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ブーメラン の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

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2014/12/22

積読にしておいたら文庫本が出てしまったので慌てて読んでようやく読了。 2008年からのヨーロッパの財政危機に対して、なぜ危機が起こったのかについての各国のレポートである。 まずはじめにアイスランド。伝統的な漁師の国で危険を顧みず漁をしていた漁師が投資家になり、リスクを顧みずに投資...

積読にしておいたら文庫本が出てしまったので慌てて読んでようやく読了。 2008年からのヨーロッパの財政危機に対して、なぜ危機が起こったのかについての各国のレポートである。 まずはじめにアイスランド。伝統的な漁師の国で危険を顧みず漁をしていた漁師が投資家になり、リスクを顧みずに投資を続けたのが原因だとしている。もっとも、投資をするように勧めたのはウォール街の連中だったが。 次にギリシャ。公務員が民間企業の3倍の給料を取り、その上公務員が多い。脱税は当たり前で、賄賂も横行している。その上、国家支出を粉飾していたとなっては話にならない。税金もみんなで払わなければ怖くないと言うことだろうか。ギリシャ人は陽気でいい人が多いらしいが、自分の利益だけを追求するのであれば国家が破綻するのは当然だろう。 そして、アイルランド。国内不動産のバブルに乗って大きな開発をしたのはいいが、破綻。銀行の破綻を食い止めようと国が負債を肩代わりすることになるが、あとからあまりに額が多いことがわかり、結局税金として国民に大きな負担がかかっている。アイルランドから逃げ出した人もいるようだが、逃げられないアイルランド人はそれを堪え忍ぶしかない。 その次は優等生ドイツ。「なぜ、ギリシャの放蕩をドイツが助けなければならないか」と言う議論は記憶に新しい。ドイツは規則をきちんと守り銀行家の意識も高い。それでも、サブプライム問題でドイツはかなりの損害を受けている。ドイツは格付け機関の評価による AAAという債券を優良債券として信じ込んで投資してしまったのが問題で、ウォール街の連中にしてやられたと言える。また、形式的にきちんとしていることを重んじることが裏目に出たとも言える。さらに、アメリカ式の接待漬けに感覚が麻痺した様子もうかがえる。 そして、アメリカ。自由主義の名の下に自分の利益だけを考え、周りのことを考えない連中が州の財政を悪化させ、最後は自分の首を絞めている。州の財政が破綻し、警察官、消防士などの公務員が削減され、市役所が半ば閉鎖されているところもある。映画俳優のシュワルツェネッガーにカリフォルニア州知事時代のことをインタビューしており、議員が利益団体の意向に逆らえず重要ななすべき法案が成立しなかったことを語っている。 本書はアメリカのウォール街の飽くなき利益追求がヨーロッパの各国の財政危機招き、ブーメランのように自分のところ(アメリカ)にかえって来るというのが本書のタイトルの由来だと言える。 本書の訳者後書きにあるように、日本も国債を大量に発行しておりいったいどうなることか非常に心配である。結局は税金による処置しか考えられないのだろうが、税金を払っていない巨大企業が多いようなので、大いに矛盾を感じる。

Posted byブクログ

2014/09/27

 ブラッド・ピット主演で映画化された『マネー・ボール』の著者が、欧州危機で瀕死の状態に陥ったギリシャ、アイスランド、アイルランド、そして一人勝ちとみられているドイツを訪れる。じゃぶじゃぶのバブルに踊った3カ国は、カネをつかんだときにどんな行動に出たのか? それがはじけたときどんな...

 ブラッド・ピット主演で映画化された『マネー・ボール』の著者が、欧州危機で瀕死の状態に陥ったギリシャ、アイスランド、アイルランド、そして一人勝ちとみられているドイツを訪れる。じゃぶじゃぶのバブルに踊った3カ国は、カネをつかんだときにどんな行動に出たのか? それがはじけたときどんな姿を見せたのか。  漁師の国から一転「金融立国」を目指したアイスランド。なぜ彼らは、ど素人の自分たちを「金融の才能がある」と思い込むことができたのか? 公務員が民間企業の三倍の給料を取るギリシャでは、GDP統計の粉飾、賄賂・地下経済の横行、収税吏までが不正をする徴税能力のなさなど、EU加盟国とは信じられない無残さがさらけだされる。アイルランド人は自分たちだけがうまい汁をすった銀行を国税で救ってじっと堪え忍ぶ。ドイツ人は自分たちで浪費はしないくせに、せっせと彼らに浪費のためのカネを貸しまくる。  ただの経済本ではなく、各国の国民性というところまで踏み込んだ観察がユニークだ。

Posted byブクログ

2014/01/07

・ヘッジファンドのカイル・バスが保険であるCDSを買い、100万ドルの保険金に対する保険料は年間わずか1100ドル。保険料は終焉が近づくとともに一気に上がっていく。 ・アイスランド 漁師の国が、扱ったこともない金融取引で、価値のないものに、大きな価値をつけ、アイルランド人同士で...

