貧乏人の経済学 の商品レビュー
「なぜ貧困から抜け出せないか」の話。ここの中ではありきたりなステレオタイプな論調でなく、貧困と貧困から抜け出せない理由には様々な要因があると説いている。よく聞かれる貧困のS字曲線なんかもそんな単純な話じゃないということらしい。そこには心理学的要素も深く関わっていて、貧乏人と称され...
「なぜ貧困から抜け出せないか」の話。ここの中ではありきたりなステレオタイプな論調でなく、貧困と貧困から抜け出せない理由には様々な要因があると説いている。よく聞かれる貧困のS字曲線なんかもそんな単純な話じゃないということらしい。そこには心理学的要素も深く関わっていて、貧乏人と称される人々が必需品だけを優先できずに嗜好品を手にする現状をあきらかにしている。 また一時期よく取り上げられていたマイクロクレジットについても、なんかいい面だけが喧伝されているけれどもMCが貧困に対して万能でないことも実例を挙げて示しているとが目新しかった。
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貧困な状況に関する面白い情報、眼から鱗な情報が結構あって面白かった。心理学という観点でも興味深い。 残念ながら自分の生活に活かせる情報は少なかったかと。
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2015年に読んでいたことが判明したので再読だったようだ。貧困問題に止まらず、様々な社会問題について、考えさせられるきっかけが豊富に含まれている。原書発売から10年を経ているが、色あせるどころか全く古びていないのが素晴らしい。
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単純なグラフにこめられた理論から得られる、もっとも重要なメッセージはつまり、理論だけでは不十分、ということです。(32ページ) いつの日か貧困を終わらせるために一番見込みがあるのは、個々の回答とその回答の背景にある理解から出てくる、知識体系なのです。(34ページ) 1章要約 S字曲線(貧困の罠)と逆L字曲線(貧困の罠は存在しない) サックス:貧困の罠・援助肯定派 イースタリー:援助否定派 2章要約 栄養による貧困の罠は存在する。安く手に入るものや良質な栄養を摂取できるものより、美味しいものを求めるため、総摂取カロリーが低い・栄養失調状態である場合が多い。また、嗜好品や行事に費やす費用の割合が多い場合もある。 状況の改善に懐疑的であったり、短期的な目先を楽しく生きることに重きを置いている者が多い。 3章要約 心理的埋没費用 大金を払ったものほど活用しようとする。品質を価格で判断する。 時間不整合性 現在のことと未来のことでは全く違う考え方をする。 自分の健康について正しい判断を出来る人はいない。(先進国の場合、判断しなくても衛生的であるような仕組みが社会・生活様式に組み込まれている)過干渉に見えるが、途上国への場合にも、容易に予防的ケアへアクセス出来るような仕組みが必要。 4章要約 途上国の子どもの学力が低い理由は、学校へ通わないことや公立学校の教育の質の低さ、エリート主義的な学校制度にある。 いい成績を取ること、高収入の職に就くことへ過度な期待をするのではなく、基礎学力・中核的な能力に焦点を絞ることが重要。 5章要約 途上国の出生率が高いのは、親が子に社会保障的役割を期待するため。(女児が生まれても、男児を期待して出産を繰り返す傾向にある)親の所得が増えると出生率は低下する。 6章要約 貧しい家庭がリスクの分散として行うこと ・多数の業種で働く ・複数箇所の農地を持つ ・家族の一部が出稼ぎ ・家族の分散(隣の村へ娘を嫁がせる) ・コミュニティ内の助け合い ただし、リスクを回避しようとしすぎるため効率が下がる 7章要約 多くの銀行がマイクロファイナンスをやらない理由は、借り手が債務不履行になった場合のリスクを回避するため(不履行になった場合に差し押さえできるほどの担保を貧しい人は持っていない)、少額の融資の場合は融資費用が高くつくため。 マイクロファイナンスは、利用者の生活に変化を与えるがあくまでも貧困削減の手法の一つにすぎない(貯蓄や将来設計の意識づけにはなるが、新規事業を行うなど革命的な変化は少ない)。 8章要約 貧しい人の貯蓄手段はさまざま(家を少しずつ作る、共同体を利用して貯金等)。銀行を使わない理由は手数料が高いため(銀行側は手数料が高くないと少額口座の管理コストがとれない・利益にもならない)だが、テクノロジーを利用することでそれは解決できるかもしれない(ex.M-PESA)。 9章要約 マイクロファイナンス等の少額融資や少しの支援で貧しい人は新しいビジネスや意識の変化を起こせるが、大半が稼ぎの少ない小さな事業を営んでいるという問題点もあり、工場での雇用等安定した賃金の高い仕事の方が生活レベルを引き上げる。 工場等による安定した雇用機会を増やすには、大都市だけでなく地方にもインフラや金融リソースを整える必要がある。 ランダム化対照試行を用いて、現場で実際に起きている事象やその要因について分析されているのが面白い。 徹底的な援助介入or自由貿易という極端なものではなく、国や地域の特徴に沿って物事を見ながら地道に進めることの重要性が述べられている。
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まとめ 経済学は大きな立場を表明してきた ex)資本主義の是非 ところで世の中の公的政策には、上手く機能していないものが多く存在している。 なぜ機能していないかというと、政策担当者は脳内のイメージにのみ頼って政策を作っているからだ。 経済学は、このような政策1つ単位をよくデ...
