饗宴外交 の商品レビュー
饗宴外交と聞いて何を思うか。 政治家の贅沢?「会議は踊る、されど進まず」に言い表されるような茶番?その疑問に真っ向から答えようとしているのがこの本の本質だと思う。 外交とは結局のところ国と国との落とし所を探す場である。その中で各々の国は落とし所に持っていくための「取っ掛かり」を探...
饗宴外交と聞いて何を思うか。 政治家の贅沢?「会議は踊る、されど進まず」に言い表されるような茶番?その疑問に真っ向から答えようとしているのがこの本の本質だと思う。 外交とは結局のところ国と国との落とし所を探す場である。その中で各々の国は落とし所に持っていくための「取っ掛かり」を探す。饗宴はそのとっかかりの中でも最も手っ取り早い方法であり、それ故に細心の注意が求められる。 開催場所や食事のメニューやワインの格付け、出席者や主催者など様々な部分において外交家はその国が発しているメッセージ性を読み取り、外交戦略につなげて行く。それは一発で全てを解決するような魔法の杖ではないが、その材料の一つには間違いなくなり得る。この本には、メッセージ性が事細かに記されており、さまざまな驚きがある。 ちなみに私は小渕総理の盆栽の話が好きだ。華やかに見える外交官の仕事も、こう言う泥臭さと隣り合わせである事を考えると、日頃の積み重ねがいかに大事かと言うことが分かる。 身の回りに起きたこと一つ一つを大切にするとはまさにこう言うことなのだろう。
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ワインと料理で世界はまわる。 相手にふさわしいおもてなしをするための舞台裏。 国同士の外交の場でどのように料理がつかわれているのか垣間見える本です。 まだ読みかけなので、☆3つ。 ワイン好きにはいいかも。
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日本のおもてなしの素晴らしさを知る。 日本側の出す料理にもプロに任せっきりにするのではなく意見を出し、海外の国賓を全力でおもてなしした小渕恵三に大変好感を持った。
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国際関係を会食のメニュー・ワインリストから読み解く。 少し前の本ではあるものの、現在につながる潮流をかなり鋭く指摘しています。
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「ワインと外交」と同じテーマ?の本 こちらの方がボリュームがあり、外交の席での会議、会談以外に相手国との円滑な会話のために食事がある 相手国との交渉と言うのは会議の席だけではなく食事の場でのもてなしも大切なのだということ感じた あと、皇室外交についても詳しく書かれていて、日本の国...
「ワインと外交」と同じテーマ?の本 こちらの方がボリュームがあり、外交の席での会議、会談以外に相手国との円滑な会話のために食事がある 相手国との交渉と言うのは会議の席だけではなく食事の場でのもてなしも大切なのだということ感じた あと、皇室外交についても詳しく書かれていて、日本の国民よりも外国の人々の方が関心を寄せているのだということを強く感じた
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非常に知的好奇心を刺激された本だった。饗宴のメニューから外交を見るという視点は自分の中にはなかったこともあるだろう。 著者の既刊である「ワインと外交」とダブるところも多いが、こちらの方が読みやすく、すっきりした構成・文章になっていると感じられた。 様々なテーマを取って豊富...
非常に知的好奇心を刺激された本だった。饗宴のメニューから外交を見るという視点は自分の中にはなかったこともあるだろう。 著者の既刊である「ワインと外交」とダブるところも多いが、こちらの方が読みやすく、すっきりした構成・文章になっていると感じられた。 様々なテーマを取って豊富な例を挙げているが、その筆致は冷静なもので、悪い意味で政治的な色がほとんど見られない。 この手の書籍では貴重だろう。大変面白かった。手元に置きたいので、できれば文庫化してもらいたい一冊だ。
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「饗宴はすぐれて政治である」 とても興味深い本でした。 ただ、ミシェル夫人のファッションに関する記述で、Andre Leon Talley氏の発言を引用してるのだけれど、彼の肩書きがアメリカ・ヴォーグ編集長となっていて、それは違うのではと思った。こないだファッションが教えてく...
「饗宴はすぐれて政治である」 とても興味深い本でした。 ただ、ミシェル夫人のファッションに関する記述で、Andre Leon Talley氏の発言を引用してるのだけれど、彼の肩書きがアメリカ・ヴォーグ編集長となっていて、それは違うのではと思った。こないだファッションが教えてくれたこと、を観たからね。
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外交の舞台での饗宴はどういう意味を持つのか。国にも依るが乾杯用のシャンパン、赤白2種類のワインとフランス料理あるいはその国の料理と言うのがオーソドックスなスタイルだ。本書は毎日新聞編集委員でフランス政府国家功労勲章を授章した西川氏が時々の政治状況とその時の饗宴のスタイル、中身、ワ...