・ヘッジファンドのカイル・バスが保険であるCDSを買い、100万ドルの保険金に対する保険料は年間わずか1100ドル。保険料は終焉が近づくとともに一気に上がっていく。 ・アイスランド 漁師の国が、扱ったこともない金融取引で、価値のないものに、大きな価値をつけ、アイルランド人同士で交換し、無価値な資産を築いてきた。 ・ギリシャ 仕事をしない公務員が民間の3倍の給与を得て、賄賂、年金と受取り、最後には銀行に火を付け出す。国民は税金を払わず、土地の登記簿はなく、国家予算のない国。 巨額の赤字、負債を帳簿から消してしまう図太さ、EUに加盟し調達コストを10%も引き下げたが、今の負債は結局ドイツが引き受けることになる。この国に、自らの責任を取る覚悟があるのか。 ・アイルランド 2007年の財政赤字がGDPの32%とユーロ一の数字。 かつてない不動産パブル、GDPの4分の1近くが建設業が占め(標準は10%以下)、5分の1の人口が従事している。街はからっぽの建物だらけのゴーストタウン。 銀行の破綻には、預金保証さえすれば良いのに、政府は税金による救済を行い。債務は国民に転嫁された。それでも国民は耐え忍ぶ。 返済見込みのある債務を持つものは銀行の言いなりになるが、途方もない債務を持つものは銀行を言いなりにできる。 ・ドイツ 最後のCDSの引き受けて。 ドイツはサブプライムローンからギリシャ国債に手を出した。そしてギリシャを救済することで、ギリシャ銀行からドイツの銀行に返済がなされるという構図を作り出した。 ・アメリカ 無駄使いで財政難を引き起こした知事をリコールして、選ばれた知事が改善案を出しても、市民は拒否する。自分の利益が縮小するからだ。 おかしな状況で選ばれたんだ。おかしな状況に乗り込んで行こう。 意味のある変化を起こすには、必要量の苦痛を与える環境が不可欠だ。

Posted byブクログ

2013/02/20

サブプライムローンの破綻にかけて大儲けしたヘッジファンドの経営者カイル・バスは08年ギリシャ破綻の保険CDSを買う。100万ドルの保険金に対する保険料はわずか年1100ドル。11年夏には保険料は23万ドルに値上がりし、4年以内に破綻するかどうかのギャンブルになる。バスがこの時点で...

サブプライムローンの破綻にかけて大儲けしたヘッジファンドの経営者カイル・バスは08年ギリシャ破綻の保険CDSを買う。100万ドルの保険金に対する保険料はわずか年1100ドル。11年夏には保険料は23万ドルに値上がりし、4年以内に破綻するかどうかのギャンブルになる。バスがこの時点で最大の掛け金を投じているのがフランスと日本の国債だという。マイケル・ルイスの次の著作の舞台が日本でなければいいのだが。 ここから欧州を舞台にマイケル・ルイスがメルトダウン・ツアーをガイドする。 アイスランド、命知らずの漁師の国は金融市場でも命知らずでとにかくリスクを求める。 漁師達は借金を元に投機に走り、バブルによる見せかけの利益はやがて吹っ飛んだ。 30万人の漁師の国は銀行が出した1千億ドルの損失を分け合い、個人的な損失も100億ドル単位となった。 ギリシャ、選挙結果緊縮財政は否定された。ギリシャ人の意思は自分達は我慢しないが、その分はEUが穴埋めしろと言うことを意味する。とてもじゃないが付き合い切れない。 ギリシャの問題はまともに仕事をしない公務員の給与が民間の3倍で、さらに賄賂を受け取り、年金を受け取り、緊縮策に対しストを起こし、ついでに銀行に火をつける。ギリシャでは誰もまともに税金を払わず、土地取引に登記簿は無く、国家に予算はない。ユーロから切り離し破綻させる以外に解決策は思いつかない。 アイルランド、3つの銀行が借金で国内不動産を買いまくったが、出来たのは完成しないゴーストタウンだった。銀行の破綻に対し本来は預金保証で良かったはずが、政府は税金による救済を決め、負債を転嫁された国民は黙って耐え忍ぶ。アメリカの投資銀行ではファンドマネージャーは大金をつかんで逃げおおせたが、アイルランドの銀行ではマネージャーは自社株を買い一緒に沈んだ。銀行はただバブルに踊り国を沈めた。 ドイツ、国内については手堅くバブルを起こさなかったドイツが、サブプライムローンに関しては最後まで保険CDSを引き受け続ける最後の金の出してだった。ドイツの銀行のマネージャーは自らが儲けることは許さなかったが損失については抱え込むことになった。真面目で勤勉なドイツが同じようなヘマをせず、ユーロを支え続けることはできるのか。 カリフォルニア、アーノルド・シュワルツェネッガーは勢いで知事に立候補し、失う物もなく改革を進めようとしたがそれは州民が望んだ事ではなかった。州は負債を市町村に回すことで破綻を回避しヴァレーホ市は破綻した。 メルトダウン・ツアーの行き先は明らかに他人事ではない。

