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科学と宗教と死 の商品レビュー

3.3

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

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  4. 2つ

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2013/10/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦争、精神科医として、阪神と東日本の大震災、妻の死と、多くの死に直面してきた著者の、信仰と死についてのエッセイ。 不幸な国の幸福論でも感じたが、この方の意見の述べ方の立ち位置がとてもいい。 意見を押し付けることなく分かりやすい文章で書いてくれているので、意図を受け取り自分の中で租借する余裕を読者に与えてくれている。 第4章が、この本の核となっているが、1章から順番に読むことをオススメ。 新書の場合は速読するようにしている私ですが、2章の途中から精読に変更。時間がかかってしまったのは誤算でしたが、しっかり読む価値がありました。 キリスト教について神父さんをご夫婦で質問攻めにしたくだりは面白かった(笑) そして、突然質問がなにもなくなり、気持ちが軽くなったと。 魂が信仰の領域に入っていったのではないかと思います。 そんな体験してみたいかも。 東日本大震災からの復興についての、頑張ることと祈ることについての考察も興味深い。 ゴスペルのイベントのお手伝いをすると、実際に手配をしたり行動することと、祈ることのバランスについて考える機会が多く、いつも難しいところだなと感じる。 科学の範囲である心理学を追及した著者が、ひとの心は心理だけでは分からない部分があると書いていることが、とても心に刺さった。

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2013/07/06

 80歳を超えたキリスト教の信者である著者による自伝的なエッセイで、死は不条理で生と死は紙一重であること、科学と宗教が一体であることなどを述べた本。  もともと精神科の医者であるらしいが、作家でもあるらしい。というか有名な人だそうだが、おれは知らなかった。上から目線のお説教くさい...

 80歳を超えたキリスト教の信者である著者による自伝的なエッセイで、死は不条理で生と死は紙一重であること、科学と宗教が一体であることなどを述べた本。  もともと精神科の医者であるらしいが、作家でもあるらしい。というか有名な人だそうだが、おれは知らなかった。上から目線のお説教くさい要素とか手前味噌があるのかと警戒しながら読んでいたが、全くないわけではないがほとんど気にならず、すぐに読めた。しかもそれなりに興味深く読めた。やっぱり聖書は読んでみたいなあ。でも一日8時間3週間もかかるなんて無理だな。せめて新約だけでも、と思うけど。著者が感じた、パウロのような信仰の喜び、という話が印象的だった。そんなもんなのかな、と思った。(13/07/06)

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2013/02/13

前半は著者の体験談から来る話。第4章以降がこの本のメインのような気がします。「祈り」という行為を尊重していて、著者の人柄が出ていました。

Posted byブクログ

2013/02/05

戦争体験と拘置所医務技官の体験から作者独特の死生観、宗教観を述べている。個人的には共感する部分が多い。終盤、科学者の態度として謙虚であるべきとの考えを展開する延長で原子力に言及している。謙虚であることに異論はないが、未知の領域を探究するのが科学者ならば、障壁を作るのではなくて克服...

戦争体験と拘置所医務技官の体験から作者独特の死生観、宗教観を述べている。個人的には共感する部分が多い。終盤、科学者の態度として謙虚であるべきとの考えを展開する延長で原子力に言及している。謙虚であることに異論はないが、未知の領域を探究するのが科学者ならば、障壁を作るのではなくて克服して行くべきで、この点は生殖医療等の倫理的に議論のある問題と明確に区別するべきと思う。

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2012/10/29

精神科医で作家でキリスト教徒である著者が、死を見つめて宗教のことや科学のことについて思うところを述べた軽い読み物。死刑囚との接触やキリスト教改宗、第二次世界大戦の記憶なんかから、東日本大震災後の日本に宗教は大事なんじゃないかと。祈りの気持ちや宗教的感動を思い出させてくれた。

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2012/08/16

「死」を考えることは「生」を考えること 精神科医でありまたキリスト教の信徒でもある作家が82年の人生で続けてきた死をめぐる思索の軌跡を綴る。自身の病、妻の死と厳しい試練に見舞われながら希望を失わない生き方の秘密が明らかに。

