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それをお金で買いますか の商品レビュー

3.9

167件のお客様レビュー

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2018/12/09

マイケル・サンデルによる、経済的合理性の追求が、人間本来の倫理観や慈しみを腐敗させていくという論の本。 帯からして、重厚なメッセージ。 「金融危機の際に『強欲さ』が一定の役割を果たしたことは確かであるものの、問題はもっと大きい。この30年のあいだに起こった決定的な変化は、強欲の...

マイケル・サンデルによる、経済的合理性の追求が、人間本来の倫理観や慈しみを腐敗させていくという論の本。 帯からして、重厚なメッセージ。 「金融危機の際に『強欲さ』が一定の役割を果たしたことは確かであるものの、問題はもっと大きい。この30年のあいだに起こった決定的な変化は、強欲の高まりではなかった。そうではなく、市場と市場価値がそれらがなじまない生活領域へと拡大したことだったのだ。  こうした容共に対処するには、強欲をののしるだけではすまない。この社会において市場が演じる役割を考え直す必要がある。市場をあるべき場所にとどめておくことの意味について、公に議論する必要がある。この議論のために、市場の道徳的限界を考え抜く必要がある。お金で買うべきものが存在するかどうかを問う必要がある。」

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2018/11/04

ハーバードのサンデル教授による経済と倫理観について述べられた本。市場至上主義により何もかもがビジネスの対象となり、不公平と腐敗を招いていることを説いている。白熱教室で学生と討論した時と同じく、数多くのことをケーススタディ的に取り上げており、わかりやすく、かつ興味深く読めた。 「...

ハーバードのサンデル教授による経済と倫理観について述べられた本。市場至上主義により何もかもがビジネスの対象となり、不公平と腐敗を招いていることを説いている。白熱教室で学生と討論した時と同じく、数多くのことをケーススタディ的に取り上げており、わかりやすく、かつ興味深く読めた。 「絶滅の危機に瀕したクロサイを撃つ権利:15万ドル、主治医の携帯電話の番号:1500~2万5000ドル/年、製薬会社の安全性臨床試験で人間モルモットになる:7500ドル、連邦議会議事堂前の行列に並ぶ:15~20ドル/時間、成績不振校で本を1冊読む:2ドル」p12 「あらゆるものが商品となってしまったせいで、お金の重要性が増し、不平等の刺すような痛みがいっそうひどくなった」p20 「「早い者勝ち」という行列の倫理には、平等主義的な魅力がある。それはわれわれに、特権、権力、富といったものを無視するよう命じる。われわれは子供の時分「順番を待ちなさい。割り込んでは駄目だよ」と言い聞かされたものだ」p60 「(保育所で、親が迎えに来るのが遅れることについて)この問題を解決するため、保育所は迎えが遅れた場合に罰金をとることにした。すると、何が起きたと思うだろうか。予想に反して、親が迎えに遅れるケースが増えてしまったのである。以前であれば、遅刻する親は後ろめたさを感じていた。保育士に迷惑をかけていたからだ。今では迎えに遅れることを、そのために進んでお金を払うサービスだと考えていた」p96 「われわれは贈り物として受け取る品物の価値を、費やされた1ドルにつき、自分で買う品物より20%低く評価する」p144 「全米退職者協会はある弁護士団体に、1時間あたり30ドルという割引料金で、貧しい退職者の法律相談に乗ってくれるかどうかをたずねてみた。弁護士団体は断った。そこで退職者協会は、貧しい退職者の法律相談に無料で乗ってくれるかどうかをたずねた。今度は弁護士団体も承諾した。市場取引ではなく慈善活動への取組を要請されていることがはっきりすると、弁護士たちは思いやりをもって対応したのである」p172 「(献血を有料化したことによって献血者が減少したことについて)「献血を商品にして利益を得ることによって、自発的な献血者を追い払ってきたのだ」人々が血液を普通に売買される商品とみなしはじめると、献血に対する道徳的責任を感じにくくなる」p175

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2018/10/13

「これからの『正義』の話をしよう」のマイケル・サンデルの本です。今回は市場原理主義の話。 しかし、何か読みづらかったですね。翻訳のせいかもしれません。 それでも書かれていることはなかなか凄いです。さすが強欲資本主義国家アメリカです。もう何でもかんでも買いまくる。アホらし。こんな国...

