幽女の如き怨むもの の商品レビュー
遊廓の日常や遊女の人生をぼかすこと無く描ききっています。ファンタジーにでもしなければどうしたって救いのない題材でもあるのに関わらず、シリーズの他作品よりミステリ色や怪異描画を減らしているくらいです(癒し役の主人公の登場もかなり遅いです)。それによりミステリとして物足りない、おどろ...
遊廓の日常や遊女の人生をぼかすこと無く描ききっています。ファンタジーにでもしなければどうしたって救いのない題材でもあるのに関わらず、シリーズの他作品よりミステリ色や怪異描画を減らしているくらいです(癒し役の主人公の登場もかなり遅いです)。それによりミステリとして物足りない、おどろおどろしさが少ないというレビューも多いですが、話が上手すぎて、グイグイ引き込まれすぎて、ミステリ部分も怪異も完全に一体化しているというか、余りに自然に溶け込んでいる印象です。ミステリとしてもしっかり楽しめました。 かなり下調べをされているようで、この読みやすさで学べるというのは、歴史の資料としてもかなり優秀かと思います。
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珍しく刀城くんの主張が激しくなかった。小説として完成されているかはさておき、慰安婦や遊女に関して相当調べ上げられており、シンプルに文献としての価値が高いのではと思うなど。
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戦前、戦中、戦後に同じ郭でおこる3人の謎の飛び降り 遊郭の暮らしや廓言葉、その時代の様子や取り締まる法律の変化など、いろいろ学べることが多かった 女にとって地獄という認識は変わらないけど、華やかさの裏で歯を食いしばって生きてきた花魁たちの姿に脱帽した 梅の花 これにて...
戦前、戦中、戦後に同じ郭でおこる3人の謎の飛び降り 遊郭の暮らしや廓言葉、その時代の様子や取り締まる法律の変化など、いろいろ学べることが多かった 女にとって地獄という認識は変わらないけど、華やかさの裏で歯を食いしばって生きてきた花魁たちの姿に脱帽した 梅の花 これにて終幕 地獄舞台
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“刀城言耶”シリーズ第六長編。三津田さんの刀城言耶シリーズを読むのも久しぶりだ。どのくらい久しぶりなのかというと最後に「生霊の如き重るもの」を読んだのが2012年6月だったので10年以上前だ。久しぶりに刀城言耶が登場(失礼!)したら懐かしく感じた。さて本書。シリーズ中では異色作で...
“刀城言耶”シリーズ第六長編。三津田さんの刀城言耶シリーズを読むのも久しぶりだ。どのくらい久しぶりなのかというと最後に「生霊の如き重るもの」を読んだのが2012年6月だったので10年以上前だ。久しぶりに刀城言耶が登場(失礼!)したら懐かしく感じた。さて本書。シリーズ中では異色作であるといわれる。個人的には第一部「花魁」が凄すぎてミステリ部分である第二部~第四部がかすんでしまった様に感じた。第一部で借金のため年若くして遊郭に売られる少女が花魁へと変わっていく様はエロくもあるが同時に悲哀に満ちている。とにかく第一部のリーダビリティは凄いが、この部分はこの作家でなくても書けるものだろう。はっきり言えば他の参考資料を用いれば筆力があれば書けるような。むしろ三津田さんの持ち味が発揮されるのは第二部以降だ。だが・・・その後のミステリ部分はシリーズの中でもやや落ちるクオリティに感じた。残念。全体を見れば第一部と第二部以降のバランスが悪くなってしまったかな。でも遊郭の歴史も知れたし読み物としては悪くなかった。詳細→ https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou14508.html
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今回も面白かった。 ページ数も560ページ程あり、読み応えがある! 9割が遊廓の話で刀城言耶はラストにしか出てこず、他の作品とは少し変わった作風。 戦前・戦時中・戦後の時代の遊廓について書かれており特に第一章の緋桜の話が非常に長い! やけどここでいう花魁になるまでの過程や、なってからの心情が興味深くもあり、非常に悲しくもあって引き込まれた。 刀城言耶が出ないのに面白く一気読み。 また第一章のラストでは、ハッピーエンドで本当に良かった〜と思った。この時点では。 第二章、第三章と読んでてうっすら1代目緋桜は、その後幸せに暮らしてるかしらと思ってたので刀城言耶の解説は悲しすぎて、緋桜が不憫で仕方がない。 今回の作品は読んでて犯人やトリックをほぼ考える事なく完全に忘れてた。 むしろ幽女とは?!の事に気を取られすぎた〜 そして、遊女たちの悲しさや辛さが読んでてなんとも言えなかった〜
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刀城言耶シリーズ。 戦前、戦中、戦後の遊郭を舞台に、緋桜という名の花魁と、連続する謎の身投げ事件にまつわる怪異が描かれる。 言耶の謎解きが、あくまで合理的に考えればこういう解釈もできる、という程度のもので、一応解決はするけど、ラストでやっぱり幽女の呪いだったのかも…という余韻を残...
