何もかも憂鬱な夜に 集英社文庫

中村文則【著】

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2012/02/17
• JAN: 9784087467987

商品レビュー

2025/03/31

この本を読んでピンとこないという人の方がある意味幸せなのかもしれないけど⋯
私はすごく心に刺さってしまった。
でも、それほど不幸でもない。

2025/03/31

中村文則にしか書けない作品がここにありましたね。とにかく奥が深い…この小説は2度、3度読んでいけば自分の中に徐々に浸透していく作品のような気がする。
叶うならば思春期の真っ只中に読みたかったかもしれない。そしてこの小説が伝える「命」の考え方…

「人間と、その人間の命は、別のように思うから。……殺したお前に全部責任はあるけど、そのお前の命には、責任はないと思ってるから。お前の命というのは、本当は、お前とは別のものだから。……」(p.176)

スゲェわ…こういう伝え方ができる小説家はなかなかいないと思った笑

2025/03/29

あなたが私にくれたもの～♪
キリンがさかだちしたピアス～
あなたが私にくれたもの～
シャガールみたいな青い夜

青い夜……

夜……

ということで「何もかも憂鬱な夜に」です。
無理くりのこじつけですがこれでジッタリン・ジン三部作（？）の完成ということにさせてもらいます（笑）

★３の下。
これは芥川賞の「土の中の子供」の焼き直しかな？
親に捨てられ施設育ち。友人が自殺。という同じ設定。
主人公は刑務官として若い死刑囚を担当する。

生きるとはなんぞやー！！
これでいいのか死刑制度！
などなどがわずか１８６ページに濃縮されている。
全体的なトーンは暗いが希望をもたせるような物語。

いいな。
施設長が素敵すぎる。
大きくて温かい。
子供が靴をすぐに履き潰すからと怒る職員を逆に叱り飛ばし、靴は履き潰すもんだと新しい靴を３足もくれた施設長。
こんなんホレてまうやろーっ！！

人は、人によってのみ救われたり、または傷つけられたりするのだろうなと、当たり前の事を刻みつけられる。

あの死刑囚が主人公のように、または逆に、主人公が死刑囚のようになってしまう可能性もあったのだろう。

解説の又吉直樹が熱い。
【人間の人生最初の咆哮は産声である。生きてると苦しいことはある。今後も何もかも憂鬱な夜はやってくるかもしれない。だが、必ず目覚めよと呼ぶ声が聞こえる朝がやって来ると信じたい。この小説は僕にとって特別な作品になった。中村文則さんの作品が読める限り生きて行こうと思う。】

そう。
必ず朝は来ると信じたい。
何もかも憂鬱な夜は。

個人的に刺さった一節。

【「自分の好みや狭い了見で、作品を簡単に判断するな」とあの人は僕によく言った。「自分の判断で物語をくくるのではなく、自分の了見を、物語を使って広げる努力をした方がいい。そうでないと、お前の枠が広がらない」僕は時々、わかった振りをして、あの人に笑われることがあった。】本文抜粋。

＿|￣|○ il||li
ﾑﾈﾆｻｻﾘｽｷﾞﾃｲﾀｲﾖｰｰｰ!!