罪悪 の商品レビュー
ドイツの弁護士さんによる、犯罪短編集第2弾。 いやはや今巻も上手いね! 「書きすぎないこと」の重要さを痛感させられる。
Posted by
刑事事件専門の弁護士が、現実の事件に材を得て描いた15の異様な物語 テレビドラマや小説なら軽く流せるけれど、現実ベースとなると、襟を正さないと。 淡々とした記述の後ろに、何年もの時間と、人生が見えてくる。
Posted by
シーラッハの「犯罪」に続く第2弾 今回は、犯罪と立件されたものも、されななかったものも含めて、その中核にある”何が罪悪なのか” という点がクールに、描き出されている。 人間の営みのなかでの、怠惰やちょっとした悪意が引き起こす悲惨な結果、運命の皮肉など、クールな描写が、本作でも...
シーラッハの「犯罪」に続く第2弾 今回は、犯罪と立件されたものも、されななかったものも含めて、その中核にある”何が罪悪なのか” という点がクールに、描き出されている。 人間の営みのなかでの、怠惰やちょっとした悪意が引き起こす悲惨な結果、運命の皮肉など、クールな描写が、本作でも効果的である。 その中でも、「清算」という一編は、どんでん返しの妙もあり、面白かった。
Posted by
前作の『犯罪』と同様、淡々とした文章が人はいつ罪を犯すかわからない怖さを表現していたように思う。ただ、前作のような冷たさの奥の温かみが感じられず、またうまく書こう、洗練させようというのが見え見えで、その部分は残念だった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
罪人になるのは簡単なのに 世界は、何も変わらない。 前作「犯罪」と同様に、弁護士である「私」が聴き及んだ事件が淡々と述べられている。 「…だった」などの過去形の「た」で終わる短い文章を多用しているのに、 なぜか読み心地は悪くはない。 今回は15の短編を収録。 「罪悪」の割には前作の方が悪を描いていたように思う。 「精算」と「秘密」が秀逸に思えた。 ドイツの刑法にも少し触れられているので、話によっては 時にやるせなく、時にはなるほどとも感じた。 ミステリ:☆☆☆ ストーリー:☆☆☆☆☆ 人物:☆☆☆☆ 読みやすさ:☆☆☆☆☆
Posted by
刑事事件専門の弁護士である著者が、実際の事件をヒントに書いた15編の短編集。前作をほぼ踏襲した形になっているようだ。 前作同様、物語の描き方もかなり断片的で、その描写についていくのにある「慣れ」が必要だったのは私だけだろうか。 突然転換する場面にいちいち自分の頭を整理しなければ...
刑事事件専門の弁護士である著者が、実際の事件をヒントに書いた15編の短編集。前作をほぼ踏襲した形になっているようだ。 前作同様、物語の描き方もかなり断片的で、その描写についていくのにある「慣れ」が必要だったのは私だけだろうか。 突然転換する場面にいちいち自分の頭を整理しなければならず、ストーリーの流れが中断するような感じになってしまうのが、今回もちょっと苦手だった。 翻訳のせいもあるのかもしれないが、著者がそのような文章表現をあえてしているのだろう。 非常に冷たく、すっと背筋が寒くなるようなストーリーがほとんどで、後味も悪い。 私には読みにくいタイプの文章なのは前作でもわかっていたことなのに、描き出されている薄暗い人間模様に奇妙にも引き寄せられ、つい手に取ってしまった。 この、癖になるような筆致、というのもこの著者の魅力なのかもしれない。
Posted by
傑作だった前作と比べると小粒になった。贅肉なしの文章、ただの傍観者である語り手のスタンスは変わらず。 帯の、“この世には、裁くことのできない「罪」がある”、が示すように、事件の顛末よりも罪の質について語ってあるように思える。そのせいか、後味の悪い話、未解決作が増えた。不穏で不条...
傑作だった前作と比べると小粒になった。贅肉なしの文章、ただの傍観者である語り手のスタンスは変わらず。 帯の、“この世には、裁くことのできない「罪」がある”、が示すように、事件の顛末よりも罪の質について語ってあるように思える。そのせいか、後味の悪い話、未解決作が増えた。不穏で不条理な世界観、しかもミステリ色は前作より薄いので、「シーラッ派」向きだと言えるだろう。前作が合わなかった場合はスルーをお勧めします。 最長編の『鍵』が一番ミステリしてたかな? 『秘密』はラストに相応しいショートショート。次回は長編とのこと。この筆致の長編がどんな風に仕上がるか、大いに期待してみたい。
Posted by
前作の犯罪ほどの深い思いを感じる事は 無かったけど、やはり、佳作。 短い話の中に、人間の寂しさ、侘しさが 常に漂っている。残虐な心も。 どこかで、何かが、ほんのきっかけで 罪深い人間になってしまう怖さ。 ドイツという舞台で起こるからか 余計に暗澹なる気持ちに なってしまうのかも。
Posted by
おもしろい!上手くできすぎた作り話では全然ない。全貌が見えて初めて「くわあ、もうちょっとこう」というもどかしさを感じるのが新鮮で、淡々とした文章からも「どうにもならなさ」が感じられる。
Posted by
独特の語り口、切り口、そして視点が衝撃的だった前作。今回も同じような短編が並び、どの作品も読み終えて余韻が残る。一気に読まずに一作一作、間を置いて味わいたい感じ。 ただ、前作より洗練された印象で、それゆえに衝撃度は薄まったかな。
Posted by