1,800円以上の注文で送料無料

冬の灯台が語るとき の商品レビュー

4

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    13

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2015/01/24

スウェーデンのエーランド島を舞台にした4部作の2冊目。 前作に出ていたイェルロフ老人はまた登場して、いい味を出しています。 事件は繋がっていないので、前作を読んでいなくても、差し支えはありません。 エーランド島の北端ウナギ岬の家に越してきたヨアキム一家。 人里離れた一軒家だが、...

スウェーデンのエーランド島を舞台にした4部作の2冊目。 前作に出ていたイェルロフ老人はまた登場して、いい味を出しています。 事件は繋がっていないので、前作を読んでいなくても、差し支えはありません。 エーランド島の北端ウナギ岬の家に越してきたヨアキム一家。 人里離れた一軒家だが、自分達でリフォームする能力がある夫婦で、子育てにはいいと思っていた。 ところが妻カトリンが突然海で亡くなり、自殺か事故か?わからない。 途方にくれる夫は家で何者かの気配を感じ、幼い子供たちは母の帰りを待ちわびる‥ 古い灯台のそばにある屋敷はさまざまな歴史を秘めていて、ややホラーがかったそういうエピソードが章ごとに語られ、一つ一つに掌編小説の趣があります。 いぜんヨアキムの妻の家族がここに住んでいたこともあり、妻の母ミルヤも強烈な個性のある芸術家。 島には警察組織もなく、久々に女性警官ティルダが赴任するが、一人でてんてこ舞いすることになる。 このティルダが実はイェルロフの兄の孫で、父親や祖父のことを知りたいとイェルロフを訪ねてくる。 元船長のイェルロフは彼なりの視点と人脈で捜査に一役買うことに。 一方、人のいない別荘を荒らして回る強盗も計画を練っていて‥? さまざまな人間の思惑が、この土地特有の激しいブリザードの夜に集約する‥! 荒涼とした風景と、そこで限りある命を思い思いに燃やす人間達。 哀切という言葉がこれほど似合う作家も少ないでしょう。 きらっと光るものも点在し、独特な読み応えでした。 スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長編賞、ガラスの鍵賞、英国推理作家協会(CWA)賞インターナショナル・ダガー賞と3冠に輝いた受賞作品。

Posted byブクログ

2019/08/24

前作「黄昏に眠る秋」の続編。 気分を一新するために転居した古い屋敷で、家族に不幸が訪れる。事故か事件か、悲嘆にくれる主人公。 日光の恵みの少ないスウェーデンならではの、陰鬱とした雰囲気が生きている。登場人物は皆、どこか後ろ暗いものを抱え悩んでいる。閉鎖的な古い屋敷に死者の気配が漂...

前作「黄昏に眠る秋」の続編。 気分を一新するために転居した古い屋敷で、家族に不幸が訪れる。事故か事件か、悲嘆にくれる主人公。 日光の恵みの少ないスウェーデンならではの、陰鬱とした雰囲気が生きている。登場人物は皆、どこか後ろ暗いものを抱え悩んでいる。閉鎖的な古い屋敷に死者の気配が漂うあたりは、どこかスティーブン・キングの「シャイニング」が思い起こされた。 次作、春も読んでみたい。

Posted byブクログ

2014/03/18

長かった……。 重すぎというほどではないけれど、 ずっしり、若干、じっとり?と重量感があるお話でした。 これから「黄昏に眠る秋」を読んで見ます。

Posted byブクログ

2013/12/10

エーランド島三部作の二作品目。 一作品目の方は女性が主人公だったためか、 もう少し過去ベクトルな言動でイライラしても受け入れられたのに、 本作品は男性主人公だったためか、 なんかメソメソ感がげんなりとしてしまいました。 一作品目でも登場したおじいちゃん探偵イェルロフがまた登場し...

エーランド島三部作の二作品目。 一作品目の方は女性が主人公だったためか、 もう少し過去ベクトルな言動でイライラしても受け入れられたのに、 本作品は男性主人公だったためか、 なんかメソメソ感がげんなりとしてしまいました。 一作品目でも登場したおじいちゃん探偵イェルロフがまた登場して 応援するも、ダーヴィッドソン家の過去も明らかになったりで、 単にワクワクとはしません。 悲しい過去、嫌なことする人間、全部内包して未来が紡がれていく という、時間感覚の描写が圧倒的にすごいです。 コセコセした空間・場所で生まれ育った感覚では培えない感性で 描かれる、静かなミステリです。

Posted byブクログ

2013/09/29

『黄昏に眠る秋』につづく、エーランド島シリーズ第2弾。 実は先に第3弾である『赤く微笑む春』を読んでしまったのだが、ストーリーは本当に緩く繋がっているだけなので、問題なし。 ヨハン・テリオンの作品は、作品の底に諦観や哀愁が流れているが、本作は衝撃的な序盤のストーリー展開もあっ...