まとめ 経済学は大きな立場を表明してきた ex)資本主義の是非 ところで世の中の公的政策には、上手く機能していないものが多く存在している。 なぜ機能していないかというと、政策担当者は脳内のイメージにのみ頼って政策を作っているからだ。 経済学は、このような政策1つ単位をよくデザインするために有効な道具である。 思い込みで政策を考えるのではなく、上手く行くためにはどうすればいいか分析することができる。 具体的には、国民に行動してもらうためにはどのようなインセンティブをつければいいかを考えることができる。
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10/14ノーベル経済学賞を受賞 貧困研究は、ここまで進んだ!世界の貧困問題をサイエンスする新・経済学の一冊。
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すごく面白い 6章まで読んだが、残念ながら返却期限が来たので、返却。 7/27 読了 重要な教訓 1.貧乏な人は重要な情報を持っていないことが多く、間違ったことを信じていることがある。 2.貧乏な人は、人生についてリスクを背負いすぎている。 3.一部の市場が貧乏な人に提供され...
すごく面白い 6章まで読んだが、残念ながら返却期限が来たので、返却。 7/27 読了 重要な教訓 1.貧乏な人は重要な情報を持っていないことが多く、間違ったことを信じていることがある。 2.貧乏な人は、人生についてリスクを背負いすぎている。 3.一部の市場が貧乏な人に提供されないのは、やむを得ない場合もある。技術的なイノベーションが、この問題を解決または緩和することもある。 4.貧乏な国は社会制度がうまく機能していない場合が多いが、それは運命ではなく、政策の欠陥によるものであり、3つのi 無知ignorance, イデオロギーideology, 惰性inertiaのせいである。しかし、社会制度全体を改革しなくても、部分的制度改革で効果が上がることもある。 5.人の能力に対する期待(ないし期待の欠如)は、自己実現的予言になることがある。どうせできないというような考え方は、できないという結果を生む。成功例を提示してみせることが有効。
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内容が難しく、調査結果も割と詳細に書かれているので、研究材料としてもある程度は活用できるかと思われる。
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貧乏人が貧乏であり続け、豊かな人が豊かになれる社会構造が理解できる。 人はカロリーの高さで食べ物を選ぶのではない。そのため餓死が起きる。 貧乏な人は重要な情報を知らない。 人生の多くの側面に責任を背負っている。すべて自分で決断しないといけない。やらないといけない。 貧乏だとサービ...
貧乏人が貧乏であり続け、豊かな人が豊かになれる社会構造が理解できる。 人はカロリーの高さで食べ物を選ぶのではない。そのため餓死が起きる。 貧乏な人は重要な情報を知らない。 人生の多くの側面に責任を背負っている。すべて自分で決断しないといけない。やらないといけない。 貧乏だとサービスが受けられなかったり、不利な価格になる。 貧乏だから失敗確実ではない。
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面白かった!薄暗い装丁だったのでどんよりした気分にさせる本なのかと思ったら、すっごい前向き。医者が患者に問診するみたいに、色んな角度からのヒアリングと施策と経過観察が繰り返し続く。しかし文章がとにかく長いのが玉に瑕。この粘り強いというかしつこい程の慎重さはどっかで?と思ったら、末の賛辞にピケティの名前があってやっぱりーと思う。各論より後ろの訳者評と総論から読んだ方が分かりやすいかなあと思った。 ・正しい知識と情報が必要 ・「正しい」判断のデフォルト選択肢が重要 ・初期に無料提供した方がトータル安上がりの場合もある ・制度の改良によって改善できることは実は多い ・希望を持つこと、達成感を得ることが好循環の始まり 貧乏人に向けて、というのもあるけど自分のことを言われてる気がしてくるのが不思議。
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