晴天の迷いクジラ の商品レビュー
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全体を通してとても印象に残る作品で、面白かった。窪美澄さんの描く人間の内面には闇がありその表現がとてもリアルで強く印象に残った。 中でも、野乃かが子どもに手をあげるシーンは怖さがあり、人の感情の不安定さや環境の影響の大きさを感じさせられた。 登場人物たちの家庭環境や周囲の人間関係は一見すると「普通ではない」と感じる部分もあったが、読み進めるうちに、それぞれに事情があり、単純に良い・悪いでは判断できないものだと思った。そこで育ったらそういう常識になるんだろうな、という気持ちで読み進めていった。 また、この作品を読んで、自分が今の環境で育てられていることは当たり前ではなく、運が良かったなと感じた。こうして本を読み、自分の考えを持てていること自体も恵まれていることだと気づいた。 自殺についても改めて考えさせられた。 親や周囲の人のことを思うと、簡単に選んでいいものではないと感じたし、自殺に限らず、過労などで自分を追い込みすぎることも含めて、そのために私を産んでくれたわけではない。頑張って育ててくれた人に「産んでよかった」と思ってもらえるように生きたいと思った。 この作品は、人それぞれの背景や苦しみを理解しようとする視点を持つきっかけになり、自分の生き方についても考えさせられる作品だった。
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最後にようやく一歩踏み出せる。 それまでずっと、どんより暗くて寂しいお話だった。 死んじゃおうかなって思う人って、 本当は幸せになりたくて、生きたい人なんだと思う。 ただ、死なないでって言ってくれる人がいて、それだけで少し心が軽くなる。 苦しみはそう簡単には軽くならなくても...
最後にようやく一歩踏み出せる。 それまでずっと、どんより暗くて寂しいお話だった。 死んじゃおうかなって思う人って、 本当は幸せになりたくて、生きたい人なんだと思う。 ただ、死なないでって言ってくれる人がいて、それだけで少し心が軽くなる。 苦しみはそう簡単には軽くならなくても、寂しくても、生きてみる。
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それぞれが抱える悩みは違うけど、最後に繋がり未来に向けて進んでいく展開。 本当に大事なものって何か考えさせられました。
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うつ病、育児放棄、リストカット。登場する人物はそれぞれ問題を抱えている。ひょうなことから家族のような時間を過ごすことになる。あるクジラを見る為に。ひたむきに生きる姿に共感した。興味深く読ませて頂きました。
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母から愛情を注がれず、恋人と別れた鬱病の由人。18歳で子どもを産んで完全ワンオペ育児が耐えられなくなり子どもや家族を捨てた野々花。過干渉の母に耐えられなくなった16歳の正子。その3人が座礁したクジラを見るために共に行動する。それぞれが違う境遇なので、分かり合えることはないが、死なないように小さな手伝いをし合う。捨てた野々花の娘や旦那。正子と両親とのその後。気になる。由人は元カノと最後に玉砕したので、頑張ってくれという感じ。
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皆それぞれいろんな事情があり、複雑に絡まり合った結果「死にたい」という結論に至ることがある。 「死にたい」という感情と「生きなきゃ」という二つの感情で揺さぶられている人間模様が読んでいてなんとも言えない気持ちになった。 自分も時々「死にたい」と思うこともあるし「何故生きなきゃならないのだろうか」と考えてしまうこともあるが、「生きている」といつことにもしかするとなにか意味があるのかもしれない。いや、意味など鼻からないのかもしれないが。 「どうせ死ぬならクジラを見てからにしよう」という、作中の突拍子もない由人の発言が妙に心に残った。
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彼女に振られ、仕事の忙しさから鬱病になり メンタルクリニックに通う、田宮由人。 自分の会社を倒産させてしまった、 由人の会社の社長、野乃花。 神経質な母親に過干渉され、心身を病み、 リストカットをする正子。 人生に疲れ、絶望した3人が 湾の中に迷い込んだ鯨を見に行く。 3人が歩...
