クリーピー の商品レビュー
大学教授という経歴の持ち主の著者。作家としてはデビュー作のようだが、構成が上手く、サスペンスとしての盛り上げ方が秀逸。 「なりすまし殺人」という、少し前なら小説の中でやら海の向こう側の国やらでしか起こり得ないだろうと決め付けてしまいそうな事が、最近の尼崎事件などを振り返ると、実...
大学教授という経歴の持ち主の著者。作家としてはデビュー作のようだが、構成が上手く、サスペンスとしての盛り上げ方が秀逸。 「なりすまし殺人」という、少し前なら小説の中でやら海の向こう側の国やらでしか起こり得ないだろうと決め付けてしまいそうな事が、最近の尼崎事件などを振り返ると、実際身近で起こってもおかしくない事のようになってしまい、もはや作り事とは思えぬ、リアルさを伴った恐怖を味わえた。 ただ、ラストは、、、綺麗に纏めたなぁという感じ。こういうのもアリだとは思うけど、私としてはちょっと綺麗過ぎたかな。もっと突き抜けた「悪の天才」が見られるかと思ったら、意外に呆気なかった。 でも、面白かったです。次作も期待。
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4月-7。3.0点。 大学教授夫婦の、隣人が非常に怪しい。 恐ろしい事件に発展。高校同級生の刑事が捜査に。 やがて10年越しの事件へ。 非常に気味の悪い隣人。但し、ラストはまあまあ良かったかな。 一気読みできた。次作も期待。
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いつからか姿を見かけなくなった隣家の奥さん、「あの人お父さんじゃありません」と訴える娘さん…ふつふつと高まる隣家のご主人への猜疑心。じわじわと迫りくる危機。 衝撃的な殺人事件が報道される昨今、隣人関係が希薄な我が家においてこれは現実味のある恐怖だ。陰湿な雰囲気は貴志佑介さんの「...
いつからか姿を見かけなくなった隣家の奥さん、「あの人お父さんじゃありません」と訴える娘さん…ふつふつと高まる隣家のご主人への猜疑心。じわじわと迫りくる危機。 衝撃的な殺人事件が報道される昨今、隣人関係が希薄な我が家においてこれは現実味のある恐怖だ。陰湿な雰囲気は貴志佑介さんの「黒い家」とか高田侑さんの「うなぎ鬼」とかの方が上だけど、サスペンス要素はこっちの方が高め。この手のホラーはさんざん盛り上げておいてラストは残念な感じで終わることが多いけど、これは結末の是非はともかく最後まで楽しめました。 ちなみに、クリーピーとはぞっとする様なという意味だそう。
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怖かった。何が怖いと言われると、なんとも説明がし難いのだけど、とにかく怖い。 たしかに、内容もまあ、こわいのだけども、あらすじだけ読むと、それ程でもない。この類の小説でよくある話、という内容。 でも、本文は、ぞっとする怖さだった。 部屋で夜一人で読んでいたら怖くなって、テレビ付...
怖かった。何が怖いと言われると、なんとも説明がし難いのだけど、とにかく怖い。 たしかに、内容もまあ、こわいのだけども、あらすじだけ読むと、それ程でもない。この類の小説でよくある話、という内容。 でも、本文は、ぞっとする怖さだった。 部屋で夜一人で読んでいたら怖くなって、テレビ付けっぱなしで読んでたくらい。 「黒い家」とか、そういう人間のこわさを描いた小説だけども、なんか内容以上にこわさを感じたのは作者の筆力なのか構成力なのか心理描写の巧みさなのか。 本自体は面白くて、わりと読みやすいです。 一気読みできます。
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タイトルと本の装丁からホラー系と思ってたらちょっと違って、最初はすごく面白くて先が気になり手を止められず。 でも途中でなんとなく全容が見えてくると、思ってた方向と違ってがっかり。それでもそれなりに面白いとは思える話でした。 北九州市の監禁事件や尼崎事件みたいな感じ。 マインドコントロールがメインだね。人間が一番怖いって思える。
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デビュー作ですが作者が大学教授という事もあり 読ませるという意味ではかなり上手です。 大袈裟な表現など使わなくても、冷静な 目線で書かれた文章でも怖いものは怖い。 粗筋も上手く書かないとネタバレになりそう なので難しいですが、8年前に一家が失踪した 事件を追う、刑事の訪問から数...
