罪悪 の商品レビュー
淡々とした筆致で描かれた犯罪小説集。どこにでもいそうなありふれた人たちの起こす犯罪は、果たして特別なものなのかどうか。いつ誰の身の上に降りかかってもおかしくないのかもしれません。 お気に入りは「解剖学」。……ううむ、まさかそんな結末になってしまうとは。ちょっとしたことでありふれた...
淡々とした筆致で描かれた犯罪小説集。どこにでもいそうなありふれた人たちの起こす犯罪は、果たして特別なものなのかどうか。いつ誰の身の上に降りかかってもおかしくないのかもしれません。 お気に入りは「解剖学」。……ううむ、まさかそんな結末になってしまうとは。ちょっとしたことでありふれた事件になってしまったのは、幸運だったのか不運だったのか。「イルミナティ」も意外な展開だったなあ。
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前作「犯罪」で独特の雰囲気を知っていたので、最初から楽しんで読めた。「犯罪」は、途中までどういうタイプの作品なのかわからず、かなりとまどったのだけど。 人間って本当に不思議で、一筋縄ではいかないものだ。ありきたりな感想だろうが、読み進むにつれしみじみそう思う。 先日読んだ本の...
前作「犯罪」で独特の雰囲気を知っていたので、最初から楽しんで読めた。「犯罪」は、途中までどういうタイプの作品なのかわからず、かなりとまどったのだけど。 人間って本当に不思議で、一筋縄ではいかないものだ。ありきたりな感想だろうが、読み進むにつれしみじみそう思う。 先日読んだ本の中で渡辺京二氏が「悪を為す人を、環境に恵まれなかったからだと忖度し、心理的に市民社会の側に回収することは一面的で誤りだ」という趣旨のことをおっしゃっていたが、本書を読むとつくづく納得させられる。
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『犯罪』に次ぐ第2短編小説集。『犯罪』と遜色ない驚嘆すべきストーリー 人間の持つ業や罪、そして果てしがない恐ろしさ。 1作が短いのでその1作を丁寧に反芻出来る秀作。
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シーラッハ「罪悪」読んだ。http://t.co/HRdLuOGi 15の短編集。主人公と作者が重なる。どの悪事も然したる動機はなく言わば「太陽が眩しかったから」の種類で、だからこそ一線を越えてしまうことについて考える。でその悪事を弁護することについても。
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福岡翻訳ミステリー読書会の課題本。 人間の持つ酷薄さ、怠惰さ、そして不思議な情が、淡々とした簡潔な文章に見事にあぶりだされている。 それらは一見、ほとんど事実的な事柄を連ねただけのようにも見えるが、その「事実」を立体的に、物語性を持って立ち上がらせるシーラッハさんの筆は見事であ...
福岡翻訳ミステリー読書会の課題本。 人間の持つ酷薄さ、怠惰さ、そして不思議な情が、淡々とした簡潔な文章に見事にあぶりだされている。 それらは一見、ほとんど事実的な事柄を連ねただけのようにも見えるが、その「事実」を立体的に、物語性を持って立ち上がらせるシーラッハさんの筆は見事である。 私はこの短編集に収録されている作品群に、いたく共感して読んだのだが、読書会のみなさんの感想を聞くと「気持ちはわからないでもないけど、私はこういう気持ちにはならない」という意見も多く(というかむしろ私が少数派?)、ああ、このずるずるとした感情に自分はシンパシーを感じていたのだな、とちょっと複雑な気持ちになった。 この短編集のタイトルが「罪悪」というのは非常にあっているとは思うけれど、作中で描かれているのはむしろ罪悪感というよりは「虚無感」ではないかと私は感じた。 自分は確かにそこに存在しているのに、どこかそのことに現実味を感じられない。目の前で起こってる出来事に、どこか自分がそぐわないと感じる。 しかし逃げるわけでもなく、まして立ち向かうわけでもなく。その時その時の怠惰な衝動に従うまま、罪を犯してしまう人々の姿に悲哀を感じた。
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『犯罪』と『罪悪』を図書館で取り寄せて、たまたま先に『罪悪』を読みました。 読み終わってすぐ、最初からゆっくり読み直しました。 『犯罪』に比べ、人生からエピソードを切り出してくる鋭さが増し、非情さと後に残る陰翳がさらに深いような気がします。「ぷつん」と切り離された「救われなさ」が...
『犯罪』と『罪悪』を図書館で取り寄せて、たまたま先に『罪悪』を読みました。 読み終わってすぐ、最初からゆっくり読み直しました。 『犯罪』に比べ、人生からエピソードを切り出してくる鋭さが増し、非情さと後に残る陰翳がさらに深いような気がします。「ぷつん」と切り離された「救われなさ」がそのまま放置されているような世界です。ただ、それが心にじんと染みてくる。 酒寄進一という人の翻訳は『ベルリン』三部作でも愉しませてもらいましたが、これは名訳です。
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海外文学が苦手な人にも読める一冊。 前作の「犯罪」の続編ですが、すべて一話完結の短編集です。 色々な人生の悲哀。淡々とした文章だからこそ、ストンと入ってくるものがあります。 「犯罪」を読んでいる方にはパターン化しつつあるかもしれませんが色々な気持ちにさせられます。
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ドイツ人作家、シーラッハの「犯罪」に続く短編集第2弾。相変わらずグロい場面も淡々と描き上げる。特殊な環境で起こる犯罪もあれば、誰にでも起こりうる犯罪もある。後味が悪くとも何か心に残り考えさせられる。短い作品は10頁にも満たないが、それぞれの主人公にそれぞれの人生がある。
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「犯罪」に興味があって図書館で予約して、新作のこちらが先に届きました。 短編なので読み易かった。 レビュー拝見してますと、「犯罪」のが良かったとの意見多数。 こちらも面白かったので、楽しみです。
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犯罪を犯し、罪に問われる。 その罪に対して罪悪感を持つのも持たないのもその人次第で。 弱いものが強いものに虐げられた結果であったとしても。 そして、その犯罪を犯し犯されたた人たちは、 遠い世界の住人ではなく、目の前で起こり得る、 自分たちと同じ世界だということ。
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