迷走パズル の商品レビュー
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舞台が精神病院で被害者は職員と患者で、探偵役も患者である。このため誰が本当のことを言っていて誰が嘘をついているかわからない。このような状況を利用しているのか、それとも突発的なものなのか、色々な想定が浮かんでくる。解決としてはよくある本格物で、それなりの意外性があり楽しめるが、解決後のひとひねりにこの作品の特徴が現れている。依頼人である所長は探偵役である主人公を犯人ではないかと疑って、あえて捜査を依頼する。主人公はアルコール依存症のため、もしかしたら自分が犯人なのではないかと怖れる。自分自身さえ信じられない探偵が見出すもの、そして、それが生きる勇気につながっていく。
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「逃げるのだ、今すぐ逃げろ……殺人が起こる」 深夜の病棟で聞こえた恐ろしい囁きは―――自分の声だった。これはケルビムの神託か、はたまたサタンの呪詛か…それともいよいよ頭がイカレてしまったのか。不安にかられつつも治療を受けるピーターの周辺に更なる警告が……療養所という名の精神病院で...
「逃げるのだ、今すぐ逃げろ……殺人が起こる」 深夜の病棟で聞こえた恐ろしい囁きは―――自分の声だった。これはケルビムの神託か、はたまたサタンの呪詛か…それともいよいよ頭がイカレてしまったのか。不安にかられつつも治療を受けるピーターの周辺に更なる警告が……療養所という名の精神病院で起こる不可解な現象に、混迷しながらも解明しようと奮闘する主人公。『パズルシリーズ』最初の事件。 患者達の異様な挙動と、職員の不審な行動。多種多様な登場人物達により描かれる全容は…殺人事件としての例えにはおかしいが…まるでパズルゲームのピースを埋めていくように軽快に読み進められ爽快に終わる。たまにはこんなミステリーもいい。
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精神に何らかの疾患を抱えた人達が集まる診療所で起きた殺人。 しかし、これから想像される躁鬱とした雰囲気はなく、むしろコメディのようでした。登場人物皆キャラがしっかりしているので読みやすく、展開も早いので、翻訳ものに苦手意識を持っている人でも安心して読めるでしょう。 真相自体も意外...
精神に何らかの疾患を抱えた人達が集まる診療所で起きた殺人。 しかし、これから想像される躁鬱とした雰囲気はなく、むしろコメディのようでした。登場人物皆キャラがしっかりしているので読みやすく、展開も早いので、翻訳ものに苦手意識を持っている人でも安心して読めるでしょう。 真相自体も意外性があって良いのですが、犯人を炙り出すために仕掛けられた罠がとても興味深かったです。 それぞれの患者の症状を考慮し、それによって起こされる事象を想定する。これはどこか異形の理論にも通じるものであるような気がします。 次の『俳優パズル』も楽しみです。
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本格ミステリベスト10に軒並み入っているダルースシリーズ第1作。1930年代に書かれたことを考えるとすごいけれど、トリックは今一つ。ただ次作からは夫妻で登場とのことでちょっと期待。
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妻をなくしたショックでアルコール依存性になり精神病院に入院するピーター・ダルース。夜中に自分の声で殺人を警告する声を聞く。院長のレンツ博士の依頼で調査を開始した矢先におきた看護師フォガティの殺害事件。拘束衣を着た遺体。入院患者で投資家のラリビーを怨む入院患者のアイリス・パティスン。ラリビーが恋する看護師のイザベル・ブラッシュ。遺産をブラッシュに残そうとするラリビー。ラリビーの娘と娘婿の存在。殺害されたラリビー。現場にいたメスを持ったアイリス。入院患者仲間のゲディスと共に捜査するダルース。
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妻を亡くしたショックからアルコール依存症となり、精神病院に入院した演劇プロデューサーのダルース。ある夜、自分の声が自分に向かって『殺人が起こる』と囁くのを耳にする。病院長のレンツ博士に相談すると、博士は予てから院内の怪異を問題視しており、ダルースに解決の為の協力を持ちかけた。かくてダルースは秘密裏に調査を開始するが、その矢先に本当に殺人が起こる。果たして犯人は?ダルースは無事事件を解決し、退院することが出来るのか? 登場人物が多すぎてちょっと混乱したが、オーソドックスなミステリで読みやすかった。妻を喪い人生も見失った男の、癒しと再生の物語とも読める。アイリスと恋に落ちる辺りは展開早すぎというか、ダルースはともかくアイリスが正気に戻ったら悲しいことになるのではと危惧するがそこはさすがにロマンス成分でまとまっている感じ。誰に対しても感情移入はしづらいが、霊感青年フェンウィックが印象深い。全然本筋と関係ないけど。初出時タイトルは『癲狂院殺人事件』だったそうだが聞くからにヤバイ。
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ラストがバタバタしてて、う~ん残念。 舞台が高級精神病棟っていうのはおもしろかったなぁ。 次の「俳優パズル」はシリーズ最高傑作らしいので、次回に期待!
