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科学と宗教と死 の商品レビュー

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28件のお客様レビュー

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2024/06/08

 「ヨーロッパでは科学が発達してくるのはルネサンスの頃ですが、もともと神の秘密を探るのが科学」だったということに驚きました。だからこそ、科学を「突き詰めて研究していくと結局『神』という概念に行き着いてしまうといいます」とのこと。科学には疎いですが、人間の体の精巧さを思うと、そこに...

 「ヨーロッパでは科学が発達してくるのはルネサンスの頃ですが、もともと神の秘密を探るのが科学」だったということに驚きました。だからこそ、科学を「突き詰めて研究していくと結局『神』という概念に行き着いてしまうといいます」とのこと。科学には疎いですが、人間の体の精巧さを思うと、そこに創造者の存在を思わずにはいれない。  本の趣旨とは関係ないが、加賀乙彦の大学時代の教授が内村鑑三の息子、内村祐之だっということが嬉しかった。  もう一点。太平洋戦争時、3月10日の東京大空襲を指揮したルメイ将軍に、戦後航空自衛隊への戦術指導などの功績により、日本政府は勲一等旭日大綬章をおくった、ということに呆れた。このことを知っている人はどのくらいいるのだろう。

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2022/12/06

小説家で精神科医でもある著者の自伝的エッセー。生と死についてに主眼を置いて書いておられる。戦時中にあった命を軽視しているとも取れる教育を受けてきた少年時代、心理学と精神医学の研究に没頭した青年時代と、過去を振り返りながら、科学の限界と無力さ、そして宗教を信じることの意味など、老境...

小説家で精神科医でもある著者の自伝的エッセー。生と死についてに主眼を置いて書いておられる。戦時中にあった命を軽視しているとも取れる教育を受けてきた少年時代、心理学と精神医学の研究に没頭した青年時代と、過去を振り返りながら、科学の限界と無力さ、そして宗教を信じることの意味など、老境に達しておられる著者ならではの示唆に富んでいて、色々と学ぶところも多かった。

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2022/04/27

小説家・精神科医・キリスト教徒である著者が生と死について説いている 人の行動原理を心理学だけで説明することはできないという点は同意 著者はその根底には魂があると述べていたけど、私は実存主義寄り(?)なのでそれだけでは弱いと感じた どんな現象も分子生物学的に説明できるはずだとどこ...

小説家・精神科医・キリスト教徒である著者が生と死について説いている 人の行動原理を心理学だけで説明することはできないという点は同意 著者はその根底には魂があると述べていたけど、私は実存主義寄り(?)なのでそれだけでは弱いと感じた どんな現象も分子生物学的に説明できるはずだとどこかで思っている節がある だが実際にそんなことは不可能であることも理解はしていて、それを補う(という言い方は違うかもしれないけど)うえで宗教という存在は必要なのかもしれないと本書を通して感じた 著者はキリスト教徒の立場から宗教の必要性を説いていたが、フラットな感情で書こうと努めている様子が伝わってきたのが良かった 個人的には必ずしも信仰を持つべきだとは思わないけど、幼少期から宗教について考えることに意義はあると思う 宗教について理解することで人間の力の及ぶ範囲に限界があることを知ることができる 私は大人であることの条件の1つとしてメタ認知できるようになることがあると思っていて、それはこのことに寄与するのではないかな

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2021/05/08

科学と宗教や迷信などを絶対に交わらない相反するもの、として譲らない人にこれ読んでほしいなぁといつも思ってます

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2019/05/23

著者がキリスト教をどの様に捉え、どの様に入信したか、その経過が分かります。 信仰を選ぶとはこういう事なのか、と分かりました。

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2018/08/05

 軍国主義時代に育った著者は、戦争による多くの死を見て、受けた教育との板ばさみに苦しむ。  精神科医となり、犯罪者の心理学の研究を行う中でも、死についてたびたび考えた。  学問という科学では、限界がある人間の心の深さを感じる一方、長く人間を支えてきた宗教に思いをはせる。  死刑囚...

 軍国主義時代に育った著者は、戦争による多くの死を見て、受けた教育との板ばさみに苦しむ。  精神科医となり、犯罪者の心理学の研究を行う中でも、死についてたびたび考えた。  学問という科学では、限界がある人間の心の深さを感じる一方、長く人間を支えてきた宗教に思いをはせる。  死刑囚との交流やフランス滞在、妻の突然の死、日本を襲った震災。著者の体験も交えた実感のこもる思索に、深く納得させられる。

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2015/03/08

著者は医師で小説家であり、キリスト教を信仰しています。 その立場から、死について思索してます。 キリスト教と浄土真宗との相似点や、生死をわけるのは何か、など。 ps:妻も真剣に読んでいました。

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2014/10/08

[ 内容 ] 「死」を考えることは「生」を考えること 精神科医でありまたキリスト教の信徒でもある作家が82年の人生で続けてきた死をめぐる思索の軌跡を綴る。 自身の病、妻の死と厳しい試練に見舞われながら希望を失わない生き方の秘密が明らかに。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] ...

[ 内容 ] 「死」を考えることは「生」を考えること 精神科医でありまたキリスト教の信徒でもある作家が82年の人生で続けてきた死をめぐる思索の軌跡を綴る。 自身の病、妻の死と厳しい試練に見舞われながら希望を失わない生き方の秘密が明らかに。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2013/11/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

生々しい「死」の感覚、それは著者にとっては、「死は鴻毛より軽い」と教えられた軍国主義の時代での死生観がまずありながら、戦時中の空襲での黒焦げの死体、戦後まもない頃の新宿駅などでの、復員兵などの餓死した死体などを見て形成された意識で、現在のように、ドラマや小説や映画などでありふれた「にせものの死」で濁されてしまう「死」の感覚とはまったく違う、そういうふうに著者は書いていたと思います。それが震災によって、人々はそれまでのウソの「死」から生々しい「死」を感じ直すことになった。それで、そういう「死」を目前にした今、祈りや宗教が大事なんじゃないかと主張しているわけです。

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2013/11/10

著者の戦争体験と、自身の犯罪者の精神医学的研究より考察された生と死への考察。そして自身の宗教的体験についての、ほぼ自伝的な本とも言える。東日本大震災と原発問題についても触れ、科学と宗教の絡みについても述べられている。いかに生きるか、宗教は理解することではなく、体験することである、...

著者の戦争体験と、自身の犯罪者の精神医学的研究より考察された生と死への考察。そして自身の宗教的体験についての、ほぼ自伝的な本とも言える。東日本大震災と原発問題についても触れ、科学と宗教の絡みについても述べられている。いかに生きるか、宗教は理解することではなく、体験することである、ということを述べることは浅い理解、いや読書体験かもしれない。

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