エムブリヲ奇譚 の商品レビュー
迷い癖のある旅本作者・和泉蝋庵が、知られざる温泉や古刹を求めて諸国を訪ね歩く話。 浮世離れした蝋庵先生の美しさと言動、荷物持ち耳彦の人間臭さが物語をより幻想的で残虐的にしているよう。 「ラピスラズリ幻想」「「さあ、行こう」と少年は言った」が好き。 続きもぜひ読みたい。 それと装...
迷い癖のある旅本作者・和泉蝋庵が、知られざる温泉や古刹を求めて諸国を訪ね歩く話。 浮世離れした蝋庵先生の美しさと言動、荷物持ち耳彦の人間臭さが物語をより幻想的で残虐的にしているよう。 「ラピスラズリ幻想」「「さあ、行こう」と少年は言った」が好き。 続きもぜひ読みたい。 それと装幀が素晴らしい!装画、栞紐がすごく凝ってる。 読後装画をじっくり見ると、なるほどと頷ける。
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迷い癖のある和泉蠟庵の浮世離れした美しい容貌と物言いが、物語を盛り上げる一方、耳彦のとても現実的でいい加減な暮らしぶりが旅先での出来事をますます怪しく感じさせます。 どの話でも、人の本性・本能を思い知らされるけど、蠟庵の存在がそれを重たく感じさせなくて、とても読みやすかった...
迷い癖のある和泉蠟庵の浮世離れした美しい容貌と物言いが、物語を盛り上げる一方、耳彦のとても現実的でいい加減な暮らしぶりが旅先での出来事をますます怪しく感じさせます。 どの話でも、人の本性・本能を思い知らされるけど、蠟庵の存在がそれを重たく感じさせなくて、とても読みやすかった。ほとんどが一気読みでしたが、読み終えたときはこういうのが読みたかったと強く感じました。やはり私は、黒乙一さんの方が好みだと思いました。 この本は、装画も綺麗で装丁も凝っています。 スピンは、作品の雰囲気とぴったり。嬉しくてニコニコしながら読んでいました。。ホラーなのに。
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旅のガイドブックの著者の和泉蠟庵。かなりの方向音痴のため、かならず旅の随行者兼荷物持ちをお供に。 その旅の中で起こる不可思議な現象を随行者の視点で書いた短編集。 ちょっと気味が悪い、ゾッとするような話、若干想像すると...な内容もあるのでご注意あれ(^◇^;)
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なんかこう、かゆい所に手が届かない。悲惨にするなら悲惨で、もやもやさせるならもやもやで、良い話にするな良い話にすればいい。でもなんかどっちつかずというか。面白くなかった、とまでは言いませんが、面白いとも言い切れない。なんかこう、すっきりしない。
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度を越した迷い癖のある蝋庵先生が、とてつもなく魅力的でした。 一遍一遍のお話が幻想的で残虐的で、でも最後には救われる。 読み進むうちに彼らがとても愛おしくなりました。 最後の『「さあ、行こう」と少年が言った』のお話が一番好きでした。そんな風に手を引いてくれる彼だからこその魅力...
度を越した迷い癖のある蝋庵先生が、とてつもなく魅力的でした。 一遍一遍のお話が幻想的で残虐的で、でも最後には救われる。 読み進むうちに彼らがとても愛おしくなりました。 最後の『「さあ、行こう」と少年が言った』のお話が一番好きでした。そんな風に手を引いてくれる彼だからこその魅力なんだろうな、と読後は爽やかです。
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乙一の別名義と最近知った。怪談のペンネームかな。 今作も面白かった。すげー好き。 前作読み直してみよかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
書店のPOPにて乙一さんの別名義と知り、読んだ。 なんで乙一すぐペンネーム変えてしまうのん、と思わずにいられない。自分のチェックが甘いからいけないのか。 江戸時代を舞台にした旅を巡るすこしふしぎホラー連作集。 ホラーという体で読むにはグロかったりぞっとしたりする要素は薄目だとは思うが、決して後味がよくはない連作。 連作の中心人物となる和泉蝋庵は、迷い癖のある旅本作家。この人物と一緒に旅をすると、何故かかなりの確率でとんでもない所に迷い込んでしまう。気の進まないまま何度か供をした耳彦は、そのたびことごとく奇妙な目に遭う。そんな二人が旅先で遭遇する怪異が主だが、何本かは二人のどちらかを別の人物の視点から見た描写で展開。その形式をとった「ラピスラズリ幻想」と「「さあ行こう」と少年は言った」は乙一さんらしいすこしふしぎ、そして切ないという特色がよく出ている。 怪談専門誌「幽」にて発表したものをまとめたものということだが、この設定でまだまだ続けられそうなので、是非続けて頂きたい。
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趣味はたき火。に毎回笑いそうになるからやめろ。 内容も好きだがなんといっても装丁!今話題の名久井さんが装丁だったのだが、栞紐も山本タカトの絵も遊び紙(だったかな?)も質感もすばらしい!装丁もよくないと、なかなかハードカバーは買いづらい。 迷子癖のある旅本作者和泉蝋庵とのふしぎ...
