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ロスト・シティ・レディオ の商品レビュー

3.3

19件のお客様レビュー

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2019/04/07

中南米のどこかと思われる架空の国の物語。 内戦によって大勢が亡くなったり行方不明になったりした後、 身内を探す人のリクエストで 捜索対象者の名が読み上げられる「ロスト・シティ・レディオ」が 人気を博し、高い聴取率を誇っている。 だが、その番組のパーソナリティで 美声が持て囃される...

中南米のどこかと思われる架空の国の物語。 内戦によって大勢が亡くなったり行方不明になったりした後、 身内を探す人のリクエストで 捜索対象者の名が読み上げられる「ロスト・シティ・レディオ」が 人気を博し、高い聴取率を誇っている。 だが、その番組のパーソナリティで 美声が持て囃される女性ノーマも 帰らぬ夫を待ち続けていた……。 現在進行形の事象と、 主要キャラクターの回想が縒り合されるような グネグネした叙述が、 名前と記憶を巡る奇妙な世界を織り上げている。 生と死が隣合わせの状況で、裏切りや気紛れが生じ、 それが誰かを傷つけるのだが、 危ない橋を渡って相応の報いを受ける男に振り回される 女や子供は堪ったものではない。 もちろん、戦争さえなければ、 そんな悲劇は起きなかったのだけれども。 何となく場の空気に流されたまま帰らなくなった夫を待ち続け、 裏切られたことを知って尚、 愛情を持て余すヒロインが憐れだが、 彼女もまた苦痛に酔い痴れているかに見えて、 読んでいて醒めた気分になってしまった。

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2018/11/21

いわゆる中南米の内戦もの。 内戦が終結して10年後の架空の国。 国民的ラジオパーソナリティの妻と、反政府ゲリラ(?)の夫。 個人的な事柄である愛が、社会的な活動によって阻まれざるをえないという、 とっても悲しい(恋愛)小説。 内戦はすべての国民の幸せを奪う。

Posted byブクログ

2018/07/13

古本で見かけて話題になってたの思い出して読んでみた。 話が現在と過去を行ったり来たりするのが慣れるまではけっこうキツい。2度読みして納得するところちょこちょこあり。あと、南米のジャングルだからといっていつも不思議なことが起こるわけではないし、湿度高い描写が続くわけやない。南米の作...

古本で見かけて話題になってたの思い出して読んでみた。 話が現在と過去を行ったり来たりするのが慣れるまではけっこうキツい。2度読みして納得するところちょこちょこあり。あと、南米のジャングルだからといっていつも不思議なことが起こるわけではないし、湿度高い描写が続くわけやない。南米の作家誰もがマルケスやリョサ、ボルヘスではない。とはいえ、文体と内容があってるかというともったいない気はするんやけどまぁ好みの問題。それはそれとして、ハマったら読ませるものはあるよね。

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2017/07/17

ダニエル・アラルコンは、『夜、僕らは輪になって歩く』に続いて二作目だけれど、すごくジャーナリズムだなあというのが印象。 錯綜した物語の書き方、すごい。進んだかと思った時間軸が行きつ戻りつ、語る視点はつねに一転なのに映される空間も行きつ戻りつする。ILとは、月とは、一七八七とは・・...

ダニエル・アラルコンは、『夜、僕らは輪になって歩く』に続いて二作目だけれど、すごくジャーナリズムだなあというのが印象。 錯綜した物語の書き方、すごい。進んだかと思った時間軸が行きつ戻りつ、語る視点はつねに一転なのに映される空間も行きつ戻りつする。ILとは、月とは、一七八七とは・・・と考えながら物語を必死に追っているうちに、予想外の人間構図が立ち現れ、徐々にレイという人物が浮かび上がっていく。 そういえば、今年のラジオが出てくる小説、第二弾。(一段は、『すべての見えない光』)

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2016/09/18
  • ネタバレ

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ペルー生まれのアメリカ在住作家。少しカズオイシグロのようなイメージを想像して読んでみた。 作品の舞台設定(ペルーをモデルにした?架空の国)は良かった、ラジオの最高人気番組の神の声を持つパーソナリティーの存在も良かった。 ただ現在と過去を行き来する描写に翻弄されて消化不良。 あ、ジャケ買いってのはあったかも(買ってないけど・笑) 表紙を飾る写真の感じが非常に良くて、ストーリーの世界観をうまく表現している。 蜷川実花の作品を使ったみたい。上手いね。

Posted byブクログ

2016/04/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

熊本の映像をみると心が痛むがそれと同時に自分が現地に入り目の当たりにしてカメラのシャッターも押せなくなってしまった3.1.1の数週間後の陸前高田や石巻の光景がよみがえってくる。自分は戦争を経験した世代ではないが東京空襲後の記録映画や原爆投下後の記録映画などで記憶している壊滅的な街の状況と重なって見えた被災後の街の状況がまざまざと思い出されそこに人たちの大変さがこれまたまったく実感できないいまただただ皆さん大変なんだろう事に普通に暮らしている自分がなんだか申し訳なく感じ、心が痛む。様々な寄付など出来る事は少しはしているがでも基本的になんにも出来ていない自分にいま出来る事はやはり自粛などせずにきちんと普通に暮らす事かとも思うに至ったので、いままでポストしてきた本の読後投稿を再開する事にした。普通にイオンで買い物すること、吉野家で食べる事など被災地で積極的に活動する企業での買い物、食事、購入などを粛々とすることかと。そんななやめる気持ちの中二日前に読み終わったのが中南米の架空の国での内戦状態における人が経験する痛みを行方不明の人の名前を呼ぶのがコンテンツとしてなりたっているラジオ番組とそのDJの女性が経験する争いにおける喪失を描いたダニエル・アラルコンの小説『ロスト・シティ・レイディオ』だ。長くなったので詳細は省くが翻訳のクオリティは別として構成の妙はものすごく質が高い小説だった。そうそう絶版になるかもしれないが是非チャレンジを。

