バースト! の商品レビュー
訳者あとがきより。 「…人間行動には、驚くほど普遍的なパターン―バースト―がみられる…。バーストとは、短時間に何かが集中的に行われ、その前後に長い沈黙の時間が存在するというパターンのことだ。このパターンが発見された背景には、われわれの行動はじつのところ「ランダムではない」という、...
訳者あとがきより。 「…人間行動には、驚くほど普遍的なパターン―バースト―がみられる…。バーストとは、短時間に何かが集中的に行われ、その前後に長い沈黙の時間が存在するというパターンのことだ。このパターンが発見された背景には、われわれの行動はじつのところ「ランダムではない」という、ある意味では当たり前のことが、近年、ようやくまともに取り扱えるようになってきたという事情がある。…そしてさまざまなデータに共通して現れたのは、ランダム性にもとづくポアソン分布ではなく、ベキ分布だった。」 一見何のことを言っているのだろう?と疑問に思うが、このような考え方が、ビッグデータの活用と密接な関わりを持っているとのことで読んでみた。
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前作「新ネットワーク思考」で"ベキ分布"の大家となった作者が、更に人間行動を支配するパターンを思索する模様を綴った本。科学者が新たな課題に目覚めそれを探求するプロセスを知るという意味では参考になるかもしれないが、全般的に難解で独りよがり感が強く、「もう少し研究...
前作「新ネットワーク思考」で"ベキ分布"の大家となった作者が、更に人間行動を支配するパターンを思索する模様を綴った本。科学者が新たな課題に目覚めそれを探求するプロセスを知るという意味では参考になるかもしれないが、全般的に難解で独りよがり感が強く、「もう少し研究が練れてから出せばよかったのに」と思わざるを得ない内容だった。"バースト"とは人間行動におけるあるパタン(何かが起こると連続的、飛躍的に起き、静まると次のバーストまではほとんど起きない)のようだが、これを理解させるための事例として作者の故郷であるトランシルバニアの英雄であるジェルジュ・セーケイの十字軍譚を別章的に使うのだが、これも話しになじみがなく複雑で成功したとは思えない。電子メールの事例の方がむしろ分かりやすかったので、こういう人間の行動パターンがあるということを理解してこの先、役立てていけばこの本を読んだ意味もあったということだろう。
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複雑系でお馴染みのべき乗則について、その根源を突き止めようと奮闘する研究者の書いた著書。人間の行動や社会に関する現象について、優先順位付け行動をモデルに入れてシミュレーションするとうまく説明できる、というのが結論。 内容自体は中世の十字軍にまつわる話、著者の研究に関連する逸話、...
複雑系でお馴染みのべき乗則について、その根源を突き止めようと奮闘する研究者の書いた著書。人間の行動や社会に関する現象について、優先順位付け行動をモデルに入れてシミュレーションするとうまく説明できる、というのが結論。 内容自体は中世の十字軍にまつわる話、著者の研究に関連する逸話、著名な学者のサイドストーリーなどが章ごとに織り交ぜられていて、面白いんだけど、流れをつかむのが大変。なんでこの話が?みたいな状態で読み進めないといけないので少し疲れる。というか、学者なのに妙に文才があって、ちょっとしたエピソードが活き活きと描かれていて、変に気が散ってしまう(いや、物語に集中してしまう?)。それと、具体的な数式なんかは注釈以外には一切出てきません。この辺は割り切ってる。最終的には、これらのストーリーは優先順位によってべき乗則に従う現象が見られた例とわかるのだけど、その辺の伏線が見えてくるのは後半でした。最後もぼやっと終わってしまうので、論点は見えにくいです。
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本書籍によらず、人間の行動に関する書籍、特に行動経済学関連の本に目を通した事がある人間ならば、本書で取り上げられている「べき乗則」の話は既知である可能性が高い。 ただ日常生活の何気ない人間行動も、やはり双曲線関数でフィッティングするとうまく説明が付く事がある、ということを確認する...