彼女に振られ、仕事の忙しさから鬱病になり メンタルクリニックに通う、田宮由人。 自分の会社を倒産させてしまった、 由人の会社の社長、野乃花。 神経質な母親に過干渉され、心身を病み、 リストカットをする正子。 人生に疲れ、絶望した3人が 湾の中に迷い込んだ鯨を見に行く。 3人が歩んできた人生は、なかなかしんどい。 長兄と妹を溺愛し、母親の愛情を受けられ なかった由人。18歳で出産し、子どもを 捨てた野乃花。生後まもなく姉が亡くなり、 異常な神経質となった母から、過干渉される 正子。 湾に迷い込んだ傷ついた鯨と、 彼らの姿が重なる。 必死で湾から逃れようとする鯨、 町ぐるみで鯨の脱出を試みようとするのだが、 傷を負った鯨はなかなか湾から出られない。 湾を出ても、鯨の生存率は半分半分らしい。 だが鯨は、やがて自力で湾を出てゆく、 雄叫びを上げながら。 由人たちの現状は、今のところ何も解決は していない。 『だけど僕は死なない。たぶん』 ラストの由人のセリフに、生きてゆく覚悟を 感じた。 きっと、大丈夫だ、 由人たちも、あの鯨も。
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晴天の迷いクジラ 「ふがいない僕は空を見た」が良かったので次の作も読んで見ました。 窪さんは人物描写が是留妙にうまいです。本作は主に3人の自殺志願者が出てきますが、その3人それぞれの半生を飽きさせない程度に詳細に語られるので、あたかもその3人が知人のように思われて来ます。いつも兄と比べられて育った彼女に振られたての新人君。絵の才能ゆえに不釣り合いな結婚をし、子供を置き去りに東京に逃げて来たそのデザイン会社の女社長。母の過干渉の中で初めて出来た友達を亡くした少女。 その3人が入り江に迷い込んだクジラを見に行き、そして。 クジラを見に行った先で一見のんびりとした田舎の海岸の人たちも、それぞれに後悔と身近な死と向き合っていることを知った3人が、それぞれの再出発をなんとか始めます。 普通のコンプレックスだらけの3人に幸多かれ! 竹蔵
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図書館にて借りる、第236弾。 (神戸市図書館にて借りる、第45弾。) 絶対に死ぬな。生きているだけでいいんだ。 この一言に尽きる。 重く、読み進めるのが辛いが、悪くはない。 幾ばくかの希望を感じられたので、良しとする。 しかし、楽しい気分にはならない。
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感想 多分積読。随分昔に読んだ記憶をぼんやりと思い出しつつ読む。 生きることとそのしがらみとは?結局しがらみなんぞは人間が作り出したもの。 自由に生きればいい。そんなことを思った。 あらすじ 引っ込み思案で寡黙な由人。農家の3人兄弟の次男として育った彼は、兄や妹のように母...
感想 多分積読。随分昔に読んだ記憶をぼんやりと思い出しつつ読む。 生きることとそのしがらみとは?結局しがらみなんぞは人間が作り出したもの。 自由に生きればいい。そんなことを思った。 あらすじ 引っ込み思案で寡黙な由人。農家の3人兄弟の次男として育った彼は、兄や妹のように母親から愛情を注がれず寡黙に育った。 高校を卒業し、東京のデザインの専門学校に通い始め、ミカと出会う。お節介なミカは由人を垢抜けさせていく。 やがて小さなデザイン会社に入り、働き始めたが、三年が過ぎる頃から上手く回らなくなり、帰れない日々が続いた。祖母は亡くなり、ミカも離れていった。やがて激務で由人はウツになり、会社も倒産する。 会社の社長だった野乃花の生い立ちから、田舎の漁師町に育った野乃花は絵を描くことが好きだった。高校になり、絵画教室に通う様になって、そこの先生との間に子供ができる。政治家で資産家だった家での野乃花の居場所はなく、子育てノイローゼもあり、お金を持って家から逃げ出す。 正子は小さい頃から赤ん坊で亡くなった姉のように良い子でなければならないと母親から過干渉を受ける。高校になった頃、初めて友達が出来たが、その子が癌で亡くなり、母親の過干渉に疑問を持って引きこもりになる。ある日、外に出たところをクジラを見に行こうとしていた由人と野乃花と出会う。 3人で湾に迷い込んだクジラを眺めるうちに生きることについて考える。3人は偽の家族のフリをして近くのばあちゃんの家で過ごすうちに人間らしい生活を実感する。
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