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いつか、この世界で起こっていたこと の商品レビュー

3.9

15件のお客様レビュー

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2012/09/06

あの2011.3.11の震災の日、 おこっていたかもしれないこと 車の中で、お母さんと子どもがしりとりをするシーン 船で流されて、白鯨のメルビル船長の船と会うシーン 2階に取り残された姪と叔父のシーン これが印象に残っている

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2012/08/31

東日本大震災から想起される「地震」「津波」「原子力」をテーマに、その時そこで生きていた人々に起こったことを、史実を絡めながら著者の想像力で物語にした連作短編集。 まず、とても構成が凝っていて、一瞬エッセイか?と思うような作品もある。また、登場人物の関わりから少しずつ歴史上の事実...

東日本大震災から想起される「地震」「津波」「原子力」をテーマに、その時そこで生きていた人々に起こったことを、史実を絡めながら著者の想像力で物語にした連作短編集。 まず、とても構成が凝っていて、一瞬エッセイか?と思うような作品もある。また、登場人物の関わりから少しずつ歴史上の事実について触れるという語り方で、非常に抑えた筆致に終始しており、どれもみな、歴史の上では事実はこうだったが、でも実際にそこにいた人々には、暮らしがあって、家族があって、ひとりひとりにいろいろな思いがあって、その時はこんなふうに生きていた、というプロットになっている。 それ自体は、たとえばチェルノブイリの事故であったり、ボスニアの内戦であったり、関東大震災であったり、直接の経験者でない限り、例えば被害者が何十万人だとかこういうことが起きたとか、悲惨な過去の事として理解しているつもりの事柄ばかり。 でも、そこにはやはり、10万、20万という数字ではなく、その裏に隠されたひとりひとりの人生があったのだという事実が突きつけられる。 しかも、それが決して強硬にこちらに思索を迫るのでもなく、ただ、静かに淡々と語られていく。 当事者と、それを情報として伝えるメディアと、それを知る周囲の、または他国の人々と、何を見、何を聞き、何を考え、何を感じるか。 ある意味、そのどれもが真実でどれもが真実ではない。その主体にとっての真実でしかなく、立っている位置が違えば見えるものも違う、その怖さ。 サハリンの話や、エルヴィス・プレスリーの履歴を通してみるアメリカ、ボスニアの内紛、チェルノブイリ、そして東日本大震災。 果たして、私たちはその一体何を知っているのだろう。 初めのうちはあまり好きになれなかった著者の文章であったが、読み進むにつれて強い感動を覚える、深い示唆に富む一冊。 他の作品も読んでみたいなあ。 蛇足。 「チェーホフの学校」でロシア人のキノコ狩りの話が出てくるが、ロシア人は本当にキノコが好きらしい。休日に家族でキノコ狩り、なんていうのは最もポピュラーな家族レジャーの一つだそうだ。この前読んだ「完全なる証明」でも、ポアンカレ予想を解いたペレルマンが、今やキノコ狩りで隠遁生活送っているとあったし、う~ん、なんだっけな、何かのロシアの本でもキノコ狩りについて書かれてあったのを読んだ気がする。写真も載ってた。 (最近、ロシア関連本をたくさん読んでいるので、どれだったか忘れてしまった。) チェーホフ短編集が新しく編纂されて出たやつも読みたいと思っていてチャンスがなかったが、今度こそ読んでみよう。 そして、厨川白村の話が気になり、蝶子夫人の手記が読みたくなったが、どうも本にはなっていない様子…。残念だなあ~。

Posted byブクログ

2012/08/20

不思議な静さで、原発事故に関わるエピソードが続いていく。その静けさの中に、放射能が音もなく影を落とす。この放射能を見たくなければ見ずにすむが、影響からまぬがれることはないと、考えさせられる。

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2012/08/05

短編集。 1、うらん亭‥震災のニュースを聞きながら、叔父さんを思い出す 2、波‥東北大震災のある家族、アザラシの上に乗って 3、泣く男‥プレスリーと原爆を研究するミチオさん 4、チェーホフの学校‥キノコ狩りに出かけるチェーホフ 5、神風‥サラエヴォの女性シンガーが福島の地震で故郷...

短編集。 1、うらん亭‥震災のニュースを聞きながら、叔父さんを思い出す 2、波‥東北大震災のある家族、アザラシの上に乗って 3、泣く男‥プレスリーと原爆を研究するミチオさん 4、チェーホフの学校‥キノコ狩りに出かけるチェーホフ 5、神風‥サラエヴォの女性シンガーが福島の地震で故郷へ 6、橋‥関東大震災の津波で亡くなった厨川白村 現在と過去とそしてたぶん未来もが、とりとめもなく浮かび上がってくるままに綴られたような感がある。それが地震とか原発とかに触発されつつも、そこには営まれる日常がある。そして、切り取られた日常、あるいは思い出や記憶が、恐い物として差し出されている。

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2012/06/22

声高に昨年3月のあの震災や津波、あるいは原発事故による放射線被害という一連の出来事を語るわけではなく、それらとは遠くはなれた時代や場所での出来事を通して、ゆるやかに「あの日々」を思い起こさせる物語が6つ並んでいる。 物語の語り口の穏やかさの陰で、悲惨なことを忘れ去ってしまうこと...

声高に昨年3月のあの震災や津波、あるいは原発事故による放射線被害という一連の出来事を語るわけではなく、それらとは遠くはなれた時代や場所での出来事を通して、ゆるやかに「あの日々」を思い起こさせる物語が6つ並んでいる。 物語の語り口の穏やかさの陰で、悲惨なことを忘れ去ってしまうことの怖さ、この日常があの日から続いているのだと言う事実を突きつけられる思いにかられる。 ここに収録された作品の多くには本筋とはあまり関係のない作中話が挿入され、その時代と場所を越えた重層構造が物語を一見とらえ難いものにする。まるで関係のない時間軸で紡がれるいくつかの物語が、読み手の心のどこかで焦点を結ぶとき、実に印象深いものになるのだ。 それらはロシアの森できのこ狩りをするチェーホフの人生だったり、エルヴィス・プレスリーの生い立ちだったり、関東大震災時に鎌倉で起きたある作家の津波被害による死であったりする、、、

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