本書籍によらず、人間の行動に関する書籍、特に行動経済学関連の本に目を通した事がある人間ならば、本書で取り上げられている「べき乗則」の話は既知である可能性が高い。 ただ日常生活の何気ない人間行動も、やはり双曲線関数でフィッティングするとうまく説明が付く事がある、ということを確認する意味では有意義であろう。 スマートフォンやウェアラブル端末の発展により益々人間行動がデータ化、ログ化され監視される中で、自らの行動モデルをカオス的にしたいのならば、本書を歴史的小説を読む気持ちで軽く眺めれば良い。
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人間の行動はどの程度予測可能なのか?という問いに対して、分かりやすく解説されていた。途中で、全く関係ないような、十字軍の話が挟まれているのだが、だんだんまとまってくるのも、質のいい小説を読んでいるかのよう。 メールを送るのがバーストになるのは、実体験に照らし合わせてもそうだなと思...
人間の行動はどの程度予測可能なのか?という問いに対して、分かりやすく解説されていた。途中で、全く関係ないような、十字軍の話が挟まれているのだが、だんだんまとまってくるのも、質のいい小説を読んでいるかのよう。 メールを送るのがバーストになるのは、実体験に照らし合わせてもそうだなと思った。
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集中と沈黙。人間の行動には16世紀でも、コンピュータ時代の現代に於いても共通するパターンがある。それがバースト。 マクロにみれば人間の行動パターンは既に予測可能である。原子レベルのランダムな動きを熱統計力学的にマクロな視点でとらえれば十分に記述可能であるというアナロジーが面白か...
集中と沈黙。人間の行動には16世紀でも、コンピュータ時代の現代に於いても共通するパターンがある。それがバースト。 マクロにみれば人間の行動パターンは既に予測可能である。原子レベルのランダムな動きを熱統計力学的にマクロな視点でとらえれば十分に記述可能であるというアナロジーが面白かった。 ビッグデータの時代では個々の人間の行動も予測可能になってしまうのだろうか。監視社会と相まって自分の動きが捉えられ、恣意的に誘導されてしまうのは心外であるが、既に始まっているともいえる。 予測する側は楽しいだろうが、予測される側はなんとなく虚しい。
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現実と歴史が交錯する。興味深いのは、そのスリルに満ちた現実が、「空想ではない」ということ。いつもドキドキしながら読んでいるあの空想世界は、現実にありうるということ。そして人間という存在のあり方、人間関係というネットワークと行為は人間に普遍的なものなのか、ただのゆらぎに過ぎないのか...
現実と歴史が交錯する。興味深いのは、そのスリルに満ちた現実が、「空想ではない」ということ。いつもドキドキしながら読んでいるあの空想世界は、現実にありうるということ。そして人間という存在のあり方、人間関係というネットワークと行為は人間に普遍的なものなのか、ただのゆらぎに過ぎないのか。思考が思考を呼ぶ本。
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ーーーーーーーーーーーーーーーー 巨大ネットワーク企業が「ビッグデータ」を駆使して、顧客の購買活動を予測できるようになったのは、バラバシの『新ネットワーク思考』を実践に移した結果である。 今回のテーマは、パターンなどなさそうな人間行動に出現する「バースト現象」だ。 「バースト」と...
