貧乏人の経済学 の商品レビュー
「経済発展によって、もう世の中からは貧乏なんてなくなる」と言われて久しいが、しかし実際のところは格差だけが広がり、貧乏な人はあいかわらず貧乏のままだ。世の中がこんなに豊かになっているにもかかわらず、貧乏人は貯蓄の手段がなく(ので貯蓄もせず)、保険にも入れず、事業のための借り入れも...
「経済発展によって、もう世の中からは貧乏なんてなくなる」と言われて久しいが、しかし実際のところは格差だけが広がり、貧乏な人はあいかわらず貧乏のままだ。世の中がこんなに豊かになっているにもかかわらず、貧乏人は貯蓄の手段がなく(ので貯蓄もせず)、保険にも入れず、事業のための借り入れもできず、結局貧乏から抜け出す手段がない。貧乏人への救いの手は途中にいる様々な人々によって搾取されて当人に届かない上、予防接種や基本教育のように効果が見え難い施策は今度は人々が見向きをしないのだ。 そんな現状を打破するために、ランダム化対照試行をひっさげて「貧乏を打破するボタン」を探して回る著者たちの研究成果をまとめた一冊。マイクロファイナンスも医療の拡充も、貧乏を根絶する銀の弾丸にはなり得ないが、状況を良くしていることは確かであり、正しい人々に正しいプロモーションで正しい仕組みを届ければ、貧乏は少しずつ改善されるのだという、経済学と社会学と心理学を組み合わせたような一冊。
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Twitter(現X)で見かけて気になったので図書館で借りてきた。共著者のE. デュフロという人は2019年のノーベル経済学賞を受賞した人とのこと。 貧乏な人(1日99セント以下で暮らす人)を十把一絡げに論じるのではなく、現地に赴きランダム化対照試行という手法で、実際に施策をし...
Twitter(現X)で見かけて気になったので図書館で借りてきた。共著者のE. デュフロという人は2019年のノーベル経済学賞を受賞した人とのこと。 貧乏な人(1日99セント以下で暮らす人)を十把一絡げに論じるのではなく、現地に赴きランダム化対照試行という手法で、実際に施策をしてみた場合としなかった場合を比較している。 机上の空論でなく、実際に足を運んで個別の問題について実証的にやっているので説得力もあり好感も持てた。 そして読んでいる最中、本書で扱っている「貧乏な人」のみならずこれらの問題は今の日本の問題にも当てはまるなぁ、と思ったりもした。 貧乏な人・貧乏な国はなぜ貧乏なままなのか、ということについて私自身の偏見にも気付かされたし、もっとこの分野について知りたくなった。また、貧困の問題についてもどこかにあっと驚くような解決法があるわけではなく、一つ一つの個別の問題を絡まった糸をほどくように個別に解決していくのが早道だと思ったりもした。
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貧困問題について、こうだろうと思っていた先入観をバッサリ切ってくれる本。データ付きなのでぐうの音も出ないほど、論がスッキリと述べられていて面白い。
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収益を得るにはある程度まとまった投資をする必要があるため,それ以下の投資では逆に貧しくなってゆく貧困の罠について,その有無を机上で論じるのは無意味でで,調査してどちらの場合になるのかRCTで確かめなくては問題は解決できない.この方針で,様々な調査結果が示される. 防接種率を,豆の...
収益を得るにはある程度まとまった投資をする必要があるため,それ以下の投資では逆に貧しくなってゆく貧困の罠について,その有無を机上で論じるのは無意味でで,調査してどちらの場合になるのかRCTで確かめなくては問題は解決できない.この方針で,様々な調査結果が示される. 防接種率を,豆のオマケを付けることで向上させる著名な例の紹介.イデオロギーでは,右派からは無駄,左派からは不道理と言われる政策だが,それよりも実効性が重要と主張している. イデオロギー ideology,無知 ignorance,惰性 inertia の3I問題のため,実効性のない政策が行われる.インドで親が学校の運営に関わる政策で,人々に権限を与えるイデオロギーに基づいて,人々の要求を知ること無く政策が立案され,それの結果が評価されずに惰性で維持される例など. ドグマ・ルール指向の施策より,現実に有効なのはシステム指向であるという主張を支持する内容で,よく同意できる内容だった.
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益井くん走行会@アワヒニ天満橋店「海外に持っていって読み返したくなる本」で紹介された本。 2016.01.08
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みすず書房 ノーベル経済学者 バナジー &デュフロ 訳 山形浩生 「 貧乏人の経済学 」 行動経済学の立場から 貧困原因を検証した本。個人が貧乏から脱却するための行動をし、まわりが それを支援をすれば、国の貧困も解消されるという論調。タイトルの「貧乏人」と...
みすず書房 ノーベル経済学者 バナジー &デュフロ 訳 山形浩生 「 貧乏人の経済学 」 行動経済学の立場から 貧困原因を検証した本。個人が貧乏から脱却するための行動をし、まわりが それを支援をすれば、国の貧困も解消されるという論調。タイトルの「貧乏人」とは 開発支援が必要な国の国民を意味 貧乏脱却例の数々は 当たり前の事を言っているように思うが、言うは易し行うは難し *食事は美味しさより 栄養素を重視せよ *健康は 高くつく治療より、安く済む予防に支出せよ *教育について投資効果を期待をするな、子供の学習を諦めるな *保険で備えろ、貯蓄をしろ 「貧乏人は 大量のリスクを抱えている〜重要な情報を持っておらず、金融機関の融資や専門家の意見を受けられず、自分ですべて背負わなければならない」とある。ソーシャルビジネスは かなり厳しい環境と感じた 名言「家族は、完全な調和で結ばれているわけでなく〜他のメンバーに対する責任を規定した契約〜 不完全、粗雑、とても緩い〜でまとまっている」
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1年前から少しずつ読んでやっと!RCTを経済学に応用してノーベル賞を取ったお2人。“人は生まれながらにして小さなコストを先送りし現在ではなく将来に負担させたがる” 膨大な研究結果を体系立てて平易にまとめて、経済学なのに現場感がひしひしと伝わってくる。翻訳も◎
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読みやすい経済書。貧困層、地域の当事者にとって本当に善い助けとはなんなのかをデータや体験をもとに。。。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・貧乏な人は重要な情報を持っていないことが多く、間違ったことを信じている。魅力的で単純な方法でキャンペーンを実施。信頼できる情報源を。 ・貧乏な人は自分の人生にあまりに多くの側面について責任を背負い込んでいる。意思決定の難しさ。お金持ちであれば、誰かが正しい判断を下してくれる。⇨先送り傾向⇨既に正しいと分かっていることをできるだけ実行しやすくすれば人生は大幅に改善する。 ・一部の市場が貧乏人に提供されていなかったり、そこで貧乏人がかなり不利な価格に直面したりするのにはやむを得ない理由がある。 ・貧乏だから失敗する、不幸な過去を持つから失敗確実ということはない。大いなる陰謀のせいではなく、詳細な政策設計における欠陥が原因。即ち、無知、イデオロギー、惰性。 ・自己成就的な予言 ⇨もっと細かくみよう。怠惰で紋切り型の発想を拒絶しよう。
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貯金ができなくてお金をすぐに使ってしまうからレンガを買ったり、ワクチンや簡単な衛生キットの効果を理解していないから安いにもかかわらず使わないというのは、貧困に陥っている人にしかない考え方なので、まず貧困の当事者はどう物事を考えているかを理解することはとても大切だと思った。
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