「これからの『正義』の話をしよう」のマイケル・サンデルの本です。今回は市場原理主義の話。 しかし、何か読みづらかったですね。翻訳のせいかもしれません。 それでも書かれていることはなかなか凄いです。さすが強欲資本主義国家アメリカです。もう何でもかんでも買いまくる。アホらし。こんな国に生まれなくて良かったと思った。 でも一方でこのサンデル教授のような人もいるわけで、その辺はアメリカのバランスなんでしょうか。 世の中に金で買えないものはあるか?という問に対する答えは「Yes(ある)」です。それはこの本を読む前からわかっていることではありますが、でも、人のエゴが暴走するとこんな事になってしまうんだなぁ、と驚きながら読めます。

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2016/10/12

図書館で借りた本。タイトル通り市場主義が蔓延る現状に疑問を投げかけている内容。時間をお金で買うのは普通にある現在。インセンティブのやり過ぎは方向性を間違えたら道徳や倫理感が欠けてくる。死を商品として扱う市場、公共機関への民間の広告への疑問など事例紹介がたくさんあった。サンデルさん...

図書館で借りた本。タイトル通り市場主義が蔓延る現状に疑問を投げかけている内容。時間をお金で買うのは普通にある現在。インセンティブのやり過ぎは方向性を間違えたら道徳や倫理感が欠けてくる。死を商品として扱う市場、公共機関への民間の広告への疑問など事例紹介がたくさんあった。サンデルさんが野球好きなのは好感持ったが、レンタルビデオを延長返却で罰金払った話でビデオ屋に怒ってたけど、借りるの待ってる人がいるかもしれないから期日までに返せよ、怒るなよ。と思ったよ。

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2016/09/18

有名な本。遊園地の割り込み権にはじまって、いろいろなモノが売り買いされている現在の経済に関する指摘。例は豊富で非常に興味深いが、根底には次の2つに集約される。不平等と腐敗だ。というわけで、解析パートは単調だが、事例研究として考えてみるに値する問題が多く紹介されている。

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2016/07/17

2000年代に急速に日常生活に浸透してきた市場主義の是非 広告などの日常生活に入ってきた市場主義が道徳的にどういう問題があるのか,公正さと腐敗という二つの異論を示して問題を投げかけている。 具体的には以下のテーマを扱っていた。 * 並び屋・転売屋 * インセンティブ(学業奨励金...

2000年代に急速に日常生活に浸透してきた市場主義の是非 広告などの日常生活に入ってきた市場主義が道徳的にどういう問題があるのか,公正さと腐敗という二つの異論を示して問題を投げかけている。 具体的には以下のテーマを扱っていた。 * 並び屋・転売屋 * インセンティブ(学業奨励金,ビデオレンタルやスピード違反,カーボンオフセットなど罰金と料金の違い) * 贈り物やスピーチ,寄付,献血, * 生と死を扱う保険産業 * 命名権,広告,自治体マーケティング 市場主義は道徳を前提に成り立っている部分がある。 例えば,核廃棄物処理場の選定,寄付金集め,保育所への迎えの遅れ,など非市場的な状況にお金を導入すると,人々の態度が変わり,道徳が締め出される。 自由主義の強いアメリカでは,日常生活に強く市場主義が入り込んできている。具体的には,広告。施設の名前,スポーツの実況アナウンス,ドラマ,小説,学校教育,はたまたボディペイントなど。日本ではまだ入り込んできていないものまである。 こうした市場主義に対して,公正さと腐敗の2点から著者は異論を唱えている。 公正さ:不公正な取引条件が発生し,不平等な条件での売買への反対。 例:臓器売買などは,金持ち有利。 腐敗:善そのものと規範。 例:赤ん坊の養子売買。 市場主義が常に悪ではないが,市場主義が適している場面と,適さない場面が存在する。例えば,ビデオレンタルは金儲けなので延滞金を課して,利益を上げればいい(料金)。しかし,公共図書館や保育園などでそれを行うと,罰としての意味が薄れてしまう。 この「公正さ」と「腐敗」の二つの視点は,市場主義が適しているかどうか見極めてどう判断するかの役に立つと思った。