デビュー作ですが作者が大学教授という事もあり 読ませるという意味ではかなり上手です。 大袈裟な表現など使わなくても、冷静な 目線で書かれた文章でも怖いものは怖い。 粗筋も上手く書かないとネタバレになりそう なので難しいですが、8年前に一家が失踪した 事件を追う、刑事の訪問から数日、主人公である 大学の犯罪心理学教授の自宅の周辺も、なにやら ジワジワとした恐怖が渦巻き、思惑を遥かに 越えた恐怖と事件にまきこまれていく...。 途中、まさかぁ、んな事ぁないでしょー。みたいな 展開になるんですが、類似したような実際の事件が 発覚したりして、絵空事じゃなくなってきた事が怖い。 記憶は曖昧ですが「黒い家」とか「火の粉」に通じる 心理的ホラーとしてはかなり面白い。 ミステリとしては終盤に様々な謎が判明していくのですが その手法、そして要所要所のつっこみどころ感は 少々残念...かしら。それから人物描写も、もっと悪は 悪に徹した狂人っぷりのまま突っ走った方が...よかったかもですね。
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タイトルの意味は「気持ち悪い」ということのようですが。まさしく気持ち悪いというか、とんでもなく恐ろしい物語。昨今さまざまなわけのわからない事件が起こっていますが。こういうのがあり得ないでもないってのは本当に恐ろしくて。たしかに……こういう事態が起こっていても、気づける自信はありま...
タイトルの意味は「気持ち悪い」ということのようですが。まさしく気持ち悪いというか、とんでもなく恐ろしい物語。昨今さまざまなわけのわからない事件が起こっていますが。こういうのがあり得ないでもないってのは本当に恐ろしくて。たしかに……こういう事態が起こっていても、気づける自信はありません。 中盤までの読み心地はとにかく怖かったのだけれど。ラストに近づくにつれ見えてくるもう一つの真実にも驚きでした。まさかそういうことだったとは……見事に騙されます。
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常人の感覚から逸脱した、倫理観などが欠如した人間に目を付けられた恐怖。 物語としては申し分ないが、深みが足りない。主人公たちを清く描きすぎたのが原因だと思う。善悪を対比させてお互いを際立てるためだとは思うが、人間は汚い部分も含みながら、悪と向き合わなくてはいけない。その葛藤など...
常人の感覚から逸脱した、倫理観などが欠如した人間に目を付けられた恐怖。 物語としては申し分ないが、深みが足りない。主人公たちを清く描きすぎたのが原因だと思う。善悪を対比させてお互いを際立てるためだとは思うが、人間は汚い部分も含みながら、悪と向き合わなくてはいけない。その葛藤などが物語をさらに面白くするのに。
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隣人に対する不信感。考えてみると彼の奥さんを見た事が無い。病気と称しているが、最近では息子の姿も見かけなくなった。娘は学校へ行っているが、話しかけてみると「あの人はお父さんじゃない」と。そして、とうとう事件が起こった。 中盤までは非常に面白く、隣人への恐怖が募っていくホラーとして...
隣人に対する不信感。考えてみると彼の奥さんを見た事が無い。病気と称しているが、最近では息子の姿も見かけなくなった。娘は学校へ行っているが、話しかけてみると「あの人はお父さんじゃない」と。そして、とうとう事件が起こった。 中盤までは非常に面白く、隣人への恐怖が募っていくホラーとして読める。ただ終盤は失速。全ての伏線が回収されていくが、何とも中途半端な感じ。もっとホラーかと思っていたけど、オチはミステリだった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
読んでいる間中、北九州の一家監禁殺人事件が頭から離れなかった。 多少なりともモチーフとなっているのだろうか。 多少稚拙だが落ちついた文体で、導入部からの盛り上げ方もうまい。 意外な真相も物語的にはどうよ、とは思うが実際の世の中もこんな、理の及ばない事のほうが多いよな、と妙にしんみりさせてくれる。 ヒトという生き物の狡さや身勝手さがよく描けている作品。
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