ピカルディの薔薇 の商品レビュー
今回も怪奇現象に絡まれる猿渡さんが目白押しです。ただ伯爵との絡みが少ない。個人的に前作の方が好きだな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ふわふわと、狡い。そんな印象。 猿渡という人物が、どこまでも実体が掴めず、いわゆる読者の「興味」を満たしているとは言えないのに、この満足感。 小説として巧緻の極みで、ああ、物語を楽しむと同時に、小説を読む悦びも与えられていると実感。 乾いているようで、しっとりとしたエロス。 油断ならない男だな、猿渡クンも作者も。 表題作、ハンス・ベルメールの人形が生きて出現したとしか思えない存在感(男の子だけど)。 「新京異聞」、どこに連れて行かれたのかと。 時代も国も超え、猿渡クンと伯爵に会えるとホッとする。
Posted by
幽明志怪シリーズこと、猿渡シリーズの続巻。時間軸や時によっては次元もいったり来たり。相も変わらず不思議なものばかり引き寄せている。 文体に嫌みがなく、わざとらしさがなく、しかしながら作り込まれているようで、かなり好み。ストーリーも、わかったようなわからないような、不思議な後味。す...
幽明志怪シリーズこと、猿渡シリーズの続巻。時間軸や時によっては次元もいったり来たり。相も変わらず不思議なものばかり引き寄せている。 文体に嫌みがなく、わざとらしさがなく、しかしながら作り込まれているようで、かなり好み。ストーリーも、わかったようなわからないような、不思議な後味。すーっと読めるのに、パンチは聞いており…ようは、面白かった。
Posted by
「蘆屋家の崩壊」同様、猿渡と伯爵のコンビが各話で縦横に活躍するものかと思いきや、それとはまた異なる趣きを持つ纏まりに仕上げられている。 例えば皆川博子氏が書く傑作群と比べてもまったく引けを取らない幻想小品、都筑道夫氏の物すホラーを彷彿させるかのような怪奇譚等、津原泰水氏の&quo...
「蘆屋家の崩壊」同様、猿渡と伯爵のコンビが各話で縦横に活躍するものかと思いきや、それとはまた異なる趣きを持つ纏まりに仕上げられている。 例えば皆川博子氏が書く傑作群と比べてもまったく引けを取らない幻想小品、都筑道夫氏の物すホラーを彷彿させるかのような怪奇譚等、津原泰水氏の"そっち側"の才気がどの作品からも立ち上っている。 表題作を読んでいたら、「奈々緋紗緒のCDが云々」なんて件が出てきて、おおなんだこれは、と一人驚いていたら、なるほど、そもそもが「虚無への供物」へのオマージュとして著された作品だったんだな、これは。
Posted by
幻想的で怪奇的でもあるのにコミカルでペダンチックで。 つまりいえばとりとめがない。 最後の数行で作中の常識をふわりと浮かせる韜晦趣味はやはりジョナサン・キャロルのファンというだけはある。 ともかくも大いに旅させてもらった。 表題に幻惑。 そして表紙に眩暈。
Posted by
猿渡シリーズの二作目。 前作は、伯爵と猿渡の豆腐好きコンビがいろんなとこ行って奇怪な現象にあったりするコンビもの色が強くてミステリ要素もある幻想小説という感じだったけど、今作は伯爵の出番はほとんどなく、純粋な幻想小説という感じになった。 これはこれで面白いんですが、私はあのコンビ...
猿渡シリーズの二作目。 前作は、伯爵と猿渡の豆腐好きコンビがいろんなとこ行って奇怪な現象にあったりするコンビもの色が強くてミステリ要素もある幻想小説という感じだったけど、今作は伯爵の出番はほとんどなく、純粋な幻想小説という感じになった。 これはこれで面白いんですが、私はあのコンビの珍道中感も好きだったのでちょっと残念…。 『ピカルディの薔薇』『超鼠記』が好き。
Posted by
一流の怪奇文学。 一作目と時間が経ったせいで文体も内容も変わる変わる。個人的に、一作目の、あの長文で偏執的で核心をつかない飄々とした一人称を読みたかったので変化は寂しい。そして、少し難解に、また重くなったと思う。そしてスケールも内容の詰め込みも半端ない。 変容。そう、そもそも人物...
一流の怪奇文学。 一作目と時間が経ったせいで文体も内容も変わる変わる。個人的に、一作目の、あの長文で偏執的で核心をつかない飄々とした一人称を読みたかったので変化は寂しい。そして、少し難解に、また重くなったと思う。そしてスケールも内容の詰め込みも半端ない。 変容。そう、そもそも人物の変容こそが怪奇の魅力。動物へ、虫へ、はたまたこの世界からの消失へ、世界のルールを無視して変容することこそが、この物語の特異点かつ魅力なのだから仕方ない、ということにしよう。
Posted by
どの短篇もラストがとても良い 特に「夢三十夜」「枯れ蟷螂」「新京異聞」等の、読者が醒めることのない夢幻の世界に放り出されてしまったような気分になる、意味深長な締め括られ方になっている話が好きだ 次作『猫ノ眼時計』が幽明志怪シリーズ最後の作品となってしまうのが寂しいが、そちらも早く...
どの短篇もラストがとても良い 特に「夢三十夜」「枯れ蟷螂」「新京異聞」等の、読者が醒めることのない夢幻の世界に放り出されてしまったような気分になる、意味深長な締め括られ方になっている話が好きだ 次作『猫ノ眼時計』が幽明志怪シリーズ最後の作品となってしまうのが寂しいが、そちらも早く読みたい
Posted by
猿渡シリーズ。 前作を読んで「伯爵&猿渡」シリーズなのかと思っていました。 猿渡が語り部で、伯爵が探偵役みたいな。 違ったようですね。 しかしやっぱり私は伯爵とセットで好きなようで このなかでは「籠中花」が好きでした。
Posted by
伯爵&猿渡をもっと読みたかった。伯爵の出番が少なかったので少し残念。。でも、次作も読みます。(文庫が出たら^^;)
Posted by