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ルネサンスの女たち の商品レビュー

3.8

24件のお客様レビュー

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2024/09/10

少々読みづらいのだけれど、歴史としてわかりづらい文章ではないはず。 何につかえて読み返すことになるのかというと、名前の多さです。 法王ダレダレと言われても、ピンとこないし、〇〇家がどこの街の支配者だったのか、父が誰と言われても、そうだったかしら?となるのは、こちらの認識不足では...

少々読みづらいのだけれど、歴史としてわかりづらい文章ではないはず。 何につかえて読み返すことになるのかというと、名前の多さです。 法王ダレダレと言われても、ピンとこないし、〇〇家がどこの街の支配者だったのか、父が誰と言われても、そうだったかしら?となるのは、こちらの認識不足ではあるのですが。 イタリアの歴史が、初心者にはわかりにくいところがあるのですね。 まあ、コレからだんだんと、読みすすめて行こうと思います。 この作品は、塩野七生さんの、初めての小説だということです。 歴史が面白いと思えるなら、興味深い作品です。 ただ歴史の出来事の紹介というだけでなく、その場の実況を伝えるような書き方が、より興味をそそります。 女性も男性も、主になる人物の、髪の色や目の色、体つきから服装まで描かれるので、その人に親しみがもてます。 印象深かったのが、カテリーナ・コルネールが船に乗って結婚式へと出向く光景。 ゴンドラもその頃は黒でなく、鮮やかな色彩で飾りたてられ、いっせいにオールを漕ぎ出す様子などは、映像で見ているかのようです。 この時代、女性も、男性と同じような教育を受けられる機会があったと言われてます。 しかし、女性の学生なんていうのはいなかったでしょうから、貴族の家庭で、それぞれ教育を受けられたということでしょうか。 女性の生き方、それぞれの四人の物語が語られているわけですが。 この時代の貴族の女性は、おかれた場所でどうやって生きていくのかは、性格や気性によってかなり違ってくるみたい。 とはいえ、結婚にいたるまでを、家、とか国の事情に支配されてしまうのだもの。 2話目のルクレツィア・ボルジアは、結婚を4度させられ、 4話目のカテリーナ・コルネールは、結婚はしたものの、結婚相手の元へ行くのに4年も待たされ。 切りひらいていかねばならなかったり、戦っていかねばならなかったり、守らなければならなかったり。 それも上手くいくとは限らないのですよね。 この4作のうち3作に登場するのが、チェーザレ・ボルジア。 次の作品がボルジアを主人公にしたものになったのは、まあ当然だったのでしょう。

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2022/07/25

イタリアを舞台に数々の歴史小説・随筆を書き続ける塩野七生氏の原点となった作品。ルネサンス期の王宮や貴族の4人の女性たちが,激動の時代に翻弄されながら生きぬいた姿を描く。当時の生活様式,ファッション,文化,歴史など様々な角度からルネサンスという時代が鮮やかに浮かびあがる。

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2022/03/16

イタリア、ルネサンス期の女性4名を描く短編集。 別個のあらすじだが、微妙に交わっていくのが面白い。 同作者のチェーザレやヴェネツィア目線とは違った見方が見れる歴史の醍醐味。 各都市に個性があるイタリアにより行きたくなってきます。

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2022/03/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ルネサンス期を生きた4人の女性を主人公にした、連作歴史小説であり、塩野七生の作家デビュー作。 デビュー作だからか、冷徹な文体はいつものことながら、洗練さよりも、文に込められた思いや力が強く感じられて、面白い。イザベッラ・デステやロドリーゴ・ボルジアの貴族的な立ち姿、大国ヴェネツィアの芸術的なまでに完璧な偽善など、現代の道徳には則さない姿が生き生きと描写されるときは、特にそうだったと思う。 また、各章を閉じる文の運び方もドラマチックで、つい数節を口ずさみたくなってしまうような読書だった。

Posted byブクログ

2022/12/19

塩野七生29歳ののデビュー作であり、この後の数々の著作の原点である。小国をその器量で守り抜いたイザベッラ・デステから始まるルネッサンスの女たちの物語は、「歴史家にも許された想像がある」と師に言われたことを数々の考証を重ねて展開していく手法に彩られている。見事なデビュー作であり、そ...