Posted byブクログ

2015/06/24

南米のある国のある戦争の後。 行方不明者を探すラジオ番組「ロスト・シティ・レディオ」でパーソナリティを務めるノーマは、戦争中に行方不明になった夫レイの無事を祈りながら日々を過ごしていた。 ある日、ジャングルの村から出て来た一人の少年が、ノーマの前に現れる。 村の行方不明者のリスト...

南米のある国のある戦争の後。 行方不明者を探すラジオ番組「ロスト・シティ・レディオ」でパーソナリティを務めるノーマは、戦争中に行方不明になった夫レイの無事を祈りながら日々を過ごしていた。 ある日、ジャングルの村から出て来た一人の少年が、ノーマの前に現れる。 村の行方不明者のリストを持って。 戦争を描いた小説。 登場人物それぞれの視点から描き出される戦争の姿。 そこにある出来事を、その時の心の動きを、淡々と描くことに徹していて、得体のしれない恐怖や、不安定な人々の日常の様子がヒリヒリと伝わってくる。 消えつつあるジャングルの村と混沌とした首都の対比も効果的。 少し間延びしている感もあるけれど、読んでいて心がざわつく感じは独特でした。 南米的世界のありよう、がフィクションながら実感できる小説です。

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2014/02/26

題名の「ロスト・シティ・レディオ」は、主人公のノーマがホストをつとめる、この国でもっとも人気のあるラジオ番組のタイトル。人々が女神のように崇める甘い声で、彼女は、失われた人々の名前を読み上げる。ジャングルの村から首都に出ていったまま戻らない若者たち、そして、内戦中にどこかに連行さ...

題名の「ロスト・シティ・レディオ」は、主人公のノーマがホストをつとめる、この国でもっとも人気のあるラジオ番組のタイトル。人々が女神のように崇める甘い声で、彼女は、失われた人々の名前を読み上げる。ジャングルの村から首都に出ていったまま戻らない若者たち、そして、内戦中にどこかに連行されたまま姿を消した人たち。生きているのか死んでいるのかもわからない状態のまま、行方不明者たちも、彼らを待つ人たちも、ノーマ自身も、宙づりにされているのだ。 現在と過去を不断に行き来する文章が描き出す内戦は、始まりも終わりもはっきりしていないように見える。暴力が劇的に噴出する以前から、人々はある日突然姿を消すことがあったし、終結が宣言されたあとも、名前を読んではならない人々がおり、どこからか報復の手が伸びてくる。そういえば、ビクトルが住んでいた1797村では、女たちは、夫や息子が実際に行方不明になる前から、失われた人の思い出となる肖像画を頼んでいたのだった。 この連続、みえない暴力が保障する沈黙を、ノーマの甘い声は覆い隠し、そうすることによって証明している。そして、禁じられた名前を含む1797村のリストを読み上げるという行為も、彼女に破滅と同時に解放をもたらすことになるのかもしれない。最後の放送のためにラジオ局に向かう3人が兵士たちの検問に遭うシーン、放送を終えて電話をまつシーンにはらまれる緊張と慰め、恐怖と美しさは、作品全体を通して、複雑な魅力を生み出している。レイが死をむかえるシーンでさえ、美しく不思議な慰めがある。同時に、この日常が優しくくるむ暴力と恐怖の種について考えをさそわれる。

Posted byブクログ

2013/03/04

主人公は人気ラジオ番組のパーソナリティを務める女性。戒厳令下にある南米の架空の国が舞台としていますが、ペルー出身の作家ならペルーらしき国なのでしょうね、多分。行ったこともないのでよくわかりませんが。 面白い小説でした。独裁政権、テロリスト、未開のジャングル、男女の関わり合い、ザ...

主人公は人気ラジオ番組のパーソナリティを務める女性。戒厳令下にある南米の架空の国が舞台としていますが、ペルー出身の作家ならペルーらしき国なのでしょうね、多分。行ったこともないのでよくわかりませんが。 面白い小説でした。独裁政権、テロリスト、未開のジャングル、男女の関わり合い、ザラザラとした肌触りの首都の風景。そういったものがヒリヒリするというか、緊張感を持って語られていきます。 錯綜する過去との時間軸や、登場人物たちの重なり具合といったところが、読者をあえて混乱に陥れるような話の進め方と相まって、これをできのいい映画で観たとしたらもっと楽しめそうです。

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2013/02/05

マナウという両手を失った男に、読者が感じる人間味がありすぎます。ダニエル・アラルコンという作家に期待。

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