冬の灯台が語るとき の商品レビュー
(No.12-45) ミステリです。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『エーランド島に移住し、双子の灯台を望む屋敷に住み始めたヨアキムとその家族。しかしまもなく、一家に不幸が訪れる。 悲嘆に沈む彼に、屋敷に起きる異変が追い討ちをかける。無人の部屋で聞こえるささやき。子供が呼...
(No.12-45) ミステリです。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『エーランド島に移住し、双子の灯台を望む屋敷に住み始めたヨアキムとその家族。しかしまもなく、一家に不幸が訪れる。 悲嘆に沈む彼に、屋敷に起きる異変が追い討ちをかける。無人の部屋で聞こえるささやき。子供が呼びかける影。何者かの気配がする納屋・・・。 そして死者が現世に戻ってくると言われるクリスマス、猛吹雪で孤立した屋敷を歓迎されざる客たちが訪れる。 スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長篇賞、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞、「ガラスの鍵」賞、の三冠に輝く傑作ミステリ。』 テレビの本紹介番組でなんだかすごく面白い本らしいと知り、読んでみることにしました。え~っ?その時には言ってなかったじゃない、これがシリーズ2作目だとは。 でも登場人物が何人か同じ人がいるほかは、主人公も(同じ島だけれど)場所も違って、これ一冊で完結してるとのこと。じゃあとりあえずこれから読んでも良いかな! 雰囲気は暗いです。灯台付近で起きた過去の悲劇的な事件の話が時々挟まれ、ホラーっぽい場面もちらほら。 大きな盛り上がりもなく、淡々と話が進んで行きます。 一家の悲劇とは無関係に思える、ある若者たちの暴力的な犯罪。この島にやってきた、新任の女性警官ティルダのこと。 何故か同じトーンで暗くてひっそりした感じ。 読んでいて気持ちが沈みこんでいく感じがしました。だけど、ぐいぐい惹きつけられているわけじゃないのに、物語に捕らえられてしまって読むのをやめれません。なんだか呼吸まで静かになってしまって。 この静かで暗い物語を読み終え、ふと、気持ちがとても軽くなっていることに気が付きました。 多くの犯罪被害者家族の方がこう言います。「何が起きたのか、なぜなのか知りたい」と。 そう、私はずっとヨアキムの気持ちに寄り添ってこの物語を読んでいたのです。そして軽くなったこの気持ちは、ヨアキムの気持ちなのだと思います。 これは是非シリーズ一冊目を読みたい!たくさん賞をとったことに納得の一冊でした。
Posted by
北欧ミステリ。海辺に立つ古い家。その家に暮らしてきた人々の短いエピソードと新しく引っ越してきた家族の話が交互に語られる。その形式が「ボグ・チャイルド」を想起させたのだが、途中呼応するように「沼地での捧げもの」の逸話もあり驚いた。ミステリとしての解決はあまりすっきりしなかったが、土...
北欧ミステリ。海辺に立つ古い家。その家に暮らしてきた人々の短いエピソードと新しく引っ越してきた家族の話が交互に語られる。その形式が「ボグ・チャイルド」を想起させたのだが、途中呼応するように「沼地での捧げもの」の逸話もあり驚いた。ミステリとしての解決はあまりすっきりしなかったが、土地の風物・空気感は楽しめた。
Posted by
ML 2012.5.6-2012.5.20 この作者は、派手さはないけど味わい深い作品となっている。
Posted by
ゴシックとミステリーの融合のために凝った筋書きが用意されてるかと思いきや、皆無なので、ちょっと肩透かし感。 ですが、双子の灯台や隠された礼拝堂など、舞台はおどろおどろしくて好きな雰囲気でした。ブリザードの中をもうろうとしながら歩くヘンリクを祖父が引っ張っていく場面がよかったな...
