○○がある!」的な礼賛だろうと予想していたが、それは半分当たっ...

若手論客の筆頭である宇野常寛はじめ、AKB48にどっぷりとはまった論客4人がAKB48というグループと「AKB48現象」について語った座談会をまとめたもの。 読む前は、どうせ「AKB48には、現代の日本に失われつつある○○がある!」的な礼賛だろうと予想していたが、それは半分当たって半分外れた。本書の1/3はAKB48自体の話、1/3はAKB48を通じて社会・文化を語り、残り1/3は・・・彼らのAKB48(と彼らそれぞれが応援するメンバー)への熱い想い(笑)。なので読者層としては、AKB48にどっぷりはまっていればいるほど楽しめるだろう。ただし「大して知りもしないで○○について語るな!」という怒りを覚えることもありそうだ。 さて本書の個別のトピックについてレビューを書き始めてはみたものの、うまくまとまらないうちに図書館の返却期限が来てしまった。上で書いたように、レビューするべきなのは本書の1/3くらいだが、その内容はさすがに濃かった。 とくに宇野常寛の意見はさすがポップカルチャー評で他者の追随を許さない鋭い分析を示しているだけある。たとえば「資本主義を否定してこそ真の文化だと主張する人間が大勢いるが、AKB48を見て分かるように、商業主義をとことん追求した方が多様で民主的で表現としても豊かなモノが生まれる」といった視点はとても面白い。 その他「AKB48のような存在が社会的弱者や恋愛弱者を包摂する受け皿になる」という意見も説得力がある。ただし、社会的弱者の受け皿(端的に言えば欲望や鬱屈の捌け口)は古くからスポーツの役割としては知られている。AKB48などのアイドルグループ(やそのファンとの関係性)はスポーツのクラブチームのアナロジーで非常にうまく説明できることを考えると、この意見も鋭いというよりもむしろ自明かもしれない。 無理矢理まとめ。全体的にAKB48礼賛が強くて正直ちょっとついて行けないところもあるが、本人たちが実に楽しそうに議論しているので意外に嫌悪感はない。ただ、世間で言われる「キャバ嬢に金をつぎ込むオヤジとどう違うのか」という批判に対して正面から応えていなかったのは残念。(中森明夫が「キャバ嬢はお金が目当てだから全然違う」と反論していたが、それはお金をつぎ込む側のメンタリティ批判への反論にはなっていない。)あとCDに投票権など付加価値をつけることで音楽市場を歪めているという批判に対しては話題にもならなかった。彼らはそこには興味がない、あるいは論じる勝ちのない話題だと思っているのかもしれないが、やはりそこを避けてはいけないと思う。

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2013/02/14

AKB48というもねに関してのザックリ議論です。あまり深くは言及してないけど、軽い感じで全体が書かれているし、政治や宗教と関連させた話もあるので、AKBをテレビ程度でしか知らない人でも楽しんで読める内容です。 個人的にはもっと深く、核をついた話を期待してました。 また対談の機会...

AKB48というもねに関してのザックリ議論です。あまり深くは言及してないけど、軽い感じで全体が書かれているし、政治や宗教と関連させた話もあるので、AKBをテレビ程度でしか知らない人でも楽しんで読める内容です。 個人的にはもっと深く、核をついた話を期待してました。 また対談の機会があれば、ぜひという感じです(笑)

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2013/02/13

帯メッセージはこんな感じ。 人はみな、誰かを推すために生きている。――なぜAKB48だけが、売れ続けるのか? 「推す」という行為はサッカーのサポーターの心理に近いものがあります。サッカー日本代表サポーターとして布教活動に勤しむ僕にとって、こういった観点は非常に大きなヒントにな...

