イギリス 矛盾の力 の商品レビュー
本書はイギリスの政治、経済、外交面での特色を「矛盾の力」というキーワードで整理している本です。矛盾力という概念は経営学でも近年注目されていて、そのはしりはハーバード・ビジネス・スクールの竹内教授などが、トヨタの経営をして矛盾力の経営と述べています。あえて矛盾を内部に抱える事で、非...
本書はイギリスの政治、経済、外交面での特色を「矛盾の力」というキーワードで整理している本です。矛盾力という概念は経営学でも近年注目されていて、そのはしりはハーバード・ビジネス・スクールの竹内教授などが、トヨタの経営をして矛盾力の経営と述べています。あえて矛盾を内部に抱える事で、非連続的な成長を可能にする、というようなトーンですが、本書を読んで同様の印象を受けました。本書にも登場しますが、元LSE学長のアンソニー・ギデンズによる「第三の道」などはその象徴ではないでしょうか。右と左が争っている中で第三の道を生み出す力こそ矛盾力経営だと思います。 その意味ではせっかくタイトルにもなっている矛盾力についてもっと深堀して議論を進めてもらいたかったのが正直な印象でした。書かれている事はどちらかというと表面的、イギリスで起こった事象の説明と、他者が述べている言葉の引用が多く、著者の主張が深く心には刺さってきませんでした。リチャード・ブランソンのような異端児がいることは矛盾力でも何でもなく、世界各国で当たり前の現象です(むしろイギリスは異端児だらけで、その多くは事業規模が小さく目立たないだけ)。一方でイギリスはユーロに加盟しなかったのにユーロ圏の国から対内投資を増加させたことなどは矛盾力の象徴でしょう。これを意図した結果かは別として、普通の人が逆の結果を予想するのにそうならない、ということについて、なぜそうなのか?ということをもっと深堀していただき、さらに他人の発言の参照ではなくご自分の見解として述べていただけたら良かったのになあと思いましたので、少し評価を下げております。
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イギリス「フェアネス」「結果の平等」 高齢者のための支出が日本の三分の二、子どものためには四倍以上。 日本「公平」 高齢者重視。 イギリス「失敗前提主義」 失敗はイノベーションのプロセスで必要となる副産物。 日本「初志貫徹」 途中放棄は恥ずべきこと。 先進国の政治家の仕...
イギリス「フェアネス」「結果の平等」 高齢者のための支出が日本の三分の二、子どものためには四倍以上。 日本「公平」 高齢者重視。 イギリス「失敗前提主義」 失敗はイノベーションのプロセスで必要となる副産物。 日本「初志貫徹」 途中放棄は恥ずべきこと。 先進国の政治家の仕事は「利益の配分」から「不利益の配分」へ。その先のビジョンを示す。 「重要な指導力とは眠っている個々人の指導力を目覚めさせること。」キャメロン首相。
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日本では池上彰の選挙特番が話題になっているようだが、イギリスのメディア(特にラジオ)のキャスターは本当に容赦ない。矛盾点があると天気予報の時間を犠牲にしてまで徹底的に追求する。その姿勢はこの国家の性格を反映していると言ってもお過言ではないと思う。つまり、論理的におかしいことは通じ...
日本では池上彰の選挙特番が話題になっているようだが、イギリスのメディア(特にラジオ)のキャスターは本当に容赦ない。矛盾点があると天気予報の時間を犠牲にしてまで徹底的に追求する。その姿勢はこの国家の性格を反映していると言ってもお過言ではないと思う。つまり、論理的におかしいことは通じない。徹底的に議論して、「モラル」に照らして尤もらしい方向へ進む。マニフェストに何を書こうが、その時に最適な解が違ってくれば途中の方向転換も遠慮なく行う。実に恍惚というか、器用というか。これからも世界の趨勢をうかがいながら変わり続けるのだろう。実に面白い。
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イギリスって面白い国なんだね。 民主党は何を勉強にいったのかね?ダメ菅は何を学んできたのか? 書評で採り上げられていたので,図書館に予約。 2012/06/16図書館から借用;06/26の朝の通勤電車から読み始め;途中中断をはさんで,7/4の夕方読了
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イギリスという国は私にとって理解が難しい国です。現在は日米同盟ですが、以前は日英同盟を組んでいた相手です。いまだに光栄ある孤独という方針を取っていて、EUに加盟しつつもユーロを使わずにポンドを使い続ける等、独自性を出しているように思えます。 サッチャー改革により自国の製造業をな...