趣味はたき火。に毎回笑いそうになるからやめろ。 内容も好きだがなんといっても装丁!今話題の名久井さんが装丁だったのだが、栞紐も山本タカトの絵も遊び紙(だったかな?)も質感もすばらしい!装丁もよくないと、なかなかハードカバーは買いづらい。 迷子癖のある旅本作者和泉蝋庵とのふしぎな道中の連作短編集。 怪談風味だが、著者らしいコメディ要素がちょこちょこ入っているので、所々笑いをこらえるはめになった。楽しい思い出のない耳彦の呟きとか禿達磨とか。 怪談話はゾッとするし、残虐的な描写もあるが、不遇に苦しめられる人間への愛が感じられるから、印象はやさしい。一番好きなのはやはり、最後の『「さあ、行こう」と少年が言った』かな。 ……でも、私は蝋庵先生の道中にご一緒したくはないなあ。 小豆ちゃん……(´;ω;`)ウッ
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素直に面白い。本を読むということの楽しさを素直に感じさせてくれる一冊。それは、昔々幼稚園で先生が読んで聞かせてくれた物語に胸をときめかせて耳を澄ませる子供に戻ったような気分である。ちょっと不思議でちょっと怖くて、続きが気になって仕方ない、というあの気分。絶妙の語り口で語られるこの...
素直に面白い。本を読むということの楽しさを素直に感じさせてくれる一冊。それは、昔々幼稚園で先生が読んで聞かせてくれた物語に胸をときめかせて耳を澄ませる子供に戻ったような気分である。ちょっと不思議でちょっと怖くて、続きが気になって仕方ない、というあの気分。絶妙の語り口で語られるこの物語は、どれもこれも奇譚集というタイトルに偽りなし。 迷い癖のある和泉蠟庵と荷物持ちの耳彦が様々な村に迷い込んで出会う不思議な物語が綴られているわけだが、この2人をはじめとして、登場人物のキャラクター造詣がひどくうまい。基本的に弱者の視点に立って語られる物語は、時におぞましくも、読後の印象はひどく優しい。 さすが、としか言いようがない。 ほんと、天才。今さらながら、ほんと、稀有な才能だ。
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結構前の新刊ですが、タカト表紙に惹かれて以下帯あらすじ。 「この迷い癖、度をこえています」どんな本でも紹介されていない温泉や古刹を求めて、『道中旅鏡』の作者・和泉蝋庵は諸国を訪ね歩く。しかし、これまで予定通りに目的地へ着いた試しはない。その理由は蝋庵の凄まじい迷い癖にある――。...
結構前の新刊ですが、タカト表紙に惹かれて以下帯あらすじ。 「この迷い癖、度をこえています」どんな本でも紹介されていない温泉や古刹を求めて、『道中旅鏡』の作者・和泉蝋庵は諸国を訪ね歩く。しかし、これまで予定通りに目的地へ着いた試しはない。その理由は蝋庵の凄まじい迷い癖にある――。仲間とともにたどりつくのは、極楽のごとき温泉地か、はたまたこの世の地獄か。 店頭ポップに書いてあったからこればらしていいんだよね?ってことで山白朝子=中田永一=乙一で、中田さんや乙一さんから推薦文があったり(笑)。タカト装丁で栞紐が三色糸でサイン入りで奇妙な道中記で乙一。久しぶりに値段も見ずに迷うことなくレジ一直線。結果大当たり。うーん面白い。夏彦の巷説シリーズにかなり近いものがあるけれど、基本的に絶望色(笑)の夏彦作風と基本的に救済色の山白作風の差異がここでもはっきりと。道中もので、行く先々での奇妙な体験の一話完結シリーズなので、印象は同系列なのだけど、ボリュームも全然違うし、巷説は奇妙な体験のからくりを逆手にとって真相を暴く的な感じだけれど、こちらは本当に奇妙な所へ行きついてしまうだけなので、どちらかというとガリバー旅行記といった感じか。その中で描かれる人間の業の深さや救われなさ、矛盾の中の滑稽さや優しさの読後感は悪くない。夜読み始めて止まらなくて、久しぶりに最後まで一気に二時間くらいで読み切った。そういえば自分巷説の一番新しいの読んだっけ…?
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