何もかも憂鬱な夜に の商品レビュー
人間と、その人間の命は別のように思う。殺した人に全部責任はあるけど、その人の命に責任はないと思ってる。その命というのは、本当はその人とは別のものだから。 これはちょっと言いたいことが分かるし共感できた。犯罪者を擁護するわけではないけれど。 あの人(急に施設長が文中に現れたけど、あ...
人間と、その人間の命は別のように思う。殺した人に全部責任はあるけど、その人の命に責任はないと思ってる。その命というのは、本当はその人とは別のものだから。 これはちょっと言いたいことが分かるし共感できた。犯罪者を擁護するわけではないけれど。 あの人(急に施設長が文中に現れたけど、あの人が施設長になったのか?)との会話は実りのあるものが多かった。 裏表紙の内容紹介に「山井はまだ語らない何かを隠している」と書いてあったから、「僕」が探している弟が山井であるという単純な話ではないと思っていたが、結局山井はそんなに重要なことを隠していなかった気もするし、弟は結局フェードアウトしていった。 短いから早く読み終えたけれど、なんだか難しい小説だったという印象。
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自分が、一度も直接触れたことがない、現実が描かれている。 その道を自分が通ってこなかったのは、たまたまそうだっただけであり、誰かの身に起こったことは、他でもない自分が通りえた道であるし、今後通りうる道でもある。なぜなら、地続きだから。お前が今立っているその場所から、地続きだから...
自分が、一度も直接触れたことがない、現実が描かれている。 その道を自分が通ってこなかったのは、たまたまそうだっただけであり、誰かの身に起こったことは、他でもない自分が通りえた道であるし、今後通りうる道でもある。なぜなら、地続きだから。お前が今立っているその場所から、地続きだから。 あらゆる人間の営みは、同じ世界で、現実に起こっている。それが何であれ、馬鹿だ、自己責任だと、嗤うことは間違えだ。そう考える傲慢さこそが愚かだ。 そう思えるようになった。
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生きる意味とは、魂と魂の主は別 メモ引用 恵子は、今のあなたが無事なら、それを一日ずつ続ければいいと僕に言った。 あくまでも小説というものは複合的な要素が組み合わさって無限の可能性を生み出す装現形式だと思うのだが、他ジャンルの芸術やエンターティメントと比べ、小説だけが独占的...
生きる意味とは、魂と魂の主は別 メモ引用 恵子は、今のあなたが無事なら、それを一日ずつ続ければいいと僕に言った。 あくまでも小説というものは複合的な要素が組み合わさって無限の可能性を生み出す装現形式だと思うのだが、他ジャンルの芸術やエンターティメントと比べ、小説だけが独占的に持つアドバンテージが一体どこにあるのだろうと考えた時、 人間の精神内部で発生する粥際や携や減池に対して、より敏に緻密に繊細に追れる点こそが小説の魅力だと自分は思っている。 た。「自分の好みや狭い了見で、作品を簡単に判断するな」とあの人は僕によく言った。「自分の判断で物語をくくるのではなく、自分の了見を、物語を使って広げる努力をした方がいい。そうでないと、お前の枠が広がらない」僕は時々、わかった振りをして、あの人に笑われることがあった。
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なかなか難しい…内容でした 自殺と犯罪は世界に負けることだから… 殺人と死刑、生と死、、、 施設で育ち、刑務官となり、二十歳の未決囚を担当することに、彼は強姦目的で女性とその夫を18歳のときに刺殺した 彼は何も語ろうとせず、控訴期限が迫っている どこか自分に似ているような...
