ロング・ロング・アゴー の商品レビュー
社会(学校)とうまく折り合えない人の話を読むとき、多分に自分と重ねてしまうので、救われてほしい、ハッピーエンドで終わってほしい、と願いながら読みます。 でも、安易な救いや、表面的な幸せでオチをつけないところが、やっぱり重松清の意地悪で、何より素敵なところだなあって思いました。 ...
社会(学校)とうまく折り合えない人の話を読むとき、多分に自分と重ねてしまうので、救われてほしい、ハッピーエンドで終わってほしい、と願いながら読みます。 でも、安易な救いや、表面的な幸せでオチをつけないところが、やっぱり重松清の意地悪で、何より素敵なところだなあって思いました。 それこそ「life goes on」という作中出てくるあの歌詞のように、この人たちの人生はこれからも続くということ、そして、続いた先ではまた別の「再会」が待っているかもしれないということに思いを馳せずにはいられませんでした。
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最後の話が良かった。 特別な秀でた才能や能力を持ってない、普通の人の日常を描くのが上手だなぁと感じた。
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個人的には「皆さん、そんなに小学校時代を引きずって生きてます?」という疑問がどうしても生じてしまうのだが、結局はホロリとさせられてしまうのだった。
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重松清氏の本は何冊か読んできたが、割とどれも結論は読者に想像させる作品が多かったように思う。 だが、今回は結論がある程度書かれて終わることが多かったように思う。 短編集に共通するテーマは「再会」。 再会できたかできなかったかだけでも結論がわかることは珍しいのでは?と率直に感じた。 小学生~大人までがテーマになっているが、最後登場人物の繋がりも見えてきた時に 最初と最後で本全体を「再会」で包含しているのだと気づく。 あとがきの中で、重松清氏の言葉で「会えない時の互いの人生がより再会を豊潤にする」「毎日会えてる幸せ、日常の幸せに気づく時が来る」という部分に共感した。 ここについては、コロナ渦で圧倒的に感じる人は増えたと思う。 2009年に刊行され、今だから感じれる要素もあるのだろうと感じられた一冊だった。
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子供の頃に感じてた懐かしいけど当時辛かった気持ちを思い出した 子供の時生きづらかったなあ 抉ってくる割にパッと気持ちが割り切れる訳でもないし私は好きじゃない
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いろんな人の人生に想いを馳せる短編集。 読みやすくてあたたかい。 いいものあげる:語り手の女の子がはじめはあまり好きになれなかったが,気がついたら感情移入しながら読んでいた。大人の事情によって左右される子どもの世界が切なくて苦しい。 ホラ吹きおじさん:主人公と同じように,私も...
いろんな人の人生に想いを馳せる短編集。 読みやすくてあたたかい。 いいものあげる:語り手の女の子がはじめはあまり好きになれなかったが,気がついたら感情移入しながら読んでいた。大人の事情によって左右される子どもの世界が切なくて苦しい。 ホラ吹きおじさん:主人公と同じように,私もこのおじさんが好きかもしれない。尊敬できるようなところはなく,親戚中の鼻つまみ者のおじさん。どんな人生を生きて,心の内ではどんなことを考えていたんだろう。 永遠:本書で一番印象に残ったお話かもしれない。人生のステージが変わると付き合う友人も変わって,自然に優先順位をつけて付き合わなくなっていく相手がいる。障害のあるユウちゃんはいつも取り残される側。とっくに自分を忘れてしまった人を今も友だちと思い,ずっと待っている。胸が痛くなった。私はユウちゃんのように障害があるわけではないが,所属場所が切り替わる度に縁が切れていくのが苦手で,いつも取り残されているように感じていた。永遠を信じられればいいのに。ユウちゃんや学校の子どもたちのために奔走する主人公とも気持ちが重なった。最後にシノケンが会いに来てくれたのはとても救いがあった。 再会:「いいものあげる」から時間が経った後の物語。うまくいかなかった者同士の2人が再会できてよかった。短編集の締めくくりとして素敵なお話だった。
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友達や親戚の叔父さん、子供の頃の自分自身との再会をテーマにした6編の短編集。 短編というよりは全て少し長めの中編という感じ。 クラスに君臨する女王・美智子ちゃんと、お父さん同士が対立する立場にあるという辛い状況の女の子を描いた「いいものあげる」。 親戚の中でいつも問題ばかり...
