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晴天の迷いクジラ の商品レビュー

3.9

389件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2019/10/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

うつの青年、幼い我が子を捨てて逃げた女、母親の呪縛から逃れられない少女。 死をも決意する程思い悩む三人は共に、小さな湾に迷い込んだクジラを見に行く。 仲間とはぐれ疲れはてて迷い込んだクジラに自身の身の上を重ねながら。 「答えなんかすぐに出ないことは知っているのに、またつかまってしまう。心をぎゅっとかたくしていないとすぐにつかまる。ぐるぐるとした同じ迷路。迷っているのはクジラと同じ」 そんなかたい心を解きほぐしてくれるセリフ 「なーんにも我慢することはなか。正子ちゃんのやりたいようにすればよか。正子ちゃんはそんために生まれてきたとよ」 優しい微笑み、ふんわり包み込んでくれる温かくて大きな手に、正子と一緒に私も思わず涙ぐんだ。 「ごめんなさいお母さん。私、お母さんと離れて暮らしたい」 子供からの拒絶の言葉は、親にとっては何より辛い。 けれど迷った末に下した子供の決断は親として受け止めなければならない。 子供の行く末を黙って見守ることも親の務めなのだから。 迷いクジラと共に暗い迷路を脱した三人。 完全復活とは行かないまでも、一歩を踏み出せた三人の未来に明るい予感がした。 窪さんの初期の作品。 トーンがほの暗い作品だったけれど、こんな窪さんも好き。

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2019/09/02

これまで読んだ美澄さんの中ではベストかも?由人・野乃花・正子、三人はそれぞれ最悪の環境の中、死を意識する。たった一つの希望をも奪われた時、人は絶望と追いやられるのだと分かる。各々三人のハードモードの人生は気が滅入ってくるくらい暗い。ラストは希望が射すとはいえ、それまでがしんどすぎ...

これまで読んだ美澄さんの中ではベストかも?由人・野乃花・正子、三人はそれぞれ最悪の環境の中、死を意識する。たった一つの希望をも奪われた時、人は絶望と追いやられるのだと分かる。各々三人のハードモードの人生は気が滅入ってくるくらい暗い。ラストは希望が射すとはいえ、それまでがしんどすぎるので再読はあまりしたくない。でも、いい話だと思うし、各々が生きていくことに折り合いをつける加減が良い。気になる性描写も全然自分的許容範囲。ただ何となく後半から由人のキャラが急に変わってきたような気がするのが気になるかな...

Posted byブクログ

2019/08/14

直近読んだ悼む人に比べ、こんな死生観ならまだ受け容れらる。偏愛犠牲者に対し希望の持てる形で終わって何よりです。

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2019/08/13

デザイン会社で働く青年と社長、 神経質な両親に育てられた少女が湾に迷い込んだクジラを見に行く話。 3人はそれぞれ死にたくなるような暗い気持ちを抱えているけど、 出会って、旅をして家族のように過ごす中で少しずつ解けていく。 それぞれの暗い気持ちで読むのがつらくなることもあったけ...

デザイン会社で働く青年と社長、 神経質な両親に育てられた少女が湾に迷い込んだクジラを見に行く話。 3人はそれぞれ死にたくなるような暗い気持ちを抱えているけど、 出会って、旅をして家族のように過ごす中で少しずつ解けていく。 それぞれの暗い気持ちで読むのがつらくなることもあったけど、 ラストは希望があってよかった。 3人がただ幸せに過ごすだけの続きを読みたいな。

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2019/07/28

最初の方で2回挫折。3回目で一気に読了。 本当の家族間のバッドコミュニケーション、見せかけの家族間のグッドコミュニケーション、のように見えるが、お互いのしがらみが増えればコミュニケーションはバッドさが増えていくだろう。 戦争で幼なじみを亡くしたけどしがらみを乗り越えたかのようなば...

