火焔の鎖 の商品レビュー
「逃れようのない猛暑が、巨大な羽毛掛け布団のように“沼沢地帯”をすっぽりと覆っていた」 前作『水時計』の「洪水」から打って変わって、「暑い」! 27年前、泥炭の地ブラック・バンク・フェンの農場に米軍の輸送機が墜落し、乗員と農場の住民が犠牲となった。 生き残ったのは農場の娘と乗...
「逃れようのない猛暑が、巨大な羽毛掛け布団のように“沼沢地帯”をすっぽりと覆っていた」 前作『水時計』の「洪水」から打って変わって、「暑い」! 27年前、泥炭の地ブラック・バンク・フェンの農場に米軍の輸送機が墜落し、乗員と農場の住民が犠牲となった。 生き残ったのは農場の娘と乗員の家族の赤ん坊の2名のみと報道された。 実は、農場の娘マギーは自分の生まれたばかりの子と乗員の家族の赤ん坊をとっさに取り換えていた……なぜ、自分の子を「死亡した」と偽ったのか。 週刊新聞記者ドライデンは、死に面したマギーの願いを実現するために取材を行うと同時に、少女失踪と組織的な不法入国行為を追う。 そして、これらのことが次第に絡み合っていく。 安価な労働力確保と不法入国という組織犯罪や、わいせつ画像販売という社会性をテーマにしているが、本筋は「家族」。 閉じ込め症候群の妻と主人公ドライデン、ブラック・フェン農場の人たち、不法入国者など、それぞれの“家族”への思いがすれ違いにより悲劇を生み出していく。 一つの嘘が、また一つ嘘を呼ぶ……。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なぜ、自分の子どもマティを、死んだ事にして他人リンドンと入れ替えて渡したのか。 彼女マギーは、自分の死を間近にして、告白を、カセットテープに録っていた。 最後の1本を、忘れずに持ち帰り、最後まで聞いていたら、 もう少し、違っていたんだろう。 聞いていれば、二人が、血が繋がっていない兄妹という事がわかったはず。 わかっていれば、二人は別れ話をすることもなかっただろうし、 知らなかった過去に、苦悩する事はあっただろうけれど、もう少し、明るい未来を選択する事も出来たはず。 悲しい結末。 他にも、この事件と関連しながら、問題が起きる。 小説の物語になる町は、本当に、どこの町も、米花町並に殺人事件が起きます。 マティの本当の父親は誰か。 誰かわかったら、彼が、どんな人物だったか、どんな事をして生きてきたかが語られ、それゆえに彼は拉致されたが、殺害したのは誰か? 彼がやってきた事のせいで、犯人候補が沢山いるわけだ。 そして実際に手を下したのは・・・。 これも、マギーの告白を全部聞いていれば、少し違っていたのだろうか。 今回の事件は、ローズの活躍(?)がありました。 マギーは、最後、ローズと同じ病室で過ごしていた。 マギーの告白や、周りの人の会話を、ローズは聞いていた。 そして、聞いた事で大切なことは、COMPASSを使ってドライデンに伝えていた。 事故の後、負い目を感じているドライデン。 今回の事件で、ローズが秘密にしていた家の事がわかり、消失してしまったけれど、二人の未来についてローズに語ることが出来た。 そして、物語の中のドライデンはまだ知らないが、ローズの気持ちが最後にCOMPASSを使って語られる。 悲しい物語の中、二人の未来は、希望あるもので終わったと思いたい。 まぁ、次の物語で、どうなってるかは、わかんないから、期待しすぎちゃいけないんだろうけれども。 ただ、この作家さんは、希望が出始めた二人の未来を、崖から突き落とすような事はしないと思うんですけれども、どうでしょう?
Posted by
シリーズ第二作目。二十七年前の米軍機墜落事故の渦中に発生した新生児すり替え問題を主軸に、そこへ違法ポルノ流出事件と不法入国者問題が絡み合い、物語はどんどん錯綜していく。それに加え、厳重警戒な米空軍基地やバグダッドからの帰還兵といったスパイスも更なる不穏なムードを煽り、否が応でも期...
シリーズ第二作目。二十七年前の米軍機墜落事故の渦中に発生した新生児すり替え問題を主軸に、そこへ違法ポルノ流出事件と不法入国者問題が絡み合い、物語はどんどん錯綜していく。それに加え、厳重警戒な米空軍基地やバグダッドからの帰還兵といったスパイスも更なる不穏なムードを煽り、否が応でも期待値が高まっていただけに、ラストのおざなりな展開にガックリきてしまう。マギーが我が子を手放した理由が流石に短絡的過ぎるし、散々風呂敷を広げた挙句、事の真相があまりに呆気ない。前作の様な謎解きミステリーの醍醐味が味わえず、只々残念。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新聞記者ドライデンシリーズの第二弾。 うーん、前作の方が良かったかな。 テーマが水から火に変わったせいなのか、 最初飛行機事故の時点で子供のすり替えだろ、と決めつけたせいか、 それでいて、途中で錯綜する憎悪と殺人に迷子になってしまったせいかわからないが。 ドライデンと妻の自動車事故の前には見たことがなかった、 妻の鍵がドライデンの命を救うことになるのは、 ちょっと出来すぎな感じで好みではなかったし。 ほんの少しづつ意志を現す妻や、 相変わらず何の役にも立たない(事件解決的には)相棒、 アル中のアメリカ空軍少佐と、登場人物は良いのだけど。 そして、イギリスの沼沢地にシエスタの習慣があるとは、 知らなかった。
Posted by
新聞記者ドライデンシリーズ第二弾。 前作『水時計』はもっと静かでエレガントだった気がする。 本作は英国作家の作品なのに米国ドラマっぽい。 メインストーリーとサブストーリーが入り乱れ、それとは別に次作に続く大きなテーマがある。 ネタのつめこみすぎでどこがメインフレームかわからないか...
