妃は船を沈める の商品レビュー
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(中編)火村&有栖シリーズ17 はしがきによると第一部と第二部合わせて長編な扱いの作品とのこと。 目 次 はしがき 第一部 猿の左手 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 幕 間 第二部 残酷な揺り籠 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 解説 西澤保彦(作家)
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何度目かの再読。作家アリスシリーズ。今作は二部構成になっている。個人的に妃沙子というキャラは結構好きだ。それは彼女が中々に個性的なキャラクターであるという事も一因だが、やはりその頭脳のキレのよさが登場人物の中でも群を抜いているように見えるからだろう。二部終盤の犯人と火村先生の丁々...
何度目かの再読。作家アリスシリーズ。今作は二部構成になっている。個人的に妃沙子というキャラは結構好きだ。それは彼女が中々に個性的なキャラクターであるという事も一因だが、やはりその頭脳のキレのよさが登場人物の中でも群を抜いているように見えるからだろう。二部終盤の犯人と火村先生の丁々発止のやり取りもスリリングで面白く、たった少しの事柄から犯人を追い詰めていく火村先生の真髄がここでは読める。
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綾辻作品の解説やあとがきで作者同士の仲良しっぷりがうかがえたのでー 同じ新本格派と謳われるお二人だけど、作品の雰囲気が全く違っててビックリ おどろおどろしい綾辻作品に比べ、有栖川作品はふつーの小説のような 本作はクローズドでも全くないし、なんなら爽やかささえ感じさせる 第一部と...
綾辻作品の解説やあとがきで作者同士の仲良しっぷりがうかがえたのでー 同じ新本格派と謳われるお二人だけど、作品の雰囲気が全く違っててビックリ おどろおどろしい綾辻作品に比べ、有栖川作品はふつーの小説のような 本作はクローズドでも全くないし、なんなら爽やかささえ感じさせる 第一部と第二部でトリックの質が違うところが面白かった 私は第一部の「騙されたー!」て方が好き 第二部の「ではその方法を論理的に述べよ」系は飽きちゃう 「猿の手」を私が知ったのは小学生のころ読んだ「アウターゾーン」てマンガだったなー 怖いもの見たさで読んでいろいろとトラウマを植え付けられたマンガ でも好き笑 火村先生の猿の手解釈、三つ目の願いで息子が立ち去ったのがなぜなのかが語られないのでよく分からない
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有栖川作品 2作品独立しているが 続きもの 猿の手 と言う呪いがキーワードでした。 さらっと読めるが 有栖川さんの 推理は余り出てこない。
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中編が二つな感じ。 別々のお話ですが、登場人物がそのまま 引用されてます。 大好きな『猿の手』が絡んでて 中々、こういう考察か、と面白かったです。
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同じ伏線だけど、事件が前半と後半でガラリと変わるのが読んでいて面白かった。 ある意味主役の首謀者「妃」の歪んだ愛が不気味。
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犯人が好きじゃない、に尽きる。 ただ、最初の猿の左手のトリック?真相は読めなかったなぁ 2020.9.25 94
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とにかく「猿の手」の火村先生の解釈が私には新鮮でした。事件の真相も怖かったですが。この時点ですでにいつもとは違う雰囲気に呑まれていた気がします。前半の事件の真相が頭にあったことで後半はすっかり騙されてしまいました。最後に願ったのがそれだとは全く想像がつきませんでした。コマチ刑事の...
