銃・病原菌・鉄(上) の商品レビュー
タイトルの重たさで敬遠していたが、とても面白く読めた一冊だった。 現在の地域の格差はどこから生まれたのか? この問題を人類の誕生から追いかける壮大な一冊。 下巻も引き続き期待。
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地域格差(世界史上の勝者と敗者の差)が生まれた理由を大きな主題とし、地理学や文化人類学の観点から様々な人類史の謎に迫る名著。 「なぜ人類は栽培を思いつき、毒のある植物の栽培化に成功したのか」「なぜ家畜化された動物は地球上でわずか14種類しかいないのか」「なぜ地域間で疫病に対する免...
地域格差(世界史上の勝者と敗者の差)が生まれた理由を大きな主題とし、地理学や文化人類学の観点から様々な人類史の謎に迫る名著。 「なぜ人類は栽培を思いつき、毒のある植物の栽培化に成功したのか」「なぜ家畜化された動物は地球上でわずか14種類しかいないのか」「なぜ地域間で疫病に対する免疫力の差が生まれたのか」など、作者の問いの立て方がとにかく秀逸で、知的好奇心をくすぐられて止まない。 推薦書として何度目にしたか分からない本書は、読み手を壮大な人類史の謎への旅へと誘ってくれる。難解な箇所も多いが、興味のある部分を読むだけでも新たな知見への扉が開かれるのでは。
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「白人はたくさんのもの発達させてニューギニアに持ち込んだが、ニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜか?」 ニューギニアのカリスマ政治家の質問から解説は始まる。 別の言葉で言えば、人類が地域によって異なる発展を遂げてきたことに対する歴史的確に解明だ。...
「白人はたくさんのもの発達させてニューギニアに持ち込んだが、ニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜか?」 ニューギニアのカリスマ政治家の質問から解説は始まる。 別の言葉で言えば、人類が地域によって異なる発展を遂げてきたことに対する歴史的確に解明だ。 キーワードは ・銃・病原菌・鉄 (これら直接要因がどう発展・伝播したかが本書の目玉) ・人口の稠密性 →高いほど専門化された集団が形成されやすい ・緯度による地域間の気候の差異 →野生動物の家畜化、生物相にも影響 ・有用な野生植物の有無 →新しい主要食物は近世以降ひとつも栽培されていない ・家畜化されなかった理由 ex.シマウマは一度人に噛み付くと離さない習性がある。 群れをなす群衆性があるか否か。 ・病原菌も生物同様に淘汰され進化している 下巻も楽しみです。
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飛ばし読み。 なぜユーラシアで、アフリカではないか?家畜から来る菌耐性のあるなし。ピサロのアステカ征服。 なぜアメリカ、ヨーロッパで、中国ではないか? 不統一だから。
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銃、病原菌、鉄はインカ帝国やアメリカ大陸先住民の制圧にどのように関与したのか。歴史、地理、生物学を俯瞰して解き明かす。
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何故世界は格差が起こったのか。何故逆転しなかったのか。1万3000年前から食糧生産の違いや人口密度、大陸の形や家畜の有無などから軽やかな解説でわかりやすく教えてくれる。タイトルに行き着くために下巻を早く読みたい
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膨大な範囲の知識と情報を持って作者が主張する「支配する側とされる側の違いをもらたしたのは、人種的な優劣の違いではなく様々な環境条件の違いによるものだった」ということが丁寧に説明されている。読書中に浮かび上がる様々な細かな疑問に対しても筆者が歴史的考古学的事実から推論してくれるため...