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2015/10/24

「ー」 これか「正義」の話をしよう、のサンデルさんの本。これからの、が面白かったので読んだ。本書は私には面白くなかった。サンデルさんは道徳が普遍的なものだと考えている。そして、それは彼が考える道徳こそが世界で通用するものだと。しかし、道徳は場所、世代、その瞬間で変わるものだと私...

「ー」 これか「正義」の話をしよう、のサンデルさんの本。これからの、が面白かったので読んだ。本書は私には面白くなかった。サンデルさんは道徳が普遍的なものだと考えている。そして、それは彼が考える道徳こそが世界で通用するものだと。しかし、道徳は場所、世代、その瞬間で変わるものだと私は思う。だから、彼が本書の中で、彼の道徳を押し付けてくるのが嫌だった。 生命保険の売買を投資の道具にする話はとても勉強になった。

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2015/07/02

コンサートの行列に割り込むために人を雇いお金を払う 生徒が読書をしたらインセンティブを払う 色々な実例をきっかけに、市場主義の広がりが公共の善を「腐敗」させるという問題を投げかけている。 お金のないひとがコンサートを見れない、裕福な人が有利になってしまう、という不平等の問題だ...

コンサートの行列に割り込むために人を雇いお金を払う 生徒が読書をしたらインセンティブを払う 色々な実例をきっかけに、市場主義の広がりが公共の善を「腐敗」させるという問題を投げかけている。 お金のないひとがコンサートを見れない、裕福な人が有利になってしまう、という不平等の問題だけで片付けられない、もう一つの問題。 経済学の専門書を読んでいなくても、高校生くらいで分かる文章で書かれているので、爆発的に流行ったわけもわかった。 考えを深めるためには、経済学と倫理学の重なる境目をひもといて行かないといけないだろう。

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2015/12/26

市場主義が行き過ぎたらどうなるのか?市場主義vs社会道徳・市民善はどこで線引きされるのか?と言ったことを考えさせられる内容でした。 アメリカで実際にあった様々な事例(どんなものが売られていて、どんな反応であったのか)が紹介されていて興味深かった。 <覚えておくこと> ・罰金v...

市場主義が行き過ぎたらどうなるのか?市場主義vs社会道徳・市民善はどこで線引きされるのか?と言ったことを考えさせられる内容でした。 アメリカで実際にあった様々な事例(どんなものが売られていて、どんな反応であったのか)が紹介されていて興味深かった。 <覚えておくこと> ・罰金vs料金 ースピード違反の罰金→スピードを出すための料金 (お金持ちほど犯罪を買えることに繋がらないか) ー保育園の迎えが遅れることに対する罰金→延長料金 (遅れることへの罪悪感をなくす。実際遅れる人が増えた) ・値段を付けることは、公平性をなくす、腐敗を招くことにもつながる場合がある ー行列への割り込み券 ー読書した子どもにお金をはらう、臓器売買 ・値段を付けることは相手の公共的善・思いを踏みにじることにつながる場合がある

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2015/06/23

ゼミで輪読しました。 身近にある様々な市場。それはお金で取引されるべきなのかを道徳的観念や市場の腐敗などを盛り込みながら考えていくという本。 実際にアメリカや中国で行われているような市場取引などが取り上げられている。 例がいくつも挙げられているため理解しやすかった。勉強になる一冊...

ゼミで輪読しました。 身近にある様々な市場。それはお金で取引されるべきなのかを道徳的観念や市場の腐敗などを盛り込みながら考えていくという本。 実際にアメリカや中国で行われているような市場取引などが取り上げられている。 例がいくつも挙げられているため理解しやすかった。勉強になる一冊。

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