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2013/12/07

マネーボールの中の人、マイケル・ルイスの最新作を読みますた。まずは、サブプライムからの欧州危機で痛い目にあった国を、各国の背景含めて順に紹介。 ①アイスランド:元々漁師の国やったけど、調子乗って金融に手出したら沈んじゃいました ②ギリシャ:国と国民の間の信頼関係が皆無で、徴税シ...

マネーボールの中の人、マイケル・ルイスの最新作を読みますた。まずは、サブプライムからの欧州危機で痛い目にあった国を、各国の背景含めて順に紹介。 ①アイスランド:元々漁師の国やったけど、調子乗って金融に手出したら沈んじゃいました ②ギリシャ:国と国民の間の信頼関係が皆無で、徴税システムがほとんど崩壊しとります ③アイルランド:皆さん我慢強いので、緊縮財政に耐えながら大穴を黙々と埋めてます ④ドイツ:建前に弱いので、トリプルAにすっかり騙されちゃいました で最後は、膨れ上がった財政赤字対策を先延ばしにしてるうちに、地方公共団体が破綻し始めたアメリカの現状で〆られとります。 増税イヤ、給料下がるのもイヤ、で自己主張続けてどん底に落ちるのか、皆でちょっとずつ我慢して何とか持ち直せるのか。。。サブプライムと欧州危機で二山当てた某ファンドが次に狙ってるのは、日本とフランスの国債デフォルトやそうです。やめて〜 orz

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2013/02/09

ブラピ主演「マネーボール」原作者による欧州金融危機を描いたノンフィクション。国家破綻した欧州各国、ユーロを必死に支える独、そして地方財政が破綻しつつある米。お金に翻弄される人間の愚かさ…債務超過の日本にとっても他人事ではないです。

Posted byブクログ

2012/11/29

Too fail To bigのような内容を期待していたが、ヨーロッパ各国の様子を筆者特有の表現で揶揄している内容だった。まぁ、それでも衝撃的な内容であったが。

Posted byブクログ

2012/11/17

アイスランド、ギリシャ、アイルランド、ドイツ。。。欧州各国を練り歩いて現地取材し、民族性と文化性と価値観などからサブプライム&金融恐慌の根源を探る、マイケル・ルイスのノンフィクション。実に読み応えアリ! ギリシャについて「自分のことしか考えない個人の集合体、というのがこの国の実態...

アイスランド、ギリシャ、アイルランド、ドイツ。。。欧州各国を練り歩いて現地取材し、民族性と文化性と価値観などからサブプライム&金融恐慌の根源を探る、マイケル・ルイスのノンフィクション。実に読み応えアリ! ギリシャについて「自分のことしか考えない個人の集合体、というのがこの国の実態だ」とは言い切り過ぎかもしれないけど、的を得ていると思う。

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2012/09/11

「世紀の空売り」や「ライアーズ・ポーカー」と較べると、一冊を通したテーマが希薄な印象を受ける。それが、章立てがマイケルルイス版周遊記といった趣の各論だからなのか、はたまた欧州危機がいまだ進行中でクライマックスが無いからなのか...。ともあれ、取材紀行としてはそれなりに面白く読める...

「世紀の空売り」や「ライアーズ・ポーカー」と較べると、一冊を通したテーマが希薄な印象を受ける。それが、章立てがマイケルルイス版周遊記といった趣の各論だからなのか、はたまた欧州危機がいまだ進行中でクライマックスが無いからなのか...。ともあれ、取材紀行としてはそれなりに面白く読める。

Posted byブクログ

2012/07/22

一概に欧州危機と名付けられているげれど、アイスランド・ギリシャ・アイランド・ドイツそれぞれ国民性を反映した事情がある。ただどこもイノセントな人・国がアメリカやイギリスの手練れた輩に騙され・巻き上げられていることに変わりはない。なぜ騙されるのか、そこに人類はもともと欠乏に対する恐怖...

一概に欧州危機と名付けられているげれど、アイスランド・ギリシャ・アイランド・ドイツそれぞれ国民性を反映した事情がある。ただどこもイノセントな人・国がアメリカやイギリスの手練れた輩に騙され・巻き上げられていることに変わりはない。なぜ騙されるのか、そこに人類はもともと欠乏に対する恐怖心が強く、絶えない渇望を満たそうとする欲求に抗えないというのもうなずける。

Posted byブクログ