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1936年の作品だけど古さを全く感じさせない王道ミステリー。精神病院内のみでストーリーが展開するので、時代に左右されず読める。
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読了、60点。 ** アルコール中毒により精神疾患療養施設で治療中だったピーター・ダルースは、ある夜、「逃げるのだ、ピーター・ダルース。今すぐ逃げろ」という"自分"の声を聴きパニックに陥る。 施設では他にも同様の現象を体験した患者がおり、施設所長から患者の立...
読了、60点。 ** アルコール中毒により精神疾患療養施設で治療中だったピーター・ダルースは、ある夜、「逃げるのだ、ピーター・ダルース。今すぐ逃げろ」という"自分"の声を聴きパニックに陥る。 施設では他にも同様の現象を体験した患者がおり、施設所長から患者の立場として真相を確かめてくれないかと持ち掛けられる。 真相を探る中女性患者と知り合ったダルースはその女性のことを好きになり。。。 やがて第一、第二の事件へと発展する。 ** 1936年の原作の和訳小説。 和訳には医療用語など現在に馴染みに深いものを用いられており、また比較的読み易いテキストとはなっています。 が読み易いとは言え読んでいて面白いテキストではないのが、当然と言えば当然ながら残念。 小説の特徴としては舞台設定とそこから派生する描写の不安定さにあります。 舞台は精神疾患療養施設ということで、被害を受けた本人たちさえも自身に降りかかったことが現実に起きたことなのか、それとも自分の妄想なのか判断出来ず、しかし事件は確実におきているはずだという印象を読者に与えながら話が進行します。 読み進めながら正直全てがダルースの妄想なんじゃないかとさえ思ってしまいましたが、真相は一応ミステリー的な決着。 終盤に若干のツイストの効いた展開になっていてその点は評価したいと思うところですが、原作が大昔と言うことを差し引いても物足りない出来。 シリーズとしては女性患者とのその後が描かれていると推測され、その部分に引っかかった人なら次回作も読み進めて行くかと思いますが、自分としてはやや微妙なところです。
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この文庫本、発行は2012年と新しいのですが、原作が書かれたのが1936年というから驚きです。もう80年近くも前になるのですから、まだまだ歴史の浅いミステリ界においては、完全に古典といっていいでしょう。なんたってクリスティの『ABC殺人事件』と同年というのですから! しかし、8...
この文庫本、発行は2012年と新しいのですが、原作が書かれたのが1936年というから驚きです。もう80年近くも前になるのですから、まだまだ歴史の浅いミステリ界においては、完全に古典といっていいでしょう。なんたってクリスティの『ABC殺人事件』と同年というのですから! しかし、80年以上前の作品でありながら、内容はちっとも古くなっていません。 主人公は暗い過去をもつ、アルコール依存症の人気演劇プロデューサー。療養のため入院した精神病療養施設で事件が起こって……という展開です。 体感したものを手放しで信じられない精神病患者特有の危うさが、サスペンスフルな展開によく効いています。こういう微妙な問題を扱っていながら、ことさらに差別的であったり、あるいは同情的であったりしないのも好印象。とても上品なのです。 訳も素晴らしく、海外ものにありがちな読みづらさもまったく感じませんでした。誰が読んでも楽しめるミステリだと感じました。
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