箱庭旅団 の商品レビュー
朱川系不思議ワールドの短編16編。ショート&ショートかも。とあるお話はゆるく、別のお話は密にリンクしており楽しめました。中でも「黄昏ラッパ」は特に秀逸でホロリとさせられます。
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相変わらず独特の不思議な世界のお話。 でも、今回は時代設定が色々でおもしろかった。 最後の作品に、朱川湊人の震災後に対する作家と しての想いみたいなのがちらりと見えてよかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ややホラーめいたファンタジック・ストーリーを得意とする朱川さん。 いろんな要素が詰め込まれた16の物語は、さながら怖いびっくり箱のよう。開けるたびに奇抜なストーリーに出会える。ややつじつまあわせと思える作品もあるけれど全体水準は高い。 意図して配置したわけではないのだろうけれど、いくつかのつながりのある話が時おり飛び出して、ひとつの円環ワールドになっていくあたりもなかなかの仕掛け。 化け物や幽霊、異次元世界や宇宙人などを登場させながら、自由自在に名作や童話を換骨奪胎して違ったものに作り変えるところはまさにパスティーシュ。
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最初は、ちょっと入り込めなかったけど、 話がリンクし始めると、朱川ワールドになってきて、 おもしろかった。
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+++ 「とにかく旅に出ることだ。世界は本当に広い……今のこの世界だけでも広大無辺なのに、昔や未来、作られたものの世界まで数に入れたら、本当に無限だよ」――それぞれの世界を「箱庭」に見立て、短篇の名手が紡いだ物語が詰まった一冊。 白馬とともにさまざまな世界を旅する少年は、物語にあ...
+++ 「とにかく旅に出ることだ。世界は本当に広い……今のこの世界だけでも広大無辺なのに、昔や未来、作られたものの世界まで数に入れたら、本当に無限だよ」――それぞれの世界を「箱庭」に見立て、短篇の名手が紡いだ物語が詰まった一冊。 白馬とともにさまざまな世界を旅する少年は、物語にあふれた世界で、さまざまな「出合い」を経験する。“出る"と噂の部屋(「ミッちゃんなんて、大キライ」)、みんなから愛された豆腐売りの少年(「黄昏ラッパ」)、世の中の流行を決めるマンモスに似た生き物(「神獣ハヤリスタリ」)、ある女性編集者の不思議な体験(「『Automatic』のない世界」)、雨の日だけ訪れる亡くなった孫(「秋の雨」)、ぐうたらな大学生二人の奥義(「藤田クンと高木クン」)、サンタクロースにそっくりの獣医(「クリスマスの犬」)などなど。 『かたみ歌』で読者の涙を誘った直木賞作家による、16篇のショート・ストーリー。懐かしくて温かい気持ちになれる連作小説集。 +++ 不思議な心の旅の物語。一話完結で、大枠だけある連作かと思いきや、最後近くでぱたぱたと一本の太い流れに収束していくのが小気味よい。誰にもありそうで、誰かに話すと「あるある」と盛り上がりそうで、それでいて自分だけの特別な心の旅である。共有しているのだが固有のものであるという不思議な感覚も味わえる一冊である。
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なんだかSF色の強い短編集で、なんか恒川光太郎さんの匂いがしたりもして…。 恒川さんは恒川さんで好きなんだけど、朱川さんにはやはり温かみのある昭和話を望みたいなぁ、なんて、これは読者の我が儘かもしれないけど。 私が好きだったのは、「ミっちゃんなんて、大キライ」。 “出る”という...
なんだかSF色の強い短編集で、なんか恒川光太郎さんの匂いがしたりもして…。 恒川さんは恒川さんで好きなんだけど、朱川さんにはやはり温かみのある昭和話を望みたいなぁ、なんて、これは読者の我が儘かもしれないけど。 私が好きだったのは、「ミっちゃんなんて、大キライ」。 “出る”という噂のアパートの一室にあえて住み始めた、ホラー小説家の卵。 いつ出るか、いつ出るかと読者としてはハラハラしていたのだけど、なんか妙に(*^_^*)律義な幽霊で、部屋主以外しか姿を見せない、という、その発想が実に面白い。だって、アパートの他の住人のみならず、商店街の人たちからも、「ミっちゃん、ミっちゃん」って人気なんだもの。 後日談もあり、短編集の中の話とリンクしたりもして、でも、そうだなぁ、ちょっと取ってつけたような気がしたかな。
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世界には数え切れないくらいの物語が溢れてる。 ちょっと不思議な話、奇妙な話、ホッとする話、心がじんわり温かくなる話。 白馬に乗った少年は、たくさんの物語を旅していく。 月の砂漠を旅する王子と王女が言うように、物語には現実をどうにかする力はない。お金にもならないし、食べ物にもならな...
世界には数え切れないくらいの物語が溢れてる。 ちょっと不思議な話、奇妙な話、ホッとする話、心がじんわり温かくなる話。 白馬に乗った少年は、たくさんの物語を旅していく。 月の砂漠を旅する王子と王女が言うように、物語には現実をどうにかする力はない。お金にもならないし、食べ物にもならない。 しかし、物語には確実に人を支える力がある。寄り添って、慰めてくれる。小さな気力の明かりを灯してくれる。 最初は「なんだこれ」と思って、少々とっつきにくかった。話はバラバラで、語り口も違っていて、そのわりには片の付かない話ばかりが続くと思った。しかし次第に物語の中に引き込まれていって、いつしか心に寄り添うようになっていた。ミッちゃんの謎がつながったとき、マーガレットの消息がわかったとき、いきなり世界がつながったような気がした。 そうか、ここは箱庭。物語の世界なのだと。 そうして私も、永遠に世界を旅していくのだ。
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