なかなか難しい…内容でした 自殺と犯罪は世界に負けることだから… 殺人と死刑、生と死、、、 施設で育ち、刑務官となり、二十歳の未決囚を担当することに、彼は強姦目的で女性とその夫を18歳のときに刺殺した 彼は何も語ろうとせず、控訴期限が迫っている どこか自分に似ているような錯覚に落ち、自分が抱える闇、自殺した友人、大切な恩師、そして彼女との時間…自分の中の混沌が掻き出されていく
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その文量及びページ数の割に、完読するまでにいつもとは比べ物にならないほどの時間がかかった。それはこの文章がもつリアリティさとちりばめられたメッセージ性の重さがあったからだと思う。ちゃんと、読まなくてはならないとページをめくる度にそう強く思った。題材的にもストーリー的にも「陰」の部...
その文量及びページ数の割に、完読するまでにいつもとは比べ物にならないほどの時間がかかった。それはこの文章がもつリアリティさとちりばめられたメッセージ性の重さがあったからだと思う。ちゃんと、読まなくてはならないとページをめくる度にそう強く思った。題材的にもストーリー的にも「陰」の部分が際立つ1冊であるはずなのに、どこか心が救われたような、どことなくフッと軽くなったような気がするのは、陰の中でも光(の存在)を悪なものとせず、生きる上での支えとして主人公の回想の中に度々光が現れたからだろうか。そしてその光の木漏れ日が私にも多かれ少なかれ届いたからだろう。
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境遇に負けて(負けると言っていいなら)死を選んだ真下。孤独の中で人を殺してしまった山井。 刑務官の僕は考える。 中村さんの作品は「掏摸」から読み始めた。日ごろさまざまな小説の世界を楽しんでいるが、たまに彼の作品を手にしてみると暗い世界観の中にしゃがみこんで、自分を見つめたいよう...
境遇に負けて(負けると言っていいなら)死を選んだ真下。孤独の中で人を殺してしまった山井。 刑務官の僕は考える。 中村さんの作品は「掏摸」から読み始めた。日ごろさまざまな小説の世界を楽しんでいるが、たまに彼の作品を手にしてみると暗い世界観の中にしゃがみこんで、自分を見つめたいような気持になる。 この作品も 読んで楽しい話ではない。 中村作品に多い心の底の暗部が現実離れした環境の中でゆっくり現れてくるような日常。 それが今回は特に明確な形をもった人物や、境遇が読める。 人物や仕事にはっきりした具体性があり、読みやすくわかりやすい。 ほかの作品とはすこし印象が変わってはいるが、テーマはやはり、重い感じに閉じ込められてしまう作品にはなっている。 施設育ちで、刑務官になった僕。同じ施設育ちの真下が自殺し、そのノートが送られてくる。 家族も兄弟もなく自分の求める小さな幸福のあてもない自分。真下の持つ憂鬱や混沌が彼を水に誘い、水に入り、流された真下を僕は理解できる。 僕も施設で身を投げようとした過去がある、だが、施設長によって心身ともに救われて成長する。本や音楽をあたえられ人生の深さや広がりを感じられるようになってきた。 しかし、いまでも僕の心の底には暗い川が流れていて、交代制で収監者を看、罪について語るのを聴くと、自分をもてあます事もある。 一月の差で少年法が適用されなかった山井という男が入ってくる。二人の男女を意味もなく殺害した罪で、二週間後に処刑されることになっていた。説得してもがんとして控訴をしないと言う。 彼は今まで生きてきて虐待にはなれてはいたが、ついに逃げ出して倒れ、仰向いて夜空の月を見たとき、今までになく深い深い孤独を感じた。気がついたとき二人の人を意味なく殺していた。彼は死にたかった。殺した後は「死ぬのが俺の役割だ、なるべく早く」と刑務官に訴えている。 僕は、「控訴をして心情を話せ」と言う。 死刑判決は変わらないかもしれないが、今ある命というものについてお前は知るべきだ。控訴して命について考えてみるべきだ。死刑は変わらなくてもとも言ってみた。 僕は、何も知らない彼に昔施設長が貸してくれた、本や音楽や映画のことを話したかった。彼は何も知らないまま死ぬのか。 犯した罪に課せられた死刑という判決とは別に、命について考えて欲しかった。 死刑制度について、刑務官も考える。そして囚人も考える。刑務官という仕事は、命の重みにじかに接する仕事である。 