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2012/07/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内容的には過去の作品の内容と同じ物が多い。 3.11以降の日本について書かれている、よく戦後と似ているという話を聞くが、戦争を体験した人が語るのはまた重みが違う。 80歳過ぎの人が未だに色々と考えているのには勇気づけられるし、戦後すぐの物の少ないじだいでのモーパッサンのエロさについての述懐はなんだか嬉しい。

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2012/07/04

戦争体験や、精神科医としての犯罪者との接触体験、そして自身の老いや死に面した経験から、宗教と原発について語っておられる。 思想的には、僕とは真逆に近い価値観。 著者の言うように、戦争中は命が軽んじられたのだろうか? ほぼ洗脳されるように天皇や国家のために戦ったのだろうか? 一般...

戦争体験や、精神科医としての犯罪者との接触体験、そして自身の老いや死に面した経験から、宗教と原発について語っておられる。 思想的には、僕とは真逆に近い価値観。 著者の言うように、戦争中は命が軽んじられたのだろうか? ほぼ洗脳されるように天皇や国家のために戦ったのだろうか? 一般論としては飲み込むことができない。 また、原発・原爆を同列にして批判しているところについても、やや感情的なものではないだろうか? ただ、一人の作家の、精神科医の価値観として読むことはできた。 彼は何も煽動してない。 この本は原子爆弾と原発がなくなるのを見てから死にたいと願う一人の価値感だ。 本書のタイトル「科学と宗教と死」。やや哲学書のように感じるのだが、これは本書の内容を表現していないので残念だ。 本書の内容は、キリスト教徒である著者のキリスト教観と仏教観に関する考察から、原発と原爆を中心とした科学の価値観、そして死に対する思いを綴った随想だ。

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2012/05/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

うーん、ちょっとピンと来ない感じでしたね。 死というテーマに深く切り込んでいく哲学的なトーンを期待していたのですが、どちらかというと宗教(キリスト教)が人の死生観にどういう影響を与えるかという感じで、後半は結構雑に読んでしまいました。 ただ、死刑囚の正田昭がキリスト教と出会って人間が変わったという話は興味深かったです。人間、極限のところまで行くと頼るものは信仰しか無いのではないか思う。日本人は極限に接することが無いから、特定の宗教に対する信仰が無いのだろうな。 もともとキリスト教徒で無かった著者は、遠藤周作に批判されたことによりキリスト教徒となるのですが、彼がフランスで初めて聖書を通しで読んだ時の描写が面白かった。 『聖なることがたくさん書かれているのかと思ったら、そうではない。悪のオンパレードです。あの有名なダビデだって、他人の奥さんをとるためにその夫を殺すという悪事を平気でやっている。「聖書」は名場面のある、ドラマチックな物語だったのです。』 ダビデ・・・。 僕は、この人の他の作品より、まず「聖書」を読みたいと思いましたよ。 今年中には読みたい。

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2012/04/06

加賀さんのものを見るのに立っている位置はとても素敵だ。 すごく好きなのだけど、宗教が大きいなぁと思う。 宗教を押し付けないようにとおっしゃっていたけど、信じるものがない人間にはなんとなくきな臭い。 しかし、今あやふやになったり近づいた死について考えるのでなく耐える、堪えられる様に...

加賀さんのものを見るのに立っている位置はとても素敵だ。 すごく好きなのだけど、宗教が大きいなぁと思う。 宗教を押し付けないようにとおっしゃっていたけど、信じるものがない人間にはなんとなくきな臭い。 しかし、今あやふやになったり近づいた死について考えるのでなく耐える、堪えられる様になるには信仰が必要なのかもしれないと感じた。 生きることは、なんとでもなると思う。生きていることあることを信じるのは割りと容易い。しかし、なくなること、無になることを信じるだけでなく受け入れるのはとても難しいと思う。前者は、科学が裏打ちして支えてくれる。けれど、後者は医学でも怪しい。脳死だとか心臓死だとか曖昧な境界線だと思う。肉体は生なのか?精神が生なのか?科学では計りきれないと思うのだ。 そういう所で、あやふやなものの答えを、宗教という割とふんわりとしたものに求めるのは結構いいのではないかと思った。

Posted byブクログ