居心地の悪い部屋 の商品レビュー
うっすら気持ち悪くなる短編集。サスペンス、ミステリー、SFっぽいのをごちゃ混ぜにした感じで、結末も真実はどうなったかを読者に委ねるような短編が多く、考察のしがいがあって面白かった! 個人的に帯の謳い文句、は……ちょっと、誇大広告かな……笑 個人的には"へべはジャリを殺す...
うっすら気持ち悪くなる短編集。サスペンス、ミステリー、SFっぽいのをごちゃ混ぜにした感じで、結末も真実はどうなったかを読者に委ねるような短編が多く、考察のしがいがあって面白かった! 個人的に帯の謳い文句、は……ちょっと、誇大広告かな……笑 個人的には"へべはジャリを殺す"と"チャメトラ"と"来訪者"が特にお気に入り。
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最近マイ大注目の岸本佐知子さん編集海外小説短編集。読んでうっすらと不安な気持ちにさせるような作品を集めており、読者に少しでも居心地が悪くなるような気持ちにさせたら勝利です。 結果、しっかり不穏な気持ちになる作品が多々ありました。ホラー映画のように読んでギャーっっとなるナイトメア的...
最近マイ大注目の岸本佐知子さん編集海外小説短編集。読んでうっすらと不安な気持ちにさせるような作品を集めており、読者に少しでも居心地が悪くなるような気持ちにさせたら勝利です。 結果、しっかり不穏な気持ちになる作品が多々ありました。ホラー映画のように読んでギャーっっとなるナイトメア的(1作だけはそう感じましたが)ではなく、なんとなく不安、不穏な空気を孕んだ小説の祭りでした。 ルイス・アルベルト・ウレア氏の「チャメトラ」、アンナ・カヴァン氏の「あざ」は好み。
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12編の短編集。この中ではアンナ・カヴァン『あざ』、ルイス・ロビンソン『潜水夫』が印象に残った。今まで出会ったことのない作家の作品にもふれ、さすがの岸本さんです。
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ゾワゾワとする気味の悪さがあった。 ホラーとも違うしこの不気味な感じはクセになる。 『あざ』『来訪者』『ささやき』『ケーキ』の、 最後どうなっちゃったのと読んでから言わずに居られない結末が面白い。 何作品かは解説を読んでもやっぱりよく分からない話だったけど、そのよく分からなさが個...
ゾワゾワとする気味の悪さがあった。 ホラーとも違うしこの不気味な感じはクセになる。 『あざ』『来訪者』『ささやき』『ケーキ』の、 最後どうなっちゃったのと読んでから言わずに居られない結末が面白い。 何作品かは解説を読んでもやっぱりよく分からない話だったけど、そのよく分からなさが個人的に気持ち良かった。 黒いユーモアも多く、その面白おかしさが一層気持ち悪くさせていて、それが気持ちいい読後感を抱かせた。 『来訪者』は電話の相手が両親なのだけど、自分の知っている両親と違う気がする…あの人たちは誰?…と追いながら何かすごく不安で居心地の悪いいやな錯覚を持ちました。 『ケーキ』については、よく分からないまま始まりよく分からないまま終わった。不思議と爽快感があって楽しめた。犬と猫についてもおかしいけど「わたしは丸々となりたかった」からはじまり、だからケーキを買い込んで部屋の一周にケーキの棚を並べたという前提からして狂っている。そこにきて猫と犬が窓の外から二匹並んでずっと見てる、あいつらに見られてるから食べられない…という感じで物語が進んでいくけど、どこからつっこめば良いのやらといった感じで愉快なお話だった。そもそも読んでいてほんとうに猫や犬なの?と思うけど、丸々となりたいからケーキを部屋に並べるという時点でよくわからんし…あぁもう楽しい! 『潜水夫』は中でもお気に入りの作品。 スクリューに何かが絡まり船が動かなくなってダイバーに仕事を頼む話だけど、この頼んだダイバーが仕事を終えてからなかなか帰ろうとせず妻に言い寄るお話。いつ潜水夫が豹変しないか寝取られないかとピーターともども不安にさせられた。潜水夫の冗談がどこまで冗談かが分からず、ページを捲るたびにハラハラした。それにしてもこの潜水夫が本当にしつこい。途中で主人公のピーターに出来心が芽生えて殺しそうになるのだけど、それを武器になかなか帰ろうとしない。潜水夫のねっとり感に読んでいてイライラさせられながらも不思議と不快ではなくて、むしろ早く帰れという気持ちに同居した居心地の悪いながらもクセになる心地良さが満足の作品だった。 なんだろうか。この作品は読者に話の外でも想像を膨らませようとしてくる。 だから読んだあとも脳裏にあのとき読んだ感覚や気持ちが残っていて、何度も反芻させてくる。 居心地の悪さがありながらも読ませるのは、そういうところだと思う。 バッドエンドともホラーとも鬱とも違う。 暗くも怖くも悲しくもない。 でも背筋がゾゾゾっとくる、そんな読後感を求める人にはおすすめの作品です。
