The Indifference Engine の商品レビュー
羊水の中で溺れてるみたいな気持ち悪さがありながらも、「かぁぁぁぁっこいい!!!」と唸りたくなる、劇場感。死がすぐ側まで、いやそれどころか内側まで、入り込んできているのに、まるで生まれ変わりの準備をしているみたいな安心感を感じるというか。中毒性高い。もっと生きてもっと多くの作品を残...
羊水の中で溺れてるみたいな気持ち悪さがありながらも、「かぁぁぁぁっこいい!!!」と唸りたくなる、劇場感。死がすぐ側まで、いやそれどころか内側まで、入り込んできているのに、まるで生まれ変わりの準備をしているみたいな安心感を感じるというか。中毒性高い。もっと生きてもっと多くの作品を残してもらいたかった…。表題作のThe Indifference Engineが一番好き。争うために歴史がいる。人を殺して死ねと教えたお前らが助け合えとのたまう。じょおおおおおだんじゃない!という不条理はそこらじゅうに転がっている。
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夭折の作家伊藤計劃。その短編群がコンパクトかつ網羅的な形で読める本書。SF評論家、岡和田晃の解説も加わり、ノイタミナの劇場アニメ企画「Project itoh」から伊藤計劃に興味を持った初心者でもマニアックな部分を分かりやすく覗くことができると思われる。今年、満を持して公開される...
夭折の作家伊藤計劃。その短編群がコンパクトかつ網羅的な形で読める本書。SF評論家、岡和田晃の解説も加わり、ノイタミナの劇場アニメ企画「Project itoh」から伊藤計劃に興味を持った初心者でもマニアックな部分を分かりやすく覗くことができると思われる。今年、満を持して公開される映画「虐殺器官」をより楽しみたいのなら、原作と合わせて読むと良いかもしれない。
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表題作と007の話が面白かった。 表題作は今のシリアと照らし合わせて。 007はメタを作品構造として取り込んだ質の良いオマージュ。 他の作品はオリジナルの影響から抜け出しきれてない感じ。執筆順がどうなっているか分からないけど、作風のオリジナリティ獲得の軌跡として読むと面白い? こ...
表題作と007の話が面白かった。 表題作は今のシリアと照らし合わせて。 007はメタを作品構造として取り込んだ質の良いオマージュ。 他の作品はオリジナルの影響から抜け出しきれてない感じ。執筆順がどうなっているか分からないけど、作風のオリジナリティ獲得の軌跡として読むと面白い? この先にハーモニーや虐殺器官があるわけで、その2点をつないだ延長線上に必ずあるはずだった傑作を読めないのが本当に惜しい。
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伊藤計劃さんの『虐殺器官』を読んだ時の興奮を今も憶えている。 続く、『ハーモニー』の緊迫感も忘れない。 本書は、その伊藤計劃さんの短・中編集で、『虐殺器官』の世界観を現す作品も含まれる。もちろん既視感がつきまといはするが、この既視感が無いと本書は楽しめないと思う。 最近、...
伊藤計劃さんの『虐殺器官』を読んだ時の興奮を今も憶えている。 続く、『ハーモニー』の緊迫感も忘れない。 本書は、その伊藤計劃さんの短・中編集で、『虐殺器官』の世界観を現す作品も含まれる。もちろん既視感がつきまといはするが、この既視感が無いと本書は楽しめないと思う。 最近、書店に行けば必ず伊藤計劃さんのコーナーが確保されており、嬉しく思うが、ご本人が亡くなっているので、伊藤計劃作品をめぐる評論合戦になってしまうのが少し寂しい。
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『The Indifference Engine』 圧倒的に生々しくグロテスク。読んでいてつらいけれど引き込まれる。部族対立による戦争が終わり、平和のために部族間の差異を認識できなくなる脳処置を受ける少年兵。そんな方法で憎悪は、戦争は止められるのか。 『セカイ、蛮族、ぼく。』 ...