外交の舞台での饗宴はどういう意味を持つのか。国にも依るが乾杯用のシャンパン、赤白2種類のワインとフランス料理あるいはその国の料理と言うのがオーソドックスなスタイルだ。本書は毎日新聞編集委員でフランス政府国家功労勲章を授章した西川氏が時々の政治状況とその時の饗宴のスタイル、中身、ワインの種類などなぜそう言う料理が出されたかを書いている。 各国首脳が訪日する場合その訪問形式によって宴のスタイルが変わる。国賓(国家元首)の訪問は最高級のもてなしを受ける。宿舎は迎賓館、天皇、皇后を始めとする皇族が出席し皇居で宮中晩餐会が開かれる。迎賓館はゲストに貸し出されるので歓迎会には使用されず答礼晩餐会に使われる。公賓の場合は首相官邸で食事会が開かれ各界招待者を含め両国の関係者が互い違いに座る。公式実務訪問や、実務訪問は出席者は政府担当者に限られ仕事の話をしながらの食事となり、出席者は両国が向かい合って座る。 皇室外交の特徴は国賓に対しては国の大小を問わず最高のもてなしで迎えるということ。ワインも常に最高級だ。しかしイギリスのバッキンガム宮殿、フランスのエリゼ宮などは国賓の場合2級のワインが標準であり、ここぞと言う時に最高級のワインやシャンパンを持ってくる。また、ワインンの産地、名前、オーナー、生産年などに様々な意味を持たせメッセージを伝える。しかし一方では招待される側の希望に添うのが基本である。メニューは事前に通知され希望によって変更されることもある。例えば06年の安倍総理の訪中ではスープがナマコからツバメの巣に変えられた。日本側の認識ではもてなしのレベルが低いと判断したからだ。必ずしも豪華とは限らないのはアメリカ、オバマがメドベージェフを連れて行ったりとたまにはハンバーガーが振る舞われる。 歴代首相で最も饗宴に力を入れたのは小渕首相だった。沖縄サミットでは専門家が結集し沖縄の素材を中心に環太平洋系の料理を準備した。ワインも出席者に合わせて8ヶ国のものをブレンド、日本酒は9首脳に合わせて9種のブレンド、そして泡盛の古酒を出席者の平均年齢に合わせてブレンドするなど冒険的な設宴だったが小渕氏は残念ながらサミットを前に急逝し森氏が後をついだ。準備をしてもハプニングはつきもので食前酒にシュレーダー首相とシラク大統領は「サケ」を所望。しかもシラクは日本酒、シュレーダーは泡盛のロックでソムリエは走る。ついで一の膳ではブレア首相がビールを所望。またソムリエが走る。辻調の料理人が打ち上げようにビールを準備していた。クリントン大統領はと言うと警護人がさっと3時間冷やしたコーラを渡す。そして自分でプルタブをあけそのまま飲みだす大統領。しかしブレンドの赤ワインを飲んだクリントンは絶賛しブレアに勧める。このワインにはシラク大統領もお褒めの言葉。これで安心したのは田崎真也氏だった。そして最後の古酒泡盛、自分のために平均年齢が上がったと言うシラクに対しおかげでこんないい古酒が飲めるとヨイショする森首相、さすがにこういうところだけは上手い。プーチンとシュレーダーは宴が終わっても車を待つまで飲み続けた。当初は和食を所望していたシラク大統領も大満足し、サミットのシェルパを務めた外務省の野上審議官にレジオン・ドヌール勲章が贈られた。 次にいつ行われるか明かりが見えない日中首脳会談だが2010年5月の温首相の訪日が象徴的だ。30日に来日した温首相と鳩山首相が31日に会談。その夜のワインは温首相が選ばれた2003年もの。シャンパンもドンペリと最高級のもてなしだった。1日温首相は天皇陛下と皇居で会談し帰国。そして翌日の6月2日鳩山首相は辞任した。いくら最高の料理を出してもその本人が2日後にやめては信頼関係は得られないだろう。
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同著者の「エリゼ宮の食卓」のほうが、登場人物の顔を思い浮かべてはらはらどきどき....というシーンが多かった気がしますが。この本は、もう少し淡々とした感じに読めますでしょうか。 それでも、近年行われた様々な訪問について、主催者側がどんな意図で行い、お客様がどう受け止められたのか...
同著者の「エリゼ宮の食卓」のほうが、登場人物の顔を思い浮かべてはらはらどきどき....というシーンが多かった気がしますが。この本は、もう少し淡々とした感じに読めますでしょうか。 それでも、近年行われた様々な訪問について、主催者側がどんな意図で行い、お客様がどう受け止められたのか、そして、それがどうやってニュースに現れてきたのか....。面白く拝見させていただきました。 食の前では、どんな人でも、少し心が前向きになり、会話が進むというもの。そしてそれが最高のもてなしであればなおさら。食は文化で、文化のプレゼンテーションでもありますし。それをこの本で覗くことができるのは本当に楽しいですね。 G8サミットの批判の件は、考えさせられる部分もありますけれども...。
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