1,800円以上の注文で送料無料

冥王星を殺したのは私です の商品レビュー

4

27件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    3

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/01/23

実に面白かった。 冥王星が惑星でなくなったときのことはよく覚えているが、エリスの発見者自身が、エリスも冥王星も惑星に含めるべきでないと主張していたとは、知らなかった。 太陽系の惑星に全く興味のない人が読んだら、保証の限りではないけど、ユーモアたっぷりだし、全体の構成も良く、とて...

実に面白かった。 冥王星が惑星でなくなったときのことはよく覚えているが、エリスの発見者自身が、エリスも冥王星も惑星に含めるべきでないと主張していたとは、知らなかった。 太陽系の惑星に全く興味のない人が読んだら、保証の限りではないけど、ユーモアたっぷりだし、全体の構成も良く、とても読みやすい。訳も良いんだろうけど、元が良くないとここまでにはならない。

Posted byブクログ

2020/10/07

水金地火木土天海冥。 ここから冥王星が外れたというのは中学生の時にニュースを見て知っていて、当時は矮惑星(現在では準惑星というのが通例らしい)に分類されたのも覚えていた。 しかし、それがどうしてなのかというのははっきりとは覚えていない。 山本弘の「ビブリオバトル部シリーズ」で紹介...

水金地火木土天海冥。 ここから冥王星が外れたというのは中学生の時にニュースを見て知っていて、当時は矮惑星(現在では準惑星というのが通例らしい)に分類されたのも覚えていた。 しかし、それがどうしてなのかというのははっきりとは覚えていない。 山本弘の「ビブリオバトル部シリーズ」で紹介されていたことがきっかけで本書を知り、ずっと読みたいとは思っていたが、文庫がないために後回しにしていた。 最近図書館を利用するようになったので、すぐに借りられる中から本書を選んだ。 冥王星がどうして惑星の枠から外れることになったのかが主題ではあるが、予備知識は全く必要ない。 読み進める上で必要な事柄についてはジョーク交じりにわかりやすく教えてくれる。 いくつかあるので箇条書きでメモ。 ・英語圏の人は惑星の順番を覚えるときに「My Very Excellent Mother Just Served Us Nine Pizzas.」を使うらしい。英語圏の人に聞いてみたらやはり知っていた。 ・天体には命名規則がある。水星のクレーターには亡き芸術家の名前、天王星の衛星にはシェイクスピアの作品の登場人物の名前、カイパーベルト天体には神話に登場する創世神の名前。そういう一種の縛りがあるのに、その天体の特性にあった物語を持つ名前が見つかったりするのはロマンチック。 ・惑星が見つかると、それを記念して新しい元素に名前が使われる。天王星(Uranus)→ウラン(Uranium)、ケレス(Ceres)→セリウム(Cerium)、パラス(Pallas)→パラジウム(Palladium)、海王星(Neptune)→ネプツニウム(Neptunium)、冥王星(Pluto)→プルトニウム(Plutonium) ・新しい天体の発見には「ブリンク・コンパレーター(点滅比較計)」というものを使う。同じ空の領域を時間差で撮影した2枚の写真を見比べる……結構原始的!もちろん今はプログラムがある。 ・宇宙船を遠くに行かせたいときには宇宙船を木星に向かわせ、その重力を利用する。同じようにカイパーベルト天体が海王星に近づくと弾き飛ばされてしまうが、海王星の重力が小さいために、太陽系外まで飛ばす力はない。そのため、軌道が楕円形になる。これを散乱カイパーベルト天体という。 こういう知識を得られるのもおもしろいが、個人的には天文学が科学という学問でありながらとても人間臭い一面を持っているということが興味深かった。 学者には誰かに先を越されないかという不安があり、そして早く発表したい気持ちと正確にまとめなければいけないという責務の間の葛藤と戦っているということ。 研究には膨大な作業と時間が必要で、優秀な学者でも甘えたくなる気持ちがあるということ。 そして話は「惑星」の定義に及んでいくが、そこには天文学会内での政治が影響していたり、科学が文化とも結びついているせいで科学における判断だけでは決めきれないものごとがあったりする。 こういう自然界には関係のない人間界のごちゃごちゃを見せられると、言葉の定義などというものは人間が勝手に決めているただの言葉遊びで、必要ないんじゃないかと思えてくる。 実際にそういう学者もいるらしい。 でも、著者は何かを科学的に理解するときには分類が必要だという話をしていて、彼の科学に対するスタンスが見える。 「分類とは、自然界がもつ無限の多様性をそのままにせずに、最終的に理解できるようなもっと小さなかたまりに分けるための方法だ。」 冥王星をどこに分類するかという話の中で、準惑星(Dwarf Planet)という名前は形容詞がついているだけで惑星の仲間だと誤解される可能性について触れていたが、私は「じゃあ小惑星はどうなんだ?」と思った。 それで調べたら小惑星は英語だとAsteroidでplanetってついてないんだな……。 これは本文中に訳注であってもいいと思った。 今や8個になってしまった太陽系の惑星だが、最近の研究だと9個目が存在する可能性が提唱されているらしい。 そして、惑星を8個にしてしまった著者がまたも関係しているとのこと。 これらの研究にまつわる本も読んでみたい。 このレビューを読んだ方で、何か関連する本をご存じの方がいましたらぜひ教えていただけると幸いです。