新聞記者ドライデンシリーズ第二弾。 前作『水時計』はもっと静かでエレガントだった気がする。 本作は英国作家の作品なのに米国ドラマっぽい。 メインストーリーとサブストーリーが入り乱れ、それとは別に次作に続く大きなテーマがある。 ネタのつめこみすぎでどこがメインフレームかわからないから、 サブストーリーを1つ削って、深く書いてくれたほうがよかった。
Posted by
「水時計」に続くシリーズ二作目。 トーチカがどんなものかネットで調べても確信が持てず、もやもやしながら読んでいたからか、ひどく時間がかかった。訳が苦手なのかも。 親が子を思う気持ちは尊いものだけど、思わぬことを引き起こしてしまう。切ない物語だった。次も読もう。
Posted by
墜落の地響きと共に5万ガロンの灯油が轟音を立てて燃え上がる。焼け焦げた家族と灰に埋もれる秘密。炎のかたまりとかした農場から命からがら脱出した彼女は、唯一救い出せたちいさな命を抱え、ひとり歩き出す─── 時は流れ、人生の晩秋をむかえた彼女はいまわの際にある願いをドライデンに託す...
墜落の地響きと共に5万ガロンの灯油が轟音を立てて燃え上がる。焼け焦げた家族と灰に埋もれる秘密。炎のかたまりとかした農場から命からがら脱出した彼女は、唯一救い出せたちいさな命を抱え、ひとり歩き出す─── 時は流れ、人生の晩秋をむかえた彼女はいまわの際にある願いをドライデンに託す。それは27年前に起きたアメリカ空軍機墜落事件で彼女が犯した罪の告白を記事にして欲しいと言うものだった。真実をあきらかにしたいと… 新聞記者ドライデンシリーズ2作目。デビュー作同様の入念なストーリー構成。安定の英国ミステリー。舞台となる沼沢地のあえぐ様な猛暑と事件の人間模様の描写融合が見事。またドライデンの取材スタンスがなんかリアルに感じるなと思っていたら、作者自身が記者であった。納得。主人公が傍らで襲われていても気付かず、謎解きの切欠となる一見無意味なキーワードをつぶやくでもない相棒と、その相棒に辛辣で皮肉ばかりの主人公とのやりとりもだんだん愛おしくなってきた。次も読まねば。
Posted by
うっかり読む順番を間違えてしまった。こちらがシリーズ2作目。 1作目とはがらりと雰囲気が変わり、今作では『炎』が重要なアイテムとして使われている。 事件のきっかけとなった飛行機事故の炎に始まり、重要なシーンでは炎と熱が効果的に使われていた。訳文に臨場感があり、ここのところの暑さと...
うっかり読む順番を間違えてしまった。こちらがシリーズ2作目。 1作目とはがらりと雰囲気が変わり、今作では『炎』が重要なアイテムとして使われている。 事件のきっかけとなった飛行機事故の炎に始まり、重要なシーンでは炎と熱が効果的に使われていた。訳文に臨場感があり、ここのところの暑さと相まって読んでいると汗が出そうな気分になるw
Posted by
謎そのものの質はさておき、 謎解きの過程は大変面白い。 このシリーズ、翻訳が全然追いついていないが、 うまい作家なのでもっと読みたい。 東京創元社様、よろしくお願いします。
Posted by
昏睡状態の妻を持つ記者ドライデン。その妻と同室に入院しているマギーには秘密があった。実の息子と米空軍の輸送機で墜落死した子供とすり替えていた。真相を探るうちに死体を発見する。 運転手のハンフや機械を使い時々意思疎通が出来る妻のローラなど、登場人物が良く書かれている。ストーリーはち...
昏睡状態の妻を持つ記者ドライデン。その妻と同室に入院しているマギーには秘密があった。実の息子と米空軍の輸送機で墜落死した子供とすり替えていた。真相を探るうちに死体を発見する。 運転手のハンフや機械を使い時々意思疎通が出来る妻のローラなど、登場人物が良く書かれている。ストーリーはちょっともどかしく、色々と盛り込まれているので解りにくい所もあったが面白かった。 読んだ後で、シリーズ2作目だという事に気が付いた。
Posted by
- 1
- 2