塩野七生29歳ののデビュー作であり、この後の数々の著作の原点である。小国をその器量で守り抜いたイザベッラ・デステから始まるルネッサンスの女たちの物語は、「歴史家にも許された想像がある」と師に言われたことを数々の考証を重ねて展開していく手法に彩られている。見事なデビュー作であり、その後の活躍を予感させるに十分だ。

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2020/05/02

「歴史」とは"男性"の権力者の物語だが、実は激動の時代は意外に女性の権力者が活躍している。日本も幕末の徳川家の和宮や篤姫など。比較してみるとまた別の視点で楽しめる。何度読んでも飽きない。

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2019/09/08

夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる――。時代を代表する四人の女の人生を鮮やかに描き出した

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2019/03/29

若々しく大胆な魂と冷徹な現実主義に支えられた時、政治もまた芸術的に美しい。ルネサンスとはそういう時代であった。女たちはその時、政争と戦乱の世を生き延びることが求められた。夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる...

若々しく大胆な魂と冷徹な現実主義に支えられた時、政治もまた芸術的に美しい。ルネサンスとはそういう時代であった。女たちはその時、政争と戦乱の世を生き延びることが求められた。夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる――。時代を代表する四人の女の人生を鮮やかに描き出した、塩野文学の出発点。 「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」と同時期に読むと理解が深まると思います。 魅力あふれる4人の女性が取り上げられており、個人的な好みランキングを作るとすると… 1.カテリーナ・スフォルツァ 2.イザベッラ・デステ 3.カテリーナ・コルネール 4.ルクレツィア・ボルジア この順になります。 怖いけど、カテリーナ・スフォルツァがかっこよすぎる! あの時代にチェーザレ・ボルジアに真っ向から立ち向かった結果として屈辱的な事態に陥っても、立ち向かうことすら諦めた他の君主たちとは全く違う。 様々な逸話を残した彼女に、大いなる魅力を感じる。 ルクレツィア・ボルジアは父と兄の思惑に流されすぎて気の毒すぎる…ボルジアの血をひいていなかったら、もっと普通の人生もあっただろう。 いずれにせよ、ルネサンスの時代を彩った女性たちの物語は興味深いです。

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2018/02/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ルネサンス期の女性4人のそれぞれの生き方を書いた作品。イザベラデステ、自分は兄弟と同じく教養を受けて夫に替わって政治を取ったのに自分の娘たちは修道院…意外。自分の道がけもの道と解ってたから?単に息子命で娘イラネだった?私は嫌い。カテリーナは絶対上司にしたくないタイプ。こういうオバはんが職場にいると男性も女性も苦労するよね。ゴミ男を自分の仕事に関わらせ挙げ句の果てに復讐劇で市民を恐怖のどん底に陥れる。クビだー!ルクレツィアは私気になったのですが、ストライクゾーン広すぎませんか?詩人もいける軍人もいける、王子系もいける…イケイケすぎ!カテリーナは影薄くて可哀想。ヴェネチア人汚い。塩野さんの作品は、史実に忠実でキチンとしてて好きです。本人も相当期強くて風変わりなんだろうなぁ。

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2017/09/15

当時のマントヴァ公国王妃・イザベッラ・デステ。 マントヴァ周辺の国とその国交を綴っていますが、情感は殆ど排除された、淡々と史実を載せている感じの文章。 読み易いかといわれれば、歴史小説に慣れていない私にとってはそうでもなく、地図を辿っていかないと全貌を把握するのは難しいくらい当時...

当時のマントヴァ公国王妃・イザベッラ・デステ。 マントヴァ周辺の国とその国交を綴っていますが、情感は殆ど排除された、淡々と史実を載せている感じの文章。 読み易いかといわれれば、歴史小説に慣れていない私にとってはそうでもなく、地図を辿っていかないと全貌を把握するのは難しいくらい当時の情勢は入り組んでいて複雑です。 作者はこの作品に取り掛かったのは20代、これだけの背景を調べ上げる力量って物凄いものだなと感じましたが、小説として機能してる読み物かどうかというと? 超現実主義であり徹底した合理主義、当時の教会主義の理想主義の思想とは相容れないような生き方、ただ現実に淡々と対処していくより他のない生き方を強いられ、放りだすこともなく最後まで人生を全うした賢明で強かな女性のお話です。 イザベッラが憧れ愛したローマの国が荒廃していく時ですら、冷静で、淡々とした王妃のたたずまいを感じます。 息子フェデリーコを守りあげるための母としての、一国の王妃としての粘り強く賢明な行動が書かれていましたが、 そこから、この女性の相当な強かさ、熱心な宗教者にも負けず劣らずの愛情深さが垣間見れました。

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