1,800円以上の注文で送料無料

円のゆくえを問いなおす の商品レビュー

4

15件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2012/09/30

金本位制からプレトンウッズ体制、そして変動相場制への移行から現在までをコンパクトに俯瞰し、円高が及ぼす悪影響と採るべき財政・金融政策まで言及した好著。かなり欲張りな内容ながら、一貫した論旨で為替相場と世界経済の問題点が把握できる。

Posted byブクログ

2012/09/16

 早稲田大学経済学部の若田部正澄教授が円高のメカニズムを理解するための3冊のうちのひとつにあげているのが本書。円高の状況、その原因と弊害、政府・日銀の対応について、理論、歴史、データに基づいて、丁寧な分析を行っています。本書を十分に理解すれば日々の為替の動きや金融政策に対して、新...

 早稲田大学経済学部の若田部正澄教授が円高のメカニズムを理解するための3冊のうちのひとつにあげているのが本書。円高の状況、その原因と弊害、政府・日銀の対応について、理論、歴史、データに基づいて、丁寧な分析を行っています。本書を十分に理解すれば日々の為替の動きや金融政策に対して、新聞の論説やエコノミストのコメントの確からしさを見極めたり、自分なりの考えを述べることが十分に可能となるでしょう。  本書の内容で、特に私が興味をひかれたのは、円高がどの程度進行すれば弊害が生じる「過度な円高」と言えるのかの基準を示すところです。それに照らすと、リーマン・ショック後(2008年→2012年在)の110円→70円台は過度な円高ですが、プラザ合意後(1985年→1988年)の254円→127円は過度ではないとなります。この違いに興味を覚えた方は是非、本書を手にとってください。  なお、本レビュー冒頭の若田部先生推奨の円高を理解するための3冊ですが、私もこれらが鉄板と考えます。残りの2冊は安達誠司『円高の正体』、岩田規久男『デフレと超円高』。  若田部先生は、『円高の正体』、本書、『デフレと超円高』の順で読むことを推奨していますが、私は本書の先に『円高の正体』を読んだ方がよいと考えます。為替の変動には予想インフレ率が大きく寄与しますが、『円高の目標』はこの点の理論的な説明が詳細で、本書の理解の助けになると考えます。

Posted byブクログ

2012/08/14

為替変動は自然現象でなく人為的に(ある程度は)操作できるものであり、今の日本はそれを放棄していると強い主張で語る。 主に為替に関する多くの論点を並べ、それぞれにどういう根拠かあるか(または無いか)を丁寧に解説していて、短期的な為替の変動や目前のメリットデメリットに目を奪われないで...

為替変動は自然現象でなく人為的に(ある程度は)操作できるものであり、今の日本はそれを放棄していると強い主張で語る。 主に為替に関する多くの論点を並べ、それぞれにどういう根拠かあるか(または無いか)を丁寧に解説していて、短期的な為替の変動や目前のメリットデメリットに目を奪われないで考える知見が書かれている。 マクロ経済学の知識をある程度もっていることが前提であり、難しいところほど解説が少ない(と私は思う)ので入門書としては辛い部分はあるが、金融政策や為替に関して考えるには適した内容なので多くの人にぜひ読んでほしい本だと思う。

Posted byブクログ

2012/05/25

日本経済の長期にわたる停滞の要因は何か。このテーマで書かれた本はきわめて多いが、本書は経済理論の枠組みを踏まえるとともに、可能な限りデータの裏付けを取りながら議論を進めたきわめて手堅い本である。著者の筆遣いはきわめて慎重であり、ついつい結論を急ぎたくなるところも、一歩一歩に議論を...

日本経済の長期にわたる停滞の要因は何か。このテーマで書かれた本はきわめて多いが、本書は経済理論の枠組みを踏まえるとともに、可能な限りデータの裏付けを取りながら議論を進めたきわめて手堅い本である。著者の筆遣いはきわめて慎重であり、ついつい結論を急ぎたくなるところも、一歩一歩に議論を進めてゆく。類書ではあまり利用されない歴史データを用いているところも特徴だ。 経済理論というと、きわめて難解なイメージがあるが、本書でもっとも重要なのは「国際金融のトリレンマ」という考え方(p.85)。すなわち、為替レートの安定化、国際資本移動の自由化、独立した金融政策の3つの中で、同時に達成できるのは2つまでという議論である。この比較的単純な考え方を使うと、歴史的な事象に始まって現在のユーロ危機にいたるまで、急に見通せた気になるから不思議だ。 本書は4章までに理論、実証、歴史を扱いながら経済分析の枠組みを用意し、いよいよ5章で日本経済再生の処方箋を描いてゆく。その切り口は非常にあざやかで、十分な説得性を持つように思った。 大学で経済学を教える者は、定評のある入門書のあと、ステップアップのできる中級レベルの本の選択に迷うことが多い。本書は、そういうニーズにも十分応えられる本だと思う。

Posted byブクログ

2012/08/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

現状の政府・日銀の政策に対して批判的であり、円安や円高が自然現象ではないことを述べられている。 リフレ政策を勉強している自分にとって量的緩和政策を更に深く知ることができました。 大まかに言えば金融政策によってデフレと円高を克服できるということ。

Posted byブクログ