晴天の迷いクジラ の商品レビュー
「どうせ死ぬなら、死にかけのクジラを見てからにしませんか」 生きることを諦めた三人が、死ぬ前に「小さな半島の湾に迷い込んだ一頭のクジラ」を見に行くという奇妙な旅に出る。半島で過ごした夏の数日間。三人とクジラはゆっくり海へと泳ぎ出す。 由人は気持ちを言葉にするのが苦手。寡黙な父...
「どうせ死ぬなら、死にかけのクジラを見てからにしませんか」 生きることを諦めた三人が、死ぬ前に「小さな半島の湾に迷い込んだ一頭のクジラ」を見に行くという奇妙な旅に出る。半島で過ごした夏の数日間。三人とクジラはゆっくり海へと泳ぎ出す。 由人は気持ちを言葉にするのが苦手。寡黙な父親。母親は虚弱体質の兄にばかり愛情を注ぐ。両親から愛された記憶もなく、家の中で孤独を感じていた。 野乃花は貧しい漁師の家に生まれ、絵の才能があったが美術系の学校に進学することは出来ず、母親の心臓の手術費用を工面するため 高校卒業後は就職しようと決めていた。しかし卒業間近に妊娠してしまい お腹の子の父親が資産家の息子と知った野乃花の母は堕胎をさせなかった。 正子には 生後七ヶ月で死んでしまった姉がいた。第一子を亡くしたことで 正子に対し病的なまでに過干渉となった母。母からの「お姉ちゃんみたいに良い子にならないとだめよ」という言葉、父からの「お母さんを心配させてはだめだ」という言葉に押しつぶされそうになっていた。 生まれた環境や親、自分ではどうする事も出来ない寂しさや苦しさの中で 高校までを過ごしてきた三人。それでも なんとか息のしやすい場所を求めて 自分の居場所を見つけようと努力する。 由人は 野乃花のデザイン会社でやり甲斐をみつける。 野乃花は自分の立ち上げたデザイン会社を守ろうとする。正子は初めて出来た双子の親友に 苦しい気持ちを打ち明ける。 だけど 世の中ってなんてままならない! これが窪美澄!頑張って頑張って頑張っても努力が報われない。鬱、倒産、親友の死…。 読んでいて ずっとずっと苦しくなる。 頑張りすぎちゃうんだよね。みんなができてるんだから自分もやれるはずだって。もっとやれるはずだって弱みもみせられないし助けも求められない。逃げ出せない。そういう人はある日ポキッと心が折れちゃう。 死のうとしていた由人が、同じく死のうとしていた野乃花と出くわし 何とか自殺を止めようと咄嗟に「クジラの旅」を提案する。目的地に向かう道中 野乃花は フラフラと歩いている正子を見つけ「一緒にクジラを見に行こう」と声をかける。 変な三人の変な旅だけど、半島で出会った優しい人たちとの交流や 弱っていくクジラを見守りながら 徐々に心の健康を取り戻していく。 「生きてるだけでいい」 うん。 いや、生きてるだけが難しい時もあるだろう。元の生活に戻ったらまた苦しくなる時もあるんだろう。 でもその時はまた ぽーいって面倒くさいこと投げ出して たまには人生の夏休みを取ればいいよね。 クジラ見たいな〜
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どん底に辛い3人が繋がっていく。 死ぬなよ。 最後もう少しちゃんと、だれがどういう経緯で生きようと思ったのか知りたかった。
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絵の才能 不運な運命 母の教育問題 育児放棄 仕事と彼女 金持ちと貧乏 鯨が復帰が皆の復活と結びつく
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メンタルの弱っているとき、 辛い思いをしているとき、 この本を読み始めたら、 完璧にどん底に落ちる! 人は、生まれた家庭も環境も選べない。 子供の時分は親の言葉がすべてだ。 閉ざされた世界でもがきながら、 理不尽さに耐えながら生きなければならない。 一人一人の描写がとてもリア...
メンタルの弱っているとき、 辛い思いをしているとき、 この本を読み始めたら、 完璧にどん底に落ちる! 人は、生まれた家庭も環境も選べない。 子供の時分は親の言葉がすべてだ。 閉ざされた世界でもがきながら、 理不尽さに耐えながら生きなければならない。 一人一人の描写がとてもリアルで、 感情移入をしやすいので、 読んでいて、とてもつらかった! そして、タイトルにある迷いクジラが、 3人の心に希望を与えてくれた。 メンタルが弱っている人、 辛い思いをしている人、 この本を読んで、どん底から立ち上がって!
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朝晩涼しくなって来たね♪ ってな事で、窪美澄の『晴天の迷いクジラ』 4人の主人公のそれぞれの生い立ちから現在へ繋がってく生と死を行き来をさ迷いながら、苦しみながらのお話。 人はそれぞれ苦労は有るね。 死んだらお終い。 死ぬ為に必死で生き抜くのが人生じゃな...
朝晩涼しくなって来たね♪ ってな事で、窪美澄の『晴天の迷いクジラ』 4人の主人公のそれぞれの生い立ちから現在へ繋がってく生と死を行き来をさ迷いながら、苦しみながらのお話。 人はそれぞれ苦労は有るね。 死んだらお終い。 死ぬ為に必死で生き抜くのが人生じゃなっとw 2017年36冊目
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おもしろかった! と言っていいものか。 いろんな痛みがあって でも少しずつみんなほぐれてきて よかった。
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闇を抱え、死を意識する3人の主人公が、湾に迷い込んだクジラを見に行く。そこで、あるおばあさんと孫に出会い、生へと意識を変えて行く話。ベタすぎる展開だけど、後半は泣けた。
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なかなか息苦しくなるような話だったけど、最終的にはほーってなった。 おばあちゃんの言葉が印象的。 「正子ちゃんのここには、きっとお友達もお姉ちゃんもおるとよ。正子ちゃんはその人たちの代わりに、おいしかもん食べたり、きれいなもんを見たりすればよかと。それだけでよかと。生き残った人...
なかなか息苦しくなるような話だったけど、最終的にはほーってなった。 おばあちゃんの言葉が印象的。 「正子ちゃんのここには、きっとお友達もお姉ちゃんもおるとよ。正子ちゃんはその人たちの代わりに、おいしかもん食べたり、きれいなもんを見たりすればよかと。それだけでよかと。生き残った人ができるのはそいだけじゃ。」
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親子間の愛情のもつれを色んな角度から描いた作品だった。母親の一方的で自分勝手な妄想から来る愛情を受け入れられず苦しむ少女とネグレストを受けて育った青年との対比が繊細に表現されていた。登場人物像を丁寧に描かれていて感動的な小説だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ボロボロの3人が出会って、クジラを見に行く話。自分が一番辛いとか散々な過去があるとか思っても、他人も同じように辛いことを抱えてる。他人の芝は青く見えてもその人がどういう状況で生き抜いてきたかなんて分からない。 野乃花の、周りが勝手に話を作り上げて恋を潰されたみたいな所が悲しかった。子供の時は生徒に手を出す大人の不健全さが分からないよな...。あれは立派な恋だったと思っちゃうよな。大体の女性は年上の不真面目な男に引っかかるけど、その失敗に気付くのは大人になってから。 とにかく面白かった!
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