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メノン の商品レビュー

3.7

17件のお客様レビュー

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2025/12/08

 プラトン対話篇の中でまず最初に読んだら良いのは迷わず『ソクラテスの弁明』である。しかし、「プラトンとの対話」を、あるいは「プラトンの対話」を味わいたい読者に勧めたいのはメノン、それも渡辺邦夫訳のメノンである。本書は他書には見られない、プラトンに初めて出会う読者にとってあらゆる障...

 プラトン対話篇の中でまず最初に読んだら良いのは迷わず『ソクラテスの弁明』である。しかし、「プラトンとの対話」を、あるいは「プラトンの対話」を味わいたい読者に勧めたいのはメノン、それも渡辺邦夫訳のメノンである。本書は他書には見られない、プラトンに初めて出会う読者にとってあらゆる障壁を取り除く工夫がなされ、生き生きとした対話の様子を再現していることから、まず勧めたいと思う本なのである。  メノンは奴隷の少年が幾何学を習っていないにもかかわらず平方根を用いて問題を解くに至る様子を克明に記録した対話篇である。これは対話を通して少年が自らの内に宿している真理を見出していく様子を描き、真理が一人ひとりの人それぞれに内在していることを問いかけるのだが、この対話篇で有名な想起説が提示されるのである。メノンとソクラテスの対話の内に次々と問いかけられる、徳とは何か、知るとはどういうことか、知識とは何かと、その問いが深まっていく中で、プラトンが問いかけようとする徳の姿が明らかになっていくのである。  本書をまず勧めたいと思うことの一つに訳語の選択がある。従来「臆見」あるいは「思いなし」と訳されてきたドクサという言葉がある。本書の翻訳では「意見」といったニュアンスを含んだ「考え」という訳語が選ばれており、その理由が詳しく訳注で述べられ、かつ本文と等しい分量の充実した解説によって議論の全体の中でその訳語を選ぶ理由が知らされるのである。そしてその道行を通して読者は現在のプラトン研究の最前線へとも招かれる何とも贅沢な本なのである。  評者にとって印象的であったのはソクラテスの命題としても有名な「徳は知である」という言葉の「知」がフロネーシスであったことである。メノンという対話篇がゆたかなプラトン認識論の源泉である中、この「知」という言葉がフロネーシスであったことに非常に驚いた。たとえプラトンがこの対話篇で体系的な思考を目指していないとしてもアリストテレスが実践知として取り上げるそれとの結びつきを気づかせてくれる翻訳なのである。  古典は様々に翻訳される。一つの訳語を選べば従来の訳語と齟齬をきたすといったことは散見されることであり、アリストテレス研究に至っては日本語でも英語でも二つの言葉を巡って訳語が反転することすらある。しかしそういった中での読み解きを通して、古典の伝えようとするメッセージを読み解くこともまた哲学的営みに結び付いている。本書は古典を読むということの、古典を翻訳することの難しさと面白さを共に感じさせ、プラトンがメノンの中で読者に提示する対話そのものを生き生きと再現しているのである。繰り返し手に取りたくなる一冊である。

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2024/05/26

徳は他人から教えられるものではない。最後には結局、徳とは何であるかという問いに戻る。人生において何が大切なのか気づきを得られた。

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2024/04/10

意外と面白かった哲学の本。哲学は自分にとって難しいが、これは比較的読みやすい方だと思う。自分は、ソクラテスの考えにはメノンのように「その通りです」とか簡単に頷けなくて、それは違くない?と思ってしまう部分もあった。だが、哲学の考え方を教養として学べて良かった。 自分の友人がソクラテ...

意外と面白かった哲学の本。哲学は自分にとって難しいが、これは比較的読みやすい方だと思う。自分は、ソクラテスの考えにはメノンのように「その通りです」とか簡単に頷けなくて、それは違くない?と思ってしまう部分もあった。だが、哲学の考え方を教養として学べて良かった。 自分の友人がソクラテスを「屁理屈おじさん」と呼んでいたのが面白かった。

Posted byブクログ

2023/11/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今作のソクラテスは、美少年を前にしていつになく優しい。「徳は教えられるものなのか」というメノンの質問から始まって、「徳とは何なのか」という大本の定義の問いと行き来しながら、対話を続けていく。最初はメノンのいい加減な定義をいちいち正していたが、メノンの逆切れから「想起説」のお披露目へとつながっていくなど新しい展開もある。あと、解説が懇切丁寧で安心した。 徳とは何か、徳は教えられるか、という話は「プロタゴラス」でもあったが、やはりメノンの若さなのか、プロタゴラスの方が切り返しはうまかったし、論点によっては議論をより進められているように思う。ただ常にソクラテス主導で進む分、「メノン」のほうが話はすっきりしている。解説の「プラトンは徳が『教えられる』ものではなく想起によって『学習する』ものだと示唆している」という話は自分ではそこまで読み取れなかったけれど、勉強になった。

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2022/06/16

「徳は教えられるか」、それ以前に「徳とはそもそも何か」という問いに導かれて、 それらの問いに答えることはできるのか、そのような問いにどうすれば多少なりとも答えられるか、という方法の問題にも話題がおよぶ。 想起説、仮設の方法、行動における正しい思わく、など、色々な話題が出て来て面...