『The Indifference Engine』 圧倒的に生々しくグロテスク。読んでいてつらいけれど引き込まれる。部族対立による戦争が終わり、平和のために部族間の差異を認識できなくなる脳処置を受ける少年兵。そんな方法で憎悪は、戦争は止められるのか。 『セカイ、蛮族、ぼく。』 コミカルで妙にインパクトがある短編。冒頭から笑う。 『From the Nothing, With Love.』 これも凄みがある。英国の凄腕スパイの人格が死後も他人の脳に移植され引き継がれ代々活躍している。悍ましい技術によりコピーされる『私』は、任務の中で自身の意識への疑いを深めていく。コピーの繰り返しにより、スパイとしての行動様式と振る舞いこそ主になり自身の意識が不要になっていくというのは面白い。
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一見して「ありえない」世界を作り出し、それを「ありえる(かもしれない)」と思わせることができるもの。SFというジャンルを仮にこのように定義するならば、伊藤計劃は、SFがもつ威力を思い知るのにもっとも適した作家のひとりだと思う。 「嘘ではない。だがな、お前が教えられてきたのは、戦...
一見して「ありえない」世界を作り出し、それを「ありえる(かもしれない)」と思わせることができるもの。SFというジャンルを仮にこのように定義するならば、伊藤計劃は、SFがもつ威力を思い知るのにもっとも適した作家のひとりだと思う。 「嘘ではない。だがな、お前が教えられてきたのは、戦争が始まってからSDAがまとめた歴史ではあるんだ。戦うには歴史が必要だ。俺たちが戦う拠り所となり、奴らと俺らとを隔てるのに必要な歴史がな」 「戦争のために、嘘の歴史を作ったんだろ」 たとえばこれは、表題作の中のやりとり。 小説で描かれるものを何でもかんでも現実世界と結びつけようとするのは野暮な読み方かもしれないけれど、この台詞に、いまの自分たちはまったく思い当たりがないとは言えない。この小説の「ありえない」世界と、いまの自分たちが生きる現実世界は、まったく関係がないとはもちろん言えない。 この小説にはいちいち微細に描写した残酷表現が無数にある。倫理的に、どうしたって目を背けたくなるような表現がある。まさに「ありえない」と言いたくなるような。でも、残念ながら、この小説で描かれる世界は現実に「ありえる」のだろう。それも意外とすぐ近くにあるのかもしれない。 …とかなんとか、いろいろ考えることのできるSFらしいSF。
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短編の色んなところに長編の要素。 from the nothing, with loveで出てくる博士がアクロイド博士、会話で出てくるアガサクリスティーににやり。
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『女王陛下の所有物』で007の解釈にヤラレタ!!という感じになります。 難解なものもありますが、どれもこの世代の感覚が研ぎ澄まされた結晶とも言うべき短編集です。 つくづく早世されたのが惜しい方だと思います。
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表題作The Indifference Engine と From the Nothing,With Love は面白かった。しかし虐殺器官とハーモニーに比べると、全体的に文章表現が劣っていると感じた。ちょっとテーマや構成に凝りすぎているのと、ここまで難解だとだいぶ読者が絞られる...
表題作The Indifference Engine と From the Nothing,With Love は面白かった。しかし虐殺器官とハーモニーに比べると、全体的に文章表現が劣っていると感じた。ちょっとテーマや構成に凝りすぎているのと、ここまで難解だとだいぶ読者が絞られるだろうなあという印象。
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ボンドとスナッチャーと グレイフォックスと蛮族とワトソンと。 コジプロ作品に関係する2つはどちらも興味深く、特にスナッチャーは面白かった。先に虐殺器官を読んだので、読み比べる楽しさもあった。 蛮族の短編は文章を怒りと憎しみを感じる程にまたそれが面白いなと感じた。 ボンドの話...
ボンドとスナッチャーと グレイフォックスと蛮族とワトソンと。 コジプロ作品に関係する2つはどちらも興味深く、特にスナッチャーは面白かった。先に虐殺器官を読んだので、読み比べる楽しさもあった。 蛮族の短編は文章を怒りと憎しみを感じる程にまたそれが面白いなと感じた。 ボンドの話としては伊藤計劃らしさというものがチラチラと垣間見れ、個人的には凄く好きだ。 屍者の帝国は、すべて読んでから感想を書こう。 楽しみだ。
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