刀城言耶シリーズ。 戦前、戦中、戦後の遊郭を舞台に、緋桜という名の花魁と、連続する謎の身投げ事件にまつわる怪異が描かれる。 言耶の謎解きが、あくまで合理的に考えればこういう解釈もできる、という程度のもので、一応解決はするけど、ラストでやっぱり幽女の呪いだったのかも…という余韻を残して終わるところが、さすが刀城言耶シリーズです。 今回は、ホラーもミステリもどちらも控えめな感じでしたが、遊郭での花魁たちの暮らしや過酷な労働条件、遊郭へ売られた悲しい身の上などの話がとても読み応えがあり、遊郭の歴史を描いた小説として興味深く読みました。
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歴史ホラーミステリー単行本。 【刀城言耶シリーズ】 昭和初期から戦後に至る遊郭を舞台に、歴代花魁「緋桜」を中心に起きた不可解な事故をめぐる物語。 遊女の日記として廓の辛い日々が綴られ、女将の証言、作家の絶筆と、シリーズとして展開が少し異なり、本格的に言耶が登場するのは最終盤。 歴...
歴史ホラーミステリー単行本。 【刀城言耶シリーズ】 昭和初期から戦後に至る遊郭を舞台に、歴代花魁「緋桜」を中心に起きた不可解な事故をめぐる物語。 遊女の日記として廓の辛い日々が綴られ、女将の証言、作家の絶筆と、シリーズとして展開が少し異なり、本格的に言耶が登場するのは最終盤。 歴史時代物として重厚なミステリー作品と感じた。
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歴史物、当時の風俗に興味のある方におすすめです。 ただ「怖い」という話ではなく、全編通して薄ら寒い気配が漂っています。最後の現実的な推理に関して「そういうことかぁ」と唸らせるところがさすが三津田信三作品です。怖さに欠けるという感想も見受けられますが、私には丁度いいです。時代を跨ぐ...
歴史物、当時の風俗に興味のある方におすすめです。 ただ「怖い」という話ではなく、全編通して薄ら寒い気配が漂っています。最後の現実的な推理に関して「そういうことかぁ」と唸らせるところがさすが三津田信三作品です。怖さに欠けるという感想も見受けられますが、私には丁度いいです。時代を跨ぐ構成もノスタルジックで素敵。
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※このレビューにはネタバレを含みます
同じ建物で、名前と時代が異なる三軒の遊郭で起きた遊女の身投げ(未遂含む)事件を、当事者である遊女の日記、遊郭の経営者の語り、事件を追う作家二人(そのうち一人が刀城言耶)の記述と4篇に分けて語られる、三津田信三得意の「語り物」である。 ボリュームに差はあるものの、4篇に分けられているため中編を読んでいるようで読みやすい。 また、珍しく建物の図面が載っていてわかりやすくなっている。 遊郭1軒につき三人の遊女(遊女でない者も亡くなっているが)が亡くなっているため、連続身投げ事件とすると3×3で9人、かなりの数である。 また、遊郭の内部描写が詳しく、遊郭の文化をなんとなく学べる小説としても面白い。 謎については、異なる時代と店のミッシングリンクを探すという意味では「どこの家にも怖いものはいる」に似ているだろう。 時代に翻弄された遊女はとても可哀相に思うが、最後に少しの救いを残してくれている。 また、今までは本編中ずっと怪異要素をほのめかし、最後に刀城言耶の推理で人為的な事件だと明かすパターンだったが、今回は怪異のほのめかしはあるが、最後の推理の後に、さらに怪異的な謎を提示するという、仄暗い怖さが残る話だった。
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このシリーズは以前読んだが、事件の関係者の扱いがおざなりだったのが不満だった。 怪異を体験する視点人物としてメインで描写され、読者も感情移入していたキャラなのに、事件後のフォローが至らないというかなんともお粗末というか「トリックと犯人はわかったけどそれでこの子はどうなったのそれが...
このシリーズは以前読んだが、事件の関係者の扱いがおざなりだったのが不満だった。 怪異を体験する視点人物としてメインで描写され、読者も感情移入していたキャラなのに、事件後のフォローが至らないというかなんともお粗末というか「トリックと犯人はわかったけどそれでこの子はどうなったのそれが気になるのに!」と消化不良でじたじたしたのを覚えている。 本書ではそのモヤモヤがほぼないので満足。 遊郭を舞台にしたホラーとしても面白く、それにも増して遊女たちの嫉妬や裏切り、駆け引きを主軸に据えた愛憎ドロドロの人間ドラマにひきこまれる。遊郭でのみ通じる隠語など、当時の世情も垣間見えて勉強になる。 結局真相がなにもわからないじゃないかと不満な向きもあろうが、思春期の多感な少女が過酷な境遇に抑圧されていたとすれば、事の発端も大体わかるように書かれている。 終盤のどんでん返しは三回名前を変えながら本質は変わらず在り続けた建物と人の歴史がオーバーラップし、なるほど、ちゃんと伏線になってたんだ!と感嘆した。 いわゆる幽霊よりも、生きてる人間の情念や数奇な偶然が怖い系なのだが、遊郭を扱ったエンターテイメントしても完成度が高くそちら方面が好きな方にも勧めたい。 欲を言えば、時代を跨いで遊郭で働き続けた遊女たちのその後をもう少し掘り下げてほしかったが無粋だろうか。 時代や社会に翻弄され続けた女たちの余生は、想像に任せた方が余韻を残すかもしれない。 遊女になる為に引き取られ、同じ建物で寝起きし三年間みっちり教育を受けた緋桜が、あそこまで実情に無知なのが最大のファンタジーである。
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