イギリスという国は私にとって理解が難しい国です。現在は日米同盟ですが、以前は日英同盟を組んでいた相手です。いまだに光栄ある孤独という方針を取っていて、EUに加盟しつつもユーロを使わずにポンドを使い続ける等、独自性を出しているように思えます。 サッチャー改革により自国の製造業をなくしてまで金融業中心の経済へ移行したり、かなり先進的だと思います。この本では進化し続けているイギリスの政治と経済のシステムについて解説されています。 今後、イギリスについても理解を深めていって、欧州における現在の位置付けを自分なりに把握したいと思いました。 以下は気になったポイントです。 ・連立交渉の舞台裏として各党が決して譲れない政策として、保守党は「早急な財政再建」、労働党は「公平さの維持」、自由民主党は「選挙制度改革」であった(p21) ・イギリスではサッチャーの市場主義革命を経ても、政府支出のGDP比は2000年頃の35%から、2010年の50%へと増えている、公務員数は労働人口の2割を占める(p27) ・第二次世界大戦後にケインズが交渉した米国からの借金をイギリスが完済するのは、60年後のブレア政権の2006年のこと(p68) ・リスボン条約の長大な文書のなかに、イギリスの名が登場することが多い、権限をブリュッセルに奪われたくないので、あらゆる項目で自国を適用除外(Optout)にしたから、ユーロ通貨は導入せず、パスポート検査を撤廃するシェンゲン協定にも入っていない(p72) ・イギリス輸出の4割はユーロ圏向け、EUがイギリス主権を脅かすような強大な国家になるのも困るが、空中分解も困る(p76) ・イギリスの2005年以降の経済成長は、多くを政府支出に依存していた、住宅価格は高騰して政府も民間も身の丈を超えた借金を抱えていた(p90) ・中低所得者層の預金者をメインにしていた「ノーザンロック銀行」は、住宅ローン市場の急膨張に伴って、住宅ローン担保証券の投資家向け販売と、インターバンクマーケットからの調達によって資金を賄っていた(p95) ・ギリシア前政権は、財政統計で歳出を発注ベースではなく、実際の支払いベースで計算していたため、財政赤字のGDP割合が5%程度から13%近くとなった(p99) ・サッチャー政権が進めた労働市場の規制緩和は、企業が従業員を「解雇しやすくする」こと、イギリスで従業員を解雇するのにかかるコストは、欧州大陸比較で8分の1(p105) ・イギリスの自動車メーカのほとんどは外資によって買収されたが、自動車はイギリスの工業輸出の10%強を占める重要な産業である(p130) ・イギリスの階級システムの粘着性は単に所得や財産の多寡だけではない、読む新聞、利用するスーパー、マナー、言葉のアクセント、どの都市のどの通りに住むか、夕食をdinnerと呼ぶのはミドルまで、上流階級はsupper(午後730位)と呼び、dinnerは特別なフォーマルな食事の時(遅い時間)に使う(p151) 2012年5月27日作成
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この本を読んで我が国の政治に思う。痛みを伴う政策を訴えるのなら、国民の信を受けて、腰を据えた政治をやってほしい。政治の質が相当違うようだ。
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タイトルがすべてを表現してます。 やっぱり、日本と似てる部分は多いかな。参考になる部分は多いと思う。
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野党党首は公職としての地位を保証され給与も支給、成文憲法がない=究極の軟性憲法、ティーとディナーとサパーの違いなど、興味深い記述がたくさん。保守党と自由民主党の連立政権に関する部分が一番面白いかな。
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