膨大な範囲の知識と情報を持って作者が主張する「支配する側とされる側の違いをもらたしたのは、人種的な優劣の違いではなく様々な環境条件の違いによるものだった」ということが丁寧に説明されている。読書中に浮かび上がる様々な細かな疑問に対しても筆者が歴史的考古学的事実から推論してくれるため、知的好奇心が十分に満たされる。その弊害として枝葉の情報量が非常に多いこと、また、枝葉からメインの主題に戻る際に類似の内容についての記載が何度も繰り返し出てくるため読み切るのが少ししんどかった。全ての情報を拾おうとするより、流れを大まかに把握していく読み方の方が楽だったかもしれない。 下巻も楽しみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なぜヨーロッパ等、現在の先進国が先進国となり、途上国が途上国となったのか。その疑問を人類の進化に基づき科学的に解説した本であり、一読の価値はある。 狩猟民族がなぜ農耕民族となり定住者となったのか。そこにはいわゆる「効率」というものがある。 家畜化できる野生動物が少なかったり家畜化してもメリットがないのであれば人類は家畜を持たず狩猟に出かけるし、農耕に適した野生種の植物がなければ人は農耕に移行しない。逆に、野生動物を狩り尽くした上に家畜化しやすい野生種がいれば人は家畜化するし、栽培に適した植物があれば人は農耕を始める。 家畜化や農耕を始めても放浪した方が食料を手に入れられるのであれば遊牧民になるし、定住した方がメリットがあるのならば定住者になる。 定住者になれば農民と支配層、戦士のように分業制が可能になるし、食料の貯蓄ができるため人口も増える。 家畜化しやすい動物は元々、集団で生活し、集団の中で序列をつくる等の条件が揃っていなければならない。そして、そのような動物と密接に過ごしている人類は動物が持っている病原菌に感染しやすく、それが感染症に進化する。故に、遊牧民や狩猟民族は定住者が持つ感染症への免疫を持たない。 非常に理路整然と、各地の気候や地形等々踏まえての解説は、これまで漠然と捉えていた人類の歴史を明確に形づけるものだった。 途中冗長なところもあり読むのに苦労する部分もあるが、ぜひ一読を勧めたい。
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めちゃくちゃ面白かった。(さすがにパートによってなかなか読み進まないところもあるが)読み終わってすぐ下巻も借りた。 ヨーロッパ人が支配的な立場にあることは生物学的な差異にあるというわけではないという導入から、アジア人はじめとした非白人に媚びているように感じられたが、読んでみるとど...
めちゃくちゃ面白かった。(さすがにパートによってなかなか読み進まないところもあるが)読み終わってすぐ下巻も借りた。 ヨーロッパ人が支配的な立場にあることは生物学的な差異にあるというわけではないという導入から、アジア人はじめとした非白人に媚びているように感じられたが、読んでみるとどれも納得感があった。 序盤のスペイン人のアステカ征服の件はむごくて唖然とした。 どうでもいいが、これを読んだ直後に富士サファリに行ったとき、エランドがいてちょっと感動した。
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なぜ人類は現在のような人種の分布になったのか、人種間での優劣の結果なのか、といった疑問に対し、人種による生物学的な優劣はなく地理的・環境的要因によるものと説明する本。地理・言語・生物学・文化・食物など猛烈に幅広い視野と多角的な切り口で分析し、人類の文明誕生から種族がなぜどのように...
なぜ人類は現在のような人種の分布になったのか、人種間での優劣の結果なのか、といった疑問に対し、人種による生物学的な優劣はなく地理的・環境的要因によるものと説明する本。地理・言語・生物学・文化・食物など猛烈に幅広い視野と多角的な切り口で分析し、人類の文明誕生から種族がなぜどのように移動・繁栄してきたかを、ユーラシア、オーストラリア、アメリカ、アフリカなど地域ごとに長いスパンで考察しているので、上下巻合わせてまあこれくらいのボリュームになるのも仕方無いかと思える。密度は高いが、平易な文章で納得しやすい。人類史はもともと興味はなかったが、読んでみたらとても面白かった。 ①栽培しやすい穀物や家畜によるユーラシア大陸での人口増加 ②技術や文化的発明の発展(東西に長いユーラシア大陸では交流も多かったため、技術が発展しやすかった) ③病原菌への耐性(ユーラシア大陸は人口稠密で人間と家畜も近かった) これらの背景からヨーロッパ人が銃・病原菌・鉄をもって他部族を侵攻すると、他部族が技術力と疫病で大量に死んでしまい、ヨーロッパ人の侵略が成功、という事例が多かった模様。
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