とにかく「猿の手」の火村先生の解釈が私には新鮮でした。事件の真相も怖かったですが。この時点ですでにいつもとは違う雰囲気に呑まれていた気がします。前半の事件の真相が頭にあったことで後半はすっかり騙されてしまいました。最後に願ったのがそれだとは全く想像がつきませんでした。コマチ刑事の登場もこれからのシリーズの雰囲気が変わりそうですね。緩めたネクタイと囁くような小声。いつになったら彼は心の中を覗かせてくれるんでしょう。
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猿の手論議が楽しかった!有栖川先生の解釈が火村と一緒なのがおもしろい。 「狂気」って表現が何度も出てくるんだけど、いまいちピンとこなかったのが残念…火村がロジック、アリスが犯人の心理を暴く、ていうのも、「朱色」みたいにこう、響いてこなくて。 たぶん、淡々としてて、過剰に表現してないからなのかなーと思う。だから読みやすいんだけど。苦しくならないで読めるんだけど。
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「猿の左手」「残酷な揺り籠」の間に幕間を挟んで、長編化した一作。そういう作りアリなんだ、とちょっとびっくりしました。 どちらにも登場する、妃沙子と呼ばれる女性は、なかなか変わっていて、若い男を囲っている魔性の女、って感じですね。この人がどちらの話も軸になっていて、「猿の左手」でするりと法の網目から逃げ出してしまったのを、「残酷な揺り籠」で改めて対決して追い詰めるという設定が、なるほどな、と思ったのでした。 「猿の左手」は"顔のない死体"というのがキーになっていて、元ネタはウィリアム・W・ジェイコブスの「猿の手」における作者本人と、北村薫さんによる議論をベースにしてあるとのこと。「猿の手」の話は知らなかったんですけど、この話に対する捻くれた解釈が、事件を解くきっかけになるという。その解釈が面白くて、『猿の手』は一回読まねばな…という気持ちになってます。 事件の概要としては、妃沙子が個人的に金を貸していた友人の夫が、車ごと川に突っ込んで死んでしまうんですけど、それが自殺なのか他殺なのか、という。紆余曲折あって、他殺だとしたら犯人は沈んだ車から逃げ出したのでは、というところまで推理は及ぶんだけど、犯人の可能性のある、妃沙子が養子にしている若い男が怪しいんだけど、過去にトラウマがあって彼は泳ぐことができない、では一体どうやって…となる。簡単に言うと、本当の養子は以前、妃沙子に想いを寄せる別の男に襲撃されて殺されてしまったんだけれども、同時期に出入りしていたこの若い男(過去に本当の母親を殺してしまっていた)に、そのまま養子のふりをして入れ替わることを妃沙子が提案して、人が入れ替わっていたので、今回の事件の犯人である若い男は実は泳げたし、そのことによって犯行が可能とバレるという話。 妃沙子の狂気がにじみ出る話なんですよねー。入れ替わり指示をしたのもそうだし、借金男を殺すように仕向けたのも妃沙子なんですが、殺人の指示については、本人はそんなつもりはなかった、猿の手に願っただけで、勝手に男が解釈したんだ、と言い逃れるの。迫真の演技で。あなたがそんなことをするとは思わなかったわ…!なんて白々しいんだけど、結局妃沙子の本心はわからないから、妃沙子は法の網目からするりと抜けだすんですよね。 んで、「残酷な揺り籠」で再び相対する火村せんせと妃沙子。 ある家の離れで人が殺されていると駆けつけてみれば、その家の主人は妃沙子の夫だった。前回の事件からしばらくして妃沙子は今までの生活(若いかわいそうな男に囲まれて暮らす)を諦めて、同世代ぐらいの人と結婚してるんですよね。それがもうすでに怖い笑。殺されたのは、その夫の元で働く、妃沙子が可愛がっていた男の一人で。もうそれだけで人間関係…!ってなるんですけど笑。 動機はその殺された男が、昔の妃沙子に戻って欲しいと、妃沙子に夫殺害を持ちかけることだったのではないか、と推理する二人。妃沙子は新しい生活を気に入っていたんだけれども、他に止める手立ても思いつかず、男の計画に乗ったふりをして、逆に男を殺してしまう、という。今回は妃沙子自身が手を下しているわけだから、取り逃がすことはない、という雰囲気の中で終わるんですけど、実際には推理を妃沙子に聞かせるだけで、自首を促しているんですよね。読んでからだいぶ経っちゃったので若干おぼろげですが、パラパラと見返してると、どうも妃沙子って罪の意識がないというか。ある意味すごい無垢な感じなんですよね。だから自分がどれだけ悪いことをしたのかを自覚しろよ、という火村からの引導だったのかなあ、などと思ったりしたのでした。 そしてここがコマチ刑事初登場回なんですね。お名前はかねがねって感じでしたけど、なんとなくイメージがつかめました。真面目だけど固すぎない、という感じですかね。火村せんせも割と気に入っている印象があります。 妃沙子という女性はSHERLOCKにおけるアイリーン・アドラー的な雰囲気、あるなあ、と思って。探偵を翻弄する魔性の女。アイリーン・アドラーと決定的に違うのは、火村せんせは妃沙子に対して絶対に捕まえてやるという気持ちしか持ち合わせていないことですかね笑。 解説はそうだったタイトルの重要性の話でした。でも読んですぐじゃないと記憶がやっぱり…。
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