ゴシックとミステリーの融合のために凝った筋書きが用意されてるかと思いきや、皆無なので、ちょっと肩透かし感。 ですが、双子の灯台や隠された礼拝堂など、舞台はおどろおどろしくて好きな雰囲気でした。ブリザードの中をもうろうとしながら歩くヘンリクを祖父が引っ張っていく場面がよかったなあ。
Posted by
エーランド島 4 部作、 秋編「黄昏に眠る秋」に続く冬編「冬の灯台が語るとき」。 純粋なミステリからは大きく逸脱しているのだが、 なぜか惹かれるこの作家、この作風。 春編、夏編もすでに既刊なんだな。 翻訳が待ち遠しい。 2008 年 スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長編賞...
エーランド島 4 部作、 秋編「黄昏に眠る秋」に続く冬編「冬の灯台が語るとき」。 純粋なミステリからは大きく逸脱しているのだが、 なぜか惹かれるこの作家、この作風。 春編、夏編もすでに既刊なんだな。 翻訳が待ち遠しい。 2008 年 スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長編賞受賞作品。 2009 年 ガラスの鍵賞受賞作品。 2010 年 英国推理作家協会(CWA)賞インターナショナル・ダガー賞受賞作品。
Posted by
これはいいです! 前作「黄昏に眠る秋」もよかったけれど、さらにしみじみとした味わいがある。ややホラー的なところもまたよし。じっくりした大人の読み物だと思う。
Posted by
スウェーデン・エーランド島4部作 2巻目 美しい島の岬に立つ双子の灯台。その灯台守のために、嵐で難破した船の積荷で立てられた古い屋敷。秋、都会からその岬の屋敷に、妻と二人の子供と移り住んだ主人公を悲劇が襲う。ひと気のない冬の別荘地で強奪を繰り返す若者たち、島に再開された警察署へ...
スウェーデン・エーランド島4部作 2巻目 美しい島の岬に立つ双子の灯台。その灯台守のために、嵐で難破した船の積荷で立てられた古い屋敷。秋、都会からその岬の屋敷に、妻と二人の子供と移り住んだ主人公を悲劇が襲う。ひと気のない冬の別荘地で強奪を繰り返す若者たち、島に再開された警察署へ赴任した若い女性警官。そして章ごとに語られる屋敷と灯台にまつわる死者たちのエピソード。壁の中からきこえる囁き。ある筈のないものの痕跡。不吉な予兆。謎めいた気配が、ひたひたと打ち寄せるように屋敷を訪れ、やがてブリザードの吹き荒れるクリスマスイブの夜を迎える。 秋から冬へ、ゆっくりと季節が移ろうように物語も動いていきます。全編通じて語られるのは、すべて死者たちの物語。前作でも登場した元船長のイェルロフ(今回もいい味を出しています)が語るのも、死んだ彼の兄の逸話です。北欧の暗い夜を想い、不気味なほどに陰鬱な気配を味わいながら、浸るように読むのがいいみたい。 おもしろかった。 春の巻の翻訳が待たれます。愉しみだ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
英国推理作家協会賞 スウェーデン推理作家アカデミー賞 「ガラスの鍵」賞 三冠の傑作! …とまあこれだけの評価があるのでかなり期待していたんですが、 ちょっと中途半端かなあという印象。 エーランド島に移住し、双子の灯台を望む屋敷に住みはじめたヨアキムとその家族。しかし間もなく、一家に不幸が訪れる。 悲嘆に沈むヨアキムに、屋敷に起きる異変が追い打ちをかける。 無人の部屋で聞こえるささやき。子供が呼びかける影。何者かの気配がする納屋…… そして死者が現世に戻ってくると言われるクリスマス、猛吹雪で孤立した屋敷を歓迎されざる客たちが訪れる。 あとあと上記のあらすじを読むとかなり興味を惹かれるのですが、ちょっと冗長すぎる。これは作者の狙いでもあるのでしょうが。 肝心のクリスマスの場面とラストが残り4分の1から始まり、ラストは少し拍子抜けしてしまいました。 妻を喪った夫が、妻の還りをずっと待っている心情や、数々の伝記譚は良かったのですが…。 リーダビリティは高く、前作が傑作だったので期待しすぎたのでしょう。
Posted by