友達や親戚の叔父さん、子供の頃の自分自身との再会をテーマにした6編の短編集。 短編というよりは全て少し長めの中編という感じ。 クラスに君臨する女王・美智子ちゃんと、お父さん同士が対立する立場にあるという辛い状況の女の子を描いた「いいものあげる」。 親戚の中でいつも問題ばかり起こす嫌われ者だけど、なんだか憎めない叔父さんを描いた「ホラ吹きおじさん」。 心優しいけど先天性の病気を抱えた弟・ユウちゃんの結婚式に向けて、どうにか弟の昔の友達を探し出し、会わせてあげようと奔走する「永遠」。 不器用な息子を見て、昔の自分を思い出す「チャーリー」。 不運でいじめられっ子だけど、とっても優しい友達のムゥとの友情を描いた「人生はブラの上を」。 「いいものあげる」のサイドストーリーであり、その後の美智子ちゃんのことも描かれた、「再会」。 全部本当にそれぞれ良かった! 自分でも子どもの頃あんなことあったな、とリンクする部分もあった。 重松さんの短編集の中では一番好きかも。 ノスタルジックな気分に誘われる。だけど未来も見える。 大人にも子どもにもオススメできる一冊です。
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「せんせい。」(兄)に対して、双子の妹のような作品とのこと。(あとがきより) なるほど、再会というテーマで描かれた様々な物語である。 一つめの「いいものあげる」で少しだけ出てきた男の子が、最後の「再会」で、大人になって主人公として登場する。うまくいかないことの多かったふたりに...
「せんせい。」(兄)に対して、双子の妹のような作品とのこと。(あとがきより) なるほど、再会というテーマで描かれた様々な物語である。 一つめの「いいものあげる」で少しだけ出てきた男の子が、最後の「再会」で、大人になって主人公として登場する。うまくいかないことの多かったふたりにとって、再会できてよかったなぁと思った。
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大人になった自分が子供の頃を振り返る、再会をテーマにした全7編。 「きよしこ」を小学生の時に読んで大号泣したとき、重松さんってどうしてこんなに私の気持ちわかるの!?って思ってた。 友達はいるんだけど、どこか孤独を感じていたり。何が出来ないってわけじゃないけど、子供の自分の力だけ...
大人になった自分が子供の頃を振り返る、再会をテーマにした全7編。 「きよしこ」を小学生の時に読んで大号泣したとき、重松さんってどうしてこんなに私の気持ちわかるの!?って思ってた。 友達はいるんだけど、どこか孤独を感じていたり。何が出来ないってわけじゃないけど、子供の自分の力だけじゃどうしても思い通りにいかなくてもどかしい気持ちになったり。 読んでると誰しもどこかで苦しくなったり、激しく共感したりする場面があるような気がする、タイムスリップしたみたいに。だけど最後には爽やかな風が吹くような。重松さんって、どれだけの大人の「過去の自分」を救ってきたんだろう...。 小中時代は、楽しいことばかりではなかったけど、あの頃があって今の自分が確かにいる。 歩んできた道をまるっと肯定できる気持ちにさせてくれる重松さんの描く物語が、私は大好きです。 良いことも良くないこともぜんぶ優しく抱えて、幼心を忘れない大人に、親に、いつかなれたらいいな。
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ここ最近で一番感動した。夜寝ながら読んでいると泣けてくる。良い本との出会いでした。 大人社会、大人の都合で子供の心がかき乱されたり、友達関係にまで影響を及ぼすこともある。大人が思うより子供は世間を見ている、というお話。どの話も「こんなはずじゃなかった人生」という短編。 なかでも「...
ここ最近で一番感動した。夜寝ながら読んでいると泣けてくる。良い本との出会いでした。 大人社会、大人の都合で子供の心がかき乱されたり、友達関係にまで影響を及ぼすこともある。大人が思うより子供は世間を見ている、というお話。どの話も「こんなはずじゃなかった人生」という短編。 なかでも「チャーリー」は圧巻だった。大人になった僕は、小4の息子がチャーリーを読むのを見、自分が好きだったキャラクターチャーリーブラウンに重ね思い出す。生き辛かった小5の頃、担任教師との気持ちのズレ、人の気持ちを察しすぎていた自分。 <チャーリーあの時の僕の気持ちがわかるかい?> イタかった思い出。だけどそこには必死にもがいて頑張った子供のころの自分がいた。過去の自分との再会。 個人的には、再会したいと思う人もいる。でも、会いたいと思う温度が同じとは限らないから、会いたいが会えない、その感じでいい。今のところは。 むしろ、会えない日々を大切に生きよう、と訴えられている気がした。 著者ご自身の解説のこの一節が心に染みた。 <バイバイと手を振った友達に明日また会えること、いまはごくあたりまえの日常が、実はなかなかの幸せだったんだということが、いつか、わかる。>
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