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文庫版に収められなかった「来訪者」は「元気で大きいアメリカの赤ちゃん」の作家さんかぁ。ザワザワするねぇ〜。
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で、どうなったの? 解説してほしい。・・とモヤモヤします。 「ささやき」とか「来訪者」は特に。 「潜水夫」はクセの強いオヤジを懲らしめたくなるピーターの衝動があるあるですが、その後の展開がヒヤヒヤでまさにお題目通りでした。
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20161101 表紙とタイトルに惹かれて読んだが、本当にただ居心地の悪くなる話が多かった。自分で言うのもどうかと思うが、わたしを持ってしてもこれほど「非倫理的でシュール」な短編集には出会ったことがない。そして面白いかと聞かれると、オチがなくて戸惑う
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据わりの悪い、ぐらぐらした赤ちゃんの首のような短編集。 不安になる。 冒頭、「へべはジャリを殺す」のなんとも不穏で、それでいて共犯めいた二人の関係がいい。 どれもこれも粒ぞろいの気味の悪さ。 「来訪者」が一番気持ち悪かったかも。 「えっ?ど、どうなったの!!」て思った……
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奇妙な物語の奇妙な設定って、言葉を尽くして説明されればそれでも腑に落ちるとは思うんです。あ、そういう変な設定の世界観なのね了解ですー、って。 ところが本作に収められた短編達は、そんな世界観の説明を一切していません。不親切なくらいに言葉を尽くしません。容赦ないくらいに、読者に無理解...
奇妙な物語の奇妙な設定って、言葉を尽くして説明されればそれでも腑に落ちるとは思うんです。あ、そういう変な設定の世界観なのね了解ですー、って。 ところが本作に収められた短編達は、そんな世界観の説明を一切していません。不親切なくらいに言葉を尽くしません。容赦ないくらいに、読者に無理解のままで奇妙な世界観に興じることを求める作品群です。 「何これ意味わかんないんですけど」 と徹底的に白けるか、 「何これ意味わかんない面白い!」 と理解できないことそのものを楽しめるか。 読む人を選ぶというよりは、読む人の読書の楽しみ方のメジャーが試される作品と言えるかもしれません(どっちが正しいとか優劣があるとかいうことではなく)。 うーん、本ってほんとに色々あって楽しいね〜(浅 【内容まとめ:とも言えないような箇条書き】 ◉へべはジャリを殺す…まぶたを××男、××××男。延々と続く、理不尽な暴力の予感。 ◉チャメトラ…銃撃で友人の頭にポッカリと空いた穴からポロポロとこぼれ落ちる夢と記憶、それを食べる俺と犬。 ◉あざ…優秀なのに、決して一番にはなれない彼女と同じあざが、何故「地下牢に幽閉された人物」の手にあったのか。 ◉来訪者…いっこうに到着しない両親に何が起こったのか? ◉どう眠った?…2人の男が延々と自分の見た夢を建造物に見立てて会話する。 ◉父、まばたきもせず…義理の娘の死体を埋める男の話。 ◉分身…ある朝、目をさますと、足が取れていた。 ◉潜水夫…故障した船の修理のために助けを依頼した男との暴力の予感を秘めた駆け引き。 ◉やあ!やってるかい!…って言ってるだけの青年の末路。句点のないリズム感は、ジョギングのリズム? ◉ささやき…俺のいびきはどうやらうるさいらしい。恋人に指摘され、確認のために寝ている時に録音をすることにしたが、テープに収録されていたのは、何者かの「ささやき」だった。 ◉ケーキ…まんまると太るために、部屋の壁にケーキを並べた女が直面した思わぬ障害。 ◉喜びと哀愁の野球トリビア・クイズ…野球を題に取ったホラ話。
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ある部屋の一室であるとか航海中の船であるという物理的な閉塞感と、「もう逃げられないのだ」という精神的な閉塞感の両方に打ちのめされて、脳からサーッと冷えてくる感覚がした。題名通りどのお話も抜群の居心地の悪さで、読書前に元いた世界から景色は全く変わらないのだけど少しずれた所へ連れて...
ある部屋の一室であるとか航海中の船であるという物理的な閉塞感と、「もう逃げられないのだ」という精神的な閉塞感の両方に打ちのめされて、脳からサーッと冷えてくる感覚がした。題名通りどのお話も抜群の居心地の悪さで、読書前に元いた世界から景色は全く変わらないのだけど少しずれた所へ連れてこられてしまった感じがして、今もまだ居心地が悪い。特に好きだったのは「来訪者」「やあ!やってるかい!」。文章の雰囲気の明るさと起こっている出来事の不気味さのギャップが余計に心許ない気持ちにさせてくれた。
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