「徳は教えられるか」、それ以前に「徳とはそもそも何か」という問いに導かれて、 それらの問いに答えることはできるのか、そのような問いにどうすれば多少なりとも答えられるか、という方法の問題にも話題がおよぶ。 想起説、仮設の方法、行動における正しい思わく、など、色々な話題が出て来て面白かった。 また、岩波版の先行訳と比べると、ソクラテスのモノローグとして対話篇を読むのではなく、ソクラテスが相手に合わせて話題や議論の進行に彩をつけている部分にまで注意をはらう近年の研究成果をふまえて、解説や訳文が作られている。 そのため、先行訳とは読んだ時の印象が思った以上に変わったことに驚いた。

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2022/06/04

プラトン哲学のうち、初期に書かれた戯曲。「アレテーは教えられるか?」を問う若者メノンに対し、「そもそも自分はアレテーが何かすら知らない。よって、アレテーは教えられるかを知る由もない」とソクラテスが答える。メノンにアレテーとは何か問い、反駁し続ける事で、事物の本質を自分の頭で考え、...

プラトン哲学のうち、初期に書かれた戯曲。「アレテーは教えられるか?」を問う若者メノンに対し、「そもそも自分はアレテーが何かすら知らない。よって、アレテーは教えられるかを知る由もない」とソクラテスが答える。メノンにアレテーとは何か問い、反駁し続ける事で、事物の本質を自分の頭で考え、「想起」する重要性を読者に説いているように感じる。 この本を読み、自分の今までの学習はメノン寄りの考え、つまり川上から川下に水が流れるように、智慧者から教わるもの(正当化)に近しいものだったと感じる。プラトンはこれを否定し、生まれる前に人はあらゆる事を既に知っており、学習や経験によって想起する事が知であると解いているが、確かにそのような考えも道理だと感じた。 後半に著者による解釈が述べられているが、非常に難解でよく分からなかった。哲学に関する探究を続ける事で、少しづつ理解し、本当にそうなのか考察できる様な気がするので、頭が痒くなるが哲学本の読書は続けたい。

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2021/07/18

「プロタゴラス」で、ホメロスを引用して“2人で行けばどちらかが先に気付くことができる”と言っていてるのだけど、いいこと言うなあと思う。 プロタゴラスに引き続きアレテーについての探究。誰もいなければ歴史の中での対話に参加することができると教えてくれたのはセネカなのだけど、プラトンの...

「プロタゴラス」で、ホメロスを引用して“2人で行けばどちらかが先に気付くことができる”と言っていてるのだけど、いいこと言うなあと思う。 プロタゴラスに引き続きアレテーについての探究。誰もいなければ歴史の中での対話に参加することができると教えてくれたのはセネカなのだけど、プラトンのおかげ。彼らは無理強いもせず、置き去りにもせず、待ってくれる。

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2021/05/02

メノンがソクラテスを丁寧に侮辱していて面白い。「そしてほんの少したちの悪い言い回しで言わせていただけるなら 、お顔からも他の点からも 、わたしには 、あらゆる意味であなたは 、あの海にいる平たいシビレエイにもっともよく似ているように思えます」と。

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2020/12/20

「教養として学んでおきたい哲学」という書籍でおすすめされていたので読みました。哲学に関する書籍はこれが2冊目です。会話形式なので読みやすく、取っかかりやすかったです。後半には訳者の解釈が述べられており、訳文を読んでいて疑問に感じた点が補足されています。なるほどなぁと感心する点もあ...

「教養として学んでおきたい哲学」という書籍でおすすめされていたので読みました。哲学に関する書籍はこれが2冊目です。会話形式なので読みやすく、取っかかりやすかったです。後半には訳者の解釈が述べられており、訳文を読んでいて疑問に感じた点が補足されています。なるほどなぁと感心する点もあるのですが、プラトンはそこまで考えていたんだろうかと初学者の僕は思うときがあります…笑

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2017/06/09

うーん。ゆっくりと考えながら読んだら面白いのだろうが、、、 ソクラテスの切り返しは面白い。 あなたそれわかってんの? わかってないよね?この点どう考えてんの? っていう、議論する前に、その議題についてちゃんと理解しないとなーと思った。 議論の出発点からズレること良くあるし。

Posted byブクログ