最初の方で2回挫折。3回目で一気に読了。 本当の家族間のバッドコミュニケーション、見せかけの家族間のグッドコミュニケーション、のように見えるが、お互いのしがらみが増えればコミュニケーションはバッドさが増えていくだろう。 戦争で幼なじみを亡くしたけどしがらみを乗り越えたかのようなばあちゃんも、未だ米国にはバッドな感情。 バカ社長、バカ社員、引きこもりに幸あれ。

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2019/03/22

デザイン会社勤務の由人、その社長の野乃花。 死ぬ前に迷いクジラを見に行く途中、出会った高校生の正子。 3人は擬似家族として旅を続けることに。 家庭の中で追い詰められていく3人の半生は、読んでいて辛いはずなのに、ページをめくる手が止まらなかった。 ボロボロになりながらももう一度立...

デザイン会社勤務の由人、その社長の野乃花。 死ぬ前に迷いクジラを見に行く途中、出会った高校生の正子。 3人は擬似家族として旅を続けることに。 家庭の中で追い詰められていく3人の半生は、読んでいて辛いはずなのに、ページをめくる手が止まらなかった。 ボロボロになりながらももう一度立ち上がろうとする人の強さを感じた。

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2019/03/08

窪美澄さんの描く人たちって、自分のテリトリーがすごく狭そうな、どこか閉鎖的な印象。 あと、性をどこかしらに絡ませることが多い印象だけど、あまり幸せでない性の描写って否が応でもリアルを突きつけてきて、そこはなんとも読んでいて重くなった。 でも危うくて脆そうながらも、最後はみんな自分...

窪美澄さんの描く人たちって、自分のテリトリーがすごく狭そうな、どこか閉鎖的な印象。 あと、性をどこかしらに絡ませることが多い印象だけど、あまり幸せでない性の描写って否が応でもリアルを突きつけてきて、そこはなんとも読んでいて重くなった。 でも危うくて脆そうながらも、最後はみんな自分の足で、また、少しずつ歩み始めていく。皆なにかを抱えながらも歩いていく。人生そういうもの。

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2018/12/31

窪美澄さんの二作目。 勤めている会社が倒産しそうになり、恋人にも振られた由人、 たくさんのものを犠牲にして働き続け起こした会社が倒産しそうな野乃花、 母親の過剰な介入と親しくなった友人の死が原因で引きこもりリストカットを繰り返す正子。 死を考えた三人は一緒に入江に迷い込...

窪美澄さんの二作目。 勤めている会社が倒産しそうになり、恋人にも振られた由人、 たくさんのものを犠牲にして働き続け起こした会社が倒産しそうな野乃花、 母親の過剰な介入と親しくなった友人の死が原因で引きこもりリストカットを繰り返す正子。 死を考えた三人は一緒に入江に迷い込んで死に絶えそうになっているクジラを見に行くこととなる。 「ただ死ぬなよって それだけ言えばよかったんだ。」 この言葉が心に響いた。

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2018/08/30

「ふがいない~」は途中までしか読んでおらず、その時の印象は「いろんな意味でヒリヒリしてるなー」というものでした。今回も同様に3人の主人公たちは一様に人生に追い詰められていて、読んでいて決して気持ちのいいものではありませんでした。でも、気持ち悪くもなかった。どうしてかは自分でもよく...

「ふがいない~」は途中までしか読んでおらず、その時の印象は「いろんな意味でヒリヒリしてるなー」というものでした。今回も同様に3人の主人公たちは一様に人生に追い詰められていて、読んでいて決して気持ちのいいものではありませんでした。でも、気持ち悪くもなかった。どうしてかは自分でもよくわからないのですが、たぶん、彼らの抱える孤独や痛みは大なり小なり人間みな抱える普遍的なもので、彼らの不器用さや悩みは少しずつ自分にも共鳴する、から、思わず「君だけじゃないよ!」と優しい気持ちで一緒に歩きたくなる、なったから、かな・・?自分でも何を言っているのかよくわからなくなってきました(笑)えーっと、つまり、みんな人生に迷いながらも日々、頑張ってるよね、それって素晴らしいよね!ってことです!

Posted byブクログ

2018/06/12

主人公3人の背景や、その他登場人物の発言で、いろんな人生があることに気付かされます。悲しかったり辛かったりしても、他人の人生はどれも否定する権利はないものだし、自分の感情は素直に伝えていきたいです。

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