Posted byブクログ

2019/02/21

太陽系の惑星は「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」。そう教わってきた。 それが2006年8月、冥王星は太陽系の惑星から「準惑星」へと降格された。その報道を、理屈は全くわからなかったけれど「へぇ~、そんなこともあるんだ」と驚いた記憶がある。 なぜそのようなことになったのか?。 ...

太陽系の惑星は「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」。そう教わってきた。 それが2006年8月、冥王星は太陽系の惑星から「準惑星」へと降格された。その報道を、理屈は全くわからなかったけれど「へぇ~、そんなこともあるんだ」と驚いた記憶がある。 なぜそのようなことになったのか?。 著者のマイク・ブラウンは太陽系の惑星を研究している天文学者で、冥王星よりも遠くにある惑星を探していた。そしていくつかの小惑星を発見する。 「第10番目の惑星発見か?」 しかし、調べていくうちに、“惑星”の定義に疑問を持ち始める。 「水・金・地・火・木・土・天・海」と、冥王星・発見した小惑星との間には決定的な違いがあるのだ。 他の惑星は太陽を中心に円軌道であるが、冥王星は楕円である。 他の惑星は軌道面が平面上に並んでいるが、冥王星は20°近く傾いている。 そして、国際天文学連合総会で、惑星の定義を決めるための論議が始まった。 遠い遠い太陽系の果ての写真とにらめっこして、動かない星ぼしの中から動く惑星を探していく。誰が先に発表するか、早い者勝ちの天文学者間の競争。 冥王星を惑星として残したい天文学者たちとの攻防。 発見した小惑星を“惑星”にせずに、科学的な正しさを選ぶ著者の潔さ。 そんな中でも、夜空には金星や木星や月が輝いている。 プラネタリウムを時々見に行くけれど、いくつかの星座は見分けることができても、惑星まではわからない。 それでも、夜空を見上げてみたくなった。

Posted byブクログ

2018/10/29

●なぜ冥王星は惑星ではなくなってしまったのか。それはカイパーベルトに浮かぶ様々な小天体の一部でしかないことがわかってしまったから。

Posted byブクログ

2016/11/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」の9つの惑星が太陽系に存在するとされていた時代。 わたしが小学生の時にはこのように覚えていましたが、2006年に冥王星は「惑星」の座を奪われました。 このニュースを聞いたときには「ふーん」としか思いませんでしたが、なぜ、冥王星は「惑星」からはずされたのか。 そこには太陽系での数多くの「カイパーベルト天体」の発見や、新しい“第10惑星・ジーナ”の発見がありました。 新しい天体を発見するべく奮闘する天文学者、「冥王星を殺した男(あるいは「冥王星と刺し違えた男」)」マイク・ブラウンの、ジーナ発見に至るまでの経緯と、冥王星が「惑星」の定義から外された事情を、ドキュメンタリー形式で語った本。 物語としても楽しめます。

Posted byブクログ

2016/06/25

冥王星が太陽系惑星から外されたのは2006年。 その冥王星を「殺した」マイク・ブラウンの自伝的書記である。 本書には惑星を探すという壮大なテーマととは裏腹の地味な作業、中々見つけられない失意、発見への興奮、出し抜かれる事の焦り、研究データを盗まれる事の怒りといった研究生活に加え、...

冥王星が太陽系惑星から外されたのは2006年。 その冥王星を「殺した」マイク・ブラウンの自伝的書記である。 本書には惑星を探すという壮大なテーマととは裏腹の地味な作業、中々見つけられない失意、発見への興奮、出し抜かれる事の焦り、研究データを盗まれる事の怒りといった研究生活に加え、やはり世界的な研究者とはいえ人の子プライベートにうつつを抜かし、研究が疎かになる部分もあり大いに好感が持てる文章となっている。 科学者として多いに参考になる部分があったので備忘録で下に列記しておく 「科学者が新しい現象に出くわした時、最初にするのが分類である。分類とは自然の持つ多様性をそのままにせずに最終的に理解できるようなかたまりにわける方法である。」 「たいていの研究分野でなく定義でなく概念で仕事をする。定義とは概念を文章化しようとした拙い試みに過ぎない」

Posted byブクログ

2016/02/10

第九惑星でにぎわっていたので読んでみた本です。 私としてはこの本のポイントは『惑星の定義』に関する話なのではなかろうかと思っています。冥王星より大きいと推定される”惑星”ジーナの存在が今まであいまいだった惑星の定義について天文学者たちに再考を迫りました。こういう人間の世界観を揺る...