帯メッセージはこんな感じ。 人はみな、誰かを推すために生きている。――なぜAKB48だけが、売れ続けるのか? 「推す」という行為はサッカーのサポーターの心理に近いものがあります。サッカー日本代表サポーターとして布教活動に勤しむ僕にとって、こういった観点は非常に大きなヒントになると思い、この書籍を手に取ってみました。 書籍の内容は、いい歳したおっさん達4人が対談形式で、社会学や宗教の観点からクソ真面目にこの社会現象とも言える現代のAKBブームの真相をえぐっています。AKBの総選挙を引き合いに出して、日本の総選挙の制度をdisったりもしてます。 読了後、AKBのメカニズム(秋元康のメディア戦略、総選挙の仕組み、オタク達の心理など)を網羅的に知ることができて、僕的には満足。これからはちょっとAKBについて「知ったか」できるレベルまでキャッチアップできたかなと。

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2013/02/04

中森明夫さんの「なぜ彼女たちは裁判にかけられ、国民の前で公開処刑されるのか。これはある意味、罰を受けているんです。何についての罪を問われてるのかといえば、それは「夢」を持つことに対する罰だと思う」という言説に、アイドルを楽しんでる時に私が感じるうしろめたさの理由を見たような気がし...

中森明夫さんの「なぜ彼女たちは裁判にかけられ、国民の前で公開処刑されるのか。これはある意味、罰を受けているんです。何についての罪を問われてるのかといえば、それは「夢」を持つことに対する罰だと思う」という言説に、アイドルを楽しんでる時に私が感じるうしろめたさの理由を見たような気がした。べつに、罰を望んでるわけじゃない。けど、罰の気配がアイドルをよりスリリングに楽しめる要因になってると思える。

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2015/06/10

AKBは「生きる歴史」で、AKBの運動が世界を変える。 さらに、三島由紀夫がAKBを見たら、天皇よりもこっちの方がいいと言ったかもしれない、と気鋭の社会学者?野智史は宣っております。AKBはナポレオンで、舞台の上にいるのは世界精神なんだとも言い出しかねない勢いです。 本書にはその...

AKBは「生きる歴史」で、AKBの運動が世界を変える。 さらに、三島由紀夫がAKBを見たら、天皇よりもこっちの方がいいと言ったかもしれない、と気鋭の社会学者?野智史は宣っております。AKBはナポレオンで、舞台の上にいるのは世界精神なんだとも言い出しかねない勢いです。 本書にはその他に漫画家の小林よしのり、元祖アイドル評論家中森明夫、若手批評家の宇野常寛が参加しています。論争というより座談会ですね。我ら如何にしてAKBにはまったか。それも「あえて」でなく「マジで」・・・ AKBは誰もがアイドルになれるカルチャー・フォーマットで、「絶対に必要な条件はない。実は美人である必要もない。その子がアイドルになれるかどうかは、誰かがその子をアイドルと思うかどうか決まるんです」(中森)、ここに「なぜ人は推すのか」という問いの答えがあるようだ。つまり、一人のファンが劇場公演でも何でもいいから、一人のメンバーに出会い、ボクのイチ推しはキミだと宣言した瞬間、一人のアイドルが誕生する。 ある種のゲームを積み重ねることで何かしらの公共性を生む仕組みをゲーミフィケーションというが、AKBは日本での一番の成功例だと宇野は言う。総選挙においては「一票の格差も少ないし、死に票もない。複数投票で政権=センター争いのダイナミズムを味わうこともできるし、一票が重い下位メンバーの当落を左右するゲームも楽しめる」わけで、現実の選挙とは完成度が段違い、参加意識を醸成する回路の強度が別次元なのだ。 近年の「政治の劇場化」に対するマスコミの否定的な論調は、自らの社会を取り込むべく物語形成能力の劣化に対する反動であって、ソーシャル・メディアを前提とした「ゲーム」への参加は、今日の先進民主主義社会にあって倦怠期にある公共性や正当性をリフレッシュするための手掛かり、文化的回路のひな型になりはしないか。 たしかに総選挙をはじめ、握手会やじゃんけん大会などは金儲けのための商売であり、?野が言うように、アイドルオタクにCDをじゃんじゃん買わせる資本主義の権化みたいな搾取のシステムなんですが、公と私、個と多(他)を繋げるステージであることに間違いなく、そこにはファナティックだがある種の共同体が生み出されている。 情念だけが人を動かす。だがそれだけでなく、人と人の間には「推す」という独特な距離感が必要なのだ。

Posted byブクログ