控訴した山中から手紙が来た、本を読み音楽を聴き、罪について考えをめぐらし始めていることを知る。そして自分と殺した人たちの本当に人生について考えるのは、もう遅かったが、やはり罪は死で購いたいという気持ちは変わらないと書いてあった。 大雑把な書き方では現しきれない、僕と真下の関係、何も持たない身軽さとそれゆえに孤独に死を求めた真下と、命の世界の重みと広がりを施設長から受け取った僕。 何も持たないどん底で虐げられて生きてきた山井の孤独。 時に闇の世界に迷い込みそうになる僕の夜。 本書は特殊な世界でありながら、人の持つ自分だけの命を生き続ける寂しさや支えられている周りの人々との繋がりが、ありふれた生活の中にも潜んでいることを考えさせられる。 この作家の書く暗さは辟易する部分もあるが、それは誰しも抱えている同じ磁場に自分も立っていることを感じられるからかもしれない。 少しありきたり感・・というと酷かな。
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何をもって死刑になるのか。又はならないのか。 肯定してはいけない。だけど必ずしも否定出来るわけでもない。 曖昧の中で闇を飼ってしまい、いつの間にか人として崩れていしまっている。そんな感覚、少なからず分かる。 p.158 「自分の好みや狭い了見で、作品を簡単に判断するな」 とても...
何をもって死刑になるのか。又はならないのか。 肯定してはいけない。だけど必ずしも否定出来るわけでもない。 曖昧の中で闇を飼ってしまい、いつの間にか人として崩れていしまっている。そんな感覚、少なからず分かる。 p.158 「自分の好みや狭い了見で、作品を簡単に判断するな」 とても良い言葉だし、本当にそうだと肝に銘じている。 作品でも他人でも全てに対してそうだ。 一人称でしかものを見ないから崩れるのだろう。 自分の範疇に無いものに対して、拒絶する人間ばかり。頭ごなしに殴っても良いと思っているのだろう。 だが、人間はそういうものなのだろう。 僕は死刑制度を否定することも肯定することもできない。考えても分からない。 肯定していた時期があったが、それは無関心による無知だった。 今は、分からない。 欠落を、傷を舐めるように寄り添い共に歩む。必ずしも慰めは惨めではない。 部屋に窓はないが、薄ら空が明るくなっていくのを感じるような小説。 その日は多分晴れではない。だが、雨は降っていないだろう。
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なんて身勝手な!なんて思ってしまう。それは、山井も自覚している。 真下のノート、山井の手紙、主人公の暗い感情。なんだか全部共感してしまった。私は、自制が効くだけで、それはいつ切れてしまうかわからない不安もある。 重たい内容だけど、また読みたい。タイトルの通り、憂鬱な夜に。
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必要以上には語りがなされず、じっとりと湿った陰鬱な空気が漂う中ではあるが、危うくも強かな男性の挫折と再生が描かれていた。 感動ハートフル人間ドラマもいいが、この作品は現実に近い気がするし、それまでの境遇如何にかかわらかず、人が闇に飲み込まれそうなときに感じる心境が表現されているん...
必要以上には語りがなされず、じっとりと湿った陰鬱な空気が漂う中ではあるが、危うくも強かな男性の挫折と再生が描かれていた。 感動ハートフル人間ドラマもいいが、この作品は現実に近い気がするし、それまでの境遇如何にかかわらかず、人が闇に飲み込まれそうなときに感じる心境が表現されているんじゃないかと感じた。 あの人についての描写が後半に少しでできたが、簡素で、それでいてその温かさが十分に伝わった。その構成力、描写、凄いなーって思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
心の底にある深い闇の部分を捉えていた。それをどこまで抑えることができるか、抑えているものはなんなのか、とことん向き合える本だった。否定せず、共に生きるにはどうするか。主人公の冒頭の記憶は、明かされはしないが、心に潜む衝動の具現化だと考えた。
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