第九惑星でにぎわっていたので読んでみた本です。 私としてはこの本のポイントは『惑星の定義』に関する話なのではなかろうかと思っています。冥王星より大きいと推定される”惑星”ジーナの存在が今まであいまいだった惑星の定義について天文学者たちに再考を迫りました。こういう人間の世界観を揺るがす大きな発見に関する話はワクワクいたします。読みやすいのでぜひ多くの人に手に取っていただきたい本です。

Posted byブクログ

2018/10/20

大言壮語を嫌う自分としては、主張が強いタイトルに「冥王星に似た小惑星が次々と発見されたので、総会で惑星の定義を明確にした結果だろうに」と疑いを持って読み始めたのだが、何の事はない、本書は『小惑星を次々と発見』した本人による書であった。 そもそも定義が明確でない用語は意外と多い。大...

大言壮語を嫌う自分としては、主張が強いタイトルに「冥王星に似た小惑星が次々と発見されたので、総会で惑星の定義を明確にした結果だろうに」と疑いを持って読み始めたのだが、何の事はない、本書は『小惑星を次々と発見』した本人による書であった。 そもそも定義が明確でない用語は意外と多い。大陸と島、山と丘、湖と池、イルカとクジラ。言葉とは他との区別のために存在し、送信者と受信者で同じものを思い浮かべることができるのであれば、厳密な定義が必要となることは少ない。そして、かつては『惑星』もそれで問題がなかった。 もちろん現在においても言葉の定義上で冥王星が『惑星』に含まれようとなかろうと、天体の運行にはなんの影響もないし、惑星探査機の航行速度が上がるわけでもないし、宇宙の新たな秘密が明らかになることもない。ただ、冥王星のような小惑星が多数発見され続ける中で、歴史的経緯から冥王星のみを惑星と呼ぶのか、惑星の定義を科学的に拡大して多数の小惑星をも惑星と呼ぶのか、はたまた定義を縮小して海王星までを惑星と呼ぶのか。結果、歴史的経緯よりも科学的定義が優先され、冥王星は惑星でなくなった。それだけの話だ。 その『それだけの話』が決まるのに、如何に科学の進歩が必要で、如何に冥王星に拘る人間が反発し、如何にドラマティックな物語があったのか。 本書では、筆者の子育ての苦労話と惑星の定義が決定されるまでの話が平行に語られるが、つまるところはそういうことなのかもしれない。定義の問題というのは、世界の人口が一人増えるぐらい取るに足らないことであり、同時にひとつの家庭で家族が一人増えるぐらい壮大な話だったのかもしれない。惑星としての冥王星は殺されたが、準惑星としての冥王星は誕生したばかりだ。

Posted byブクログ

2014/05/15

子供の頃、理科の授業で惑星を太陽から近い順に並べた時の順番の覚えたかを「水金地火木土天海冥」と習った。そう、子供の頃は、太陽系には惑星は9つあった。しかし、それが2006年の国際天文学連合会で冥王星が準惑星に降格して惑星は8つになってしまった。本書は、冥王星を降格させた張本人の降...

子供の頃、理科の授業で惑星を太陽から近い順に並べた時の順番の覚えたかを「水金地火木土天海冥」と習った。そう、子供の頃は、太陽系には惑星は9つあった。しかし、それが2006年の国際天文学連合会で冥王星が準惑星に降格して惑星は8つになってしまった。本書は、冥王星を降格させた張本人の降格させるまでの話である。 本書、大変勉強になった。

Posted byブクログ

2016/01/25

コペルニクスがもたらした世界の改変が、一体どれほどのものだったか……今じゃ想像もできないけれど、たしかにこの瞬間もそれは続いている。 といっても、宇宙はこれまで通り、法則に従って粛々と運動を続けるだけだ。なんにも変わってない。 世界が変わるというのは、私たちのものの見方、捉え方...

コペルニクスがもたらした世界の改変が、一体どれほどのものだったか……今じゃ想像もできないけれど、たしかにこの瞬間もそれは続いている。 といっても、宇宙はこれまで通り、法則に従って粛々と運動を続けるだけだ。なんにも変わってない。 世界が変わるというのは、私たちのものの見方、捉え方が変わるからだ。 第2章「惑星、その発見と修正の歴史」を読むと、それが実感できる。 闇の中を進む私たちは、何かを発見するたびに手持ちの地図を描き直していく。 新たな目的地へ、まっすぐ船が漕ぎ出せるように。 「惑星」ってなんなんだ?という議論と、それにともなう冥王星の運命も、その「地図の更新作業」にあたる出来事だったようだ。 つづき: http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2013/05/blog-post_22.html

Posted byブクログ