ーーーーーーーーーーーーーーーー 巨大ネットワーク企業が「ビッグデータ」を駆使して、顧客の購買活動を予測できるようになったのは、バラバシの『新ネットワーク思考』を実践に移した結果である。 今回のテーマは、パターンなどなさそうな人間行動に出現する「バースト現象」だ。 「バースト」とは、短時間に集中して何かを行うことで、そのあとには長い沈黙の時間が訪れる。そして、それはすべての人にあてはまる行動パターンだ。人は自分が数学的に解明されるほど単純な生き物だとは思ってもいないだろう。しかし、中世の十字軍騎士の人並み外れた行動にも、アインシュタインが書く手紙の頻度にも、そして現代人のeメール送信にも、みなバーストのパターンが現れていた。著者のアルゴリズムによる解析が、その衝撃の結果をいま明らかにする。 複雑な数式を一切使わずに最新の複雑ネットワーク理論を展開する、知的好奇心を大いに刺激する一冊。 ーーーーーーーーーーーーーーーー(カバーより引用) 文系でも楽しめる理系の本。 「物質世界を説明するのと同じ正確さで人間行動を説明する」(p.80)ことができるのか、コンピューターサイエンスと物理学・生物学の専門家が挑んだ記録。 そのこになぜか、中世騎士の物語が差し込まれ、小説のような学術書のような不思議な一冊になっています。 平易な表現で人間の行動が予測可能であることを論じるその展開には、文系の私でもわくわくしました! ビッグデータによって、自身の行動履歴を把握されてしまう現代、過去の行動だけでなく、未来の行動すら予測されてしまうとは…。私たちが人たるゆえんをどこに求めるべきか。 これまでの常識をひっくり返してしまうような進化が続く情報の時代、私たちは何を指針に生きていけばよいのでしょうか。 著者は言います。 「つまるところ、人間力学の予測力は、クレジットスコアやナンバークランチングなど、そんなみみっちいもののためにあるのではない。この力がいつかわれわれの住む星をもっとよい住処にしてくれる、そんな希望を持って、われわれの歩を進めさせていってくれるものなのだ」(p.379) 人間の行動が優先順位によって決まる予測可能なものであることがわかった以上、人々はリーダーの個人的な優先順位で振り回されるのではなく、知識の探求を優先順位リストの指針とした平和な社会をつくるものであって欲しい…著者のそんな思いがつまった一冊です。 【今月のおすすめ/2014年2月】
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人間の行動は予測可能かというテーマで書かれた著作。 「バースト」とは、短時間に何かが集中的に行われること。その前後には、長い沈黙の時間が存在するという。それは、何らかの重要性に基づく優先順位をつけることによって引き起こされるとのことだ。 読みながら、「ひょっとしてこんなことに応用...
人間の行動は予測可能かというテーマで書かれた著作。 「バースト」とは、短時間に何かが集中的に行われること。その前後には、長い沈黙の時間が存在するという。それは、何らかの重要性に基づく優先順位をつけることによって引き起こされるとのことだ。 読みながら、「ひょっとしてこんなことに応用できるかもしれない」などと想像を巡らせることもできた。興味深い著作である。 一見関係なさそうに思える十字軍の挿話は、なくてもよかったように思うが、それは読む人によって意見の分かれるところであろう。
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結論ではなく仮説を提示した本。ネットワーク論の中で、あるできごとが線形的に発生するのではなく、一定のタイミングで「極値」とでもいえるようなものが発生し、それによってネットワークが大きく変化するということを様々な分野の実証研究をもとに論じていく。「シグナル&ノイズ」と同様、最近の予...
結論ではなく仮説を提示した本。ネットワーク論の中で、あるできごとが線形的に発生するのではなく、一定のタイミングで「極値」とでもいえるようなものが発生し、それによってネットワークが大きく変化するということを様々な分野の実証研究をもとに論じていく。「シグナル&ノイズ」と同様、最近の予測モデル、統計モデルについての最新の研究を紹介している。例としてとりあげられる、渡り鳥の事例はおもしろい。渡り鳥が、徐々に場所から場所に移動するのではなく、一定期間周辺にとどまり、その後長距離移動を行うというサイクルがみられるのではという研究が紹介されている。本論の中ではその研究方法には不備があったとした実証研究を紹介して終わるが、説そのものの可能性は残っているとのこと。より多くのデータが世の中で収集され、実証研究に使われるようになったことで、統計モデルの考え方そのものがチャレンジされている。それについてのひとつの方向性「バースト」を紹介してくれる素晴らしい本。
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