『黄昏に眠る秋』につづく、エーランド島シリーズ第2弾。 実は先に第3弾である『赤く微笑む春』を読んでしまったのだが、ストーリーは本当に緩く繋がっているだけなので、問題なし。 ヨハン・テリオンの作品は、作品の底に諦観や哀愁が流れているが、本作は衝撃的な序盤のストーリー展開もあって、特にその感が強い。 幽霊譚でありながら、きちんとミステリとして成立していて、さすがのデキ。

Posted byブクログ

2013/04/03

スウェーデンのエーランド島を舞台にした四季四部作の二冊目。島の北の果ての灯台を舞台にブリザードの吹き荒れる冬のさなかの物語。 日本語版は、詩的な優しい感じの表紙だけど、スウェーデンや英語版はかなりおどろおどろしい雰囲気の表紙になってる。内容的には、ソッチの方が正しいのかもと、読み...

スウェーデンのエーランド島を舞台にした四季四部作の二冊目。島の北の果ての灯台を舞台にブリザードの吹き荒れる冬のさなかの物語。 日本語版は、詩的な優しい感じの表紙だけど、スウェーデンや英語版はかなりおどろおどろしい雰囲気の表紙になってる。内容的には、ソッチの方が正しいのかもと、読み終えて思った。かなり生臭いし、後味はかなり苦い感じ。

Posted byブクログ

2017/03/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スウェーデンのエーランド島に移住した一家。妻が事故で亡くなり、悲しみに沈む。一方、島に赴任してきた女性警官は、親戚の老人から昔話を録音しながら、島で起こる盗難事件を追う…。現在進行している物語を追いながら、主人公の義母(つまり亡くなった妻の母)の回想が挿入される。  ミステリ文庫に入っているけど、ミステリー濃度は薄い。むしろ群像劇。そう考えると物語としては完成度が高い。解説にもあるように、双子の灯台がある、エーランド島というのがとても生きている作品だと思う。

Posted byブクログ

2012/11/25

先日読んだ「黄昏に眠る秋」と同じ著者が執筆した本書。 「黄昏~」がデビュー作だったので、デビュー2作目となります。 舞台は前作と同じエーランド島です。 では、前置きはこの位にしてあらすじをご紹介。 ストックホルム在住の若い家族連れがエーランド島東部、ウナギ岬にある木造...

先日読んだ「黄昏に眠る秋」と同じ著者が執筆した本書。 「黄昏~」がデビュー作だったので、デビュー2作目となります。 舞台は前作と同じエーランド島です。 では、前置きはこの位にしてあらすじをご紹介。 ストックホルム在住の若い家族連れがエーランド島東部、ウナギ岬にある木造邸宅を購入。 荒れ果てたこの家をリフォームし、ここで暮らしていこうとするが、何の前触れもなく妻が海に向かって投身自殺する。 憔悴する夫。 やがて彼は、家族以外に誰も居ないはずの自宅に何者かの存在を感じ始める。 そして、ブリザード吹き荒れるクリスマスの夜。 妻との再会を望む夫のもとにやって来たのは・・・ 前作同様、過去と現在を行き来しつつストーリーがつづられています。 全編ホラー小説的な印象を受け、読みながら「前作とは違って本書はホラー小説的な内容なのかな?」とも思ったのですが、きちんとミステリーしていました。 尚、同書も「ガラスの鍵」賞を始めとする様々な賞を受賞しており、訳者による後書きで引用された英ガーディアン紙の書評によれば「前作を上回る出来」との事。 大人向けの¨苦味¨のある小説をお読みになりたい時などにお勧めです。

Posted byブクログ

2012/11/20

面白かったです。 幽霊の話し(過去の話し)と今の話しとが 混ざってからまっていい感じになっています。 シリーズとして読んでも、単品で読んでも どちらでも楽しめると思います。

Posted byブクログ

2012/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前作、『黄昏に眠る秋』を上回る出来。 2つの灯台のある「ウナギ岬」で、過去の魂と現在の不幸、計画進行中の悪事が交わる人間ドラマ。 前作同様、現在の物語に過去が追いつく構成をとっているのだが、各登場人物の交わり方がとにかく秀逸。ああ、そういうストーリーだったのかと。 何が中心的な事件なのか判然としないまま物語は流れていくのだが、それは決して前振りが長いと感じるようなものではなく、全ての要素が人間ドラマとして興味深い。過去が現在にオーバーラップしてくることにより、連綿と続く土地の歴史と各登場人物の繋がりが見えてきて、物語全体の深みが増す。 読み終わることによって大きな絵の全体が明らかになる。チープなトリックに凝ることない、現代ミステリとしてあるべき形の一作と感じた。

Posted byブクログ